ダーク・ルネッサンス

  ストラテジーペイジの2015-12-4記事「Korea: Rooting For The Assassins」。
  三代目を爆殺しようとしたプロットが露顕した――と、ここ2ヶ月間、北鮮内ではもっぱらの噂だ。
 三代目がウォンサン国際空港を視察する予定が、直前になってキャンセルされた。それは、空港建物の天井裏に爆発物が仕掛けられているのが発見されたためだという。
 十年前に北鮮では「三頭の熊」とかいう幼児用の歌謡が作曲されたのだが、さいきん、党幹部のティーンエイジャーの息子たちは、これを「熊三代のつづけて大失敗」とかいうプロテスト・ソングに改変して、その替え歌を流行らせている。
 北鮮の少年たちのあいだでは、文字も文章表現も発音もすべて韓国風にするのが流行している。世界で〈韓流〉がじっさいに存在するのは北鮮内だけのようだ。
 北鮮には結婚仲介屋というのがいるのだが、彼らマッチメイカーたちが感じていることは、いまや北鮮内の社会ヒエラルキーには革命が起こった。
 すなわち、かつては北鮮では、亭主の人気職業としてランキング1位だったのは、秘密警察幹部や外交官だった。それが女たちにとっては理想の旦那だったのだ。だが今では違う。韓国に在住している脱北済みの親戚から定期的にまとまったドル紙幣が送られてくる密輸屋の男こそが、理想の夫像に成り上がった。
 北鮮内での権力関係が逆転したのである。ながらく、北鮮国内では秘密警察がいちばん威張っており、外交官だけが外国文化にアクセスができたのだ。が、それは過去の話になった。今日では、国内では警察だろうと誰もカネモチ(闇屋のボス)には頭が上げられず、カネさえあれば外国のものは何でも手に入る。
 新興カネモチ階級は、賄賂によって、全国民が定期的に強制されているはずの農村や土木工事現場での勤労奉仕週間も、完全に免除される。この免除特権は、ほんらいは、病人と老人にしかないものなのだが。カネが法律となっている。
 2015年上半期の中共と北鮮の交易額は、前年同期とくらべて14%減少した。
 中共から北鮮への投資額は、2013年の実績とくらべて現在は2割未満に落ち込んでいる。これは2013に「核実験」があったため。
 2015-11-11、北鮮は国連制裁にもかかわらず、「防爆仕様の装甲ベンツ」を1台輸入することに成功した。三代目を狙うIEDに耐えてくれる。車内には冷蔵庫付き。
 自動車や大型液晶テレビなどは贅沢品とみなされ、国連は北鮮がそれを輸入することは許さないとしている。しかし三代目はそうした贅沢品をいろいろと輸入して特権階級に配ってやらないと、政治生命が保てない。
 ロシアと北鮮は11-26に合意。相互に、逃亡者を国籍国の官憲が追捕したり、本籍国にすみやかに連行することに、協力する。
 ただし露側から北鮮領へ逃げ込むロシア人などほとんどいないので、これは北鮮人が大量にロシア領へ脱出していることを示している。
 また2015-12-1にロシアと北鮮が合意。ロシアは北鮮に電力を売る。ロシア国内で、北鮮国境までの送電鉄塔の建設を開始する。しかし給電が実現されるのは、今から何年も後になるであろう。