60ミリ迫撃砲の二重装填事故に関する注意報

 海外にいる自衛官等が無知ゆえに死亡事故などに巻き込まれることのないように、時折このコーナーではおせっかいな記事紹介サービスをする。彼らがネットを検索できる端末を持っていれば、この文章が目に留まるだろう。
 ウェブ版『星条旗新聞』の2014-1-21記事を要約すれば以下の如し。
 2013-3-18に、ネヴァダ州ホーソーンの陸軍デポで、60ミリ迫撃砲の実弾発射訓練中に爆発事故があり、海兵隊員7人(19歳の二等兵、23歳の上等兵、26歳の伍長など)が死亡。8人(うちひとりは海軍水兵)が負傷する惨事となった。その事故調査報告が出た。
 原因は、射手が夜間に気づかずに二重装填したためだった。
 それを監視し予防すべき教官もついていなかった。
 二重装填の結果、下のタマは轟爆し、上のタマは、砲身から飛び出してから〔着地して?〕すぐ爆発したらしい。
 訓練場の事情から、現場には、砲2門分の訓練生らが一箇所に蝟集していた。これも被害を大きくした。
 海兵隊員の幾人かは、81ミリ迫からの転換組であった。米軍の81ミリ迫は、墜発式にしている限り、まず絶対に二重装填はできない仕組みになっている。
 ※余談。旧軍の50ミリ擲弾筒も、夜間の実戦では、よく二重装填による腔発事故を起こしたものだ。上下逆さに装填することも起きたという。今は21世紀だ。かかる問題は、技術的に設計的にとっくに解消されていなければならぬはずである。それが未だにフールプルーフにもなっておらず、昔と同じままに放置されていたことにまず驚いた。
 ついでなので、2014-1-23に受領した防衛省の説明小冊子:『我が国の防衛と予算(案) 平成26年度予算の概要』の、ファーストインプレッションを記す。
 いつもながら防衛省は、突如として、予算要求の直前に、いろいろなネタを大急ぎで、おそらくは嫌々ながら、公開する。わたしはこの姿勢を「アカウンタビリティ」とは呼ばない。「万機公論に決」する流儀の対極に近いと考える。しかし日本には秘密保護法に全力で反対するような阿呆が多く、シナ人の裏からの反対工作が野放しだから、仕方ないのだろう。
 「艦載型無人航空機」の影絵の「イメージ」は、ファイアスカウトだろうか。たしか2014-1-11のウェブ新聞報道では、スキャンイーグルだったように思うのだが、あれは米メーカーの宣伝攻勢だったのか。
 「水中機器等の長距離搬送敷設」をさせる「大型UUV」を、燃料電池から開発する気になっているようだ。この「等」には機雷を含むのだろう。好い方向である。かねての小生の希望に一致するもので大満足である。しかし自衛隊の保管する機雷は数が少なすぎるだろう(想像)。中共の国家としての最大の弱点が機雷であることは、拙著が幾度も強調したところである。いざ対支開戦となったときに、機雷のストックが尽きましたなどという言い訳は、ぜったいに許されない(もしそんなザマになったら内局はじめ、担当系列は自決して国民に詫びるべきである)。
 ついでに東シナ海のわが国EEZ内に存在する中共の違法オイルリグをUUVによって開戦劈頭に爆砕するための「水中仕掛け爆雷」も開発しておくように望む。
 最後の最後、57ページでいきなり「輸送防護車の整備」が出てきたのにはブッ飛んだ。これはMRAPだろう! イメージ図によると6輪トラック・ベースのようだから、米軍の中古品を買わされるという話ではなさそうだが……。
 米軍ではアフガン撤退にともなって大量の中古MRAP(4×4)の処分に困っているから、それを買えという話にならないとは限らない。韓国も執拗に売り込まれているけれども、買う気を示していない。
 米軍MRAPにはひとつだけ、勉強になる部分があると思われる。それは、自衛隊での開発がずいぶん遅れている、リモコン銃塔だ。