北極海航路が開けると、津軽海峡の通航量が激増する。今こそ「下北半島横断運河」を開削するのが地政学的に正しい。

 Luke Coffey記者による2015-9-7記事「Who owns the Caspian?」。
  今月後半、モスクワに次の諸国の代表が集まる。ロシア、アゼルバイジャン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン。
 議題は、カスピ海底の「大陸棚」の開発権利境界問題だ。
  ※バクーを抱えているアゼルバイジャンがなぜここに含まれないのか、記事には何の説明も無し。
 トルクメニスタンは、このカスピ海底を横切るパイプラインを敷設することで、欧州に天然ガスを直売もしたい。ロシアとイランは、それは不都合だと思っている。
 ソ連邦が分解してから20年以上、この問題は紛糾している。
 カスピは国際法的に海なのか湖なのか? じつはそれすら未確定なのだが、それ次第で話はぜんぜん違ってくる。
 ごく簡単に言えば、もしカスピが「海」ならば、その「大陸棚」の管轄権は、沿岸各国の海岸線を根拠として、線引きが決定される。またもしカスピが「湖」ならば、その湖底の管轄権は、沿岸各国が均分して保有する。
 「海」とすることに大反対なのがイランだ。なぜなら、イランが占めている海岸線が、5ヵ国中、いちばん短いからだ。イランはカスピは「湖」であるとして譲らないだろう。※いや、6ヵ国目のアゼルバイジャンはもっと短いだろ?
 イランは1921と1940にソ連と結んだ古い条約を持ち出すだろう。しかしその条約にはカスピの水底部分への言及はないのだ。
 3つのスタン国家は、とうぜんながら、カスピを「海」だとして、おのおのの海岸線長に比例した海底の開発権を主張するだろう。
 ロシアは、カスピを湖だとしておくことにより、最大の外交的影響力を確保できる。よってロシア外務省は、この立場だ。
 しかし露国内の石油・ガス利権グループは、カスピは海だと決まってくれた方が、じぶんたちの儲けの機会は増すと考えている。※西の岸のほとんどは露領なので。アゼルバイジャンを除き。
 モスクワからみた最善決着は、「水上の利用は公海に順ずる共通財産あつかい。海底は分割所有」とすること。さすれば優勢なロシア海軍がカスピの水上を支配できる。
 昨年、水面の管轄権については5ヵ国は合意に達した。すなわち、海岸線から15ノーティカル・マイルは、各沿岸国の領海だと看做す、と。
 したがってその領海の下にある地下資源も独占する。
 トルクメニスタンは厖大なガス資源を擁していながら、カスピの海底に自由にパイプラインを敷けないがために、いまのところ、そのガスの売り先として、ロシアかシナしかない。これでは困ると思っている。
 だがイランとロシアはその敷設を拒絶してきた。
 沿岸国はカスピで海軍軍拡もやっている。過去、イランとトルクメニスタンの海軍が、アゼルバイジャンによる水底石油探査の試みを妨害している。