異常気象こそが要想定現象となり、「平年並み」こそが異常となる近未来。備えはできているか?

 Michael Peck 記者による2017-2-12記事「Belgium: The Next Missile Defense Superpower?」。
   ベルギーが、大気圏外でロシアのBMを迎撃できる艦載ABMを構想しているという。もし完成すれば、西欧州製としては最初のABMになる。
 それを今の『M』級を更新する予定の次のフリゲート艦から搭載したいという。その艦自体はオランダとの共同開発だ。
 このABMは、アラスカと加州に計44基あるGMD、もしくは、米海軍の33隻のイージス艦から運用しているSM-3の同格品になる。
 ミッドコースでヘッドオン衝突によって迎撃する。RVが大気圏に再突入する20分前のタイミングで。
 ※このニュースを聞いてロシア人はどう思うか。B61爆弾をそのミサイルに搭載し、F-16ではなく、水上艦積載BMによってモスクワに報復する気なのだと考える。これが、ロシアがBMDを忌み嫌う理由だ。
 いまNATOにはどんなBMDがあるか。トルコには米国製の早期警戒レーダー。英国には英国製の早期警戒レーダー。スペインのロタ軍港には米イージス艦が常駐。ポーランドにはイージス・アショアー配備予定。オランダとデンマークには、軍艦のレーダーでBMを見張る計画あり。
 欧州は警戒レーダーは作っても迎撃ミサイルはつくっていなかった。
 資金はあるのか? ベルギーは2030年までに、年に90億ユーロ=100億ドルを国防費に投ずるとしている。
 しかるに米国はGMDについてだけでもこれまでに400億ドルも使ってきたのである。競争になるか?
 ここから考えると、どうもベルギーはSM-3を買う気じゃないか。
 ※もしこの記者の予想が当たるのなら、スタンダードミサイルのパーツを製造している三菱重工&三菱電機にとっては大朗報。アメリカ経由で欧州に売れるなんて理想的じゃないか。もちろん日本はこれからTHAAD(射高150kmに過ぎず、射距離2000km未満の短距離弾道弾にしか対応できぬ。ムスダンすら迎撃できるかあやしく、東風21なら絶対無理)なんていう欠陥不良品を買わされている場合じゃない。スタンダードミサイル系列にもっともっと集中投資することが日本にとってもアメリカにとっても西欧にとっても好ましい。大局的に見れば、日本が欧州を救ってやることになるのだから。
 次。
 ストラテジーペイジ の2017-2-13記事。
  昨年8月いらい、トルコ軍の「レオパルト2A4」戦車はすでに8両がシリアでATMにより撃破された。
 他に、1両の米国製「M70T」もやられた。※M60改のことか?
 トルコはレオ1のときからドイツ製戦車ユーザー。レオ2が冷戦後にダンピング輸出されたので354両も買っている。
 2003のイラクで米軍のM1戦車×4両が、ロシア製の対戦車ミサイル「コルネットE」で擱坐させられている。
 自爆させられたM1もある。敵手にわたさぬよう。
 イラクでは、M2ブラドリーの25ミリ機関砲から発射された劣化ウラン弾が、M1戦車の背面装甲を貫徹してエンジンを破壊したケースがある。仲間撃ちの誤射。※とうぜん、夜間でしょうな。
 RPGはM1に対してほぼ無力だが、唯一、油圧パイプに命中した場合のみ、動けなくしてやることができたという。※ゴルゴ13にとっての耳寄りニュース。
 2005年までにM1戦車は1100両がイラクに持ち込まれ、そのうち7割が戦闘に参加し、1100両のうちの7%は船で米本国へ送り返して修理する必要がある程度のダメージを蒙った。
 90年代デビューのコルネットは射程が5kmもある。自重8.2kg、発射機は19kg。
 メルカバも側面を狙われるとコルネットにやられる。
 2003年から2005年のイラクで、4400人の戦車乗員が戦死している。その三分の二は、ターレット天蓋ハッチから、首もしくは肩より上を出していたことが原因。
 戦車を喪失する原因の第一は、WWIIいらい、地雷と爆弾であるという。※この記者は匿名だがおそらくはイスラエル人。
 トルコがこのたびシリアで喪失したレオ2のうち1両は、自爆トラックにやられた。これが西欧軍ならば戦車回収車ですぐ回収するだけなのだが、トルコ軍にはその能力がなく、戦場に遺棄したか、自爆措置をとった。
 2014年のイラクでは、140両投入された米軍のM1のうち三分の一が大破全損している。
 2010年から2012にかけてイラク政府軍に140両の「SA」型M1が売られている。その一部はISに鹵獲されたので、米軍が航空攻撃によってみんな破壊せねばならなかった。
 イラクに売った140両のうち三分の一以上は、ISの攻撃によって損壊している。イラク軍は戦車をまとめて使わずに、歩兵部隊に分属させて接近戦闘のサポートをさせる。だからISの重火器が届いてしまうのだ。
 ※コルネットは射程が5kmもあるので、米軍も安全な間合いのとりようがないわけだ。主砲射程の外側から飛来するんだから。
 サウジ軍はM1A2Sを数百両、イエメン戦争に投入しているが、やはりシーア派ゲリラによって数両が破壊されている模様である。
 イランは、すくなくとも5両のサウジ戦車が喪失したと報道している。フーチは2両を鹵獲したと主張している。ただしその2両はサウジ空軍が破壊してやったようだ。
 ※サウジ向けM1には劣化ウラン鈑金の中間装甲は入っていない。