イランの技術が中共を凌いだってこと?

 Jeremy Binnie 記者による2017-3-10記事「Iran successfully tests radar-guided anti-ship ballistic missile」。
   「ホルムズ2」というレーダー誘導のASBM(=対艦弾道弾)ができたようだ。
 イラン革命防衛隊が実験し、250km離れた標的に当たった。
 もともと「ハリジ・ファルス」という赤外線パッシヴ・ホーミング方式のASBMがあり、そこから、パッシヴ・レーダー誘導の「ホルムズ1」と、今回のアクティヴ・レーダー誘導の「ホルムズ2」が作られたらしい。
 「ハリジ・ファルス」のベースは、地対地弾道弾の「ファター10」である。固体燃料。
 センサーに電波を使うと、雲や靄を透視できる点では有利だが、ECMで無力化されるおそれもある。痛し痒し。
 米軍も確認している。3月4日と5日に、1発づつのASBMが試射された。その初弾は250km先の海上標的に対して至近弾となり、2度目は、当たった。新しい「アクティヴ・シーカー」を取り付けた「ファター10・Mod 3」である、と。
 発射地点は、オマーン湾にあるバンダレジャスクのイラン革命防衛隊基地だ。
 ※中共は自称対艦弾道弾「東風21D」を、過去一回も、海上標的に対して発射したことがない。つまり、「口だけ兵器」に過ぎない。これに対してイランはすでに洋上標的に対する実験段階に進んでいる。それを米軍も確認している。イランの技術が中共の技術を凌いだようである。
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 ストラテジーペイジの2017-3-12記事。
  ドイツはノルウェーに『202』型潜水艦×4隻を売る見返りとしてノルウェーからは対艦ミサイル「NSM」を買おうという約束をしていたが、このたび12億ドル分を発注した。
 その数量については公表されていない。
 ドイツはこの対艦ミサイルを、自国内で製造する。また、ドイツとノルウェーは、NSMの進化型について、共同で開発することも決めている。
 ドイツのGDPはノルウェーの90倍もある。だからノルウェーとしてはこうした「バーター」が有り難い。
 たまたま、ドイツ海軍の装備してする対艦ミサイルが、相当に古くなっていた。そしてノルウェーだけが「第五世代の対艦ミサイル」を開発していた。それがNSMであった。
 1972からある「ペンギン」をもとに、1996からNSMが研究されている。ステルスであることが大特徴。
 2006に試射成功。2007から量産開始。ポーランド海軍も沿岸砲兵大隊用にNSMを調達済みである。
 NSMには、艦上から発射するタイプと、陸上から発射するタイプが用意されている。
 全長4m弱、重さ400kg強。
 レンジ200km以上。
 終末誘導は赤外線。完全なパッシヴ・センサーのみである。これと筒体のステルス設計とにより、敵艦は、ミサイルで狙われていることが最後まで分らない。
 敵艦の最も弱い箇所についての画像データベースが入っており、そこに当たりそうにない角度だったときには一回フライパスして再襲来する。
 弾頭重量は125kg。いちばん痛いところに当たるので、このくらいでいいのだ。
 シリア最新情勢。
 トルコはクルドがシリアでISを殲滅するのをゆるしたくない。
 またイランがシリアに永久駐留しようとしており、トルコはこれにも反発している。
 ISはイラクから兵隊をひきあげて、ラッカ市の防衛に注力中。クルド軍に対してではなく、アサド軍に対する反撃に集中している。
 米軍は、陸軍レンジャーと、海兵隊の15榴の部隊を送った。15榴はGPS誘導砲弾で40km後方から支援できる。
 ※レンジャーが最前線で砲撃目標を指示し、海兵砲兵隊がエクスカリバーを発射するのか。
 ヒュミントによれば、ISは兵力をイラクから引き揚げてラッカに集中させている。
 ISは1年前より4割、総兵力を減らした。今は12000人規模。
 抜けた者たちは、中東から欧州へ戻ってそこでそれぞれテロを遂行しなさい、と言い含められている模様。IS内では気勢はしぼんでいるが、まだ残っている連中はコアである。
 モスル市にはまだ2000人ががんばっている。
 シリア国境線のイラク側には、交通路の確保のための少人数グループのISが転々と、布陣している。
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 WYATT OLSON 記者による2017-3-12記事「Under the radar: Life is low-tech at Army missile defense base in the Pacific」。
   クェゼリンにはとても小さな米陸軍の基地がある。
 この島はブーメラン形で、長さは2マイル、幅800ヤードしかない。住民の交通手段は自転車かゴルフカート。
 軍属800人、雇員50人など、1300人が暮らしている。自称ブーマーレンジャーズ。
 ここには観光目的では誰も立ち入ることができない。居住者全員、政府命令で、有限の任期で、ここにいるのだ。
 クェゼリンは、グァムからは1600マイル、ハワイと日本からはどちらも2000マイル以上離れている。
 近海は浅く、環礁内だと150フィートから200フィートの深さしかない。しかし、その外側は深さ数千フィートに落ち込む。
 クェゼリンには日本兵〔海軍陸戦隊〕数千名の埋葬所もある。今も地中に死体は残留。
 墓碑銘のない死体集積穴の位置が6箇所、確認されている。
 緒戦でマキンで日本軍が捕虜にした9人の海兵隊員はこの島で斬首されている。
 住民は、自宅の庭を深さ6インチ以上は掘らないように規制されている。それより深く掘ると、死体もしくは不発弾に達してしまう。
 いまから約50年前、ここに、最初の「模擬ロシア製レーダーサイト」が設置された。これは、ソ連側で米国発の戦略弾道ミサイルを見張っている警戒レーダーには、宇宙の物体がどのように映るものなのか、それを知ろうとしたのである。
 冷戦後は、設備が整理されて、ABM実験支援や米軍の弾道弾性能テストや宇宙物体の監視がここの主な仕事になった。
 マーシャル諸島の土地はすべて私有地であり、米国は長期契約に従って総額180万ドルのリース料を毎年マーシャル諸島政府に支払っている。