機関砲ではなく擲弾銃だった

 ミリタリー・コムの2010-5-6記事「Army to Test ‘Game Changing’ Gun in Combat」。
  defilade【遮蔽】された敵兵をやっつける携行火器が完成間近。
 ※アバディーンに記者どもをご招待したのは、この新兵器の調達予算要求に賛同してもらうためだったのか……。
 メーカーは Heckler & Koch である。
 稜線上、土壁の後ろ、さらには林縁を遮蔽物にしている敵をやっつけることができる。
 いちおうこれは「grenade launcher」に区分されている
 センサーとして lasers 、そして25ミリ砲弾内には a microchipが入っている。
 2009-10に300人のタリバンが Keating 哨所を襲撃し、8名の米兵を戦死させ、22名を負傷させた。
 アフガンでは交戦距離はふつう300m以上である。アフガンは山岳なので、その300mの間にも2~3線の稜線が介在している。
 この距離で敵に致命傷を与えるのはマークスマンにも容易ではない。敵は稜線の後ろに伏せているし、こっちも撃たれ続けている状況なのだ。
 この25ミリ弾の破片威力は、手榴弾とおなじくらいある。※ゲゲっ!
 そのタマが、700mまで肩射ちで届く。※つまり89式重擲弾筒にVT信管つけたよりも高機能なのか!
 ※対人用の小口径の爆発弾頭は、日露戦争前のハーグ条約で禁止されたままだと思うのだが、その点はクリアされているのだろうか? 直撃はしないという建前なのか?
 歩兵のパトロールが、急に後方の迫撃砲班に支援を要請しても、発射までに10分はかかる。アパッチAHなら、来るまでに65分かかる。
 XM-25なら、5秒でカタがつく。まずレーザーで測距し、レティクルを目標にあわせ、引き金を引くだけ。 ※つまりスコープが正しい仰角を教えてくれるわけか。
 タマは、400mまでなら2秒で到達する。
 内臓の弾道計算機は、気圧や温度も自動的に加味してくれる。
 引き金を引いた瞬間、自爆時間のデータが弾頭の中へ入力される。
 この 25mm 弾には、爆発物が2個内臓されていて、それゆえ、旧来の40mm grenade launcher よりも1発の威力でも勝るのである。
 この擲弾銃は、1梃 $25,000 と高い。しかし、アパッチ・ヘリを飛ばして敵歩兵に向けてヘルファイアを発射させるよりは安いだろう。
 まだ改良が必要であり、本格量産は2012からになる。
 米軍全体で 12,500 梃を買いたい。
 XM-25 は4発弾倉コミで重量が 14 pounds である。※そんなの重すぎる、という批判が出ることを見越して、予防宣伝をいろいろとしています。
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 Nathan Hodge 記者が2010-5-7に載っけている記事「 Does the Army Need a Better Battle Rifle?」
  9mmのM9拳銃については、われわれはさんざん不平を聞かされている。
  M4 carbine でも同様だ。
  2006年に、米海軍が実際に戦場で発砲した兵士に聞いた調査。結果、現場では、 M9 自動拳銃と M249 軽機が、最低の評価を得ていることが分かった。
 米陸軍は、 5.56mm M4 carbine の弾倉を新しくしたし、照準器も変えた。他に小改良は無数。
  2007の信頼性テストでは、 M4 よりも「 Heckler & Koch HK416」や「 FN Herstal Mk16 Special Operations Combat Assault Rifle」や「 HK XM8」の方が良好であった。
 アバディーンでは、ストックとスコープマウントを改めた M14 Enhanced Battle Rifle も展示。朝鮮戦争後半で採用したM-14ライフルは、 NATO 7.62 x 51mm 弾を発射する。射程がM4 や M16より長いので、すでにいくつかの部隊に支給されている。軍は、あくまでアフガン限定だと釘を刺しているが。
 ※アバディーンで下したひとつの結論を全軍に押し付けるというメソッドが、小火器に関してはすでに古くなったのかもしれない。小銃と拳銃については、複数オプションのチョイスを兵隊個々人に認めても、米軍の場合、もう補給整備上も問題は無いのではないか。むしろそれで前線の兵隊の気分が非常に高揚するだろうから、モラールに悩んでいるペンタゴンとしては、儲けものではないか? どの銃が本当に優れているのかは、前線で命をマトにしている末端の兵隊たちに判定させればよいのだ。進化論を戦争に適用せよ。
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 ノーボスチの記事「Prior to antipiracy mission, marines practiced hostage rescue」。
