こんどは海軍のリストラが来ると思われる。

 ゲイツ演説が波紋を起こした。奴は本気である。
 Jim Garamone 記者の2010-5-3記事「Navy, Marines Need Adaptable People, Gates Says」。
 メリーランド州でゲイツが吼えている。
 おまえら海軍と海兵隊の士官どもよ、 vision と insight を持て!
 世界も技術も、変わり続けているんだぞ。
 これが見えている有能な海軍士官よ、上司も説得せよ!
  Marine Corps Lt. Gen. Victor Krulak は偉かったぞ。ヒギンズボート〔日本の大発を真似したもの〕の装備化を推進したし、ベトナム戦争にも適応していた。
 輪形陣【circular formation】を考えたニミッツも偉かったぞ。
 原子炉は大きすぎて潜水艦には積めないという常識を克服した Adm. Hyman Rickover を見習え。
  Navy Lt. Cmdr. Roy Boehm は after World War II に SEALs を創設したじゃないか。
 彼らは、組織の強烈な抵抗に打ち勝って、改革を推し進めたから成功したのだ。
 お前ら、 must have the maximum flexibility to deal with the widest-possible range of scenarios and adversaries だぞ。
 ※他の記事も総合すると、ゲイツ氏はフォード型空母も次世代SSBNも減らす気のようだ。彼はマクナマラ伝説を完全に超えるね。
 このさい、オールドタイプの原子力空母を1~2隻日本が米国から買い(ただし飛行機は買わない)、それをヘリコプター給油専用の「浮かぶ飛行島」として、西表島の船浮湾などに防潜網を張って繋留するのが善いだろう。ゲイツ氏は、渡りにフネととびつく筈だ。
 以下、関連してデンジャールームの要約。
 ゲイツいわく、こんご30年間、 11もの carrier strike groups を維持する必要はない。
 米海軍の1隻の空母にすら対抗できる艦船など世界中どこにもありはしないじゃないか。
  project power across the oceans の必要はあるけど、すでにその能力を享受しすぎなんだよ。
 もっと必要なものがある。たとえば riverine operations の復活。(ベトナム以来となる。)
 次世代空母 Ford-class の箆棒なコスト。もう許せん。$15 ~ $20 billion をシナの対艦弾道弾の危険にさらすことなんてできるか。
 昨年学んだことは、AK-47s と RPGsしか持ってないソマリアの海賊退治にイージス艦なんていらんちゅうこと。
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 2010-5-6記事「Saving Sevastopol」。
 ウクライナは暖房用の燃料をロシアの天然ガスに依存している。これが、ものすごい負担である。
 そこで、あらたなとりきめ。ロシアは黒海艦隊のセウァストーポリ海軍基地を2042年までウクライナから租借し、毎年 $2 billion ウクライナに支払う。
 さいきん、同軍港にて運用可能だった唯一の潜水艦(キロ級、艦齢19年)が爆発事故を起こし、かろうじて自力で帰港した。
 もう1隻の艦齢29年のタンゴ級は、長期修理中で、当分は復帰予定なし。
 冷戦中の黒海艦隊は30隻以上の潜水艦を誇っていたのだが……。
 掃海艇とミサイル搭載警備艇は20隻強あるが、建造は1990年代である。
 昨年ロシア政府は、大洋用の空母の建設などはあとまわしにし、黒海とバルト海の海軍力をなんとかしろと海軍当局に命じた。
 1991にソ連邦がなくなり、ロシアは2017年までセウァストーポリを租借するとりきめをウクライナと結んだが、その延長交渉にウクライナ政府は乗り気ではなかった。
 それでロシア政府は、セウァストーポリより東方にあるロシア領土の黒海沿岸に新軍港を築造しようとした。が、ロシアの国家予算に余裕がないため、工事は中断されている。
 ロシア海軍の、北方艦隊、太平洋艦隊、バルチック艦隊、黒海艦隊の4艦隊のうち、後2者は、事実上の崩壊状態だ。
 黒海艦隊は、地中海でも作戦する。これをなくすわけには、いかないのだ。
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 Leo Shane III 記者の2010-5-5記事「Still playing the name game with Navy and Marine Corps」。
 海兵隊員が戦死すると、お悔やみの手紙が海軍長官の名前で、「海軍省」のレターヘッドがある用箋で遺族に届けられる。
 そこで Camp Lejeune を選挙区に抱えるWalter Jones議員が「 Department of the Navy and Marine Corps」という組織名に変更しようじゃないか、としつこく提案中。
 連邦議会予算局の2009-4の試算。そんな名称変更をすると、そのための出費は、 $500,000 ×数年分、となるだろう、と。
 アリゾナ選出上院議員で海軍OBである John McCain は、200年以上続いている名称の変更には反対。
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 Noah Shachtman 記者の2010-5-5記事「Army Spy Plane May Have Snooped on Bomber」。
  米陸軍は、どうやら、 RC-12s に Guardrail Signals Intelligence (SIGINT) system を搭載して、NYC上空を飛ばし、プリペイド携帯の信号を傍受し、テロ対策に役立てたいらしい。
 RC-12 は  Hawker-Beechcraft King Air B200 を改造した機体。
 初期バージョンは変なアンテナだらけで、一見して特殊用途機だったが、最近はそうは見えなくなった。
 米空軍は2009-12時点で 37 機をアフガン上空で飛ばしている。
 なぜ陸軍も SIGINT planes を要求するのか? それもNYCのテロ対策用に。 NSAでは不足なのか? さっぱり分からん――と記者。
 2007に Northrop Grumman 社は米陸軍から $462 million もらって、無線電話傍受機の改造を請け負った。 Tobyhanna Army Depot はNYCから遠くない。
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 Emily Singer記者の2010-5-4記事「Photosynthetic Fish and Other Oddities」。
  光合成する魚をつくっちまっただよ!
 全地球の光合成の半分に関係している藍色細菌を、ゼブラフィッシュの胚に入れたら、そのまま成長してくれましたわい。
 セブラフィッシュの胚に大腸菌【E. coli】を入れる実験では魚は死んでしまったのだが、藍色細菌は受け入れられた。
 ※わたしは『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』の中で、カツオノエボシというクラゲを遺伝子操作して光合成させるようにするのが善い、と提案をしました。それは荒唐無稽ではないことが、そろそろ分かっていただけますでしょう。
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  Clay Dillow 記者の2010-5-5のまとめ記事「 Omni-Focus Video Camera Can Focus Near and Far at the Same Time」。
  University of Toronto が、多重焦点のビデオ・カメラを完成したと言っている。(なぜかサンプル映像は「達磨」。)
 これはセキュリティ・カメラの不明瞭な映像も十分に高解像度なものにするし、また内視鏡手術のカメラ映像を、肉眼とも変わらぬものに近づけるだろう。