チタン合金の屋根は富裕住宅のステイタスなんだという方向のPRが足りない。「見せびらかし消費」を誘わなければ。

 Bob Woodward記者による2016-11-13記事「Trump is about to learn all of ‘our deep secrets’」。
  政権の移行期間中、次期大統領はまず、米国の諜報能力について説明を受ける。
 ついで、現在進行中の秘密作戦について。核戦争になったときのオプションについても。
 オバマの回想。このブリーフィングは2008にシカゴの防備万全施設で受けた。そのビルの窓に鉄格子があるのは幸いだった。もしなければ、そこから飛び降りていただろう。そのくらいのショックだった。
 トランプのスポークスマンはホープ・ヒックス(♀)。
 政権移行期間の終始にわたって、このブリーフィングは続く。それが過去の常例である。
 CIAの公表名簿に記載されていない、外国で活動しているスパイの名前。これも、もしトランプが望めば、教えられる。その海外スパイたちのために米政府は巨費を割いている。しかし過去の次期大統領は、めったにその名を問わなかった。
 進行中の秘密作戦は、トランプが新命令を出さない限り、続行される。
 もし新大統領が新しい秘密作戦をスタートするなら、そのことを上下両院の「情報委員会」に知らせなければならない。
 その極秘情報を共有していい「8人組」とは。上下両院の2大政党の院内総務、つごう4名。プラス、情報委員会の委員長2名、そして最有力委員2名。この8人以外の議員は何も知らされない。
 そして新大統領は、米国がいかに核の不拡散のための秘密作戦を遂行中であるか、知らされる。
 ※もしトランプが来年1月以降、「日本を核武装させろ」と言わなくなったなら、それはわたしの仮説の「ニクソン=毛」密約についてブリーフィングされたからだろう。
 ついで、他国政府のコンピュータネットワークに対する攻撃能力。
 フットボールとよばれる核発射命令ラップトップPC。それには「ブラックブック」という75ページの手帳がついている。核攻撃のすべてのオプションについて、コードが記載されている。
 対露の核攻撃はおおきく三種類。軍事目標限定。軍事経済まで拡大。指導者目標限定。
 もちろん、他に多数のオプションが。
 ブラックブックには、各オプションの想定殺害人数も併記されている。大きいところでは1都市で100万人が死ぬ。
 ここが新大統領にはショックなところだ。というのはICBM反撃命令は数分以内に下さねばならない。側近やセクデフやNSCメンバーに相談しているヒマなどないのだ。ゆえに大統領本人が常に頭の中にICBM核オプションのすべてを入れておかなければならない。これを就任日までに真っ先に暗記しておかなければばならないのだ。それには想定被害人口の数値もある。世界を吹っとばすオプション。それが6種類以上ある。だからショッキング。
 ブッシュ(子)は就任の5日前まで核ブリーフィングを受けていない。
 過去のすべての大統領は、このブリーフィングをよろこんでいなかったようである。
 次。
 Kristina Wong and Rebecca Kheel 記者による2016-11-12記事「Five things to watch for with Trump’s Pentagon」。
  もしトランプが国防費を増やすと5830万ドルの予算枠が7000万ドル近くに増える。
 ※イスラエルにF-22を売れというかもしれませんなあ。義理の息子がアレだから。
 国防費天井切り詰め法は2021まで有効なので、これを撤廃するには議会に法改正してもらわねばならぬ。
 しかし共和党議員たちとて野放図な軍事出費には賛成していない。マケインとは対立するだろう。
 また、富裕層に対してまで減税すれば、政府の赤字は増える。
 シリアについてはアサドでいいじゃないかというのがトランプの意見。
 難民が欧州にやってこないようにシリア内にセーフゾーンを設けるともいう。
 しかしロシアはそのセーフゾーン内の集団を「テロリスト」認定して爆撃するだろう。そこから米露戦争になる可能性がある。
 トランプは2016-8に「ネイション・ビルディング」は終わりだ、と宣言している。だからアフガンからは撤退。
  ※中共をして中央アジアのイスラム聖域を制圧させれば一石二鳥じゃね。
 トランプは就任前にプーチンと会うつもりである。
