昨日以前の注目記事ふたつ。

 BASSEM MROUE 記者の2015-1-26記事「Failed Iraqi bomber named in Islamic State hostage crisis」は、こんなことを教えてくれる。
 2005年にアンマンにある3つのホテルが爆破され、60人死亡した。これはヨルダン史上最悪のテロである。
 2005-11-9に、Ali al-Shamari がホテル1階の宴会場で自爆。新婚のその妻 Sajida Al-Rishawi も自爆装置のスイッチを入れたが、装置の不具合から炸裂せず、逃げ出す人々の波にまぎれて現場を離脱した。
 このイラク人夫婦の犯行は、アルカイダの首領だったアルザルカイの命令を実行したもので、アルザルカイは米軍の空爆により2006に死んでいる。
 この女はヨルダン警察にではなく、ヨルダン国営放送局に自首してきた。
 裁判では、トリガーを入れなかったと主張したが、爆弾専門家のフォレンシックで、単に「不発」だったのだと判明している。
 被告の女は一審で絞首刑判決。控訴審も一審判決を支持した。
 しかしこの判決、ヨルダン王ならば、破棄することもできるのである。
 アルリシャウィ死刑囚は、今、44歳である。
 この女は、所属部族の関係で、アルザルカウィに近かった。だから後藤とのトレードが成立すれば、落ち目のアルカイダよりも今やISIL(「イスラム国」をアラビア語で表わして短縮称化すると「デシュ」だそうだ)のほうがステイタスで勝っているのだと中外に誇示することができる。
 ※10年近くも死刑を執行しなかったということは、ヨルダン政府も将来の人質交換要員のタマとしてこの女を確保していたのではないかと思える。ISILは、じつに絶妙の条件を出して来た。スタート・ネゴシエーションの時点から、もう、阿吽の呼吸が通じている。
 ※しかし、この女と後藤を1対1でトレードすれば、ヨルダン人は何か損したような気になるだろう。「後藤プラス数名」で、釣り合うのだろう。しかしそうなるとこんどはISIL側が不満かもしれない。アラブ人同士の交渉は日数がかかるだろう。この先、何ヶ月もかかるだろう。
 ※日本政府はヨルダン政府に何か飴を与えなくてはならない。このさい、武器を提供したらどうか? さすれば、日本はテロと戦っているという公式の宣伝にもなるだろう。「武器輸出」解禁よりも、「武器援助の外交オプション化」が先行した方が、庶民を安心させ、且つ、ずっと健全に見える。将来、日本政府の「実録」年表をつくったときに、奇麗になるのである。
 次。
 ロイターの Jibran Ahmad and Mohammad Stanekzai 記者による2015-1-21記事「Disenchanted militants in South Asia eye Islamic State with envy」。
 アフガンでは、ISのことを「ダイシュ」と呼んでいる。
 タリバンの首領、モハマド・オマールがここ数年、〔リーパーで爆殺されるのを恐れて〕姿を表に出さないので、タリバンは不満である。むしろダイシュの方が元気があって宜しいじゃないかと、思われ始めてきた。
 現実に、タリバンの支配域は拡張しなくなった。それにくらべてISは、どんどん面積を拡げて彼らのシャリーア強制を実現している。
 オマルは生きているのかどうかもわからない。それに対して、アブバクルアルバグダディの露出はすごい。
 ※ところがISILには衰滅の兆しが早くもあらわれてきた。時間はISILの味方ではないようだ。
 以下、ついでに兵頭からのお願い。
 ドイツに現存しているフラックタワーの写真(個人として撮影し、オリジナル版権が伴っているものに限る)を持っている人、ご一報ください。『私版防衛白書2015』で、使いたいと思っています。使用料は、1枚あたり2500円から3000円くらいになります。
 もうひとつお願い。
 短辺が300ミリ、長辺が600ミリ(あるいは500mm、あるいは400mm、あるいは300mm)の四角形で、摂氏250度以上の熱を断熱してくれる、薄板状の素材を探しています。これは、拙宅のキッチンの木製ダストボックスの上に敷き、その上に加熱直後のフライパンなどを臨時に置いても、ダストボックス天板表面の白塗装が焼け焦げたりしないようにするためのものです。なお、セラミックス工場に特注することについてはわたしは全く興味がありませんので、何か出来合いの製品について、「ここで買える」という情報をお寄せくださいましたならば幸甚です。