Owen Daniels記者による2015-11-23記事「4 Reasons the US Should Support the Resettlement of Syrian Refugees」。
米下院はシリア難民を受け入れる前にその身元調査を厳密にやれと11-19に決議した。
げんざい、全米の知事の半数以上が、彼らの州内にシリア難民は受け入れないと声明している。
オバマは1万人受け入れると発表したが、それは阻止されている。
ただし上院は下院に同調しないだろう。そのため身元調査が法制化されることはあるまいが……。
事実についてまずわきまえよ。
ひとつ。米国で難民認定されるのは、かなり狭き門である。
2001-9-11以降、合衆国は80万人近くも難民を受け入れているが、そのうちこれまでにテロ関連の罪名でしょっぴかれたのは3人だけである。つまり米国の入国審査役人は有能で、あぶないやつは見事にはじかれているのだ。
9-11以降の手順。まず国連難民高等弁務官が難民希望者のリストを米国に知らせる。それを、米国の本土防衛庁などが多重スクリーニングする。米国にはテロリストについての重厚なデータベースがあるので、事務は他国よりも早く進む。
難民は1年間、滞在がゆるされる。そしてグリーンカード取得にも動けるが、それには更なるスクリーニングがある。
最短でも18ヵ月しないと、難民は大手を振って米国住民となりおおせることはできない。
というわけでテロリストが難民にまぎれて米国に入るのはとてもむずかしいのだ。
今のところ、パリテロの犯人に「難民」はいなかったと考えられる。フランスとベルギーの国籍取得者がほとんどであった。
ただし、複数の犯人は、フランスやベルギーからシリア戦線へ行ってISのために戦い、それからまたフランスやベルギーに舞い戻って来ていた。
この2国は、そういう危ない自国籍民が国内に所在することを把握していながら、互いに政府間の連絡も取らず、テロが実行されるまで何の手も打たなかったのだ。今回の犯罪実行者たちは、新来の外国人ではなくて、すでにその国の中で暮らしていた大量の元外国人の跳ね上がりどもだった。
こうした条件は、米国にはあてはまらない。
※少なからぬ数の先進国では、自国民が海外で勝手に戦争してくる行為を法律で禁じ、犯した者からは国籍を剥奪するようにもしつつある。しかしフランスとベルギーにはそうした法制は無いらしい。おそらくそれは「外人部隊」制度の伝統と関係があるのだろう。
米国はむしろ、EU市民だからという理由で、ノービザで公然と米国に入国ができるあぶないテロ志願者たちを、警戒した方がいいだろう。
今回のパリテロの犯人たちのうち少なくとも1名は、もし観光客等を装って米国の空港にあらわれた場合、米国のテロリストデータベースにはまったくひっかからずにそのまま入国できた、と専門家は認めている。
米国は2015末までに欧州諸国と協議し、直近5年以内にイラクやシリアを訪問した履歴のある欧州国民には、ノービザでの米国入国は認めないようにする仕組みをつくりたい。
ISは、ISだけがスンニのプロテクターだと宣伝している。それはウソだ。
トルコは200万人以上のシリア難民を入れた。
レバノンは100万人以上。
ヨルダンは60万人以上。※いちばん同情されていい国。この負担は重過ぎる。
イラクですら20万人以上。
※カネも土地もあり同宗派国なのに受け入れを拒否しているGCC諸国こそ恥を知るべきだろ? コーランには困った信者を救うなと書いてあるのか?
