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 ストラテジーペイジの2017-2-23記事。
  2016年から台湾は、日本のスパイ衛星の撮像を利用できるようになった。
 台湾が運用中の「フォルモサット2」は古過ぎ、更新用の「フォルモサット5」は打ち上げを委托した米側から2015に技術的にダメ出しをされて2017に計画延期されているので、そのツナギ措置として。
 先だって英SSBNがトライデントの試射に失敗したが、その前、2016年にも、フロリダ沖から試射したトライデントが東方へ飛ばずに、逆に西方すなわち北米の東海岸へ向かって飛んでしまうというアクシデントをやらかしていた。
 英SSBNは西暦2000年からこの試射を始めているものの、2012年の試射のあと暫時ブランクがあり、2016年までトライデントの試射はしていなかった。2016年の試射は、英国保有のトライデントの6発目の試射であった。
 1発2200億円もするので、おいそれと試射はできるものではない。
 ※日本人はのんびりしているが、2016と2017にたてつづけに英国がトライデントを試射しているのは、当然ながら、プーチンへの直接のメッセージなのである。逆に言うと、ロンドン政府は近年、ロシアから、「英国を核攻撃/放射能攻撃するぞ」という、民間マスコミでは報道されない水面下の脅迫を繰り返し受けているとおぼしい。こんなときにロシアに経済協力とか、日本政府はもう阿呆かよとロンドンからは思われているのに違いない。
 なお米海軍のトライデント試射ではこのような失敗は起きていない。米英の差がいったいどこにあるのかは不明である。
 1960年代前半、米海軍のポラリスSLBMが、ちゃんと飛翔するのに模擬弾頭が起爆しないというトラブルに見舞われたことがあった。この解決に苦労した過去の上に、いまのトライデントの信頼性もある。
 ※詳細は公表されていないが、安全装置と関係があったと思われる。たとえばICBMのミニットマンの場合だと、17段階の安全装置が逐次に解除されないと決して起爆しない。その16番目は、RVが目標に向かって正常に降下しつつあるという自己診断回路によって解除される。17番目は、大気圏に再突入して、それまでの17倍の空気抵抗を感知したときに解除される。
 英国は『ヴァンガード』級の次のSSBNのためのミサイルコンパートメントを2009からGD社に設計してもらっているところである。
 59トンの「トライデント2」は、RVをめいっぱい詰め込めば最大射程7200kmだが、単弾頭にすると11300kmも飛ぶ。
 水爆は「W76」で、これを最大で8個、1基の上に載せられる。
 米国では、量産型の「トライデント2」は、これまで一度も試射が失敗したことがない。
 148発発射して、すべてうまくいっている。
 開発段階では、「トライデント1」の場合23回試射して、そのうち、うまく飛んだ率は87%だったという。
 「トライデント2」の開発段階の試射は49回で、うち98%が成功したという。
 米海軍は「トライデント2」を1基3100万ドルで調達している。
 これをロシアのSLBM開発と比較してみよう。最新の「ブラヴァ」SLBMは、18回試射して11回成功。そんなもので制式採用を決めている。連中の核兵器には、信頼性はない。
 ※米国本土のICBMをぜんぶ整理して、アラスカに集約し直したらどうなるだろうか? それも敢えてモビル式にしないで、山獄中の超硬化サイロ式にしておいたら……。ロシアは核戦争を決意したときに、それをまっさきにICBMで打撃しないで他の目標を打撃するという選択はしにくいであろう。したがって、まずアラスカで起きる核爆発が、米国指導部に、いままでよりも10分前後も長く「反撃について考える余裕」を与えてくれる。しかも、超硬化サイロを確実に破壊できたかどうかはロシア側にはなかなか判断がつかないので、かなり多数の水爆がアラスカに吸収されてくれる。どっちみち対ICBM打撃は地表爆発モードなので、中性子を浴びた大量の土砂が放射性塵となって偏西風に乗る。しかしそのフォールアウトは従来とは違い、米国東部の大都市を襲わないだろう。シベリア東部からアラスカのサイロを狙うロシアのカウンター・フォース用BMは中距離核(とうぜんINF条約を破棄)となるので、米側のABMとしてはGBI未満のTHAADでも迎撃が可能かもしれない。可能かもしれぬというだけでますますロシアの水爆弾頭はアラスカに引き寄せられざるをえない。これはマクナマラが限定ABMを決意したときに計算した「安定」の再現か、それ以上の良い話ではないのか? トランプ政権がなぜこのオプションを考えないのか、わたしには不思議でならない。(Why America re-deploy it’s whole new ICBMs in Alaska?)