新刊のおしらせ

 PHP文庫の『隣の大国をどう斬り伏せるか――超訳 クラウゼヴィッツ「戦争論」』は、気の早い書店さんでは、この年末から棚に並ぶことと思います。
 本体700円。税別。
 2011年の新書版を全面校訂したもので、内容には、いくつか追記したところがあり、また、削除したところもあります。
 版型は新書より小さくなっているのにもかかわらず、絶妙の編集によって、読みやすさが増しています。
 月刊雑誌の『SAPIO』の新年号にも記事が載ります。この号も、年末からコンビニに出るのではないでしょうか。
 今年に出た本でいちばん個人的に〈表彰〉してやりたいのは、大久保潤・篠原章氏共著の『沖縄の不都合な真実』(初版2015-1、新潮新書)です。
 隔靴掻痒の情報しかなかった沖縄県のド腐れ構造について、この新書1冊で全部呑みこめた。霧が晴れたような読後感です。
 これをサラリと出してくれた新潮社さんも偉いよ。あ、そうそう、『新潮45』に連載中の平山周吉さんの江頭先生の話ね。近年、毎回これほど居住まいを正して読まされてしまう記事もない。江藤淳の話を書くならば、生前の江藤淳の担当編集者さんたちをぜんぶ取材しないとダメです。それを最初にやらないとダメです。それが「まず外堀を埋める」作業なんだ。たぶん平山さんはそれをやってくれるだろう。そういう熱意を初めて感ずる人だ。江頭先生は担当編集者氏たちにはディープな話をいろいろしておられた。だから、何であれ、とにかくいちばん事情に通じていらっしゃるのは、それら担当編集者さんたちを措いては、誰もいない筈。これは愚生の確信でござる。だからその人たちが知っていても話さないことがもしもあったりしたりしたら、それは何故かは分からないけれども、わたしごとき「通行人F」レベルの分際の者としては、無条件に尊重しておくもの也と、わたくし分別致し候。