THAADは「東風21」には無力――と解説できる韓国新聞は、日本の通信社よりも人材が揃っている。

 ストラテジーペイジの2016-12-5記事。
 今度は陸上部隊のステルス化。
 米海兵隊は、使用するすべての小火器にサイレンサーを装着する研究を始めた。重火器の12.7mmにまで試みる。とうぜん自動小銃も消音化する。
 そのコストは、大隊(陸軍の連隊相当)あたり100万ドル未満で済むのに対して、サイレンサー部隊の実戦での効果は絶大になるという。
 正確には消音器ではなく、発砲音抑制器=サウンドサプレッサーである。
 兵隊は単に「サプレッサー」と呼ぶ。発射音だけではなく、後方反動や、銃先のブラストの放散等もマルチプルに抑制してくれる。
 狙撃手は、サプレッサーを使うことにより、近距離からの発射でも自己位置が敵にバレない。
 軽機にサプレッサーをとりつけると、これまでよりも、照準が容易になる。
 米軍特殊部隊は、急襲突入に使う拳銃には従来からサプレッサーを取り付けてきた。
 サプレッサーは射撃後の手入れが必要である。兵隊にとっては仕事が増える。だが、メリットには換えられない。
 2016年12月1日現在までの集計。本年、米国は20機の宇宙ロケットを打ち上げた。それに続くのは中共で19機。それに続くのはロシアで18機。
 2016-11-17に露軍の長距離重爆が、スホイ30に直掩されながら、片道1万1000kmを飛び、地中海上からシリアのISに向けて巡航ミサイルを発射し、途中で2度、空中給油を受けながら、またロシア本土に戻ってみせた。
 2016-11-14にシリア沖の海岸に、3機のミグ29艦上戦闘機がエンジントラブルで墜落。ちなみにロシア空母『クズネツォフ』はミグ29とスホイ33を積んでシリア沖に在るが、空爆作戦は、その空母からは実施していない。艦上機は、いったんシリア陸上の航空基地に着陸し、そこで燃弾を搭載してもらってから反アサド軍を空襲しているのだ。つまりロシアの空母は、ただの戦闘機護送艦としてやってきたようである。
 ※いわんやシナ製空母にどんな「対地作戦」ができようか。
 ロシアからシリア政府軍に対して航空燃料がコンスタントに補給されている。手を貸しているのは欧州諸国。これは国連経済制裁決議違反で、アメリカ政府は欧州諸国にやめろと要求しているが、誰も聞かない。ロシアは、反テロの活動なので制裁対象外だと強調している。
 ロシアは2015にはGDPの4.2%である480億ドルを軍事費に支出した。シリア作戦のため、前年より額が増えた。
 しかし2016にはGDPの4%である450億ドルへまた低下した。国際油価が低迷しているので、国庫の制約がキツイのだ。
 露軍の予算削減傾向はまだ続く。2017予算は380億ドルに縮小される。これはGDPの3.2%にあたる。
 さらに2018予算では340億ドル、GDPの2.9%になるだろう。
 ※連中がこれほど困っているということは、日本が「日本の港で石油やガスを買おう」と言えば、彼らは彼らの負担で石油タンカーやLNGタンカーを仕立てて新潟や青森まで、こちらの言い値で持ってくるしかないのである。日本人の税金でパイプラインを建設するならば、どこよりもまず、八戸港と関東をつなげる東北縦貫パイプラインでなくてはならない。新パナマ運河が開通して世界中から安いエネルギーを買えるというのに、そしてこれからますます自動車の燃費がよくなって国内需要は減るのに、特定国(しかもまもなく欧州大戦を起こすつもりの狂人国)と長期契約を結ぶメリットなどない。
 ロシアはGDPそのものが右肩下がり。2014年からの国際油価低落と、ウクライナ侵略を咎める国際制裁が効いている。かつて2兆1000億ドルあったロシアのGDPが、いまは1兆1000億ドルしかない。
 ルーブルの価値も下がり、対ドル・レートは、かつての半分に目減りした。
 かつて世界第六位だったGDPが、いまや世界の第十四番目。その衰亡ぶりは覆うべくもない。
 プーチンは2012に国民の間の自分の人気が下がったのを意識し、己れの権勢を回復するには国家全体をあらたな戦争にひきずりこむしかないと決断した。さすれば、悪いことはすべて外国政府のせい、ということにできるのだ。ロシア大衆はそう宣伝されるとおとなしくなる。
 ロシア国民の三人に一人は、生活のために「賄賂」を使ったことがある。政府は、腐りきっている。
 シリアで今、アレッポ市を攻めているのは、露軍+シリア政府軍、そしてクルド部隊である。クルドは独立的に作戦しているが、露軍とは区域調整をしており、互いに砲爆撃が及ばないように分割統制線を設けている。
 アレッポ市住民のうち2万人は、市を出て逃避した。多くはクルド地区へ向かったが、一部はアサド支配区へ向かった。
 アレッポ市の半分をまだ占拠している反アサド勢力は、GCCとアメリカから見放されたと感じ、落胆狼狽している。
 2016-9以降のアレッポに対する「非誘導」砲爆撃の戦果。死傷者3000人。うち死んだのは2割(五人に一人)。3000人のうち半分は、市民。
 今では市の北西部はシリア政府軍がおさえた。
 アレッポの北西にあるアルバブ市では、市内のIS軍が、マスタードガス弾を、攻囲しているFSA部隊に向け発射。22人がガス傷に。このFSA部隊は、トルコ軍が後援している反アサド・ゲリラ。
 11-24にシリア領内のトルコ部隊を空襲してトルコ兵を死傷させた航空機は、明瞭にシリア軍機であって、露軍機ではなかった。これはトルコ政府も追認した。
 トルコ政府の2000年以来の立場。ISがトルコを攻撃しない限りはISを利用する〔WWIで英仏に奪われたイラク油田をISを手なずけてトルコの手に実質回収してしまう〕。アサドとは決してうまくやってはいけない。したがってアサドを支援するロシアとイランは基本的にトルコの敵である。だがロシアは恐ろしいので表立っては刺激をしない。
 ウクライナ戦線の露軍に動きはない。しかしシリアでアサドの勝ちが決まれば、また一挙に動き出すだろう。