圧縮録音通信システムは、人手の足りないミニ自治体が防災情報をタイムリーにアップデートし続けるのに役立つ方式だ。

 Jay Bennett 記者による2018-7-2記事「So Long TNT, There’s a New Explosive in Town」。
    ロスアラモス国立研究所と陸軍調査研究所が、分子式「C6H4N6O8」の新爆薬を発明した。「Bis-oxadiazole」と呼ぶ。TNTよりも有害物質を出さず、その爆発力はTNTの1.5倍。
 トリニトロトルエン=TNTの分子式は「C7H5N3O6」である。
 TNTのメリットは、砲弾殻内に溶填しやすいこと。摂氏80度で液状になってくれるので。TNTは摂氏240度にならない限り自爆したりしないから、工場労働者は安全なのである。
 だがTNTを製造する過程では環境汚染物質が副生される。
 まず「硝化」のプロセスから、「赤水」と呼ばれる廃液が出る。
 さらに産生されたTNTを水洗するときにも「ピンク水」という汚水が出る。これも環境(土壌や地下水)に多少の悪影響がある。
 工場ではスチームによってTNTを溶かしている。その作業員はTNTを気体として吸い込む。TNTはとても蒸発しやすい(ヴェイパー・プレッシャーが高い)のだ。※だから空港では爆薬の匂い検知器にひっかかる。
 TNT分子の中には、充分な酸素原子が配合されていない。だから炭素のすべてが酸化し切れない。このカーボン残滓がTNTが爆発したさいの黒煙の正体である。※TNTが炭坑内では用いられない理由もこれ。あとガスが悪すぎるのだ。逆に、地下トンネル内制圧用爆薬としては優れていることになる。敵兵を窒息させられるので。
 現在ではTNTはRDXのような別の爆薬と混合されて「コンポジションB」として爆弾に充填されることが多い。これは黒煙問題を解消し、ほどほどに安定で、取扱上の危険も少なく、爆速も向上するが、RDXが爆発するときにもまた地下水を汚染する物質が生ずる。それは自然に分解してくれない。
 米陸軍は、TNTとは別の新爆薬の研究を数十年来、続けてきた。そして2016年に目処がついた。
 「Bis-isoxazole(オクサジアゾール)」という新物質だ。環境に無害で、TNTのように溶填容易。ただ惜しむらくは威力が低い。そこで配合をすこしいじった。
 「Bis-isoxazole」は、炭素3+窒素1+酸素1の5原子が環を成し、それが2個つながっている分子。
 この中の炭素原子1個を、窒素に置き換えた。
 溶融点に関しては、新分子をじっさいに創ってみるまでは誰にも予測なんかできない。こいつは、融点が低いことが後から判明した。
 こうして「bis-oxadiazole」ができあがる。
 爆速を計測したところ、「bis-oxadiazole」は8.18km/秒。それに対してコンポジットBは7.8km/秒。
 爆圧を計測したところ、新爆薬は29.4ギガパスカル。コンプBは26ギガパスカル。
 しかも新爆薬の爆発残渣は、自然環境中で分解されやすいことも判った。
 一般に、新爆薬成分が発見されてから、それが軍用爆薬として実用化されるまでには、5年から10年が必要。
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2018-3-29記事「The United States’ Next Tank Could Be Protected by ‘Steel Foam’」。
   複合泡状合金素材を戦車の装甲に用いるなら、これまでの防弾鋼鈑の三分の一の重さで同じ防護力が得られるかもしれない。
 略してCMF(コンポジットメタルフォーム)。ノースカロライナ州立大学と米陸軍の合同研究成果。
 この素材については『ポピュラーメカニクス』が2016に初期実験を紹介した。
 12.7mm機関銃弾をCMFは1インチ厚で阻止できる。
 これに対して防弾鋼鈑ならば1.5インチ厚が必要なのだ。
 IEDの衝撃波も、泡構造が潰されることによって、よりよく吸収できる。
 また、高熱が伝導してくるスピードも、CMFなら半分に抑制できる。気泡の空隙が断熱力を発揮するから。
 1枚鈑金の装甲を12トン必要とする戦車があったとすれば、CMFにより、装甲重量は4トンに抑えられるわけ。
 ※参考までに、ナショナルジオグラフィックチャンネルで紹介していたM1エイブラムズの構造重量を記す。
 ドンガラの車体+ドンガラの砲塔、つまり殻だけの重さは20トン〔?〕。
 砲塔は、艤装コミで29トンある。
 車体は、パワーパックなどいっさいコミで41トンある。
 ガスタービンエンジンだけだと1.5トンある。
 履帯は片側だけで2200kgある。
 120mmの砲身は6m、重さは2.25トンある。砲尾は680kgである。