(ポツリと)外道に人権は無いだよ……加納刑事(ウソ)

 タイムズスクウェア爆破未遂事件で報道されているM-88という市販の花火について非常に気になったので調べてみますた。
 Bob Weaver氏が2008にUPしている解説文「What is an “M-80,” anyway? And why can’t you buy one?」によると、M-88は合法花火なので、NY州でもコネチカットでもどこでも買えるようです。
 他方、米国では、闇市場で、M-80というとんでもない巨大爆竹も手に入るようです。そして今回の犯人は、それを入手しようとしたり、M-88をほぐしたりはしなかったらしくみえる。教育程度が低いやつで確定でしょう。
 米国では薬量50ミリグラム以下の爆竹や花火しか市販できません。 50 milligramsとは「0.05 grams」のこと。これを越えて火薬が充填されていたら、それは今日の米国では違法。形状は、無関係です。
 M-88はこれを遵守している市販品です。ちなみに花火を規制している連邦当局はATFE (Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives) といいます。
 業務用の打ち上げ花火や仕掛け花火のことは「1.3G」というらしく、これはATFEの許可を得た人が扱うことができます。
 では薬量が超過していて子供が指や聴力を失う危険があると指摘されるM-80とはどんな爆竹なのか。
  “M-80” は闇市場では別名 “Cherry Bomb” ともいいます。※ラナウェイズか。
 薬量が合法品の50倍もある。なんと3グラム弱の火薬が入っているのです。
 ちなみに「ダイナマイトの1/4に相当する」というデマが、教育熱心なニュージャージー州にはありますが、ダイナマイトの1/4なら爆薬35グラムとなり、筒の外観のサイズはともかく、威力は比較になりません。
  M-80 に入っている火薬は “flash powder”であり高性能爆薬ではありません。
  M-80 の主成分は 過塩素酸カリウム【potassium perchlorate】です。
 花火爆竹の爆燃 deflagrates と、ダイナマイトやTNTの轟爆 detonates の違いもあります。後者は爆圧が超音速で広がりますが、前者は然らず。
 つまり化学的には黒色火薬は爆薬ではないのですが、米国の法律上、ATFE はこれを、爆薬と同格に扱います。
 M-80/チェリーボムは、1966に”Child Protection Act”の成立によって禁止されました。だから、米国内で売るのも所持するのも使用するのも違法なのです。
 リアルのM-80とは米軍用の「擬砲火」なのです。
 円筒の長さは 1.5 inches で、直径は「16分の9」インチ。
 そして円筒の側面に fuse が突き出しています。
 中味は、 45 grains の調合火薬です。1グレインは 64.799 milligrams です。よって、それを45倍すると、 2,916 milligrams となります。ちょうど、 3 grams 未満です。
 リアルのチェリーボムは直径3/4インチ、外側には、おが屑をsodium silicate【珪酸ナトリウム】でまぶしたものが塗ってあって、赤く染めてあります。威力はM-80より弱いのですが、やはり非合法です。
 ドイツ、メキシコ、フィリピンではこのクラスの大きな花火も合法です。
 米国では1976には火薬成分についても定義されました。
 Aerial “reports”【爆音】、〔つまり運動会の開催確認用打ち上げ花火みたいな〕信号火薬には、 129.6 ミリグラム までの火薬を詰めることが許されています。
 花火のブランドとしてM-60, M-70, M-90などがありますが、ほとんどは合法です。
 M-80ではないのにM-80のような名前がついているのは、要するにギミックです。
 ところが合法花火に M-80とかCherry Bombをマンマ命名している商品もあり、たいへんまぎらわしく、困ったことです。
 闇市場で出回っている M-80 は、正規の工場から出荷されたものではありません。
 他のネット情報では以下のことが分かる。
 「シルバーサリュート」はチタン粉によって光を派手にしたもの。音は大したことはない。
 薬量が同じでも、筒の両端末をしっかりシールしてあるほど、大きな音になる。※ユーチューブでM-88強化の動画がヒットする。
 m-98s は薬量は同じで、チタン粉のかわりに flash powder をきつく包んである。
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 Jim Garamone 記者による記事「National Guard Chief Notes Pain of Transformation」。
 州兵には陸軍と空軍とがあるが、その空軍の親玉である Air Force Gen. Craig R. McKinley が Defense Writers Group を集めての朝食会で次のように語った。
 州兵部隊を2000人まとめて90日の準備でアフガンに送り出せるなんて15年前には考えられもしなかった。
 最も古びた装備しか与えられなかった州兵空軍は、2001-9-11以降、最新装備を受領するようになった。
 陸&空の州兵は、5万から6万がイラクとアフガンで戦闘中。州兵の全勢力は、358,000である。
 陸軍の州兵は、「1年の本土、3年の海外前線」勤務というローテーション。これを「1年の本土、5年の海外前線」勤務としたい。
