「読書余論」 2016年9月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 第一復員局『陸軍航空後方業務の沿革史 附表・附録』S22
  装軌運土車×200両をS19につくる予定だった。
▼防研史料 大刀洗陸軍航空廠 修理斑『昭和十九年度 参考書類綴』
 S19-6-16に北九州で撃墜したB-29を調査したところ、「ファウラー式下ゲ翼」がB-24と同一であり、コンソリの技術がボーイング社に使われているらしいと推定。
▼防研史料 遠藤三郎、篠尾正明『軍需省 航空兵器総局 関係資料』
 ※戦後に作成したもの。
▼防研史料 陸軍航空審査部総務課『航空技術報告綴』S20-8-15
 飛行場設定器材 一覧表。
▼防研史料 航空本部技術部『航空技術報告綴』S20-8-15
▼防研史料 『陸軍航空本部関係参考書類綴』大6-12-20~大12-1-11
▼防研史料 長嶺亀助『航空戦備の追憶(満州事変前後より)』S30-2-11
 ※最初期の陸軍機用投下爆弾の実態。
▼防研史料 『陸軍大学校航空戦史研究資料』3冊合冊 S17頃
 所収・青木大佐「大東亜航空戦史に関する観察」
 対米戦の緒戦で陸軍航空隊がけっこう艦船を沈めている。3FBのみにても、潜水艦×1、駆逐艦×1、1000トン以上の汽船×15隻、軍艦3隻を大破または沈めた。
▼防研史料 『臨時航空技術練習委員関係書類(仏国航空団関係)』大7-12-12~大11-8-25 〔ハコ 27〕
 フォール大佐が面食らったこと。トワイライトの時間帯に飛行訓練するのがいちばん実戦的なのに、日本人は日没近くの訓練を頑固に嫌う。理由は、彼らは毎日夕方には入浴すると決めているためだ。
▼防研史料 『射爆撃用諸表』
▼防研史料 大東亜戦史資料『後方関係』
 劣勢期は河川運送はだめ。少数トラックによる夜間輸送しかない。
▼防研史料 『航空技術報告綴』S20-8-15
※この資料の引用には要注意。必ずしも正確ではない。
▼『日本海軍航空史(3)制度・技術篇』S44 時事通信社pub.
  所収・「爆撃兵器」/安延多計夫、永石正孝
▼臨時軍事調査委員『各国各兵種使用兵器概見表』大5-11
▼防研史料 酒井亀久次郎「火砲製造の想い出」S29稿 〔中央/軍事行政/兵器/34〕
 著者は元「日特金」の常務。
▼陸軍省『兵器沿革史 第二輯』大9-12
 ここには「グリロ」と紹介されている。
▼陸軍省『兵器沿革史 第三輯』大7
 重砲である。
 ここにはM16に招聘したのは「ペグリロー」だと書かれている。
 ※この「ペ」というのは、頭文字の「P」のイタリア語読み。だから「P・グリロ」と書くか、省略しないで「ポンペオ・グリロ(Pompeo Grillo)少佐」と書くのがよかったのだが、どうも編纂者にも判断材料がなかったようだ。グリロ少佐の雇われ期間はM17-4-2~M21-4-1である。
▼陸軍省『兵器沿革史 第5輯』大9
▼相馬基ed.『参戦廿将星 回顧卅年 日露大戦を語る〔陸軍篇〕』S10-3
▼東京大学史料編纂所『維新史料綱要 巻八』S13初版、S59repr.
 鳥羽伏見で有坂成章は何をしていたか。
▼谷 寿夫『秘密日露戦史』初大14、S41repr.
