シナ元は早く変動為替制に移行しないと安い欧州製品に負けて世界市場から駆逐されるだろう。

 Marcus Weisgerber記者による2016-6-21記事「For Defense Firms, Brexit Could Be Europe’s Sequester」。※日付が謎なのだが、ママとする。
  英国のEU離脱を可とする2016-6-23の国民投票結果が24日に判明したが、欧州の軍需メーカーの株はその2週間前から下がっている。
 6月の前半2週間で、イタリアのフィンメカニカ(今はレオナルドとかいうらしいが)の株は15%安くなり、スウェーデンのサーブ社の株は6%安くなり、フランスのタレス社の株は8%安くなった。
 英国のBAEシステムズ社株とコバム社株は2%安くなり、クィンティク社の株は6%安くなった。ただし投票直前に少し持ち直したが。
 同時期に、米国のロッキードマーティン社株、ノースロップグラマン社株、レイセオン社株は、2~5%上昇している。
 欧州では、企業買収の計画、そして、欧州のどこから何を調達するかの長期計画が、立てられなくなった。
 軍用機や民航機の共同開発も、新規のプロジェクトはこれから2年前後、相談をストップするしかない。
 ※今にして思うとEU予算でカールグスタフの弾薬を大量調達したのは、スウェーデンをEUに引き留めるための政略だったのかも……。じつは英国の次にEUから抜けたがっている国として、スウェーデンが上位に上がっているのだ。ドイツが吸引した難民が向きを変えて自国に集中したりするので、たまったものではないからね。総人口970万の国に毎年20万の貧民が流れ込んだら福祉国家なんて即死するっつーの。スウェーデンがルーマニアやブルガリアからのジプシーにもどれだけ困らされているかは、本日配信の『読書余論』に詳説しときました。ちなみにスウェーデンでは乞食は「合法」。本日電車に飛び込もうかとお悩みの貴男、すぐにスウェーデンへ飛べ!
 米国の大手、ロックマート、ボーイング、ノースロ、レイセオン、そしてジェネラルダイナミクス社は、みんな英国支社/英国工場をもっている。
 なりゆき次第では、それらのオフィスを欧州の別な国へ移転させるだろう。
 エアバス社は、英国がEUから抜けるなら英国内への投資を見直すと発言している。タレス、レオナルド、MBDA社も、英国にオフィスを持っている。
 英国がEUから抜けることで、ドルに対してポンドも弱くなり、またドルに対してユーロも弱くなる。これは何を意味するか? 英国、オランダ、デンマーク、イタリーは、もはや計画した数のF-35は買えないということ。
 しかし、ポンド安、ユーロ安は、第三世界市場への売り込みで、欧州メーカーが米国メーカーよりも価格競争力を持つことをも意味する。
 ※シナ元はドルにペッグしているから、中共メーカーの顧客も欧州メーカーが奪うことができるかもしれない。
 英国の2016国防予算は米ドルにして526億ドルである。
 BAEの会長はとうぜんながら残留を訴えていた。タイフーンの共同開発や、フランスとの無人機共同開発。こういうものができなくなってしまうから。
 次。訃報です。
  Hillel Italie記者による2016-6-24記事「Michael Herr, author of ‘Dispatches,’ coauthor of screenplay for ‘Apocalypse Now’ dies」。
  カポーティやノーマン・メイラーと同世代の米小説家。享年76歳。
 ベトナム帰還兵の体験した恐怖を誰も口にできなかったとき、『エスクワイア』特派員だったマイケル・ハーは、『派遣軍』という小説でそれを書いた。
 映画の『地獄の黙示録』と『フルメタルジャケット』の脚本もハーが共同執筆した。