「読書余論」 2014年7月25日配信号 の 内容予告

▼徳川夢声『夢声戦争日記(六)』中公文庫S52
 ※この巻は、昭和20年の6月末までの日記。
 1-10、放送は、ドイツの新兵器。冷凍爆弾だと。150m以内の生物は全部凍って了うというV3号だと。「結局この分では、原子爆弾まで行くであろう。」
 4-7、初めて見る形の大型四発機。西洋の甲冑みたい。硫黄島から着たに違いない。味方戦闘機と刺し違えるように墜落した。落ちるときの飛行機は模型のようである。
 敵機はキラキラ光るスピロヘータのような長い銀色のものを落としていった。妻は焼夷カードだといった。あとで、電探妨害の錫のフィルムとわかった。
▼安全保障調査会『日本の安全保障――1970年への展望』1967年版
 毛沢東語録。
 「人民の軍隊がなければ、人民のすべてはない。」
 「人民解放軍は永遠に戦闘部隊である」。国内に階級ある限り、そして世界に帝国主義制度が存在する限り。
 羅瑞卿による「積極的防禦」論。侵略者を国土から追い払うだけではなく、戦略的追撃、要するに人民戦争を輸出しなければならない。
 マクナマラによる議会に対する説明。全面核戦争では「確実な破壊」と「損害の局限」の両面の能力が結果を左右する。「確実な破壊」は抑止力になる。しかし「損害の局限」の能力は、抑止力としての「確実な破壊」の代用とはなり得ない。侵略者を、20世紀の国家としては生存し得ないように破壊する力だけが、戦争の抑止力となるのであって、アメリカの蒙る損害を部分的に局限する力は、抑止力とはならない(pp.82-3)。
▼防研史料 千代田史料『明治27~32 陸軍兵器工廠』
▼防研史料 『M31~35 東京陸軍兵器工廠』
▼防研史料 『大正4年三八小銃カ三十五年式海軍銃ニ異リタル要点』
▼防研史料 『海軍銃砲史研究資料』by 銃砲史学会
 『銃砲研究』のNo.4~No.12を合綴したものである。1号から40号(S47-6)までの目録付き。
▼『海軍雑誌』vol.60(M19-11)
▼牧慎道ed.『或る兵器発明家の一生』S28 天竜出版社
▼財)資料調査会海軍文庫『海軍 第二巻』S56
 ※第6章からおしまいまで。
 M30-5-27 軍艦外務令。
 軍艦は外国政府の干渉を受くることなし。若し外国政府強て之に干渉を加へむとせば兵力を以て拒むことを得。
 軍艦は外国の法権に服従せず。従て外国の警察権裁判権臨検捜索権等の艦内に行はるゝことを許さず。
 軍艦は外国に対し納税の義務なし。
 軍艦は主権に伴ふ所の尊敬と礼遇とを受くべきものとす。
 海軍軍令部長の中牟田をクビにしろと言ってきたのは陸軍の川上操六中将だった。
▼防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 ミッドウェー海戦』S46 朝雲新聞社
▼『文藝春秋』1973年3月号記事 海原治vs.佐橋滋「国防論争・機関銃か包丁か」
 「わたしが、以前、防衛庁のある部局で試算させたところによると、十メガトンの水爆一発が、ある日の午後五時に東京の上空で爆発したという想定で、その時刻、東京都内に九百五十万人いるとして、二百万人は無傷なんですね。」
 「この計算でいきますと、水爆十発でも日本人全部を滅ぼすことはできないということになるんです。」(p.298)。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
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 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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