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  Frances Tilney Burke 記者による2018-4-10記事「Remind Us: What Exactly Is the National Guard?」。
     米陸軍の州兵は、起源をさかのぼると、マサチューセッツ湾殖民地がピーコットインディアンから自衛するために組織した3隊のミリシャ隊となるだろう。それは1636年であった。
 「ナショナル ガード」という呼称は、1824年にNY州ミリシャ諸隊に初めて冠せられた。独立戦争中にラファイエット侯爵が引き連れていたフランス人部隊が「フレンチ・ナショナル・ガード」と呼ばれていたのにあやかったのだという。
 この呼称は、1903年に公式化された。すなわち州兵陸軍だが、同時にまた、連邦陸軍として指揮運用される「ナショナル・ガード」も。
 今日、州兵(ナショナルガード)には、陸軍と空軍とがある。
 各州知事が命令できるし、大統領も命令できる、そのような軍隊組織は、ナショナルガードだけである。
 コマンダーインチーフたる合衆国大統領は、洪水、山火事、地震のような大規模自然災害への出動を州兵に命ずることができる。
 また1999年のシアトルで起きたWTO会議に対する反発暴動のような騒擾鎮圧のために州兵を使っても可い。
 これは合衆国憲法の「ミリシャ条項」に明記された権限である。連邦法の強制執行のため、州兵を指揮し得る。暴動鎮圧と、侵略排除の目的でも。
 1958に連邦判事のデイヴィーズが学校での人種隔離を止めろと命じたとき、その判決を執行するために州兵がリトルロック市の中央高校へ送られた。
 2001-9-11事件の直後、州知事たちは、ブッシュ(子)大統領の要請を承けて、州兵に空港を警備させている。
 すべての州にナショナルガード部隊がある。加えて、プエルトリコ、DC、グァム島、ヴァージン諸島にも、ナショナルガード部隊がある。
 よって、ぜんぶで54部隊。それぞれに将官である「副官」が1名(制服トップとして)いる。※司令官と呼ばせないのは文民統制のためだろう。指揮権者はあくまで州知事なのだと強調する用語だろう。
 その「副官」たちは、全米でただ1人の「州兵委員会」の長(四つ星大将)に、報告の義務がある。その四つ星大将は、2012年以降は、統合参謀本部のメンバーである。
 州兵の総員は43万5000人。大半は、正業があり、そのかたわらに、州兵に登録している。
 少数ながらいる「アクティヴ・ガード」と「予備兵」。前者はフルタイム勤務の州兵である。後者は、ふだんは出勤しないが、他に仕事も持っていない専業の登録予備役である。
 南北戦争後、連邦軍兵士を国内問題に投入することが規制されるようになった。
 1878に大統領は「在郷民兵法=Posse Comitatus Act」に署名した。※治安官が法執行のため15歳以上の者を召集できる。
 これにより南部諸州から連邦陸軍(占領軍としての北軍)は撤収した。
 トランプがメキシコ国境警備のために州兵を動かしたのは、この1878法に違反しているじゃないかという声が、すでにある。
 ところがどっこい、オバマもブッシュも、メキシコ国境警備のために州兵を投入した前歴がある。
 各州の知事が、あくまで州法の強制のためであるとの解釈で、大統領の示唆に応じて州兵を動かしている――というタテマエがゆるがなければ、OK。