下北半島運河を開鑿する場合、それは鷹架沼を陸奥湾まで延長するのが早いのか?

James Kraska 記者による2015-9-17記事「The Nine Ironies of the South China Sea Mess」。
  ※記者は、国際海洋法の専門家で、米海大でも教えている。
  マレーシアとインドネシアは、誰でも自由に通航できる国際海峡(具体的にはマラッカ海峡とスンダ海峡)というものをそもそも認めたくない。なぜなら、その存在によって自国の領域が二分されているからである。
 ※津軽海峡ももうじきそうなるぜ。
 南シナ海にはじつは有望な油田などはない。それがあるあると騒いでいるのは、中共のCNOOCという油田開発国有会社だけなのだ。
 米国のエネルギー情報局(EIA)は、同海域には、110億バレルの原油と、190兆立方フィートの天然ガスが埋蔵されていると見る。しかるにそのほとんどは、中共が勝手に主張中の「領海」エリア(ナインダッシュ線)よりも外側に眠っているのだ。
 世界の漁獲の9割は、沿岸200海里で得られている。
 しかし漁業資源は永続するものではない。
 かつてはたしかに南シナ海でたくさん獲れたものだったが、実績水揚げ量は年々逓減している。
 その資源を減らしている元凶は、世界最大の規模を誇るシナ漁船団であることは誰にも異論がない。
 中共は、陸地で接している隣国14ヵ国のうち、13ヵ国とは、まともな国境協定を結んでいる。
 ところが海上では国際法を守る気がぜんぜんない。
 1928年に、フィリピン(アメリカ領)とインドネシア(オランダ領)の中間にあって帰属が争われていた「Island of Palmas」について、国際仲裁裁判所は、それはオランダのものであると決め、アメリカが敗訴した。理由は、地元の誰彼が大昔にその島を発見して名前をつけたというぐらいではその島の帰属の国際法的な根拠にはならず、政府が統治管理していたかどうかで決まるからだという。
 要するに「大昔の発見者」などを持ち出しても、島嶼の領有権を主張する根拠にはできないのである。
 1933年にメキシコ政府(旧スペイン植民地)とフランス政府が「Clipperton Island」の領有権を争ったときも、国際仲裁裁判所は、それはフランス領であると裁定している。メキシコ政府は、「スペイン人が先に見つけていた」と主張したのだが、「占領し、使用していた」という実績はフランス側にしかなかったからである。
 1953年にはチャネル諸島でフランスが歴史的にそこで漁業をしていたという権利主張が国際法廷によって斥けられた。理由は、英国内の荘園法廷が、同諸島の地主たちの訴えた裁判を何度も裁いてきたという司法行政文書が実在しており、フランス側にはそうした公的記録の証拠は何もなかったからである。
 過去のシナ政府がスプラトリーやパラセルに何の行政公権力も及ぼしていなかった時期は長い。しかもそれは西側の帝国主義とは何の関係もなかった。離島の継続的な行政というものをしておらず、あるいはそこから勝手に手を引いた政府には、その島に関する何の権利もなくなるのである。
 2012年の面白い判例。コロンムビアが、ニカラガのEEZ内にある2つのちっぽけな岩(ただし満潮時にも海面上に出ているもの)について、帰属を国際仲裁法廷で争った。コロムビアの主張は認められた。その岩から測って12海里内はコロムビアの領海になった。しかし、その岩の上では常続的な住民の居住もなければ、経済生活も営まれていなかったので、その岩から200海里のEEZは認められなかった。ニカラガのEEZに包摂された、EEZなしの小さな「包領、飛び地」になったのみである。
 中共は、砂盛島をこしらえることによって、「もともとそこには満潮時にも露顕している岩があったのだ」という主張をしたいようである。巨大な砂盛島をつくってしまえば、もともとはどうだったのか、後から誰にも調査などできなくなってしまうわけだ。
 ブルネイとインドネシアは、スプラトリーの島の領有については、何の主張もしていない。
 そこで、いまや中共と最もぬきさしならない対決をしなければならない政府は、ベトナムとマレーシアとフィリピンの3ヵ国である。
 記者は勧める。この3ヵ国は、彼らの本土、すなわちボルネオ島、ミンダナオ島、パラワン島の海岸から200海里以内にある島・岩礁については、領有の主張を相互に捨てろ。なぜならその余計なクレームは「三国防支同盟」の邪魔になってしまうから。
 ちっぽけな岩の領有(およびそこからの領海12海里)を自分で主張せずまた周辺国にも主張させないということによってのみ、この3国は、それぞれのナチュラルで広漠なEEZを確保し享受できるのである。
 これら3国にとってはEEZこそが最大の金の卵を産む鶏なのだ。それは国連海洋法会議の取極めでも守られている。それを最大限に活かせ。そのためにはスプラトリーの岩の領有(そこからはEEZは発生しない)などかえりみるな。
 この3国がガッチリと対支で共闘できないと、3ヵ国のEEZは逐次に中共によって削り盗られてしまうであろう。
 ベトナム、マレーシア、フィリピンによる「3国対支同盟」を結べ。さすれば、ASEANはまず確実にそれをバックアップする。またEUとNATOもそれを応援する。おそらく、ロシアもプッシュしてくれるだろう。