●「読書余論」 2013年1月25日配信号 の 内容予告

▼『多門二郎 日露戦争日記』S55、芙蓉書房刊
 日露戦争直後の2大ベスト・セラー戦記は、櫻井忠温の『肉弾』と、多門二郎大尉の『余ガ参加シタル日露戦役』(M43)。その後者を現代かな文字に直したものである。著者は2D長として満州事変より凱旋直後に病死し、静岡県人は残念がった。生きていれば大将だった。ロシア兵たちが満州平野での冬営のために晩秋からイグルーの土壁版のようなものをオンドル込みでこしらえ、半地下のその1個の中に6人くらいで寝て、その穹状土窟が蓮の実のように野営地に蝟集していたという記述は、本書でしか読めず、超貴重である。日本の豪雪僻地の住宅はこの発想で行くべきではないのか。
▼『偕行社記事 〔No.1?〕』?年?月pub. ~No.49 M23-11
 創刊号を今回、ようやくご紹介できる。
▼『偕行社記事 No.?』M24-5
 菊地陸軍2等軍医正(i3Rn)の寄稿。
▼『偕行社記事 No.64』M24-7~ No.75 M24-12
▼『偕行社記事 No.166』M30-3~ No.? M31-11
▼防研史料『陸軍兵器本廠歴史 明治38年』
 これは1年分のみ。日露戦争で事件が多いため、単年になっている。
▼(社)電子情報通信学会ed.『日本における歴史的マイクロ波技術資料保存目録』H10
▼電気興行(株)ed.『依佐美送信所――70年の歴史と足跡』H9=1997
 GPS普及以前、米海軍の潜水艦用の長波信号の送信所だった。その設備は、日本人だけに任されていた。
▼『続日本無線史〈第一部〉』S47、電気通信協会pub.
 共通して必要な基礎研究を、一セクションで済ませてその成果を全セクションがシェアすればよいとは考えず、二重、三重に、セクションごとにぜんぶ別々に一からやろうとして資源も時間もロスしたのが、戦中戦前の日本であった。
▼美代勇一tr.『日本爆撃記――米空軍作戦報告』S26、アテネ文庫145
 初出は米誌『Flying』の1946-2月号で、米空軍の正式報告の抄録。B-29が投下した機雷はすべて沈底式であったことなど、マニアックな内容。
▼John Kells Ingram著、青山正治tr.『奴隷及農奴史』S18、原1895
 いろんな百科事典の記述の元種にもなっている、労作的な総括。
▼中村哲『奴隷制・農奴制の理論 マルクス・エンゲルスの歴史理論の再構成』1977
▼北山節郎『ピース・トーク 日米電波戦争』1996
 戦中、日米は、互いの国内放送を傍受していた。
▼陸軍軍医団『軍医団雑誌 No.316』S14-9-25
 櫻井図南男・軍医少尉「軍隊に於ける自殺 竝に 自殺企図の医学的考察」。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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