中共は戦時のマラッカ海峡利用を諦めた。代わりにスンダ海峡を確保すべく、インドネシアに対してはあらゆる譲歩をしても、スンダ海峡を機雷で封鎖されないようにしたい。

  Eric Haun記者による2015-11-13記事「Canada to Ban Oil Tankers on Northern BC Coast」。
   カナダの太平洋岸にあたるブリティッシュ・コロンビア州は、その北部海岸の近くを原油タンカーが通航することを暫定的に禁止すると決めた。
 これで、カナダ西岸に原油輸出港を確保して、そこまでのパイプラインを通そうと目論んでいた産油地のアルバータ州の計画は、ますます実現から遠ざかる。
 エンブリッジ社は、内陸のアルバータ州のエドモントン市郊外のオイルサンド採掘場からの原油を、「ノーザン・ゲイトウェイ」というパイプラインで、太平洋岸の良港「キティマット」(水深大なので大型タンカーが接岸しやすい)へ送り、そこからタンカーで対外輸出して儲けようと考えていた。この構想が、不可能になる。
 米国へ陸送するパイプライン構想であったキーストーン社の「XL」は先日にオバマの反対で潰されたが、どちらの構想も、沿道と沿岸の住民が、環境汚染を非常に心配していた。
 トルドー首相は選挙前から、パイプライン反対を公約していた。
 アルバータ州は大ピンチに陥るであろう。オイルの生産量はどんどん増えているのに、それを州外に売るパイプラインが増えないというのであるから。
 残る希望は、トランスカナダ社の計画である「エナジー・イースト」。すなわち、アルバータ州から原油をカナダの東海岸へ陸送しようというパイプライン企画である。しかしこっちも見通しはまったく暗そうだ。
 ※マラッカ海峡にインド海軍がインド洋側から機雷を撒こうとするのを、中共海軍には阻止する手立てはない。まして沿岸国のマレーシアも海洋権益をめぐって中共とは必然の敵対関係にあるから、マラッカ海峡の戦時利用など、まったく諦めるしかないという結論に、北京は到達したのであろう。スンダ海峡ならば、インドネシア1国さえ籠絡しておけば、なんとか確保ができると睨んだのだろう。
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 Daniel L. Byman記者による2015-11-16 記事「Why ISIS might regret the decision to go global」。
  この記者はブルッキングス研究所の中東テロ専門家で、記事は『フォーリン・アフェアーズ』に載ったものである。
 ISに参加した外人兵のうち150人は米国から渡り、3000人は西欧から渡っている。
 だからISは単にフランスでテロが容易だったからフランスでテロをした、というのにすぎないかもしれない。
 イラクとシリアでは25万人が内乱で死んでいるが、パリで125人が死んだというニュースの方が世界のマスコミでは大きく扱われる。よってISにとっては良い宣伝になり、落ち込んでいる新兵リクルートがまたはかどるかもしれない。
 なぜグローバルなテロ活動は今では流行らないか。そんな組織を運営していたら、米国その他の通信監視網にかならずひっかかり、各級指揮官がリーパーで爆殺されてしまう。
 ISが、在外の協賛集団に勝手をやらせることにするとどうなるか。その群小集団は必ず乱雑に暴走し、弱者を殺して国際的な不評判を招くだけ。
 キミがISの大蔵大臣だったら、どこに軍資金を分配する? 世界中の敵を攻めていたら、どのひとつにも勝てず、しかも持続不能だろう。
 アルカイダは9-11をやったために米軍を呼び招き、アフガン内の聖域を失った。こんどはISが仏軍のためにラッカを制圧されるだろう。
 ローレンス・ライト記者によれば、アルカイダはアフガニスタンの2001の最後の数ヶ月でメンバーの8割を殺されてしまったそうだ。
 テロリストがいつも犯す勘違い。世界(あるいは敵国政府)は彼らに対して現状でもう最大の反撃努力を払っているのだ、と判断してしまうこと。じつは、世界(あるいは敵国政府)は彼らに対してまだ予告編をチラ見せしているだけ。本編の地獄変はこれから封切られるのだ。
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 2015-11-15 記事「Confessions of an ISIS Spy」。
 デイリービーストがISの新兵教育係にインタビューできたという超貴重情報。
 ISに参加しようとやってきた者には、人の憎み方の教育を2週間ほどこす。シャリアのIS風解釈を教えるのだ。異教徒はISの敵であるがゆえに、殺さなくてはならない。
 非アラブ圏から馳せ参じてくる新兵たちの半数は仏語話者。半数は英語話者である。だから新兵教育も、通訳を同時に2人使う。
 ISのかかわる内戦では、死者の2倍の数の重傷者が出る。彼らは二度と戦場へは戻れない身体になっている。ISの戦死者はこれまで4500人以上出た。
 いちばん勢いのあった日々には、まいにち3000人もの新入りが海外から到着していたものだ。今は50人強である。
 この50人をシリア戦線で消耗させてしまうより、そのまま外地のスリーパーとして海外で騒ぎを起こさせる方が、リクルート戦略の上からは得なのではないかと、最上層部は考えるようになった。
 IS内部では、誰も戦友のパーソナル・ヒストリーを詮索しない。名前すらも訊ねない。全員、「アブなんとか」にきまってるんだから。誰かが他人の細かな詮索をしはじめたら、それは究極のレッド・フラッグ。スパイ査問なのである。