 副大統領のペンスは、シリアでロシアと対決する気満々。
 国務長官になるのではないかと下馬評のある上院外交委員長のコーカー。彼もシリアでのロシアの行動には反対だ。
 ブルッキングスのマイケル・オハンロンによれば、NATOについてトランプにはいつくかの手がある。たとえば「GDPの2%を拠出してない国の防衛には米国は関知しない」と宣言することだ。
 オバマは2017-1-20までにグァンタナモ刑務所を閉鎖する気だった。しかしトランプはそれを維持するだろう。
 ※キューバに領地をもっているのがおかしいので、キューバにグァンタナモを買い取らせればいいのではないか。不動産屋なんだから。その資金は国際金融団が融資するよ。
 次。
 Gordon G. Chang 記者による2016-11-12記事「Here’s How China and Russia Will Test Trump」。
  NATO条約の第五条が、共同防衛を謳っている。リトアニアが攻撃されても、それはアメリカが攻撃されたものとみなす。
 トランプが減税し、かつまたインフラに投資しはじめると、アメリカ経済にはブームが起き、金利が上がるだろう。
 現在でもシナからは年に1兆ドルが流出している。それが加速するだろう。
 次。
 Jeffrey Goldberg 記者による『アトランティック』2016-12月号記事「The Lessons of Henry Kissinger」とその余禄。
  選挙前にキッシンジャーに長いインタビューをしたのを記事にした。アトランティック・マガジン12月号。
 インタビューは、2016-11上旬より前の長期間をかけたものである。
 トランプの当確後、キッシンジャーに電話で追加インタビューした。彼いわく。ISや他のジハーディスト組織は2017-1月早々にトランプ新政権を試みるはずである。お手並み拝見だ。そしてオーバーリアクションも引き出そうとするだろう。
 キッシンジャーもヒラリーが勝つと思っていたので驚いた。
 トランプはプーチンの擁護者ではないね。しかしプーチンから声援されたら、それには応える必要があると彼は考えちょる。
 全ての外国は、6~9ヶ月、様子を見るはずだ。
 しかしNGOテロリストはそんなに待つ必要がないから、もっと早く威力偵察を試みる。
 トランプ現象の背景。アメリカの中産階級が、インテリや学者たちから価値を攻撃されていると思っていて、その反撃に出た。
 大統領には避けられない義務がある。アメリカは何を達成すべきか。アメリカはなにを避けたいか。どうしてなのか。それを説明しなくてはいけない。
 バーニー・サンダース上院議員は、ヒラリーがキッシンジャーからの承認を求めているといって予備選挙段階で酷評していた。
 キッシンジャーは93歳だが、彼が基本的に正しいと思っていることに人々を同意させたいという熱意は衰えていない。だからすぐにインタビューに応じてくれた。
 ただし発言内容の取り扱いについては異常な制限を求められた。
 たとえば活字にするときは、アトランティック誌が前に特集したオバマ記事と同じ、1万9000語の長さにして欲しいと。
 インタビューはトランスクリプトされ、彼に示された。彼は、論点をわかりやすくし、論議を拡張するためにためだけ、それに手を加えた。これは事前の約束だったが、彼は守った。
 キッシンジャーの田舎の家はコネチカットにある。5月の週末に初回のインタビューをした。
 キッシンジャーは、米支関係こそが最重要の国際関係だとわたしを納得させた。
 キッシンジャーは、オバマがそれ以前の大統領のように彼に相談したがらないことに不満のようであった。
 オバマ政権は過去の政権の外交に批判的である。それはキッシンジャーには、彼個人への攻撃と映っているようであった。
 オバマにインタビューしたとき感じたこと。部屋には常にキッシンジャーの亡霊が居る。そしてオバマはキッシンジャーは冷戦期に失敗したと思っている。「クレディビリティ」(有言実行)を証明すべくカンボジアまで爆撃したニクソン=キッシンジャーは愚かだったとオバマは信じている。オバマはそういう前例を破った〔=レッドラインを超えたアサドを空爆しなかった〕ことを誇りに思っている。
 前のインタビュー記事に出ているようなオバマの態度、すなわち他国指導者を見下したような物言いが、キッシンジャーには不快である。一国の指導者は謙虚さを身に着けているべきだ。※いや単にじいさんの自尊心が巨大すぎるんじゃね?
