「読書余論」 2016年5月25日配信号 の 内容予告

▼陸軍省戦争経済研究班『獨逸経済抗戦力調査』(経研報告第三號)S16-7調整
 日本に1部しかない超貴重資料。独ソ戦の勃発を承けて、日本陸軍の頭脳エリートが、ドイツはこれから英米相手に長期戦で勝てるのかという数値予測を試みた。石油統計で何が分かっていなかったかが分かる。
▼防研史料 『実験研究経過概要 並 主要航空兵器ノ変遷 爆撃部』
 敗戦直後に調製されている総括資料。日本にもしディスカバリーチャンネルのような放送局があったら、こういう史料をネタにして番組を何本でも作れるに違いない。
▼防研史料 『爆撃精度向上に関する研究実験実施方策』S16-1-31
▼望月澄男『有坂【金召】蔵』※奥付に刊年が書いてない。
 苗字が同じ陸軍の有坂成章とは何の係累でもないけれども、同じ造兵将校なのでよく混同される。こちらは海軍呉工廠の「しょうぞう」さんの一代記である。ところでどなたでもいいから誰か山内万壽治の評伝を書いてくださらんかなぁ……。
▼吉長・関根・中川 共著『焚き火大全』2003-1
 クルミとカエデの木は、火つきも鈍いし炎も上がりにくい(p.152)。※ということは防火/防災樹として役立つではないか。
▼深津 正『燈用植物』1983-6
 マレー式たいまつ。木の樹脂(ダマール樹脂)を固めて、その樹脂を木の葉で包み、固く縛ったもの。全長は50センチ弱。きわめて強い光を出し、風の中でも消えない(p.160)。※おそらく水木しげるが戦中にニューギニアで驚いたというのはこれだろう。
 謹告。今回多忙につき、チビチビ分載しているシリーズは一旦中止。次号以降に再開します。すみません。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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