バービー之助

 David Wichner 記者による2015-8-2記事「Raytheon looks to 3-D printing for missiles」。
 レイセオン・ミサイル・システムズ社は、ミサイルの部品の8割を3Dプリンターで製作できることをデモンストレートした。さすがにアムラーム全体は無理だそうである。
 同社はまた、誘導砲弾「エクスカリバー」の部品に3Dプリンター製のものを一部組み込んでみたが、正常に動作することを確認しているという。
 他方、GE社は、最新の超省エネ型ジェットエンジンLEAP(仏と共同開発中)の、複雑な形状の燃料ノズルを、すでに3Dプリンターで製造するようになっている。従来なら20個ものパーツを別々に造って組み上げる必要があったオブジェが、単体で出来るため、重量は25%減らせるうえに、耐久力は5倍になるという。
 いうまでもないが、この素材は樹脂ではなく金属だ。メタル・プリンターともいう。
 GEは本年中に、3Dプリンターで製造した航空機用のエンジン・バルブをFAAから認可してもらうつもりである。
 GEはターボファンエンジンのブレードも3Dプリンターでできないか、鋭意研究中だ。※つまり、これまで粉体鍛造してきた部品ならばぜんぶ、プリンター化できるのか! これはヤバイ。その機械を導入すれば、技術の遅れた中共の工場でも、「一体型タービンブレード」を鍛造して、エンジンを軽量化できてしまえることになろう。
 ロックマートのF-35工場では、3Dプリンターで製作した特殊工具が使われている。
 レイセオン傘下の無人機メーカー「Sensintel」も、偵察用UAVの複雑な内部機構の一部に3Dプリンター製品を活用している。
 粉体造形溶接という、これまでにない3Dプリンター応用の溶接工法がツーソン市にあるレイセオンMS社の研究所で試されている。金属の部材(bed)の上に金属粉を層状に吹きつけながら、同時にレーザーで溶着して行き、どんどん狙った形状の立体部材に成長させてしまう。
 このベッド(床材)とする金属板は、スチールかチタン合金が相場であったが、レイセオンMSでは目下、あるひとつの合金に着目しているという。それが何であるかは、企業秘密。
 このような金属3Dプリンティング技術の革新性は、これまでなら複数のパーツを製造してから組み立てるという二段階が必要だったのを、アッセンブルの工程を省いてしまえること(ただし仕上げ工程までは省けない。プリント打ちっ放しというわけにはいかない)。また、一体ゆえに強度があるから、軽量なものを初めから設計可能なことである。