 州兵の充足率は高く、新規募集は停止している。
 海外に出ている州兵は全部で 66,000 いる。
 ※DefenseAlertの2010-5-4の見出しをみると、同将軍は、米本国の北部国境、南部国境の見張りのために、アフガンからUAVをすこし戻してもらいたい、とも発言したようだな。
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 サイエンスデイリーに2010-5-4に載っけられた紹介記事「Cell Phones Could Double as Night Vision Devices」。
 ちょっと特亜っぽい名前のFranky So先生がフロリダ大学にて、陰極管の代わりに発光ダイオードを使う、50円玉サイズのミニ暗視器材を開発。これは携帯電話に組み込み可能だと。
 従来の暗視用ゴーグルは、光電管【photocathode】で、赤外線の光子を電子へ変換する方式だった。これは高価。
 高電圧が必要であり、しかも真空管類似の頑丈なガラスの陰極管が不可欠だったから、かさばりもした。
 So先生は、この真空管を追放し、膜状の有機半導体の多層構造としたのだ。
 光を検知したらLEDが発光。軽量なプラスチックにも適用できる。
 旧来の暗視ゴーグルは重さ1ポンド以上で値段は数百ドル以上。
 しかし携帯電話用の暗視チップは全部で数オンスの軽さにまとめることができ、量産は液晶パネルとおなじくらいたやすい。
 自動車のフロントグラスにも応用できる、と。※すで某欧州メーカーが「夜よく見える赤外線強調フロントグラス」を試製していますね。
 So先生もDARPAから研究費をもらっている。
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 おなじくサイエンスデイリーの2010-5-3記事「Improving UAVs Using Holographic Adaptive Optics」。
   hologramsに必要な calculations を軽いコンピュータで実現。よってこれをUAVに搭載し、超高空から超微細な地上映像を電送できるようになる。偵察革命になる、と。
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 ポピュラーメカニクスのDan Koeppel記者の記事「The 6 Most Popular Border Fence Technologies」。
 アリゾナの不法移民対策など簡単だ。国境に穴のないフェンスを敷設すればよいだけだ。では最近の壁商品はどうなっているか。
 The Landing Mat は古くからあるもので、高さ10フィートの corrugated steel である。
 もともとは、ベトナムでヘリ・パッドを急造するときに使っていた鉄板であった。
 電動ノコギリで穴をあけるのは容易。よってこのタイプはもう使うべきじゃない。テキサス州ではこの壁材は国境には使っていない。
 SBInet はボーイングが開発中のバーチャル・フェンス。
 地中にセンサーが埋められ、点々とカメラ・タワーを建てるもの。
 越境者を発見しだい、警察に通報する。
 しかし、誤作動や低速な通信の問題があり、Tucson南部でテスト中だが、Homeland Security secretary Janet Napolitano も、こんなものに予算は出せないなと疑問表明。
 国境地区の住民がいろいろと監視カメラを私設し、それをぜんぶネットで結べばいいじゃないかという案もある。
 ヒット&普及中の商品は、「Anti-Ram」。
 だいたい $3.8 million per mile と高額なだけある。
 高さはランディングマットより高く、地下部も6フィートまでもあり、トンネルを容易に掘れなくしてある。
 10,000-pound vehicle が 40 mph でも突破できないという。
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 2010-5-4記事「Russia Releases All Its Soldiers From Their Cells」。
 内務班というよりは刑務所の監房に近かったロシア軍の兵舎が改善される。
 週末の2日は、営外で過ごしてもよくなる。
 将校は 150,000 も馘首された。
 連邦解体いらい出生率は下がり続けているので、志願兵に頼らなくてはならない。
 最近の調査では兵役適齢男子の75%は軍隊なぞに行きたくはないと回答。
 最大の理由は、ロシア軍には抜きがたい hazing【新兵いびり】の慣習があるからだ。
 そのため、軍隊内の自殺率が世界一高いのはロシア軍である。純然たる事故死率も含めて、米軍のおよそ2倍と言われている。
 徴兵年限は今では1年間である。
 民間にくらべての低賃金のため、最良の NCOs【下士官】からどんどん軍隊を辞めてしまうことがロシア軍最大の問題である。事実上、プロらしい下士官はロシア軍には存在しない。
 このため将校たちは、志願兵のなかの古参兵(3年兵以上)たちに、営内の仕切りを丸投げするほかないのだ。これが新兵いじめの温床。
 伝統としてロシア軍は、下士官は何も決定せず、ささいな指示もすべて将校に仰いできた。これは変えなければならない。※ノモンハンでの不可解なBTの運動は、このような組織理論を知って、はじめて納得できるだろう。
 再教育された新しい曹長たちは、$1,100 の月給を貰うだろう。これは下級将校よりも高額である。
