ズムウォルトは3隻とも太平洋に母港を定める、とカーター氏。訪印してまた大商談か?

 2016-4-9の新刊紹介記事「The Spies Who Saved the Space Shuttle」。
  宇宙からの偵察を管理しているNROは、空軍、海軍、CIAと人材がオーバーラップしている。
 彼らはNASAのスペースシャトル計画に反対であった。が、スペースシャトルを1回、救ってやっている。
 RowlとWhiteの共著、新刊ノンフィクション『Into the Black』にその秘話が載った。
 『コロムビア』号で初飛行したクリッペン操縦士は空軍とNASAの間で去就に迷ったがけっきょくNASAを選んだ男。
 じつはその第一回飛行、大ピンチ情況だった。
 そもそも1957-10-4にソ連がスプートニクを成功させたことで、大統領アイクが1958にNASA設置法案に署名している。
 有人宇宙飛行も1961にソ連が先んじ、米国は1年遅れて後を追った。
 それから有人月着陸で米国が逆転した。
 NROは有人大型偵察衛星(スカイラブの正体)から無人大型スパイ衛星キーホール・シリーズへシフトした。
 NASAのさいしょのシャトル・ミッションは1979に、スカイラブの故障を修繕するために実行されるはずだった。
 ところがタイルの剥離リスクが指摘され、1981まで日延べとなった。
 結果、1979-7にスカイラブは高度が低下して燃え尽きてしまった。
 第一回シャトル打ち上げは1981-4-12。周回高度は170マイルだった。
 その宇宙空間で、尾部のタイルが剥離しているのが視認できた。ここでNASAは難問をつきつけられた。
 機体底部のタイルも剥離しているかもしれない。しかしそれを目でたしかめる手段をNASAはあらかじめ何も講じていなかった。もちろんシャトルの底部には窓は無い。タイルがはがれていれば、再突入でバラバラになる。
 さりとて救助ロケットを打ち上げるというのものも、すこぶる難題なのだ。
 そこでNROが、キーホール・スパイ衛星の撮像機能を使ってシャトルの底部を撮影してやった。
 衛星はただちにヴァジニア地上局まで画像を電送。
 多数のハイレゾ画像によって、底部タイルは無問題だと確信された。
 空軍とNROは、シャトルはカネばかり喰う割には使い勝手が悪く、いいことは何もないと大反対の立場だった。つまりNASAとNROは限られた予算をめぐって敵対関係にあった。結局、空軍=NROが正しかった。
 NASAの当初もくろみでは、毎週1回、シャトルは打ち上げられるという触れ込みだった。しかし1981から2011までの間に、5機によって135回、飛べただけ。均すと12週間に1回にすぎぬ。
 シャトルによって重さ1ポンドの貨物を軌道投入するのに要した費用は、1万ドルになった。NASAは20ドルで可能になると言っていたのに。
 1986の『チャレンジャー』と2003の『コロムビア』の事故で、宇宙飛行士14人も死んでいる。
 このうちコロンビア号のケースは、打ち上げ時のデブリによるダメージが主翼内部を傷めていて、それが外側からの視察チェックでは確認ができず、いいだろうと思って大気圏に再突入したら、分解してしまったのだ。この惨劇は、1981の最初のミッションのときに発生していても、おかしくないものだった。
 同書が紹介していない現実。シャトル艦隊が退役した2011に、空軍は無人の小型シャトルであるX-37Bの初回打ち上げを果たしている。X-37Bも繰り返し利用ができる宇宙機体だけれども、もし空中分解しても、誰も死なない。
 ※半永久に軌道上にとどめておくこともできる。酸素と食料の補給なしで。
 X-37Bは、もちろんNROが推進しているプロジェクトだ。
 ※軌道をちょくちょく変更するので、衛星マニアもトラッキングできない。敵が予期していないタイミングで上空から撮影してしまえる。
 ※生物が進化してAIもこしらえるようになると最後はどうなるか? インナースペース、つまり究極には「実存」だけに関心が向き、アウタースペースに生身ででかけようなどという冒険には意味を見出さなくなるだろう。だから、すこぶる進化した宇宙生命は、わざわざ地球などにはやってこないのである。生物は死を恐怖し、生存の次に生殖に努力する。AIにはこの「実存」がない。ロボットには恐怖がないのである。死の恐怖や生殖の欲求がなければ、「支配」「征服」の必要も生まれない。
 次。
 ストラテジーペイジの2016-4-9記事「The Few, The Successful, The French」。
  フランスの艦上攻撃機シュペルエタンダールが退役した。
 10トンの「エタンダール4」を艦上機に改造して12トンにしたもの。兵装は2トン。
 フォークランド紛争ではアルゼンチン軍の所属機がエグゾセ空対艦ミサイルで英海軍のフリゲート×1、商船改造ヘリ揚陸艦×1を撃沈してみせた。
 フランスが1983にイラクへ貸与した5機のシュペルエタンダールのうち1機は、1984に米艦の撃沈一歩手前まで行った。
 イランの軍艦と間違えてエグゾセを発射したのだ。同艦は、大破したが、沈没はしなかった。
 けっきょく4機はフランスに返納され、4機はイランによって撃墜されている。