 サンダースにいわせるとヒラリーは、不徳な連中とつきあいすぎている。
 キッシンジャーはヒラリーと近い。しかしそういう表現をするマスコミ記者は、要するにヒラリーが嫌いなのだ。外交面のあたりまえの結論というものが理解されていない。
 以下は選挙前のインタビュー。
 議会もメキシコも、壁には協力しないだろう。
 ヒラリーが国務長官時代、よくキッシンジャーと懇談していた。
 キッシンジャーが認める、天賦の才能があった政治家。それはレーガンとビル・クリントンとロックフェラーだ。
 もしヒラリーが勝っていた場合、民主党内のサンダース派がすべての政策について抵抗した可能性がある。
 TPPの意見を聞くためオバマは2015-11に存命の元国務長官OBのうち4人だけ集めた。パウエル、ベイカー、オルブライト、キッシンジャー。
 ソ連封じ込めは正しかった。ウォレスだけが反対したが放逐された。モサデク追放はやりすぎだったかも。
 モサデクのイランにはわれわれは堪えられなかった。だから追放した。
 今日、エジプトやトルコの内政にわれわれは不快である。
 オバマは対ベトナムの武器禁輸を撤廃した。これにシナ人は苛ついている。
 ※過去の米政権は、中共に対して、「ベトナムには兵器を売らない」と密約していたのか?
 たとえアメリカ1国となっても、何を追求しなければならないか。これをまず新大統領は自問すること。
 次に、たとえアメリカ1国となっても、何を避けなければならないか。これを自問すること。
 諸地域のカオスをどう減らしていくか。
 キッシンジャーは1955以降の政治については、ほぼインサイダーとして語る資格がある。
 アメリカが達成した人権はすばらしい。しかしそれはベトナムやイラクには実現できなかった。
 第二次大戦が終わったとき、米国のGNPは世界の55%であった。
 しかし今はGNPで22%ぐらいだ。これがすべてを物語る。
 いまや諸政策をアメリカ1国だけでは押し通せないし、小さいプロジェクトを同時に多数実行することもできなくなっている。
 サダム追放は正しかった。しかしイラク民主化は余計だった。
 アサドがレッドラインを超えたのに爆撃しなかった。オバマは、カンボジアを念頭に、そう決断したようだ。
 言い訳させてもらおう。
 当時カンボジア内には北ベトナム軍が4個師団もいて、南ベトナムに越境攻撃しては毎週500人の米兵を殺していたんだよ。
 パキスタン、ソマリア、イエメンでのドローン爆殺にわたしは賛成なんだ。
 記者は判断する。オバマはこう考えている。ニクソンとキッシンジャーがカンボジアを爆撃した目的は、ハノイに対して「おれたちは本当にやるぜ」と認識させる演出にあった。つまり、ハノイに対するクレディビリティ強調のためだった、と。
 それは間違った総括だ。ニクソンが就任してから1ヵ月で、カンボジア内のベトナム軍のために米兵が2000人死傷していた。それを減らす必要があったのじゃよ。
 ニクソンが就任してから2週間で、ベトナムは攻勢を開始したんじゃ。
 インドシナからは総撤収するしかなかったんだが、ジョンソン政権末期にはそんな政策オプションは微塵も検討されとらんかった。
 55万人もインドシナに送っていたから、撤退は18ヶ月はかかる。
 しかも敵は80万人で取り囲んでいた。
 オバマはこう語ってくれた。アサドを本当に爆撃したところで、米国は敵からクレディビリティを買うことにはならなかった、と。
 ※これはおかしい。アサドを無人機爆撃で脅かしてやる方法は常にあったはずだ。キッシンジャーもそこをほのめかしたのだろう。
 ジョン・ケリーは過去1年、オバマにアサドを爆撃させようと相当骨を折ってた。
 ケリーはベトナム戦争に抗議した若者だったのに、今ではカンボジア爆撃みたいなことをやりたがっている。
 アサドが消えても次に何が起きる? そこを考えろって。
 米支秘密交渉はパキスタンを仲介者として進めていた。
 しかしパキスタンは同時に人権弾圧国家でもあった。特にバングラデシュにおいてひどかった。
 米支が関係を公にしたあとで米国はパキスタンに対して、バングラデシュの自治を認めろと迫った。
 1971-11にパキスタンの大統領はニクソンに、1972-3にバングラデシュを独立させると約束した。
 ところが1972-12にインドは、難民の流入を解決するために東パキスタンに攻め入った。インドは直前にソ連から武器弾薬を援助してもらっていた。
 米国とインドとの関係は1974に回復された。というのは1972-2に米ソがソルト1を調印して手打ちしていたからだ。
 シナの歴史は西洋からの孤立の歴史なのだ。それでよかったのだ。
 中共の外交観念は独特である。彼らは西側の国々を対等な公的主体だとは看做さないのだ。(it〔=チャイナ〕 did not consider foreign countries as equal entities.)
