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 ジェーンのDaniel Wasserbly記者による2016-8-19記事「THAAD’s capacity for intercepts in South Korea unclear」。
  米軍は韓国にTHAADを持ち込むことに決めたが、その高射大隊のランチャーを何両にするかが未定である。
 1個高射大隊は、M1075という車載式発射機を6両から9両、擁することになっている。各ランチャーは8発のミサイルをその車上コンテナに入れている。
 したがって最低定数の6両だったら全部で48発。もちろん予備弾の再装填も可能だが、ミサイルコンテナの取替えには30分を要する。
 なおこのTHAADを運用するのは米陸軍将兵である。韓国兵ではない。
 ※米軍はペトリオットなどの長射程SAMを陸軍に装備させる。しかし日本ではそれは空自の担当ということになっている。これにはいきさつがある。初期に日本ではSAMナイキの役割を、古い有人インターセプターを無人化するものだとして大蔵省に説明したのだ。
 THAADは大量生産されてはいない。2015-6時点で、メーカーのロッキードマーチン社は、トータルで100発目のTHAADミサイルを、米ミサイル防衛庁(MDA)に納品した。ぜんぜん数は足りないていない。MDAが、それを米国内外の陸軍の各高射大隊に交付する。
 げんざい、実戦展開中のTHAAD大隊は5個である。
 いずれの発射大隊も、最低6両のランチャー(=48発装填可能)を擁する。
 トータルで百数十発しか製造されてないのだから、これらの5個の大隊は定数を割り込んだミサイルを持っているだけである。
 早くとも2017年の後半にならないと、各THAAD大隊に48発づつのミサイルは行き渡らない。
 2017-4に上院軍事委員会の戦略戦力分科会にてMDA長官のシリング海軍中将が証言したところでは、FY2017においてメーカーは197発のTHAADミサイルを生産納入することになっている。※米国のフィスカルイヤー(予算年度)は10月に切り替わる。だから年の後半ということになるのだ。
 この予算案はまだ議会を通過していないし、じっさいにメーカーが約束を守れるかどうかも予断できない。しかしすべて思惑通りに進むと、4個の高射大隊がミサイル48発を満足に装備できることになる。その他に試射の分も必要である。
 次。
 日経英文ニュースの2016-8-21記事「Japan eyes fiercer fighter jets to counter China」。記者の署名なし。
 ※官庁記者クラブ経由の特種がわざわざ世間の話題にしづらい日曜日に発表されるということは、その官庁ではこの話を「はばかりある企画」「観測気球」「アリバイ広報」と認識していることを意味する。他方でこいつは英文サイトだから、シナ人インテリにはしっかりと銘記してもらいたいわけである。
 空自は200機あるF-15に吊下するAAMの数を倍化させて16発にするつもり。
 また疲労した主翼は交換して運用寿命も延ばす。
 2016-1に空自は築城基地のF-15スコードロンを那覇に移し、沖縄の空自F-15を40機に増強した。
 F-35が空自にもたらされるのは2017年度であり、しかも最初は三沢基地である。そこで米軍から稽古をつけてもらってからでないと、沖縄方面へは出せない。
 ※単機のF-35を先行空中指揮機(ISR & キュー出し任務)とし、それにミサイルキャリアーのF-15が3~4機続行して、アーセナルプレーンとして長射程のAAMをつるべ射ちする。こっちの4機で向こうの64機を屠れる。1日で60機損耗したら、第二波はありえない。でも、やろうと思えば今だって日本が独自に複座のF-15を改造してAESA搭載の空戦指揮機(兵装はぜんぶおろしてしまう)として超低空で先行させるという用法が可能なはずだ。