MIL短報【2013-6-29作文】

一。
 ストラテジーページの2013-6-28記事「The Navy Follows The Army」。
  米海軍は、32隻保有しているLCU(Landing Craft Utility、大発のさらに巨大なもの)のリプレイスを考え中。
 すでに船齢40年以上で、急速に動かなくなりつつある。
 LCUは平底で、浅い海岸を航行でき、砂浜に乗り上げて船首ランプドアを倒して、そこから車輛を吐き出すことができる。
 いま、用いられているのは『LCU1600』型で、排水量380トン。荷物は125トン積める。それでたとえば戦車2両+兵員400名を運べる。
 LCUは固有乗員13名で操縦される。
 最高速力は20km/時にすぎない。
 海上には、連続10日間、補給なしで居続けられる。
 更新する新型だが、名称は『SC(X)(R)』(Surface Connector Replacement)という。
 設計はまだ確定していない。いろいろ考えている。
 しかし軍事予算は厳しい環境なので、いまのLCUの無難な発展形となるだろう。
 じつは海軍とは別に陸軍も『LCU1600』をもっていた。それを陸軍は、34隻の『LCU 2000』で更新している。
 この新型は、排水量 1,087 ton、荷物は 350 tons(すなわちM1戦車×5両、もしくはコンテナ24個)載せられる。
 乗員13人は変わらないが、海上に27日間、無補給で居続けられる。
 クウェートや日本の米陸軍は、沖合いまでやってきた米海軍の輸送艦から重い荷物を受け取るのに、この『LCU2000』を「艀」として活用している。
 おそらく海軍も『LCU2000』で我慢しなくてはならないだろう。
 なお、陸軍の『LCU2000』はかれこれ20年くらいも使っているのでそろそろリファービッシュが必要だ。その工事のあと、さらに25年くらい、使われ続ける予定。
二。
 Oren Dorell 記者による2013-6-28記事「US Ospreys and air tankers put Iran in Israel’s reach」。
  米国はイスラエルにいろいろな高額な兵器を只でプレゼントし続けなければならない変な立場にある。
 オスプレイを進上することも既定路線だが、国民納税者にどう説明するのか、ずっと考えていた。
 このたび、良い理由がみつかった。
 イスラエルの特攻コマンドーをイランの地下核工場までオスプレイで運べるじゃないか!
 それには航続力が不足だが、空中給油機もついでにプレゼントすればいいじゃん!
 ちなみにオスプレイは8機、渡される(米国負担金額 $1 billion)。またついでに、イスラエルのF-15のレーダーを米国製のAESAに換装してやる工事費用 $500 million も米国納税者がまるまる負担する。※この記事はわれわれを安心させる。というのは、イスラエル国産のAESAなどぜんぜん頼りにならないことが如実に伝わるからだ。イスラエルがこれまでシナ人にどんな国産技術を売り渡したかしらないが、それは中共空軍機のレーダーを、ほとんど改善していないと推定できよう。
 イスラエルが破壊したいのは、イランの Fordow の山の地下にあるウラン濃縮プラントだ。
 岩盤が厚すぎて、米軍最大のバンカーバスターでも貫徹できない。
 そこでどうすべいかイスラエル軍内であれこれ相談中だが、オプションの一つが、特殊部隊が突っ込んで爆薬で破壊する、というもの。
 米国からオスプレイなどをイスラエルにプレゼントするという決定は、6-15にイスラエルの Moshe Yaalon 国防相が訪米したとき公表された。
 しかしこの他に、公表されていない相談がいろいろある。
 Yaalon 氏いわく。これならまちがいなく実行されかねんなとイラン人も信ずるような軍事オプションをイスラエルがもしも手にしていないならば、イラン政府が核武装政策を自発的にやめるわけがなかろう、と。
 イスラエルに渡されるタンカーは、 Boeing’s KC-135 “Stratotanker” である。オスプレイの作戦レンジは無給油なら 426-mile だが、空中給油機と組み合せることで、無限化する。