 ※輜重車改造の顛末。
▼黒板勝美『新訂増補 国史大系 第一部 4 続日本紀 後篇』S32
 535頁の頭注によれば、「拙、原作獨、據 原傍書 金本 堀本 改」。
 ※つまり今の活字本では「夫兵貴拙速未聞巧遅」となっているけれども、それは原本では「夫兵貴獨速未聞巧遅」となっており、それを閲覧した昔の学者たちは「獨」は「據」ではないかと疑っていた、というのである。
 しかしこれはむしろ、何回も転記されているうちに「神速」が「獨速」に化けた、と考える方がいいのではないか。
▼富山民蔵『語構成から見た日本書紀・古事記の語・語彙の比較研究』
 「拙」の字は、書紀には5回出るが、古事記には出ない。
 「速」は書紀に73回、古事記に48回出る。
 「神」は古事記には787回出る。書紀には1106回出る。
 「兵」は古事記に18回、書紀に222回出る。
 「貴」は古事記に3回、書紀に87回出る。
 「閒」は書紀に147回、古事記に57回出る。※聞の字は双方ゼロ。
 ※これから、「拙速」などという用語は奈良時代には知識人の語彙としてもほとんどあり得なかったのだと推定できる。「神速」だったなら、何の不思議もないのだ。
▼Gregory D. Black 他著『OWI goes to the Movies』
▼ジャック・ウォディス著、土生・河井tr.『クーデター――軍隊と政治権力』1981-6pub. 原1977“Armies and Politics”
 1962時点でインドネシアでは軍隊と共産党の2雄が拮抗していた。そこで軍隊が1965に天下を掌握。共産党は資金源を末端党員からではなく一部のカネモチからの寄付に依存していたので統制動員力は弱く、混乱して粉砕された。
 共産党幹部は中共に亡命した。
 イタリア共産党は、徴兵による軍隊を主張し、職業としての軍隊には反対する(p.219)。「徴兵による軍隊は、新しい民主的制度の安全装置になるであろう」。
 イタリア共産党は、「徴兵による軍隊だけが、軍隊と人民の生き生きとした関係を保障することができるのであり、それが憲法制度、国の民主的発展、有効な国防の基本的保障となる」と主張する(p.219)。
 フランス共産党もこの立場。「一般兵役制の原則にもとづく徴兵制の軍隊により、国民および民主的国家は、信頼できる大衆的防衛を準備する手段を獲得する。また人民の意志にたいするいかなる干渉にも反対する強力な徴兵軍によって民主的保障が確保されるということもみのがされるべきではない。」(p.220)。
 結論。共産党は軍隊とその母体である中間層を味方につけるべし。
▼小田切盛徳・述、田中稔ed.『日本刑法沿革史』M15-10
▼豊田武次郎ed.『日本刑法沿革史』M16-12
▼服部信廉ed.『日本刑法沿革紀略』M15-8
▼渡辺政太郎ed.『徳川氏刑法』M21-1
 ※中田本のメモ間違い。12ヵ月で免罪されるのは、反逆、謀殺、邪曲による人殺し、放火強盗「を為したる者の外」に限られる。
▼高橋治俊・他『増補 刑法沿革綜覧』原大12、H2repr.
▼穂積陳重『祖先祭祀と日本法律』大6
▼穂積陳重『復讐と法律』S6
▼留岡幸助『不良少年感化事業』M35
▼横山彌四郎『隠岐の流人』S28
 大塩平八郎の甥2人。9歳のは佐渡へ、7歳のは隠岐に流された。三族であるから本来は殺されるべきところを、一等減ぜられたのである。ただし15歳との説もある。
▼兵頭賢一『宇和島郷土叢書 第9巻』S44
 狩猟中の鉄砲の暴発を「あだ落」といった。これによって村人を疵つけた場合、怪我が本癒しても、流罪。
▼山本仁・他『定本・佐渡流人史』1996
 行刑が急にきびしくなったりするのは、酒狂を乱心と偽る宥免願が多発し、またそうした出願に賄賂性が出てきたため。
 徳川刑法は、死刑に相当する罪かを決めるのにきわめて慎重。「生死之境」を軽く見てはいなかった。
▼鈴木光志『神津島集説 II 神津島の流人』S58
 八丈は、遠いわりには、親類からの見届物が、早く届く。
 物質的には御蔵と神津が別して悪い。流人がよく餓死した。
 どうしようもないほど粗暴な者は、「島替」される。最後に送られたところが、神津、御蔵、利嶋、小島、青ヶ島。
 伊豆七全体で、女の流人の罪状。多い順に。放火。博打。不義。子殺し。子捨て。子虐待。人殺し。借金かたり。仇討ちを怠る(幼少時に親を殺されたが、内分に金子をうけとり相済した罪)。吟味中に死亡した放火犯の夫の身代わり。
▼司法省秘書課『徳川刑事裁判判例集 上』原S11、1986repr.
