いつのまにか雪祭りの「真駒内会場」が無くなっていたでござる。

 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2017-2-10記事「414 Ships, No LCS: MITRE’s Alternative Navy」。
   シンクタンクMITREの提言。米海軍には355隻ではなく414隻必要だ。いまは274隻だが。
 これはその前のCSBAの提言よりもラディカル。
 2シンクタンクで共通の主張もある。
 『アメリカ』型強襲揚陸艦は、非核動力の小型空母にせよ。
 LCSはキャンセルし、新フリゲートを充当しろ。
 マケイン軍事委員長の私案は、CSBA提案の方に近い。
 MITREは、LCSの代わりとしては、ドイツの『F125』型フリゲートが良いとしている。 ※CSBA提案はスウェーデンの沿岸警備艇を推す。どっちも、LCSはどうしようもないという点では完全一致。日本の防衛省と海幕だけが、これからそのLCSを模倣しようとしているのだから、どうしようもなさ二乗倍。
 MITREは、正規空母の建造をスローダウンし、むしろ艦上機の充実に予算を配分するのがマシだとする。使える艦上機が足りていない空母なんて無意味だからだ。機種としては、F-35Cは見込みが無いので「F/A-18 E/Fスーパーホーネット」を増産すべしとする。
 CSBA提案に近い提言は、今日の艦隊があまりにも高額で少数の高性能防空ミサイルに依存しているということ。そこでMITREは主張する。もっとバカスカ発射できるものでなくては防空網は破られる。となったら解法は、5インチ砲を高性能化することしかない。艦砲の初速と射程と終末誘導を劇的に改善して艦対空ミサイル代わりにできなくてはならない……と。
 MITREは、90年代の「アーセナルシップ」の焼き直しも提言している。マガジンシップ=「MG(X)」――弾庫艦――と称す。この安価で大量の軍艦を、ハイローミックスのローとせよ、と。
 さらにMITREの提案。パーシング・ミサイルを海軍用に復活させよと。もちろん非核で。
 ※日本にはロクな軍事シンクタンクがないので、兵頭二十八が「ひとりシンクタンク」の機能を果たしているというのが現状だ。米国のシンクタンクよりも早く、ソロプレイヤーとしてこの提案をした『日本の武器で滅びる中華人民共和国』、まだ読んでいない人は急いでお確かめください。
 センサーとなる高額軍艦(少数)と、弾庫となる低額軍艦(多数)を、ハイローミックスすればいいのだ。後者は、艦載パーシング・ミサイルと、超長射程5インチ法で武装。前者はイージス。
 ※この考え方は「空軍」でも有効である。「ステルス戦闘機」というのは概念矛盾なのである。戦闘ではなく、センス&キュー出し仕事に限定するのなら、純国産の低出力(低赤外線・良燃費)エンジン搭載で、垂直尾翼を廃した真のステルス・センサー機(複座のミニAWACS)ができる。それとアーセナル・プレーン(第四世代戦闘機、もしくはミサイルキャリアー化したP-1改)を組み合わせるのが、日本の最善解だ。今月25日発売の徳間書店の新刊で、詳しく論じています。「複座零戦」の話は、この提案のための予備論文だったのだ。わかってくれたかい?
 MITREいわく。年にSSN×2隻の建造ペースは維持しつつ、AIP潜も米国は量産するべきである、と。
 ※これは政治的ゲーム・チェンジャーになるね。いちばん大弱りなのは台湾だろう。潜水艦を調達しない理由がなくなっちまうので。しかしトランプにとっては追い風提案だ。西独型の潜水艦のライセンス生産ならば、バカでかい乾ドックは必要じゃないから、中小造船所が参入できる。このMITREはドイツ企業の「トロイの馬」だと私は直感する。
 米海軍は、古い『LSD』級揚陸艦を、新揚陸艦『L(X)R』(サンアントニオ型を小型化した感じ)で代替せんとしている。しかしMITREは、そんなものよりも、カタマラン船形のEFT(JHSV)か、『ワトソン』型改の方がマシだと主張する。
 駆逐艦と巡洋艦だけを数えると、今、米海軍には84隻ある。米海軍はそれを104隻にしたいと言っている(それも含めて355隻)。CSBA提案は、74隻にしたいと言っている。MITREは、84隻にせよというのである。
 フリゲート艦は、海軍は52隻にしたいと言い、MITREは46隻にせよといい、CSBAは71隻にせよという。
 CSBAはコルベット級についてはMITREよりも「無人艦」により期待を寄せている。
 ※久々に「さっぽろ雪祭り」の大通会場を見物した。「たくぎん」が消滅する前の豪華絢爛さは、もう無いのだね……。ウチのこどもは縁日気分で「たこやき」喰いツアーをしていたが、わたしゃこれじゃいかんと思いましただよ。三沢の米海軍が律儀に出展していた小品が眼に留まりました。
 次。
 GILLIAN WONG 記者による2017-2-11記事「Pentagon says US, Chinese air encounter unintentional」。
  中共のAWACS機がスカボロ礁近くまで来ていて、P-3Cの直前を距離1000フィートで横切ったので、P-3Cは即座旋回を余儀なくされた。
 ※米政府は火消ししたいようだが、どう説明したところで、これは「挑発」だろ?