本日発売の月刊『WiLL』の記事を裏付けるニュース↓が飛び出してくれたよ。これでみんな俺を信じる気になってくれたろ?

 Kyle Mizokami 記者による2017-1-24記事「China Announces Deployment of New Long Range Nuclear Missile   The target――at least of the announcement――is Trump」。
    『ニッカンペキスポ(Global Times)』によれば、中共は「東風41」を哈爾浜に実戦配備した。MIRV12個で、しかも、東西を通じて最も射程が長い、と吹かしまくっている。
 大慶市内を運行する運搬発射車の写真付き。
 その記事によると射程は「8699マイル」〔おそらくミゾカミは米国人読者のために陸マイルで換算したので、元の数値は1万4000kmと書いてあるのだろう。海里換算だと1万6110kmになってしまう〕で、南米のほとんどと南極大陸の一部にまで届くと豪語。
 ※そのシナ人記者は、南極大陸の方が南米よりも支那本土に近いという事実も知らんらしいな。南米の全部はカバーできぬはずである。
 トランプはABMの充実について語っていた。中共は、「そんなものは無価値だぞ」と警告したのだろう。
 ※中共は、「毛=ニクソン密約」をトランプが知らないふりをするなら、米支ICBM競争を始めるぞ、と脅しているわけである。ともかく、まるでわたしの新刊『日本の武器で滅びる中華人民共和国』の売り上げを加速するために中共軍が協力してくれているかのようなナイスな挑発ではないか。二回目の重版も近い? すまねえ。おかげで雪解け頃には新車(軽のハスラー4WD、回生充電付き)が買えそうだわ俺。こんどこそ一人旅で層雲峡まで行くぞ!
 米国のABMとは、すなわちGBMD(地上配備式ミッドコース迎撃)システムのGBIのことだ。
 今、アラスカのフォート・グリーリーに33基、加州のヴァンデンバーグ空軍基地に4基がある。
 これは北鮮対策だと公称されているが、満州から飛んでくる「東風41」もコースは同じである。
 ※なぜ、わざわざ満州に配備するか。モスクワから遠いのでロシアを刺激しない。インドから遠いのでインドの核でやられにくい。
 GBIの調子はよくない。そもそもミッドコース迎撃というのはMIRVがバスから分離してしまった後になる可能性が大。そのRV1個を撃破するのにペンタゴンでは最善でも50%の命中しか期待はできないとしており、現状では、RV1個に向けてGBIを5基も指向する必要があるのだ。まったく非実用レベルなんである。
 すなわち37基のGBIでは、現状、最大7発のRVしか阻止できない。最良の場合であっても。
 中共は54基のICBMで米本土を攻撃することができる。
 古い「東風5」だと単弾頭で5メガトン。広島の17キロトンとは比較にならない。
 「東風41」のバスが12個のRVを分離してしまうのは、発射から5分後である。
 12個のRVを阻止するにはGBIは60基必要ということになる。
 もし中共が「東風41」だけで54基を揃えたとしたら、米国がその迎撃に必要なGBIは3240基ということになる。これは非現実的な競争である。
 ただし中共は、核兵器級のプルトニウムとウラニウムを、RV250個分しかストックしていない。つまり「東風41」が全部12MIRVだとして、20基分をまかなえるにすぎない。
 だがそれで安心することはできない。
 中共は「東風41」のバスに、多数のデコイと1発の真弾頭を搭載することもできるのだ。GBIのレーダーでは、デコイと真弾頭の区別はつかない。デコイに対してもGBIを5基づつ発射しなければならないとすれば、米国は結局、迎撃不可能である。
 ※ミゾカミは囮弾頭の重さが真弾頭と同じだと思い込んでいるらしく、デコイの数は11個と書いている。宇宙空間ではチャフやバルーンの質量が軽くても空気抵抗は無いから十分にデコイたり得る。1基の重量級ICBMからは数十のデコイを放出できるはずだ。
 次。
 Scott Bledsoe and Mike Benitez 記者による2017-1-25記事「Re-Thinking the High-Low Mix, Part I: Origins Story」。
   マケイン議員が独自の白書でハイローミックスを何度も語っているが、ハイローミックスの本来の正しい意味がまったくわかってねえ。
 病院には、少数の医師と、多数の看護師がいる。この組み合わせで、高い効率が提供できる。
 つまり、ハイローミックスの意味は、高性能品の他に安物を多数揃えて使い捨てるという意味ではないのだ。比較的安価で多数ある要素が、比較的高価で少数ある要素と一体に結合することで、最大の効能を発揮するということ。ハイとローのどちらにも、異なった分野での高いパフォーマンスが期待されている。その綜体としてのゴールが、ハイローミックスの理論的な狙い。ハイだけローだけ分離して論ずるのは誤りである。
 そもそもハイローミックスというのは、空軍内の理論家集団が到達した結論。前史として、センチュリー・シリーズがある。
 朝鮮戦争中、戦闘爆撃機としてはF-100、F-100A、F-105があった。また迎撃戦闘機としては、F-101B、F-102、F-104があった。すべてハイエンド品。
 ところが1967に「ミグ25」がデビューすると米国は焦った。マッハ3、高度7万フィート、しかも世界最大のAAM。
 1957以降、米空軍の保有機数は漸減していた。1967年には17%減った。さらに1977には26%減った。こんな趨勢のなかで、この「ミグ25」にどう対抗するか。最終的に「F-15」がぶつけられるわけだが、そのとき、同時に「F-16」もつくることに決めたんである。
 F-15とF-16の組み合わせは、複雑と単純の組み合わせだった。前者はレーダー誘導ミサイル「スパロー」を主武器とするが、後者はそれを使わないことに決めた。
 この理論を考えた男の考え方。ハイローミックスのローとは「低信頼性」を意味しない。逆なのだ。シンプルであることにより、むしろ、ハイエンド・アイテムよりも「高信頼性」が期待できる。荒っぽく運用してもキッチリと期待に応えてマルチに活躍してくれる。故障しないということ。その無故障の大活躍によって、敵を圧倒してやろうと考えたのだ。
 決して「ロー」は、使い捨てできる三流品という意味ではないのである。