「経済発展の不均衡は 恐慌と戦争によってしか均されない」by レーニン

 David N. Livingstone記者による2015-12-4記事「Stop Saying Climate Change Causes War」。
  英国のチャールズ皇太子が11-23にスカイニュースのインタビューに答えて、シリア内戦と気候変動とを結びつけていた。
 5~6年続いた旱魃が内戦の大きな原因だというのだ。
 米大統領選挙に出るつもりのバーニー・サンダースも、その数週間前に、テロリズムと気候変動は直接の関係があると語っている。彼に言わせると、気候変動こそがこれからの米国の最大の脅威なのだそうだ。
 『気候戦争』の著者グイン・ダイヤーは書く。地球平均気温が1度上がれば、失敗国家の数がそれに比例して増える。それが紛争と戦争を呼ぶだろう、と。
 こうしたセンセーショナリズムのさきがけは、2007年放映のナショナル・ジオグラフィックのテレビスペシャル番組『6度で地球が変わってしまうぞ』だったかもしれない。
 このドキュメンタリーいわく。平均気温が摂氏2度上昇すれば、ボリビア人は都市から郊外へ脱出せざるを得なくなる。なぜなら飲み水が足りなくなるからだ。平均気温が4度上がると、世界中で経済破綻と紛争が始まり、暑さから逃れようとする難民が、北ヨーロッパやニュージーランドを目指し始める。1度上がるごとにそうした現象が拡大して行く……んだそうである。
 もっとさかのぼると、1988-6にトロントで開かれたコンヴェンションが、大気変動の科学研究と国際安全保障政策をストレートに結びつけさせた。簡単に言うと、各国政府は軍事政策研究に投じている予算の一部を気候学者の給料に回してください、と訴えた。
 2007年に英国のベケット外相(♀)は国連安全保障会議にて、気候変動問題=安全保障問題だと演説した。
 軍事シンクタンクのCSISとCNASもリポートを出した。いわく。気温が2.6度上がれば、宗教とイデオロギーが社会をモラル革命におとしいれる。5.6度上がれば、終末信仰カルトが勢いを増し、移民とマイノリティは攻撃され、資源をめぐって国内外で紛争が激化しよう、と。
 今日流行のキチガイたちにはちゃんと先輩がいるので紹介しよう。1867年にジョン・ウィリアム・ドレイパーさんは『米国南北戦争の歴史』という本を上梓した。ドレイパーさんは1850年から73年にかけて、ニューヨーク大学の医学部大学院を総攬しておられた御方である。この人にいわせると、南北戦争の原因はただ一つ。南部と北部では気候が違ったから――であった。北部は気候的に奴隷を受け入れず、また気候がユニオニズムに人心を誘導するのだ。南部は気候的に奴隷農業に向いていた上に、気候が人々を分離独立志向にしていたのである……と。
 暴力や不法や反道徳が、ぜんぶ天気のせいにできてしまう。今進行しつつあるブームはこの政治的無責任レトリックに乗っている。
 正気の人々もいる。
 コロラド州立大学の研究チームや、オスロの平和研究所の研究者は、アフリカの内戦はぜんぶ気候が原因だとするきちがい理論に反論している。