いま西方にいちばん足らないのは「弾薬庫」。北海道にうなっているタマを平時に沖縄へ運ぶ方法もない。海自の12隻の弾薬船しか使えないので。

 Julian Ku 記者による2016-10-24記事「The Latest US Freedom of Navigation Operation Opens the Legal Door to More Aggressive US Challenges to China’s Artificial Islands」。
   2016-10-21実施の最新FONOPは、中共の主権クレームを真正面から斥けた点で、それ以前のFONOPよりも踏み込んだものだった。
 ペンタゴンは、駆逐艦『ディケイター』が中共占領島嶼の12海里内には入らなかったことを認めた。
 しかし「ルーティンである」とも公式発表したので、「無害通航」とは違うこともペンタゴンは示唆した。
 これはどういう意味かというと、中共はパラセル諸島の領海に関して超過直線的な排他ベースラインを主張しているのだが、米艦はそんなものは認識していないと態度で示した。
 この、領海の超過直線ベースラインとは、個々の島から12海里計ったよりも覆域面積が広くなるものである。『ディケイター』は、個々の島の12海里よりは遠いが、超過直線ベースラインよりは内側に踏み込んだのだろう。そこを中共が領海だと主張することを認めていないと、言動によって示したのだ。
 詳しくはUNCLOSの「アーティクル7」を見よ。ふつうは海岸の低潮線を領海計測の基準線としなければならないのだが、急に深く切れ込んだ入り江だとか、本土海岸線近くに沿って点々と島嶼がある場合は、律儀に縁線を屈曲させずに短絡式に直線を引いてもよいことになっているのだ。
 過去の米艦のFONOPの多くはこうした、超過直線ベースラインのいくつかについては米国は認めていないぞと態度で表明するために、実施されている。そのターゲット国には韓国やベトナムや台湾までも含まれている。
 超過直線基線は、フィリピンとか日本のような群島国家に対して認められている権利で、中共のような大陸国家には濫用権はないのだ。
 米国はパラセルに関してはどの国が超過直線基線を主張することも認めてはいない。
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 ストラテジーペイジ の2016-10-25記事。
  中共が確認。『S20』型ディーゼル潜を8隻、パキスタンに売る。
 4隻はパキスタン内で組み立てる。1艦は6億ドルの見込み。
 中共の『41型』/『39型』の輸出型が『S20』である。
 S20にはAIPはつかない。
 AIPシステムは、それだけで2億ドルする。
 中共はすでに15隻の『41型』を就役させている。他に5隻が建造中。
 『41型』はロシアのキロ型の後期型のコピーである。
 中共は、キロより改良されていると言い張るが、ロシア人は、劣化コピーでありしかも知財泥棒だと見ている。
 しかし中共のコピー品でも、そんなにうるさいということはないようだ。
 S20は、1900トン。38人乗り。
 ロシアの潜水艦でいちばん静かなのは、キロ型だ。
 パキスタンは現在潜水艦を5隻持っている。2014の対支リクエストでは6隻調達であったが、結局、8隻調達となった。パキスタンが潜水艦を使いたい敵は、インドだけである。
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 Dave Majumdar 記者による2016-10-24記事「Russia’s Super Secret Spy Submarine Returns to Sea」。
  謎の特別改造原潜『ポドモスコヴィエ』。16年ぶりにセヴェロドヴィンスクを出た。
 1986建造のデルタIV級のSSBNだったが、特殊偵察任務艦に改造された。
 要するに『シーウルフ』の向こうを張れるものが必要なので、いろいろやっているわけ。
 つまり、UUVを運用したり、フロッグマンを運用したい。それもごく静かに。
 無人潜航艇だと、深度6000mまでも行ける。
 ところが有人の原子力動力の超小型潜水艦『AS-12 ロシャリク』というのもそのくらい潜れる。そのテンダーにもなるのではないか。
 ロシャリクの主任務は海底ケーブルに盗聴器を仕掛けることである。※あと、海底ケーブルの切断ね。
 原子力動力のミニサブとしては、『パルトゥス』と『カシャロット』もある。
 表向きは、科学研究用だが、狙いは同じ。