ストラテジーペイジの2017-6-1記事。
無人で719日、軌道を周回していた小型スペースシャトルのX-37Bが5月に帰還した。
衛星にとりつける新型スラスターのテストをしていたという。
もちろん、スパイ・ミッションも兼ねていた。
また、10個の超小型の「キューブサット」も放出したという。
X-37Bは、2010-12-3に224日周回をまず達成。ついで2012-6-12に469日周回を達成。さらに2014-10に675日周回を達成。こんどのは四回目のミッションであった。
もともと本機は、開発目標として280日間の周回を考えていた。完成してみたら、その三倍は行けるということが分かったのである。
長期ミッションを可能にしているのは、大型のソーラーパネルを展張できることによる。
このX-37Bをちょっと大型化すれば、軽量版の有人スペースシャトルになるだろうという構想はすでに2011年にメーカーが公表している。中共はまちがいなく、それと同じことをするつもりでいる。
X-37Bの荷室には300kg弱、寸法として「2.1m×1.4m」未満のモノまで搭載できる。自重は5トン、全長9m、ウイングスパン4mである。
廃止された元祖有人スペースシャトルは、ペイロード24トン、自重2000トン、全長56mもあった。
その中間機が欲しいわけだ。
有事には、X-37Bは、敵国の衛星を破壊する宇宙戦闘機になる。また味方の衛星にスラスター燃料を再補給してやることもできる。
世界のアマチュア衛星追跡マニアたちも、X-37Bにはしばしば「まかれた」。つまり軌道をしょっちゅう変更できるので、次に観測できる地点が予想できなくなるのである。これは、米国の敵国たちはもはや、米国製スパイ衛星の上空出現予測にもとづいて地上での隠密活動を上手にやりとげることが困難であることを意味している。
2008年に米国のスパイ衛星が軌道変更に失敗して墜落した。これをアマチュア衛星マニアはモニターしていた。
ちなみに、毎月、4機から5機の衛星が、大気圏内に突入しているのだが、それらはまったくニュースにもならぬ。
こうした衛星マニアたちの議論は、たとえば「satobs.org」の運営するHPでなされているという。
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James Hasik 記者による2017-5-31記事「Exports and End-Use」。
アムネスティーインターナショナルの告発。米国がイラクやクウェートに供与した装備が10億ドル分以上もISに流出しているぞと。
米国対外軍事援助庁が「ポスト・デリバリー」の監視をせねばならぬことは法的に決まっている。そのためにエンドユース・モニタリングの部局がある。
そもそもリーヒー法(22 U.S. Code § 2378d)によれば、人権侵害国には米国製の武器は供与されてはならない。※すなわちサウジに売ることはできないはず。
オランダは、サウジに対する武器輸出を禁じている。二人の米連邦議員が、米国もオランダに倣うべきだと主張中。
スウェーデンも、民主的政府をもっていない国家に対する武器輸出をすべて禁じている。
しかし、中東にはジェファソニアンなどいやしないのだ。
ウェリントン将軍は1812-8に英国議会で、スペイン西部の砂嵐下に某騎兵連隊に支給されたラズベリージャム容器の定数違いだとか、某歩兵大隊の勘定外の現金残高1シリング9ペンスについても説明しなければならなかった。
くだらんことで査問や公聴会を開かず、どんどんイラク政府軍に武器を供給し続けろ。対ISの実際の戦果こそが議会で問われるべきなのだ。
次。
ストラテジーペイジの2017-5-31記事。
スウェーデン唯一の潜水艦メーカー、サーブ社は、新型の『A26』について五月に公表した。これまでより全長を10m長くし(従来は63m)、重さを500トン増やした(従来は1900トン)。
そして3本の垂直シリンダーを増設した。そのひとつのシリンダーには、VLSが6本収められている。つまり、トマホーク巡航ミサイルをディーゼル電池潜水艦から垂直に18発、つるべ撃ちできるわけ。魚雷発射管を使わずに。
サーブ社はこれを、さる外国の顧客のために開発したと言っている。その国名は、非公表だ。新型2隻の登場は2022か?