 アデン湾の東海域で、 23人のロシア人船員が乗った 86,000 tons タンカー『 Moscow University』が2010-5-5にハイジャックされた。この船は紅海からシナへ向かっていた。
 ロシア太平洋艦隊の陸戦隊を乗せた、巨大 ASW 艦の『 Marshal Shaposhnikov 』はウラジオで訓練をしてから、ソマリア沖に3-29にやってきていた。
 陸戦隊が突入し、ロシア人には損害なし。海賊どもは捕縛された。※別情報によれば、1人射殺したらしい。
 艦隊は、給油艦の『 Pechenga』、航洋型タグボートの『 MB-37』も伴っている。
 シャポシニコフには哨戒用にヘリ×2もある。
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 2010-5-7記事「Son Of SCUD Via Syria」。
   レバノンのヒズボラがシリアから100発以上の『 M600 』弾道弾を貰ったらしい。こいつはシナ製 DF-11A のコピーである。
 長さは 8.86 meter、重さは 3.5 ton 、弾頭は500kgである。
 DF-11Aは射程400kmあるのだが、M600の射程は 250 kilometers である。※これはミサイル技術輸出自粛協定MTCRに抵触しないためのシナ人の言い訳で、ホントは300km以上あるんじゃないの?
 2009年後半にシリアはヒズボラに SCUD missilesを提供したともいう。
  M600 は SCUD より新型のミサイルである。
 ヒズボラは、 Fajr-5 rockets も持っている。これは旧ソ連の重さ1トンの地対地ロケットを真似たもの。
 Fajr-5 は射程が 75 kilometers で弾頭は 91 kg (200 pound) である。
 無誘導なので、狙った場所から1km外れることあり。固体燃料。
 Hezbollah はイラン製の Zalzal rocketsも持っているようだ。
 旧ソ連の FROG の亜流で無誘導。重さ3トン、弾頭は636 kg (1,400 pound) で射程は 200 kilometers 、固体燃料。
 ランチャー車両は南レバノンに隠してある。
 2006年にヒズボラはイスラエルとの戦争で4000発以上のロケットを発射した。そのほとんどは射程20 kilometersで直径 122mm のBM-21 だが、より大きなSSMも、市街地に対して発射された。
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 Graham Warwick記者の2010-5-7記事「Laser Power Beaming Aimed At UAVs」。
   NASA は LaserMotive という会社のエネルギー伝達レーザー技術にカネを出すことにした。レーザーによって地上から空中のUAVのバッテリーを充電させてやることができるようになれば、次の目標は宇宙エレベーターだ。
 18ヵ月以内にUAVで実験したい。
 システムの概念は単純。地上に並べた多数のダイオードが、近赤外線のレーザーを発振する。それをまとめて、指向装置によって飛行中のUAVを追随しながら当てる。そのUAVにはソーラーパネルがついており、下から照射された近赤外線を受光して発電する。
 適用として3つの形態を考える。ひとつは飛行船を使う。これならレーザーがたよりなくても墜落しない。もうひとつは、飛行機がエネルギー切れに近づいたなら自動的にレーザービームの真上に戻ってくるというもの。もうひとつは、常にレーザー発射基地から見通せる位置で旋回を続けるというもの。
 直流1キロワットの電力をUAVに与えるには、2キロワットのビームが必要である。それを励起させるにはレーザー・ダイオードに4キロワットの電力を供給せねばならない。
 ただし超軽量のUAVでよければ、受電が100ワット強でも飛び続けてくれるが。
 出力1キロワット以上のレーザー銃は、目標を外れたときにはすぐにスイッチが切れるようなシステムを、安全上、必要とする。
 遠く離れた地面に設置した無人のセンサーに、上空からレーザーで充電してやるということも考えられる。
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 VIVEK RAGHUVANSHI記者の2010-5-7記事「India To Modernize Road Networks In Border Areas」。
  インドがようやくパキ国境、シナ国境の軍用道路網を整備する気になった。
 インド政府は、ヒマラヤ国境地帯には、あえて道路やトンネルや滑走路を整備しないことによって、敵の侵略が抑止されると考えてきたが、それは間違いだと悟った。※1960年代に気付けよ!
