『大統領戦記2』は10月に刊行予定。こんどは遅れない予定(笑)

 Alex Grigsby記者による2016-9-15記事「A Peek into French Signals Intelligence」。
  フランス外国情報機関のシギント局長を2006~2014に勤めていたベルナール・バルビエが、数ヶ月前、工科大学生たちを相手に講演した。
 その機微な内容はユーチューブにUpされ、すぐに削除された。
 しかし抜け目なく『ルモンド』紙がトランスクリプトしてくれている。
 バルビエはこう語った。
 エリゼ宮にマルウェアがしかけられていると、わたしの同僚が2012に発見した。
 メタデータ解析とスノーデン情報のヒントにより、これは米国NSAの仕業だと2013年には結論できた。
 それでオランドが私に、アメリカを非難せよと命じた。2013-4のこと。
 NSA長官は、これは決してバレないと思っていたそうである。それを、直接、聞いた。
 またいわく。
 カナダ版NSAであるCSEは、2009にカナダにサイバーエスピオナージしてきたのはフランスではないかと疑っていた。というのはマルウェアのプログラム中に、フランスの子供向け漫画『象のババル』の関連名詞が使われているので。このマルウェアは「アニマル・ファーム」と名付けられる。
 いかにも、それはフランス製である。
 またいわく。
 欧州諸国がNSAに対抗するためにシギント部門を統合できるか? 答え。実現性があるのは、仏独電子諜報同盟だけである。
 欧州28ヵ国のなかで、インテリジェンス機関が充実しているとフランスが認めるのはスウェーデン。最もダメなのはイタリアである。スペインはイタリアよりややましというレベル。
 英国のGCHQの6500人はすばらしい。しかし英国を欧州の国とは呼べないのだ。
 仏DGSEと独BND、ふたつの電子諜報機関員はこれまでも協働してきている。しかし仏英の電子諜報機関員は、協働しているとはいえない。
 仏独電子諜報部門が合同するとスタッフは1万5000人規模となる。
 NSAは、6万人である。
 いま、DGSEのなかのシギント要員は3000人。政府はこれを増やす必要がある。
 ただし昨年、BNDがフランスをスパイしているという報道があった。
 スノーデンは米国にとっては裏切り者だが、ジュリアン・アサンジのために何かしたわけじゃない。シスコ社のような米国企業が外国に売るハードウェアには最初からスパイ回路が入っている事実を知らせてくれたという点でフランスは助かっている。
 NSAはスノーデンを契約職員として雇用し、システムアドミニストレーターにしていた。阿呆かと。フランスではシステムアドミニストレーターはキャリア20年弱の国家公務員でなくてはならないのだ。だからフランス版のメガ漏洩者は出にくいと思う。
 ※『アメリカ大統領戦記 2』の範囲は、ニューポート攻防から、ヨークタウン戦が決着してGWがマウントヴァーノンに還るところまでです。対インディアン戦と数度の海戦(制海権問題)の解説も加わるため、昨年の第1巻よりも相当にボリュームが増えました。この本が出たあと、わが国の大学で米国政治史を学ぶ諸君は、必ずこれをいちど読むことになるであろうと、今から確信しています。