 また、戦闘機から発射して敵地上の防空レーダーを破壊する戦術ミサイルも、米国はイスラエルに供与する。
 2007にイスラエルがシリアの原発を空襲して爆破したとき、地上に1人の特殊部隊員が潜行していて、レーザーでターゲットをスポッティングして、爆弾を誘導していた。
 同じことがイランに対してもなされるはずだ。先にレーザー・スポッター要員を敵地に送り込まねばならない。それにV-22が活用される。※わけがない。それなら固定翼機からパラシュートで降下させた方が早い。というかイスラエルの工作員はすでにイラン内に散在していて、オートバイを使った核技師爆殺などもやっているほどなので、あらためて目立つ空から人を送り込む必要などない。リアリズムから関心を逸らすためのディスインフォメーションだ。
 最もありそうな使われ方は、コンバット・レスキューだ。イラン領内にもしもF-16が墜落したら、そのパイロットは何としてでも連れ戻さなければならない。
 ※コンバット・レスキューでは、搭載力はあまり問題にされず、スピードはあればあるほどよく、航続力は死活的に重要である。三自衛隊でオスプレイを最も必要とするのは、北京空爆ミッションを想定する空自の筈だね。搭載力重視の陸自ではなく。
 今、スーダンとエリトリアが、イランのための海軍基地をつくり、そこから戦術ミサイルをガザ地区へ送り込もうと画策している。このミサイルの輸送を途中でおさえるためにも、V-22は役立つ。
 アメリカは、イランにずっと近いUAEとサウジに最新型のF-16爆撃機を売り渡すことで、イランの核武装に対するアメリカなりの回答にしようとしている。
 ※イランがアゼルバイジャン領を併呑しようと工作員を浸透させているので、ロシアが同国政府に戦車などの兵器を援助してイランに対抗させようとしている。イランはどうする気だよ?
三。
 Dianna Cahn 記者による2013-6-28記事「Ashland sets sail from Virginia to Sasebo for ship swap」。
  後尾泛水ドックと、広いヘリ甲板を持つ、上陸作戦艦『Ashland』が佐世保にやってくる。そして、いままで佐世保に常駐していた『Tortuga』は修理のため米国に戻る。
 これは「船体スワップ」と呼ばれる交替の方法で、乗組員たちが、そっくり乗務艦をとりかえる。『トルトゥガ』のクルーはひきつづいて佐世保で『アシュランド』に勤務する。
 『Ashland』はドックで2年をかけて諸設備を近代化したばかり。同じ工事が、『トルトゥガ』にもこれからなされる。
 『アシュランド』は、東海岸のJoint Expeditionary Base Little Creek(ノーフォーク?)を出港し、パナマ運河を通り抜け、サンディエゴと真珠港に寄港して、日本にやってくる。
 この乗員たちは片道6週間かけてまた同じルートを、こんどは『トルトゥガ』で戻ることになる。
 『トルトゥガ』はかれこれ7年も日本に居た。
 『アシュランド』はしかし、4~5ヶ月しか配備されない予定だという。
 ※フィリピン国防相は、スビックだけでなくクラークも米軍のために再び基地化すると言明した。海兵隊もみずからの有用性を示すためには比島に集結しとかないとな。
四。
 ストラテジーページの2013-6-28記事「The Threatened Egyptian Dirty War」。
  エチオピアが工期6年でブルーナイルにダムをつくると下流のエジプトでは水位が下がって舟運にさしつかえるからゆるせん、戦争をしかけてぶっ壊すという話になっている。
 ところがエジプト軍は兵站力が弱い。長期戦ができない。そして、補給手段の頼りは、やはりナイルの舟運なのである。これは航空機によって簡単に阻止されてしまう。
  6-3報。ケニア軍は、偵察用の無人機を取得するであろう。これは米国と日本からの支援によって、実現する。このUAVは、また、警察活動にも使用する。小火器の密輸を取り締まる。
 北ケニアでは、南スーダンやエチオピアやソマリアから、牛泥棒団が越境してきて、牛を強奪して行く。
 UAVは野生動物保護にも役立てられる。