 シナ国境にある30箇所の飛行場には追加投資する。
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 元U-2パイロットのCHOLENE ESPINOZA 女史による2010-5-6NYT寄稿「The Last Days of the Dragon Lady」。ドラゴン・レディはU-2の別名でもある。
 パワーズが撃墜されたのはもう50年も前の話だが、まだU-2は現役だ。おどろくべきことだ。
 しかし Global Hawk drone がU-2をお払い箱にするのは確実な情勢となっている。
 わたしは1990sにU-2を操縦していた。
 高度7万フィートを飛ぶために、極限まで軽量化してある機体だ。
 高高度での操縦はものすごく面倒だ。
 なぜなら空気が薄すぎるので、速度を小さくすると揚力を失ってストールしてしまうし、かといって速度を出しすぎても、その空気の薄さのために、今度は操舵不能に陥って、回復不能な急降下に入ってしまうのだ。※たぶんグロホも同様で、SA-2を避けるなんていう機動はどだい不可能なんだろう。
 着陸も命がけだ。なにしろ重量削減のため、フツーの着陸車輪が備わっていないからだ。
 U-2の着陸はビリヤードと同じだと言われた。どうやって突くかではなく、その前にどうやって体を正しい位置につけさせるか、がすべてなのだ。
 ほんのわずかな操縦上の過不足が、死に直結する。綱渡りだ。
 極端な気圧変化にさらされるため、体表を虫が這う感覚に悩まされ、着陸後に全身がもの凄いみみず脹れに覆われていたというパイロットも。
 これは潜水病の症状で、血中の窒素が気泡化して脳血管を詰まらせたり視神経を損壊して後遺症となることもある。U-2は悪天候〔の乱流や横風?〕に弱いために着陸できない場合があり、〔雲などを避けて再び高度を上げたときに?〕パイロットがこれにやられる。
 ※着ている宇宙服の再与圧が間に合わないのか? あるいは減圧が早すぎることがあるのか?
 リモコン偵察機にはできない、空中でのトラブル対処が、有人偵察機ならば、可能なのだ。
 尾輪は 12-inch である。
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 Lawrence Ulrich 記者の2010-5-6記事「 The Internal Combustion Engine Is Not Dead」。
  フォルクスワーゲンが、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの両方とりつけた1.4リッターの小型エンジンを実現。コンピュータ制御によってはじめて可能になった。
 4気筒で 172 馬力。
 燃費は45 miles per gallon くらいになるのではないか。欧州の高速道では。
 また、GMとVWは、ディーゼル・エンジンの仕組みでガソリンを燃焼させる homogeneous charge compression ignition (HCCI) engine を投入する。従前のガソリン・エンジンよりも15%燃費が節約できる。
 吸気には高熱の排気ガスもまぜることにより、圧縮点火しやすくしてやる。
 また、メルセデスは2011後半に、ディーゼルとリチウムイオン電池のハイブリッド車 E 300 BlueTec Hybrid sedan を欧州市場に投入する。
 おそらく燃費は 58 miles per gallon となる。