「読書余論」 2015年10月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 『射撃爆撃班業務実施報告』大8
 三年式改造航空機用機関銃は、モ式までならともかくも、より高速機では風圧のため旋回もマガジン交換もできなくなってしまい、不適であった。
 南部はプロペラ同調装置(螺旋機貫通射撃)にも挑んでいた。
▼防研史料 青木喬大佐『消耗戦略ト航空用兵』S18-1
 陸海は互いの重点が別々で、互いに「遊兵化」している。大乗的一元化を。
▼Bryan Cooper著『The Story Of The Bomber 1914-1945』1974
 専用の航空用爆弾はZeppelin用にドイツで発明された。横に寝せて格納する方式もドイツ人が考えた。
 ※WWIIにドイツが使ったSD 1400 kg 徹甲爆弾 や SD 500 kg E 徹甲爆弾 は、逆テーパーがついている。日本海軍の80番5号は、これらの模倣にすぎないのであろう。
▼防研史料 『陸軍航空後方業務沿革史』S22-3 第一復員局
 ※陸軍の航空用MGや爆弾の生産に関しては決定版資料。
 トラブルの主なものは、「ホ103」装備の隼が腔発事故を起こすこと、「ホ5改」の四式戦への装着不具合、そして、2式複戦用の「ホ203」の生産不振。
 陸軍のMGは、足りぬどころか、本土空襲中も生産数が落ちずにむしろ過剰で、一部をAA用に転用した。
▼防研史料 『「チェッコ」五三式 「ブルノ」社(ZB五三)重機関銃説明書』S16-2
▼防研史料 『一九〇九年式「ビッカース」機関銃 説明書』S12-8
▼防研史料 『「ホッチキス」二十五粍機関砲 説明書』S16-8 陸技本
 ※ホチキス系は射撃を中止するとボルトが後退位置でホールドされ、待っている間に薬室が空気冷却される。これを南部系のLMGでもすべて踏襲し、冷却に関してはチェコ系より良好だった。
▼防研史料 『「ビッカース」十二粍七 D型 高射機関砲 説明書』S12-8
▼防研史料 『「ホッチキス」十三粍二 高射機関砲 説明書』S14-3
 追随射撃をしないことの説明がされている。
▼防研史料 『「エリコン」二十粍野戦機関砲説明書』S12-8 陸技本
 エリコン20ミリには、閂子が無い。撃発の間、ボルトはロックされず、惰性前進か後退かの過程にある。そのかわりボルト先端は注射器ピストン状で、薬室内へ奥深く潜入し、薬莢の破裂やガス漏れを防ぐ。
▼防研史料 『「エリコン」二〇粍基塔式 SLaSS型 高射機関砲 説明書』S16-7
 ※WWII中の米軍艦の舷側にズラリと並んでいたやつ。
▼防研史料 『外国兵器諸元調査表(20~25粍級)(高射機関砲)』第一陸軍技術研究所第一科 S17-10
 ※調査官は、陸軍大佐の胴金義一、他2名。航空用は載せず。
▼穴山篤太郎tr.『百科全書 第十三冊』有隣堂 M16-10
 英国に、常備陸軍というものは、いつどのようにしてできあがったのか。
▼内務省地方局『感化救濟事業講演集 上』M42-3
 英国には「感化船」があり、少年犯罪者を海員水夫にしてしまう。
▼『村田銃保存法』M21 東京府平民・小林又七pub.
 「駐梁」には輸入した「スウェーデン鉄」を使っていた。
▼大小田八尋一『ミグ25事件の真相』2001-8
 自衛隊は、ソ連の原潜が小樽に強行入港すると考えた。
 長官の坂田がぼやぼやしており、三木総理へは、警察、運輸、法務、外務についで五番目に報告したことになってしまった。
 L-90部隊は、味方のC-1×3機を、敵襲と錯覚して、点検射までしていた。
▼永田年『鉄筋コンクリート設計法』S11-6
▼吉村岳城『琵琶讀本』S8-7
 島津藩主の日新齋は、雅楽琵琶の柱を2つ減らして4つにし、柱と柱の間を指で圧することで音階を作り出すように変え、撥を大きくした。薩摩琵琶の撥は緊急時の護身用を兼ねたので、大きい方がよかったのである。
▼土肥一夫・監修『海軍 第九巻 駆逐艦 海防艦 水雷艇 哨戒艇』S56-9 つゞき
 日本の沈没駆逐艦の約半数にあたる70隻に関しては、1人の生存者もいない。全員戦死認定である。1艦には平均、230名が乗組んでいた。
▼経済雑誌社pub.『国史大系第十六巻 今昔物語』M34 つゞき
 ※今回は巻第25。
 陣幕を二重に引き回すと、矢はその布を通らない。
 香取神社は昔は「梶取」と書いた。すぐ前が海だった。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
 で、タイトルが確認できます。
 電子書籍ソフト対応の「一括集成版」もできました。詳細は「武道通信」で。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。