なぜマッパなのですか と尋ねられたなら「ギリシャ人。」とのみ答えよう。――by サラリマン全太郎。

 Fred Lambert 記者による2015-8-4記事「United Arab Emirates deploys ground forces to Yemen conflict」。
 UAE陸軍がイエメン最大の航空基地を最近奪回した作戦に戦車と装甲車で加わっていた。
 これは8-3に『NYT』がすっぱぬいた。UAE陸軍は、サウジ領内を陸上機動したのではなく、海上機動でアラビア半島の裏側にあたるイエメン領にまわりこみ、上陸後、即、戦闘加入した模様。
 イエメン南部にある、アル・アナド空軍基地は、フーシ・ゲリラに占拠されていたが、イエメン政府軍とアラブ連合軍が数日の交戦の末に奪回した。双方に死傷者多数が出ている。
 しかしイエメン政府は、UAE軍の果たした役割はアドバイザー的なものにすぎず、アデン港にもUAE軍は進駐していないと、NYT報道を打ち消すのに躍起。
 今年3月いらいの、アンチ・シーアの有志連合軍の顔ぶれは、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダン、モロッコ、スーダン、エジプトである。それが主軍であるサウジに協力している。
 この7月、サウジが空から掩護し、UAEがAFVをめぐんでやったハディ氏支持派軍が、アデン港を占領した。そこには8-3に、3000人規模のUAE軍部隊も上陸したと、NYTは報じているのだ。
 アル・アナド空軍基地は、そのアデン市から北へ30マイルである。
 イエメン南部の反シーアの指揮官いわく、UAE軍はもう3週間くらいも前から戦闘加入しているぜ、と。
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 Richard Tomkins 記者による2015-7-30記事「Saudi Arabia seeks ammunition for its land forces」。
 サウジは米国からFMSによって1100万発もの弾薬を調達したがっている。サウジは、これはイエメン戦線でサウジ陸軍が使用するものだと言っている。
 米国務省が承認すれば、その取引価額は5億ドルになる。
 FMS事業を取り仕切っているのは、DSCA(米国防衛安全協力機構)である。義務として連邦議会に通告する必要がある。今週初め、DSCAは、サウジがPAC-3ミサイルを600発、周辺器材含めて54億ドルばかり、購入したいと言ってきたことも報告している。
 このたびの陸軍用弾薬の内訳だが、40ミリ多目的炸裂弾薬M430A1を100万発、対戦車曳光105ミリ榴弾M456A1を6万発、155ミリ榴弾M107を6万発。
 さらに、7.62㎜実包M62(リンクベルト付きで4発に1発、曳光弾が混じっているもの)、12.7㎜機関銃弾、25ミリ機関砲弾M792、30ミリ機関砲弾M789、なども。
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 同じ記者による2015-8-4記事「Australian Defense Force getting new assault rifles」。
 オーストリーのメーカー「テイル」社が墺陸軍のために新型アサルトライフルF90を納品する。既存の「オーステイヤーF88」小銃を強化したバージョンだ。
 テイル社は1980年代にオーステイヤー社からライセンスを買ってそのF88を製造してきた。
 F90にはバレルの長短2種あり、長いライフルは20インチ、短いカービンは銃身長16吋である。
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 ストラテジーペイジの2015-8-5 記事「Chemical Warfare Returns To Iraq」。
 ISが発射した120ミリ迫撃砲弾で、塩素や、薫蒸農薬などが充填されていた痕跡のあるものが次々に発見されている。彼らは「化学砲弾」を手製しているのである。
 ただし、散発的に落下させる少数の砲弾や、地上で自爆させる車載爆弾に、いかほど猛毒の化学剤を混ぜても、その効果は知れたもので、ISは「化学戦」については無知であることを暴露しつつある。
 イラクでは2006から2008にかけ、反米ゲリラがトラック車載の自爆爆弾に、塩素ガスをよく混ぜていたものだった。それらはまったく効果がなく、無意味だったのだが、ISはその経験から学んでいない。
 WWIで最初に使用された塩素ガス攻撃は多大な殺傷効果を上げている。それは、いちどに168トンも風上から奇襲的に放出させて、すぐ近くの敵の塹壕線陣地を覆い尽くしたからだった。1915年の初めには、兵士は誰もまだガスマスクを持っていなかった。
 WWIでわかったことは、毒ガスは、殺害力よりも、敵軍の規律と士気を崩壊させ、負傷者救護の必要と混乱から、最前線での敵軍の戦闘機能を大幅に殺いでしまうところにこそ最大の効用があるのだ、ということだった。
 1980年代以降、サダムは、圧倒的なイラン陸軍の前進を止めるために、イラン軍の士気と規律を、毒ガスで破壊しようと念じたのである。
 スンニ系テロリスト同士の携帯電話チャットやインターネット・チャットはずいぶん前からモニターされている。2007年頃、彼らは、塩素ガスが自爆兵器として無力であることを認識し、マスタードガスや神経ガスの製造を考えた。だがそれが技術的に難しい上に、兵隊でない一般人をそうした高性能ガスで殺傷した場合のテロリスト・グループのメディア上のイメージがあまりに悪くなるだろうとの予想が勝ち、彼らは、マスタードガスや神経ガスの製造を諦めたのである(そのなりゆきが、モニターされている)。
 ※トルコ南部の空軍基地がいよいよあからさまに米軍機のIS攻撃のために提供されることになったが、じつはトルコはコバートではとっくに米国の無人機のために運用拠点を貸しているのである。2015年3月17日に、アサド派がシリア北東部のラタキア市上空でプレデター1機をSAMで墜とした。同機はアサド本人を見張っていたことは間違いない。そして、シリア北東部にプレデターやリーパーが到達するためには、その発進基地として、トルコ領内以外は考えにくかった。おそらくトルコは、米軍ではなくCIAにならば、基地は貸してもいいと踏んだ。というのはCIAには、秘密裡にやったことを「やってない」と、公的に言い張る権利があるからだ。米大統領の手兵として「暗殺作戦」を遂行し、それを米連邦議会に細々と報告する必要がないのである。しかし民主主義国の軍隊だと、やったことはすべて議会に報告する義務がある。それは、米軍に基地を貸す外国政府の側としてはとても迷惑な話なので、パキスタン政府も旧イエメン政府も、米軍の無人機ではなくCIAの無人機だけが「爆殺」作戦を実行して欲しいと願うわけなのだ。それにしても今回トルコはよく譲歩したな。