「読書余論」 2018年1月25日配信号 の 内容予告

▼松田卓也監修『人工知能の都市伝説』2016-3pub.
 軍艦の砲塔は昔は有人、今は無人。その類の「ロボット歩哨」なら、珍しくもなんともない。
 世界が終わる日には美味しいものを食べに行くと答えた阿呆大学生。レストラン従業員がそんな日に仕事に来るとでも思うのか(p.135)。
 AI研究予算を国別に比較すると、アメリカ:EU:中共:日本は、58:18:8:2である(p.225)。
 このままでは日本は、かつて産業革命で欧米に突き放されて後進地域に転落したムガール帝国や清国と同じようになる。諸国の運命の「大分岐」がAIに関してまた起きる。
▼中島博『カンテラ日記――富士山測候所の五〇年』1985-3
 S13-8-24に、西安河原に航空医学研究所=陸軍軍医学校衛生学教室富士山分業室 が開所。
 S18-6-8、陸軍糧秣本廠が山頂で、圧力をかけられる飯盒で炊爨する実験を繰り返す。山岳戦のためだという。
 大気圏内核実験の放射能灰が日本に来るには、ビキニ環礁からだと貿易風に乗ってまず西へ移動し、ついでフィリピンから小笠原高気圧の周辺を北上。およそ1~2週間で日本に達する。
 南西シベリアやノバヤゼムリヤのソ連実験の放射能は、3日から1週間で日本に来る。
 中緯度の放射能は2週間で地球を1週して、また日本で観測されることになる。
▼草野かおる『4コマですぐわかる みんなの防災ハンドブック』2011-8
 阪神淡路では、6434人の死者。死因の大多数が、圧死。木造住宅が人を殺した。どうしても木造住宅で寝るなら、二階で寝よ。
▼草野かおる『防災&非常時ごはんブック』2014-8
 七輪は炭を入れて燃やすもので、練炭は入らない。
 練炭は、専用のレンタンコンロで燃やす。そのコンロのサイズは練炭に合っている必要がある。
 練炭コンロは煮物に向く。七輪は焼き物に向く。
▼齋藤訓之『有機野菜はウソをつく』2015-2 SB新書
 オーガニックには、お仕着せではない自主選択的なもの、という意味がある。
 スーパーマーケットの側からいわせてもらえば、無機だろうが有機だろうが、優秀な農家は単収が高い。栽培中に丹精など込めている農家は、ダメ農家の証しである。省力、低コスト、しかも健全で安全な栽培は、単収と比例している。
 HACCPとは何か。Hazard Analysis and Critical Control Point……危険なところを分析しておき、急所を制する。
 1997年から爆発的に欧米に普及したメソッド。
▼竹村公太郎『日本史の謎は「地形」で解ける』2013-10 PHP文庫
 著者いわく、江戸城の大手門は将軍の臣下たちの門であって、将軍にとっての正門は半蔵門だったのだろう。
 治水の基本。ある場所で水を溢れさせる。
 今の荒川区と北区の、台地ではない川寄りの地帯は、隅田川が増水したときは全面浸水やむなしとされた、いわば遊水地だった。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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