松前大島と松前小島のELINT基地化を急げ!

 8-29弾道弾がもし松前半島の陸地の上を通過したのならば、北鮮の弾道ミサイル精度は極端に悪いことになる。射程だけでなく、方位精度すらも。
 狙った通過点は大間の上空だったはずだ。そのコースならば陸地の上は1回しか横切らない(下北半島の北端部)。
 すなわち、津軽半島の上も松前半島の上も襟裳岬の上も通過させることなく、ほとんど海上の上だけを飛ばしたと宣伝ができた。
 ……が、それには見事に失敗したのだ。
 「コリオリの力」をキャンセルするのに必要な「当て舵」量がわかってないんじゃないか?
 北鮮は、従来も、中距離ミサイルや長距離ミサイルの着弾予定海面に観測船を出していない。このことからも彼らが中距離以上の弾道弾の「精度」をどうでもよいと考えていることが分かる。
 「精度」を心配するよりも遥か以前の原始的な技術段階なのであろう。
 太平洋に向けて大間の上をパスさせようとする飛翔実験は今後もあるだろう。日本海の奥尻島沖か秋田沖に落とす試射もあるだろう。
 となると、わが国は、飛翔中の弾頭から地上に向けて発信されているテレメトリーを複数の地点から傍受し追跡することが望ましい。
 なぜなら、それとレーダー信号を合成することによって、もっと正確に到達高度や挙動を測定できるからだ。
 テレメトリーはふつうは無限特乱(ワンタイム乱数を加減したもの)になっているだろうからNSAのスパコンでもないと元の数値の解明はできないだろうが、RVを地表(海面)からどのくらいの高さで発火させようとしたのか等は、暗号を解かなくてもわかるものである。
 空中分解した場合には、そのタイミングや高度も判明する。テレメトリーが途絶するからだ。
 また、テレメトリーの発信点の移動する具合を発射直後から精密に追うことができれば、ブースト段階での加速力や、大気圏再突入後のRVにかかる空気抵抗などを推量できる。だから傍受は、多数の箇所からすればするほど得られる情報の価値が増える。
 傍受拠点は、漁業無線が錯綜する漁村の近くでは、ノイズィー過ぎて、よろしくはない。
 ではどこがいいか?
 無人島になっている「松前大島」と「松前小島」が理想的である。
 どちらも上陸設備だけはあり、漁船が風下の島影に避泊することはあり得るが、漁港機能はないので、電波環境はとても良いはずだ。
 ここにELINT基地を設ける。ついでに海自松前基地のSOSUSも松前大島まで延長したらよい(松前小島経由で)。
 松前大島と松前小島でテレメトリーを「ステレオ」傍受すれば、日本海のどこに着弾したかの絞込みも高精度化できるだろう。
 ところで飛行場からMRBMを発射することのメリットはもうひとつある。
 舗装道路上をTELに移動させる方式では、その1本の道路に敵の航空爆弾で大穴を開けられただけで、TELの運行計画がまったく狂ってしまう。射点に辿り着けなくなってしまうのだ。
 それにくらべると、飛行場は、滑走路やタキシングウェイの幅が何十mもある上、R/W外もまた平坦な地面なので、TELはどこを走ってもよい。つまり、TELが爆弾孔を迂回して、座標の測ってある射点へ到達しやすいのだ。
 北鮮の道路の舗装厚はおそらく資材不足のため甚だ薄いであろう。洪水や山崩れで使えなくなることもしばしばだろう。しかし航空基地ならば十分な厚さのコンクリートで舗装されている。