欧州ではドイツは80万人を2015末までに受け入れるであろう。
フランスも3万人入れると言っている。
かたや米国は、シリアへの軍事介入を始めてからこれまで40億ドルの人道支援金を出したが、米国内に受け入れたシリア難民は1682名である。そしてこれに1万人追加するかどうかで国内が揉めているところだ。
次。
Roy Abbas記者による2015-11-20 記事「Think ISIS Is Not Islamic? Think Again」。
ISがインスパイアされているのは、13世紀のラディカルなイスラム法学者シェイク・タキ・イブン・タイミヤと、18世紀のイスラム法学者ムハマド・イブン・アブド・アルワッハブ。
イスラム・テロをなんだかんだと擁護する者は、英国内のインド系住民はその先祖が英国から被った苦痛に報復するために英国内でテロを起こしてもゆるされると言っているようなものだ。
バングラデシュはパキスタンから迫害されて分離独立しているが、そんな理屈が通るなら、バングラデシュ人はパキスタンに今から報復攻撃をしかけても可いわけだ。
偽知識人は、レッド・ヘリング(=鰊の燻製を地面にこすりつけることで猟犬が狐を追えなくする。関係ないものを持ち出すこと)をやめろ。
ISがイスラム教に依拠してテロを繰返しているのが事実である以上、われわれがISに対抗していく唯一の道は、イスラム教圏内に存在する「カリフェイト」のコンセプトを容赦なく酷評して顰斥することしかないのだ。
ISイデオロギーのカギとは、カリフェイトのコンセプトと、カリフェイトの預言なのである。それはアラビア語を知らないでわかったつもりになっている論筆家どもの知ったかぶった言説とは何の関係もないのだ。
預言者ムハンマドとその教友たちの言行録を集大成した『ハディース』。そこからISイデオロギーのすべてが発出してくる。回心、納税、死……これらのIS流儀は『ハディース』に根拠があるのだ。
ファティマ・イムラ・ナゼーが言ったように、ネイティヴのアラビア語話者でないムスリムたちは、アラビア語で書かれたコーランを暗誦しても、そこに暴力的な表現があることには気が付かない。
もし、各信者がその母国語でコーランを聞いたならどうなるか。ほとんどのムスリムたちは、コーランの内容の暴力性に、不快さを感ずるだろう。そして、「これは翻訳が正しくない」と言い出すだろう。なぜなら彼らはコーラン以前のモラルの原則を有しているからだ。
ナゼーいわく。少数のムスリムたちは、コーランをモラル上の究極の権威とみなす。そしてコーランの暴力とヘイトに満ちた章句を字義通りに遂行するべきだと信ずる。結果が、ありとあらゆるコミュニティを破壊するだけのISになっている。
「ISとイスラムは無関係」と護教する連中は、かならず、コーランの「5:32」をひきあいに出す。そこにおいて、イスラムは無辜を殺すことは禁じている、という。
どっこい、「5:32」にはちゃんと抜け穴・逃げ道がある。ISだろうと他のイスラム・テロリストだろうと、そこを利用するのは簡単なのだ。
イスラム教を批判すると、ムスリムも西側社会も、うけいれたがらない。正当な批評も、中庸イスラム教徒からは、「イスラム恐怖症を煽っている」とレッテル貼りされてしまう。西側社会の左翼は「おまえは無神論者だ」と言い、リベラルたちは「レイシストだ」と言う。
2014年にイスラエルがガザに侵攻したとき、ロンドン、ニューヨーク、パリ等では、西側在住のムスリムが、大デモを起こして、イスラエル大使館に抗議した。しかしISの所業がいかほど暴虐でも、西側在住のムスリムがそのようなデモを起こすことはないし、サウジアラビア大使館やカタール大使館がムスリムデモ隊から抗議を受けることもない。カタールはISへの資金提供者である。
前のイラクのアルカイダの長、アブ・ムサブ・アルザルカウィ・ザルカウィは、7つのアジェンダを掲げていたが、それらはイスラムのカリフェイトのコンセプトからインスパイアされている。
ドローンでイスラム暴力集団のリーダーを殺しても、敵は短期間しか弱まらない。なぜなら、西側は彼らのイデオロギーに対しては攻撃も排斥もしていないからだ。その結果、リーダー1名の死が、後継者複数を生む。
われわれの敵は、ナショナリストではない。連中は、領土問題が解決されたならそれでおとなしくなるという手合いではないのだ。
われわれの敵は、単なる兇悪犯罪者の群れでもない。
われわれの敵は、暴力を行使することによってカリフェイトを建設し、さらに彼ら流のシャリアー釈義を全世界に押し付けたがっている集団なのだ。
次。
ミリタリー・コムの2015-11-23記事「Osprey’s Own Rotor Wash Led to Deadly Crash」。
2015-5-17にハワイで21人乗っていて墜落したオスプレイ。海兵隊員2人が死亡した事故。原因が解明された。
昼間で、天気は晴れていたが、自機が巻き上げた土埃で左エンジンが「コンプレッサー・ストール」を起こした。