 2049年、すなわち中共建国から100年後までに、習近平は米国と物質的・軍事的に並ぶつもりである。
 習近平はWWIの再現のようなことは避けたいと考えている。今、西側と対決すれば破滅だ。だから、現実戦術として、周辺の敵国をひとつづつ味方に取り込む努力を続ける。
 キッシンジャーは、その習近平の目標に米国が協力すべきだと主張する。
 シナ人は、平和のための永久的な解決というものはこの世界にはないんだと考えている。
 ひとつの問題が片付けば、それはイコール、「次の問題発生」なのだ。
 そこで彼らはトレンドに気をつける。これから15年間のトレンドに気をつけているのだ。
 このギャップがあるために米支首脳会談は実りがない。彼らは長期を考え、対する米国のマスコミは短期の成果を大統領に期待しているから。
 シナは隆盛したのではなく、19世紀の落ち込みだけが例外であったのだとシナ人は考えている。彼らは終始一貫、世界の中心の王国なのだと思っている。
 米国の戦略家は、解決方法ばかり考える。解決したら、去るつもりだ。
 シナ人は、解決などはできないものと考え、プロセスに注意している。彼らは問題から立ち去れないと覚悟している。ワシと周恩来との会話のトランスクリプションを読んでみてくれ。そうすれば分かる。
 このギャップあり限り、米支は噛み合わない。
 米支貿易戦争だけはしてはならない。
 シナを封じ込めろという政策には私は反対する。
 むしろTTPに中共を加盟させるべきなのだ。
 プーチンを理解したくば、『マイン・カンプ』ではなく、ドストエフスキーを読まねばならぬよ。
 プーチンはロシアが弱くなったことなどよく承知の介だ。
 オデッサもセントペテルスブルクも、湿地だったところを、ツアーが都市に造成させた。
 スウェーデンのカルル7世は、なんでウクライナまで南下する必要があったかというと、ロシアの貧農たちが率先して焦土戦術をとったので、糧食が得られなかったのだ。貧農が愛国者であるというのがロシアの恐ろしさなのだ。
 民主党左派と共和党ネオコンは、ロシアなど亡びればいいと思っている。これが多数派である。
 キッシンジャーは反対する。秩序が大事だ。ロシアをバルカン化してはならない。
 ウクライナの騒動が満州までひろがってしまうんだぞ。
 ウクライナはロシア圏と西欧圏のつなぎの橋となるべきで、どちらかの最外縁陣地となるべきではない。
 ウクライナは、今のオーストリーやフィンランドのようになるべきである。NATOの一員ではなく。
 ドンバスは切り取らせてはならない。そうなったら残ったウクライナは永久的にロシアの敵国となる。そこはプーチンを説得しなければならない。
 プーチンが2001に権力を握ったとき、アメリカは対イスラムの同盟者だと思っていた。ところがアメリカが2004からウクライナのNATO引き込みに動いたので、アメリカはもはや敵であると考えを変えたのだ。