 過って車を引っ掛け4人を傷つけた者共。遠島。
 馬の牽き方を怠り、往来の幼女を誤殺せし者。遠島。
 見世物の熊の番を等閑に致し、幼者を傷殺せし者。遠島。
 ※要するに純然たる過失致傷の重いものや過失致死はほとんどが遠島。
 鹿を射って人を殺してしまった者。遠島。
 天明7年、火消し人数の出るのをおもしろがり、再三放火した2人の子供(年齢不明)、「幼年とは申し乍ら、重々不届き至極に付き」、遠島。
 父親が死に、母親が道心者の家に身を寄せていたが、娘は奉公口から二度戻され、また母親は旅に出ているので会いたいと放火。15歳まで預け、遠島。
 遊女奉公耐へ難く放火。名主いう、全く愚昧にて弁え無き所業と。遠島。
▼司法省調査課『司法研究 第8輯・報告書集7』 S3-12
 戦前博徒の仁義口上が採録されている。珍。
▼原胤昭・他『江戸時代 犯罪・刑事罰事例集』原S5、1982repr.
 拷問や処刑法のディテールが証言されていて、これをネタにした時代劇小説や劇画は数知れない。
▼リゾーリ社ed.『世界の遺跡と名建築 第8巻』S58
▼(株)ジャパンエナジー『大煙突の記録――日立鉱山煙害対策史』H6-2
▼新田次郎『ある町の高い煙突』S44
▼山田&大場・共著『風呂のはなし』鹿島出版会 S61
▼全国公衆浴場環境衛生同業組合連合会ed.『公衆浴場史』S47
▼三井不動産(株)『霞が関ビルディング』S43-4
▼早大雄弁会OB選挙研究会『ザ・選挙』H3
 角栄の人名記憶法。会話中に相手の名を何度か言う。
 すれちがったら名前を呼べ。
 選挙運動中、自分の出している雑誌を定期購読者以外に頒布するときは、有償でないと×。しかも、月刊以上のペースで出していないものは×。
▼飯島清『人の心をつかむ法』S44
 選挙スタッフは、選挙の戦術は知らなくていい。まず選挙法を知ってくれ。
 都市住民は多忙なので直前のできごと以外はぜんぶ忘れる。だから運動を早く始めてはダメ。田舎は逆で、1日でも早く運動した方が得。
▼被選挙生活研究会『極楽! 議員選挙マニュアル』1995
 法により、個人では政治資金を受け取ることはできない。
 新聞広告は、物好きが読むもの。だから文字ギッシリ書いて攻める。
 TVの政見放送は、とにかく「濃く」やるべし。
▼渡辺・タケバヤシ『まんがマニュアル 当確!! 選挙術』1993
 前回の最下位当選者の獲得票の2倍の名簿が事前に集まらぬようなら、運動ははじめから無駄。やめちまえ。
 選挙カーはクラクションを使うな。
 走行中のタバコも禁止。
▼鈴木精七『選挙参謀、手の内のすべて』1995
 遊説に力を入れたがる幹部。それは、自分が票集めの汗を流したくないだけ。
 食堂でてんぷらなど注文している活動員は、咽を痛めていないわけで、サボっていると判断できる。
 市町村の街頭演説は、かならず役場の前で。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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