Hugh White 記者による2017-3-14記事「Australia’s Future Submarine: Big Boats Versus a Big Fleet」。
豪州海軍が必要としている潜水艦のサイズは巨大であり、他国の出来合いの非核SSでこれに適合しているものは存在しない。したがって新規の設計になる。
我らが必要条件。長大な航続力。多種の任務=ロールのための多種の装備をとっかえひっかえでそなえつけられること。
まず米国製の「AS/BYG-1」という潜水艦用の戦闘管理システムを搭載せねばならない。米国製の魚雷や対艦ミサイルを運用するためには必須である。しかるにこれがやたらにスペースを喰うし電力も必要だときている。旧来のコリンズ型(3400トン)では搭載が不可能である(同型の航続距離だけは十分だと立証はされているが)。
豪州の先を見ている政策立案グループの中には、わが国も将来は原潜を持つしかないと考え、そのための道を準備したいという勢力がある。巨大な非核潜はそのための階梯として、彼らにとっては魅力的なのだ。
こんど決まった潜水艦の巨大サイズの説明は以上でついているが、なぜポンプジェット推進方式を選んだのか、ドイツ製の候補は本当に騒音が酷かったのか、等の不明点は、これから説明されるのかどうか、わからない。
非核動力潜水艦が最大の威力を発揮する場所は、敵国の軍港の間近の海底や、枢要なチョークポイントの海底である。
豪州から見て、それはとても遠いところにある。だから航続レンジが必要であり、そのために巨大船体が選ばれるのだ。
非核動力潜水艦は、搭載する液体燃料に比例してレンジが延びる。そして潜水艦の場合には、船体が巨大化すればするほど、一定航続距離に要する燃料の消費のレートが良好化するのである。デカければデカいほど燃費が改善するのだ。
豪州海軍全体の効率も問題。いくつかの特定海域に出張してできるだけ長期間そこで展開していることが〔アメリカから〕求められるのだが、それには、個艦の洋上連続作戦日数が長いことと同時に、各艦の取得費・運用費が小さくなくては困る。
ちょっと試算をしてみよう。ここに、Aという潜水艦とBという潜水艦がある。
Aは4000トンで、取得費40億ドル。そして遠くの監視海域にて30日間、無補給で過ごすことができる。
かたやBは3000トンで、取得費20億ドル。そして監視海域では20日間、補給を受けずに任務を続けられるとする。
AとBとを比較すると、Bのほうが、総コスト1ドルあたり、1.5倍長く、監視日数をこなしてくれることになるだろう。
Bの潜水艦で艦隊を構成すると、Aより隻数を増やすことができ、戦時に喪失・損耗しても、その穴をすぐ埋めやすいというメリットがある。
尤も、現場海域までの往復にBの方が余計に日数がかかるようならば、以上の比較の前提も狂ってしまう。
且つまた、潜水艦のレンジ、持久作戦可能日数、コストに関する正確な数値資料は、コアなインサイダーでないとまずアクセスできない情報だ。政策立案者たちが比較するための資料は、そもそも与えられないわけである。
しかし記者は総括してこう思う。わが国の潜水艦隊の陣容更新のための予算が500億ドルあるとしたとき、そのカネをつかって、比較的に小型の潜水艦をヨリ多数隻整備した方が、おなじ額のカネをつかって、比較的に大型の潜水艦をヨリ少数整備する場合よりも、豪州海軍のパフォーマンスを高機能化してくれるにちがいない――と。
次。
ストラテジーペイジの2017-3-14記事。
正男暗殺の2-14のニュースは、北鮮内に口コミで広がるのに1ヵ月かかった。
正男の母は北鮮生まれだが、三代目の母は日本生まれである。
グレイイーグルの飛行中隊は12機からなっている。韓国に搬入されるMQ-1Cは、だから、12機だろう。
グレイイーグルは、MQ-1プレデターを改造したもので、全重1.5トン、内蔵ペイロード300ポンド(センサーや通信装置)、機外搭載量500ポンドである。
滞空は36時間可能。速力は270km/時。
プレデターの兵装がヘルファイア×2なのに比し、グレイイーグルは、4発。
径70ミリのもっと小型の対人ミサイルを多数吊下することもできる。
