今年の八月は涼しすぎるんですけど……本当に地球温暖化?

 ストラテジーペイジの2017-8-9記事。
  中共戦闘機が米軍エリント機を追い払いたかった理由がわかった。
 中共版の「対艦HARM」を沿岸で試験していたので、その情報をとられたくなかったのだ。
 中共版HARMは、前に見本にしたロシア製ハームの対レーダーシーカーよりも広帯域の2ギガ~18ギガヘルツを捜索し、敵レーダーの10m以内に着弾させたい。
 見本にしたロシア製HARMは空対艦ミサイルを改造したもので、重さ600kgで110km飛ぶ。
 豪州軍も輸入しているハームの最新版、AGM-88Eは、動いているレーダーにも当たる。つまり対艦ミサイルになる。だから中共はこれの同格品をつくって対空母用にしたい。※あと、対Xバンド・レーダー用にもね。
 よりいっそう対艦機能を完成したF型はAARGMと名付けられている。
 AARGMはイタリアと合同開発された。ドイツも買っている。
 旧型ハームも、部品をとりかえればAARGMになる。
 AARGMは全重361kgで、有効射程150km。
 命中直前に画像を母機へ送ってくる。だから正しい攻撃ができたかどうかわかる。
 1999のコソヴォでは、セルビア軍はレーダー使用を最短時間に絞り、SAMを発射したらすぐに陣地を畳んで転地した。
 当時のHARMは、敵が停波するとINS/GPS頼みになってしまった。
 だからセルビア軍SAM部隊は最後まで亡ぼされなかった。
 この教訓からHARMの改善が進められている。
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 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2017-8-8記事「Kim Jong-un Has Much To Teach Pentagon About Speed: Gen. Hyten」。
   ハイテン空軍大将が北鮮を褒め称える。テストの失敗をおそれないから、高速&イノベイティブだと。
 試射させ、失敗し、試射させ、失敗し、…………そしてとうとう成功だ。このパターンはむしろ理想的だ。※いや~、ぜんぶタイプ違うんですけど。
 イランもそうだ。
 しかしロシアは試射をビビっている。官僚主義が失敗を恐れているせいで。
 成功は、われわれに何も教えてくれぬ。失敗だけが教訓をもたらしてくれるのだ――との名言は、ハイマン・リッコーヴァーだった。
 リッコーバーは、紙上プランをたったの5年で現実にした。「原潜」を。
 そのためには「原発」のサイズをたったの幅28フィートにコンパクト化。
 このリッコーバーの空軍人版といえるのが、ドイツ生まれのバーナード・シュリーヴァー将軍だった。彼はフィルム回収式写真偵察衛星を連続13回失敗させたあと、とうとう完成させた。また、ミニットマンICBMを、予算わずか170億ドル(今の価値にして)&5年で仕上げてしまった。
 それにくらべてミニットマンの後継とする予定のGBSDはどうだ。850億ドルの予算と20年の時間を使おうとしている。そのカネと時間はほとんど、試験実施準備のためなのだ。もう阿呆かと。
 現場が「試験での失敗」を恐れすぎている。だから試験と試験の間隔が18ヶ月にも間延びするのだ。北鮮は2週間おきに試験を反復できるというのに。
 ハイテンが空軍の調達責任者に就任して数年。政府による調達にかかわる規制法令文書は全部読んだ。DOD内部規定も。その結果、理解した。これらすべての規則にはバイパス条項が付言されている。もし過去の指導的高官たちにリスクを取る気さえあったならば、「これは必要なんだ」と言って事業を急進させることはできたのである。ところが過去の指導的高官たちにはそのガッツがなかったのだ。リッコーヴァーやシュライバーのような「やる気」が。
 ハイテンいわく。俺にも責任がある。「試験はうまくいったか?」と部下に電話をするのが常だからな。
 俺はこう声掛けすべきだったんだ。「有益なテストはできたかね?」とね。
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  Vasilis Trigkas 記者による2017-8-9記事「China Has Its DARPA, But Does It Have the Right People?」。
   安倍晋三のアドバイザーが4年前に台北のCSISフォーラムで発言。日本にはDARPAがないからアメリカとの発明競争に負けたんだ、と。
 その後、日本はDARPA類似の機関を立ち上げた。
 ロシア版DARPAは2012に創設されている。
 チャイニーズDARPAは今年できた。直轄するのは習近平その人。
 ところで、中共の大学で世界一流と承認されているのは、精華大と、北京大だけ。※この記者は精華大を卒業したギリシャ系の米人。
 ハーバードのインド人教授が1月に精華で講演していわく。イノベーションは、基礎科学と応用科学の合成物で、それには高度の人材が供給されるようになっていなくてはいかん。それは、R&Dビジネスとは全く異なる課題なのである、と。
 ベル研やDARPAはなぜ成功しているか。両機関は「事業」に投資してるんじゃないのだ。高度に有能でしかもモチベーションを持った「人間」に投資するから成功しているのである。最高のタレントを集めるための両機関のリクルート戦略が、すこぶるラディカルなものなのだ。
 支那版DARPAが成功するか否かも、ひとえに人材集めにかかっている。
 たとえば世界各国のノーベル賞受賞者がシナの大学で働きたいと願うか? いくら大金を積んでも移籍して来てはくれはしないだろう。常時不在の名誉学長に名だけ貸してやろうか……というぐらいが関の山。
 習近平はしきりに愛国主義的科学を強調するのだが、超一流学者は「ネイション」から枷を嵌められることはない。※この記者自身、ギリシャで「一路一帯センター」の立ち上げに協力。