多量の発射煙でホテルルームの火災報知器が鳴るとは盲点だった。これを再現しているアメドラもひとつもなかろう。

 JOBY WARRICK 記者による2017-10-2記事「Cargo reveals North Korea’s dark trade」。
    2016-8の騒ぎ。カンボジア国旗を掲げているものの、北鮮を出港していることがわかっている朝鮮式船名のばら積み貨物船が、スエズ運河に向かっている――。ワシントンからカイロへ警報。
 同船がエジプト領海に入るとすぐ、高速舟艇が取り囲んで臨検。
 鉄鉱石の下から、3万発のRPG弾薬が出てきた。
 国連いわく。北鮮に対する経済制裁が始まっていらいの大量の違法弾薬の拿捕であると。
 ところがこの密輸品の仕向け先がアッと驚きだった。エジプトだったのだ。
 エジプト軍から頼まれて、エジプトの実業家が2300万ドルを肩代わりして北鮮から密輸しようとしたものだった。この支払いがなされたのかどうかは、不明である。
 トランプ政権は2017年7月、エジプトに対する2億9000万ドルの軍事援助を凍結した。一因がこの一件だった。
 この貨物船は船首から船尾まで錆び穴だらけで、しかも船内のいたるところに石炭の粉が堆積していた。それまで主として石炭を運漕してきたことは自明であった。
 真水製造装置も壊れているらしく、船員部屋には大量の飲用水の瓶が……。
 おそらく北鮮は、このフネ自体をも、到着した港でスクラップとして売るつもりだったのだろう。最後の航海だったのだ。
 海州の港を出たのが2016-7-23のこと。乗員は23人。うち1名は「政治将校」。
 航海中、常にトランスポンダーはOFFにしていた。ただし船舶が混んでくる海域では、それは危険なフネだとして却って注目を浴びるので、ONにしていた。
 全長300フィート。米国情報機関は、出港と同時に追尾監視を続けていた。
 紅海を北上しはじめたところで、米国務省から、エジプト外務省に通知。このようにすればエジプト政府は、もうこれを無視することができなくなる。
 臨検はスエズ運河の手前でなされた。
 RPGは木箱に入れて、船倉の底に並べられていた。
 完成品のRPGが2万4000個以上。組み立てれば完成する部品のセットが6000以上。
 すべて、北鮮版のRPGである「PG-7」の弾頭だった。1960年代のソ連の技術である。
 製造年を示すスタンプがあり、2016-3に生産された弾薬のようだった。
 買い手を示す政府系のエジプト企業名もあった。非公開。
 60年代から70年代にかけ、ソ連はこういう武器弾薬の製造工場を、北鮮内に建設してやったのである。それがまだ稼動しているのだ。
 Glocomという謎の商社のウェブサイト。武器弾薬を手広く宣伝している。その正体は、北鮮政府である。
 エジプト軍は、1970年代に確立した北鮮軍とのパイプを、いまだに保っている。政府とは関係なしに。
 エジプト軍は今、RPG-7の発射筒を、18万梃、装備している
 押収された弾薬は、国連の監視下でエジプト政府により破壊された。
 調査情報によると、これらの弾薬はすべて訓練弾であったという。
 訓練弾を3万発も必要とするのは、ゲリラではない。正規軍しかないだろう。
 エジプトには現役将兵が43万8000人、予備・後備役が47万9000人いるのだ。
 ※別のWP紙報道によると米サイバーコマンドは北鮮偵察局に対してイヤガラセ攻撃をした。DDOS?
 次。
 Steven Stashwick 記者による2017-10-2記事「US Navy, Marine Corps Unveil New Strategy to Turn Tables on A2/AD」。
      敵対的環境下での沿岸作戦で、海兵隊が海軍の作戦を一部肩代わりする。とくにミサイル打撃分野で。
 第二次大戦中、米海軍の戦艦には海兵隊が同乗する場合があった。『アイオワ』級戦艦の5インチ高角砲の操砲は、同乗した海兵隊が分担していたのである。
 英海軍だともっと分担は大胆で、戦艦の主砲塔のひとつを、ロイヤル・マリンズに任せるようにしていた。
 米海兵隊はこれから、HIMARSをそのまま、揚陸艦や揚陸艇の甲板に載せる。そのHIMARS用の弾頭として対艦タイプを加え、洋上で艦載兵器としても運用できるようにする。もちろん、そのHIMARSを揚陸させれば、そのまま地対艦ミサイルとなる。シームレス。輸送中も「死時」にならない。
 ※海兵隊がやるってことは、すぐに陸自もやり出すってこと。これはもう決まりだろう。
 揚陸艦艇や輸送艦がHIMARSのおかげで対艦攻撃力を持つことで、敵国海軍はタジタジとなり、味方の駆逐艦や巡洋艦が味方の揚陸艦艇を直掩してやる面倒はそれだけ減少し、そこから生じた味方海軍の余裕は、挙げて敵海軍に対する一層アグレッシヴな打撃作戦のために振りむけてやることが可能になるのである。
 米海軍はこれまで駆逐艦予算をケチりすぎていて、全艦艇に十分な対艦打撃力が備わっていない。それを海兵隊が補おうというわけ。
 2006年にベイルートから、非戦闘員の米国人をエバキュエートさせた体験。このときにヒズボラは、地対艦巡航ミサイルによってイスラエルのコルヴェット艦に損害を与えている。こうした地上の敵アセットを海兵隊が積極破壊してやる。味方の海軍のために。レーダーなども。