カナダはスーパーホーネットの1社指名(非競争入札)に傾いている。

 Kathleen Hicks and Michael O’Hanlon記者による2016-7-8記事「Donald Trump is wrong about NATO: Column」。
  米国はGDPの3%を国防費に支出している。そして他のNATO諸国は2%を支出することで合意していた。なのにいまだに平均1.4%だ。
 だから米兵がアフガンに10万人も駐留させていたとき、他のNATO諸国は3万5000人しか出兵させられなかった。
 米国と西側諸国の軍事支出は、世界の3分の2である。または、6割強である。
 韓国はGDPの2.5%も支出しているのでNATOよりは優等生である。
 豪州すら2%出しているのだ。
 われわれのシンクタンクの見積もりでは、米軍を海外の複数の主要な工業国家に展開させているコストは、年に100億ドル弱である。
 それは、米国の国防支出総額のたった2%未満でしかない。
 しかも、その100億ドル弱の半分以上は、ホスト国が負担をしているのだ。
 米本土に戦力を置いていてそこから海外に出撃するよりも、最初から前線近くに戦力を配していた方が効率的である。日本に置いている空母がその典型だ。実質、そうした海外駐留が、米国の国防費を、100億ドル以上、節約してくれている。
 西側同盟諸国はまた、GDPの0.5%ほど、米国よりも多めに負担しているものがある。それは低開発国援助だ。
 米国は、軍事費こそ高負担だが、低開発国援助は、低負担なのである。そこは同盟諸国がカバーしてくれているのだ。
 国連平和維持活動への寄与でも、非米NATOは米国よりも多くの兵員を拠出している。過去10年を平均すれば1万人。
 なるほどアフガンへは戦闘部隊を少ししか送ってないかもしれないが、国連平和維持活動では非米NATO諸国は過去15年の長きにわたり1000人もの死者を甘受しているのだ。
 ウクライナ侵略以後、米国が呼びかけた、対露経済制裁。これで西欧諸国はどれほど経済的に「損」をしたか。米国と違って西欧はロシアと多額の商売をしていたのだ。
 平時の米-露貿易の勘定は、欧-露貿易の勘定の、10分の1にもなっていない。
 同様に欧州は、米国が主唱した対イラン制裁にもつきあってくれているのだ。
 トランプの言うように、米国の同盟国たちは勝手に戦争を始めてそれに米国を巻き込むのだろうか?
 違う。
 WWII後、侵略戦争をしかけたのは、北鮮であり、アラブ諸国であり、サダムフセインであり、中共であり、ロシアである。これらはその当時、米国の同盟国ではなかった。
 パキスタンがインドに戦争を仕掛けたとき、パキスタンは米国主導のセントーの加盟国であったが、パキスタン政府は米軍に加勢に来てもらいたいとは少しも思っておらず、じっさい米国は扶けなかった。同様のことは、英仏がいくつかの殖民地でやらかした軍事行動についても同様であった。
 NATOなどの多数の同盟国のおかげで、戦後の世界には、米国を巻き込む大戦争が起きずに済んでいるのだ。この抑止体制を、米国はたったのGDPの3%の負担で実現しつつある。しかし米国を巻き込む大戦争が起きれば、米国の負担額や損害額はGDPの3%ぽっちではとうてい済まない。
 トランプは、Trexit(西欧からも中東からもアジアからも米軍を引き揚げろ)を追求しているが、それはアメリカの壊滅をもたらすだろう。トランプの口癖を使おう。われわれの国際安全保障体制は、とても良い投資案件ですよ。
 ※90’sにトランプ氏は、コニーアイランドを東海岸のラスベガスにするとした事業などが大不振に陥り、おそらく人生でいちばん苦悩していた。そんなとき、日本の土地買収攻勢が、マスコミ的にとても目立った。トランプ氏は昔からマスコミに注目されない人生には耐えられない。彼の日本嫌いは、1990年代に染み着いたと想像できる。いずれにせよ、日本政府は来年、「THAADを買わされて国産兵器開発予算枠を全部奪われるか、防衛費をGDPの2%にするか」を迫られるだろう。
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 David Willman記者による2016-7-6記事「A test of America’s homeland missile defense system found a problem. Why did the Pentagon call it a success?」。
  「ダイヴァート・スラスター」という部品がある。
 噴射管が4つあり、衝突コースを修正する。GMD用のスラスターだが、この改善型のテストが2016-1-28に実施された。
 インターセプターは加州ヴァンデンバーグから打ち上げて、標的をかすめたとされた。
 当日の発表は、「成功」だった。しかし、それは大嘘だったのである。
 この新スラスターのメーカーは、アエロジェット・ロケットダイン社。
 インターセプターを組み立てている会社はレイセオン。
 ロサンゼルスタイムズの取材によればテストは失敗した。4つの管のうちひとつに故障があり、迎撃飛翔体は、必要なコースに遥かに届かなかった。
 GMD=「グラウンド・ベイスト・ミッドコース迎撃」は、ちっともうまくいっていないのだ。
 GMDは、2004に作戦可能状態になったと発表された。それいらい国民の税金400億ドル以上が突っ込まれている。
 過去、必ず当てるようにお膳立てされた実験でも、半数は、標的を外している。
 今回の失敗の原因はソレノイド・ヴァルブの不具合が疑われるという。
 GMDはクリントン政権が対北鮮BM用に拙速に展開させたもので、ヴァンデンバーグ(加州サンタバーバラ郡の海岸)、フォート・グリーリー(アラスカ)の2箇所に迎撃ミサイルの発射基地がある。
 ヴァンデンバーグには4基、フォートグリリーには26基展開している。オバマ政権は、さらに14基を2017年末までに Ft. Greely に追加することで連邦議会から協賛を得ている。
 ※同様、THAADはいちども中距離弾道弾を迎撃してみせてないだろ、とGAOがするどく指摘している。そんなものをグァムに1個大隊展開してどういうつもりなのか、と。じつに米国では会計検査院もマスコミも、ちゃんとした仕事をしているので、うらやましい限りだ。日本ではオレみたいな個人商店がそれをやるしかないんだから……。THAAD韓国展開の意味は、米国がシナ大陸奥地から北米に向けて発射するICBMをできるだけ早くトラック開始したいというのが1つの目的。つまりミサイルよりもXバンド・レーダーを置きたい。もうひとつの目的は、韓国人の「核武装論」を黙らせることで、サウジが対イランの核武装をしようとするのを防ぎたい。
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 Isaac Stone Fish記者による2016-7-7記事「Beijing Establishes a D.C. Think Tank, and No One Notices」。
  なんと中共はDCにシンクタンクをひっそりと開設していた。ICAS(Institute for China-American Studies)というのだが、まったく宣伝していないので、グーグル検索しても3ページ目にならないと出てこない。
 そしてこの「シンクタンク」は、国際仲裁裁判所の風向きに影響を与える米国世論づくりのミッションには、まったく失敗したのである。
 ※日本ではまだまだこれからも、個人商店(フリーライター)だけが国家の大戦略を考えて提言できるという時代が続くだろう。