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 2010-5-4の記事「Smaller Bullet Gets The Longer Shot」。
  2009-12に、英軍所属の狙撃兵 Craig Harrison伍長が、狙撃距離の新記録をつくったことが明かに……。なんと 2,620 meters で2人のタリバンを倒したのだ。
 ※ゴルゴ、負けた……。あの劇画では最大2000mでしたな。それもM-16じゃなくてボルトアクションの7.62ミリ型を借りるという、自己世界ブチコワシな挿話だった。
 使った銃は、重さ6.8kgの L115A3 ライフルで、口径 8.6mm、弾薬は Lapua Magnum round であった。※軽機並に重い特殊銃ですな。
 それ以前の世界記録は、カナダ軍の Rob Furlong伍長で、2002年にアルカイダの銃兵を 2,573 meters で殺していた。ただし、こっちは 12.7mm の狙撃銃を使ったのだ。重さは上記狙撃銃の倍くらいある。
 3年前に英陸軍は、 3,000梃の 7.62mm L96A1 sniper rifles を、 .338 (8.6mm) Lapua Magnum caliber round を使う改良型に交換しはじめていた。
 メーカーは、 Accuracy International で、会社では “Super Magnum” rifle と呼び、ベースは L96A1 “Arctic Warfare” rifle で、それを 8.6mm Lapua Magnum round に対応させたのだ。
  L115A1 はスコープなしで重さ 6.8 kg ある。
 全長は50インチ、そして銃身長は 27 inch で弾倉容量は5発。
 イラクでもアフガンでも狙撃兵は、より長射程の武器を欲しているが、12.7ミリでは重過ぎて困るのだ。
 そこで .338 (8.6mm) Lapua Magnum round ですよ。
 こいつの有効射程は 1,500 meters あり、だいたい 7.62mm standard NATO round の5割増し。
 ハリソンは3発撃ったという。そして3発目は、2人のタリバンが操作していた〔重?〕機関銃に命中したという。
 8.6mm弾は 1990s初めに市販開始された。次第に警察や軍隊の狙撃手の間で評判が高くなった。
 在アフガンのオランダ軍は、いちはやく採用して成績を上げていた。
 これを見て、12.7ミリ狙撃銃のパイオニアである Barrett社も、8.6ミリ口径として重さを 7 kg にまで減じたバージョンを発表している。
 ハリソン伍長の所属は、 Household Cavalry 聯隊で、すでに英国に戻っている。伍長は敵弾で軽傷、また、IEDで片腕を骨折もしていた。
 射撃距離の確認はGPSを使って別人が行ない、そのために時間がかかったのである。そして伍長は先月、じぶんが世界新記録を樹立したことを知らされた。
 ※これからはスコープにもメモリーがついて、レーザー測遠値をタグにつけて映像証拠をUSBに自動記録するようになるでしょうね。戦闘機のガンカメラと同じですよ。ていうか、そういう商品を日本の光学器メーカーが作って売れよ!
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 AFPの2010-5-3ニュース「U.S. Says It Has 5,113 Nukes In Its Arsenal」。
  米国防総省が初めて公表。2009-9-30時点で、核弾頭のストック総数は 5,113 発であった、と。
 この数字の中には、ICBMなどの中に実戦配備されていつでも使える分も含まれている。
 また補修中とか貯蔵中で “inactive”状態の warheads も含まれている。
 ちなみに数量のピークであったのは1967年の 31,255 発。これは1993に明かされた。
 国務長官いわく。こっちがこれだけ公表してるんだから、シナも明らかにしやがれ。お前らは不透明すぎるんだよ。
 次。
 Rebecca Boyle 記者の2010-5-3記事「 Air Force Tests Method for Using Light to Heal Battlefield Injuries」。
  外科治療にもう縫合術は不要になる。光を当てれば血管や神経もくっつくようになるのだ。
   Massachusetts General Hospitalの皮膚科の女医さんが Air Force Office of Scientific Researchの助成を得て発明したよ。
 すでに眼球の傷の治療に用いられているピンク色の染料「Rose Bengal」を皮膚の外傷部位に塗り、緑色の光を照射すると、その染料が光を吸収し、電子を発散する。
 その電子がコラーゲン繊維の化学的結合を促し、コラーゲンが傷の両サイドをつないで塞ぐシールとなる。
 「ナノ縫い目」というわけだ。これは防水ともなるので従来の糸やホチキスによる縫合より安全だし、治癒後の痕跡も小さくなる。健全な組織に穴を通す必要もない。
 染料にはタンパク質や糊成分は含まれておらず、したがって炎症の原因にはならぬ。
 切断された神経や血管も、やがてはこの方法でくっつけることができるようになろう。
 ※医療の世界では皮膚科はバカにされてるんですよね。基本膏薬貼りで簡単だというので。その皮膚科医による、外科医たちへの復讐というわけでしょう。ちょうど、歩兵科の中でなんとなく機転の利かない兵隊の行くところとして下に見られてきた迫撃砲班が、レーザー/GPS誘導弾の採用により、他兵科の仕事をなくしてしまいそうな最近のトレンドと、似ています。