米陸軍は2011からアフガニスタンやイラクにグレイイーグルを持ち込んでいる。現有機数は100機ぐらい。
北鮮は2-22に、同国の高校内に蔓延している覚醒剤を止めましょうというキャンペーンを始めた。北鮮では高校生の16%が覚醒剤をやっており、女子生徒のなかにはそのシャブ代を稼ぐために売春する者もある。
北鮮の街頭価格で覚醒剤1グラムは250米ドルになる。ボロすぎる商売である。だから公務員たちがその製造と販売の元締めになっている。
中共が北鮮製の覚醒剤の流入を国境で阻止しようとしているので、密輸出で稼ぎ難くなった業者が自国内で売り始めたのが、国内蔓延のきっかけのようだ。
ロシア海軍は、北極仕様の特製ミル8ヘリ「AMTSh-VA」を受領し始めた。
なんとマイナス摂氏60度の極低温環境下でもエンジンを始動させて飛翔できるという。
次。
Joseph Trevithick 記者による2017-3-13記事「U.S. Air Force Buying Special Drone-Snagging Shotgun Shells」。
12ゲージのショットガンで発射することのできる対ドローン用の捕獲網ショット「スカイネット Mi-5」。このたび米空軍で600発購入して試験することになった。メーカーは「AMTEC レス・リーサル・システムズ」社。略してALS社。
もし試験結果が好評ならば、6400発が調達される。
軍事基地などを撮影しようとするドローンをこれで撃墜したい。
ショットガンの散弾の代りに、5個に分裂する金属塊と、その相互を結んでいる高張力コードが開傘する。
遠心力によって捕獲網が幅5フィートに広がる。
米空軍はこのタマを「レミントンM870」制式散弾銃から発射するつもりである。
ただし、遠心力による開傘方式であるため、ライフリングが刻まれた「チョーク」チューブをバレル先端に接続しないといけない。
ペンタゴンが欲しているのは、「カテゴリー1」のドローンと「カテゴリー2」のドローンへの対策である。
前者は、全重20ポンド以下、高度1200フィート以下。
後者は、全重20~55ポンド、高度3500フィート以下。
どちらも速力は300マイル/時以下の無人機とされる。
対ドローン弾にまつわる懸念は、それが失中したときに周囲の民間に予期せぬ害を与えないかということ。
次。
BRUCE G. BLAIR 記者による2017-3-14記事「Why Our Nuclear Weapons Can Be Hacked」。
2010年のこと、ワイオミング州のミニットマン基地にある50基のミニットマン3が、1時間近く、発射管制室のモニター上から消えてしまった。
発射員は、大統領から発射命令が出てもそれを実行できなくなったのだ。
発射員は、だれかがリモコンで50基の発射カウントダウンをさせ始めたと認識した。焦った。
その後の原因解明により、このトラブルは、ひとつの回路基盤を正しく挿入していなかったために起きたとわかった。
1990年代のなかばには、メイン州にある海軍の対SSBN無線所のファイアウォールが何者かに突破された。大西洋のSSBNに対してSLBM発射を命ずるコマンドを中継送信する基地である。
これ以後、SSBNは、別なソースからの無線命令を二重に確認できない限りは、SLBMを発射できないことにされている。
米国大統領は、他国からの核ミサイルが飛来しつつあるという報告を受けてから、核反撃を決心して命令するまでに、3分から6分の時間しか与えられない。
次。
ジャパンタイムズの2017-3-14の無署名記事「U.S. to delay deploying Ospreys to Yokota base by up to three years」。
理由をあきらかにしないで、空軍のCV-22オスプレイの横田配備が、FY2020に延期された。
2015-5に米軍が発表していたところでは、特殊作戦用のCV-22が3個部隊、まず2017後半に駐留開始し、さらに7個部隊が2021年までに増派されることになっていたのだが……。
ちなみに海兵隊用のMV-22とは機種が別である。