『いせ』の皆さん、ありがとうございました。

 ASHLEY PARKER and MAGGIE HABERMAN記者による2016-7-12記事「James Stavridis, Retired Admiral, Is Being Vetted as Hillary Clinton’s Running Mate
  今はタフト大学のフレッチャースクールの校長をしている、ジェームズ・G・スタヴリディス退役海軍大将(四ツ星)が、ヒラリーの副大統領候補になるんじゃないかという下馬評が出てきた。
 スタヴリディス提督はNATO司令官を4年もやった。中東各地での作戦経験も長い。アフリカ沖海賊対策にも粉骨した。
 2012にスタヴリディスは、妻とともにフランスのワイン醸造所の内輪のパーティに出席するために軍用機を私的に動かしてブルゴーニュまで飛んだ、と疑われ、捜査の対象になっている。
 この他にも、実の娘や母親を軍用機に一緒に乗せて「タダ旅行」させたのではないか、等の件で調べられたが、いずれも、不正は無かったとされている。かなり時間がかかったが。
 調べたのはペンタゴンの「インスペクター・ジェネラル」。
 結論として、幕僚に対する指導が不行き届きであり、いくつかの簿記上の瑕疵があったとされた。それだけ。
 他方、トランプ候補が副大統領候補として目をつけているマイケル・フリン元陸軍中将は、いままでずっと民主党員であって、しかも「中絶権」には賛成の立場である。これは米国の共和党支持層からは嫌われる立場である。
 トランプは副大統領候補として誰が人気か、全国行脚しながら見定めて行く方針。火曜日の夜にはインディアナ州知事のマイク・ペンスと語り合った。
 ※室蘭港にておそらく本日一般公開される航空戦艦……もとい、護衛艦『いせ』。特別なご高配をいただきまして、昨日、艦内を拝見してきました。とにかく絵になる軍艦です。後日(『白書2016』のゲラの著者校正が来週に終わってからになります)、写真もご紹介できようかと思います。しかしその前にテキストで盛り上がりましょう。
 わたしは若いときに横須賀で一般公開された米空母の外舷エレベーターは体験したことがありましたが、歳をとりましてすっかり出不精になってから国産空母は現物を見たこともなく、ちょっと残念だと思っておりました。今回、航空機用昇降機に乗せていただいた上、航空発着管制所等でいくつかの愚問にもお答えをいただき、有り難いことだと感謝しております。
 まず拙著の訂正からです。すでに海自のヘリコプターはJP-5を給油されているのだということを承知しました。すいません。だからミッドウェー海戦の二の舞は、起こらないわけです。米海兵隊のオスプレイにも、そのままJP-5を給油すればいい。
 ちなみに本艦でオスプレイが着艦できる箇所は、最後尾の、普通のヘリ着艦点よりも左舷寄りに、1箇所だけ、特別設定されていました。ずらさなければならなかった理由ですが、飛行甲板裏の燃料パイプに、ティルトローターエンジン排気の高熱がもろに伝導せぬように、との配慮のようでした。甲板そのものの耐熱性は、オスプレイだと特に問題はないが(跳箱の踏切板のような反射遮熱鈑をあてがう必要なし)、ハリヤーだとアカンということでした。
 本艦はSH-60クラスの対潜ヘリならば4機を同時に発着させられますけれども、仮にこのフネに陸自のCH-47チヌークや掃海用の重いヘリが着艦しようという場合は、いちばん前といちばん後ろの2箇所だけがそれに対応可能であるようでした。
 理由は、1層下のダダ広い格納甲板に「柱」がなくて、しかも飛行甲板の構造的な強度は〔おそらく復元性や巡航燃費等を重視して〕ギリギリしかないためのようでした。
 この艦には、暗夜且つ濃霧といった無視界の情況でもSHを着艦させられる誘導システムが備わっています。その説明を聞いているうちにわたしは確信しました。戦前の艦上戦闘機に近似した重量のUAV複数を、複数の火薬式カタパルトで舷側から一斉に打ち出して、半自動着艦でまた次々に収容するという運用法が、このクラスのDDHならば簡単にできるはずです。もうすこし軽量なUAVならば、港に碇泊していて、行き脚の無い状態であっても、スウォーム攻撃力の運用が即座にできる。その場合、カタパルトではなくて、VLSのセルを4つ分か3つ分、使って、垂直に打ち出すことも考えていい。そのVLSチューブには、下層甲板において次のUAVを「再装填」するのです。これこそが、妄想的な「対艦弾道弾」とは違う、真に実用になる長距離対艦兵器でしょう。普通の空母よりも数倍頼もしいと思いませんか? 対テロ時代には、間違いなく向いていると思います。
 本艦はあきらかに実験艦だと、わたしはお見受けをしました。航空機用エレベーターは、前と後ろとで寸法が違っています。使い勝手を比較する意味があるのでしょう。
 『おおすみ』のような泛水デッキがないのは、今日の強襲揚陸艦としては、内部容積をヘリコプター作戦のためにフルに使えるので、ベターなチョイスです。シナ兵が地対艦ミサイルを持ち込んで占拠している海岸に40km以内まで近づいてAAV7を発進……なんて時代錯誤に疑いを抱かぬ作戦参謀は、わが日本海軍には一人だって居らぬと信じたい。
 ウェルデッキのある軍艦は、海上での対「グレーゾーン侵略」用の「水上無人艇スウォーム運用母艦」だとか、機雷敷設ができるロボット潜航艇多数を、外からは見えないように発進させたり揚収ができる、特殊作戦向きの特別な軍艦(または巡視船)として設計するべきでしょう。
 その他の所見は、また後ほど……。わたしが小学生のとき最初に作った軍艦のプラモデルは『伊勢』の航空戦艦改装後バージョンです。ウォーターラインじゃありませんよ。ちゃんと艦底まである、ちょっと大きなものでした。あの当時の夢が蘇った。皆様の武運長久をお祈りします。