イカはぬる温で火傷する。人肌に触れても火傷してしまう。

 だから海水が温暖化すると、いなくなってしまう。昨日、函館水産試験場の所属船『金星丸』の人から聞きました。
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 Rob Goodier 記者による2018-7-20記事「How Climate Change Could Break the Internet」。
    地球温暖化により平均海面が上昇すると沿岸部の長大区間コンジット(電纜用暗渠)が新たに水没することになり、NYCのような大都市でその影響は大きい。
 海底ケーブルの上陸結節点も、ドライではなくなってしまう。
 ハリケーン・カトリナの襲来により、ルイジアナでは8%、ミシシッピでは三分の一のネット回線が不通になった。
 ミシシッピでは被災後10日経っても、不通化した回線の5~10%しか復旧しなかった。
 地震で海底ケーブルが切れた例。1929年のグランドバンクス地震。ニューファウンドランド沖の、電信ケーブル12回線が海底地崩れと混濁流とにより破断。
 海底地震が混濁流(海底の火砕流のようなもの)を起こし、それが陸源性の岩石を高速で浮動させる結果、ケーブルが切断される。
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 Jay Bennett 記者による2018-7-18記事「New Technology Allows Ground Telescope to Take Sharper Images Than Hubble」。
     1610年、ガリレオは自作の望遠鏡で木星の四個の大衛星を確認した。
 それから200年以上、観測者たちは、より大型の望遠鏡の製作に打ち込んだ。
 19世紀になり、大気による光学上の悪影響を少しでも減らすため、本格的な望遠鏡は高山上に置かれるようになった。
 1968年、望遠鏡が宇宙軌道に投入された。「OAO-2」と言った。
 ゆがみが無い映像を得るには宇宙に優る設置場所はもう無いと考えられていたが、下からのマルチスペクトラム探索によって上空大気の状態をリアルタイム観測して、宇宙からの到来光が蒙っている大気の悪影響をリアルタイムに補正してやるという最近の可変鏡面技術が、ハッブル宇宙望遠鏡以上の解像度を、地上設置式望遠鏡によって得られるようにしてくれつつある。
 このシステムを導入した地上天文台は、チリのアタカマ沙漠にあるVLTである。運用しているのは欧州の機関でESOという。ESOは過去2年近く、このテクニックに取り組んできた。
 大気観測および補正に利用するシステムはGALACSIと称し、径8.2mの望遠鏡×4基からなる。
 全天写真を撮るような場合の大気補正のデータは、望遠鏡の標高より上空1kmまでの大気を探って、得る。
 しかしたとえば海王星だけを撮るような、狭視野の撮影の場合には、補正データを、レーザーによって得る。断層撮影法と同じノリで。
 具体的には、径30cmの4光軸のオレンジ色のレーザーを上空に向けて照射。これがトンボ=擬似標準星になってくれる。
 レーザーは高層大気中のナトリウム原子を励起させる。それによって大気のタービュランスの程度を計り知ることができる。
 このデータに基づき、観測望遠鏡側の補正用ミラーのアクチュエーターを毎秒1000回動かして、写真露光中の光の歪みを取り除く。
 かくすることにより、地上の天文台でありながら、軌道上の望遠鏡から撮影したような画像が得られる。
 このような補正コンセプト自体は1950年代から思い付かれていたものだ。しかし実現性が出てきたのは90年代以降である。メカトロニクスの発達が前提だった。
 ESOはいま、径39mのモンスター望遠鏡を建造せんとしている。これと新補正技術が結合した場合に、どんな画像が得られるのか。誰も知らない。
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 Kyle Mizokami 記者による2018-7-18記事「Watch an Ex-US Navy Ship Sink Under a Hail of Rockets, Missiles, and Torpedoes」。
        解役された『ニューポート』級戦車揚陸艇の『ラシン(USS Racine)』を使ったSINKEX(実艦撃沈演習)がRIMPAC恒例のハイライトとしてまた実施された。
 そこにミサイルが立て続けに命中している動画も配信されている。
 航洋タグボートの『スー(USNS Sioux)』が『ラシン』を曳航してパールハーバーを出航。カウアイ島沖のミサイルレンジに浮かべた。
 SINKEXは海洋環境に充分に配慮されている。廃艦からは油などを全部抜いて清掃済みである。
 撃沈する場所は、最寄の陸岸から50海里【sic.】以上離れていて、なおかつ深度6000フィート以上ある海面である。近くに海棲哺乳類も居ないと確認している。
 ※ということはHIMARSの出番は初めから無いわけじゃないか。射程70km~80kmでは、50海里=92.6km以上という上述の環境保護基準を満たせない。
 抜いたのは油槽の油だけではない。パイプ類までクリーニングしてある。
 PCBは特に注意され、小さなコンデンサーに至るまで事前に除去。
 浮流するゴミのもとになるものも除去。
 水銀やフロンを含む部品も除去。
 豪州空軍所属のP-8Aからはハープーンが発射された。
 海自はECMの現実を思い知った。最初に海自のP-3Cが『ラシン』の位置標定のために飛んだのだが、強烈なECMを喰らって役目を果たせず。
 ※米国GPSに頼りっぱなしの海自が、痛棒を喰らわされたか。
 そこで米陸軍が無人機『グレイイーグル』と有人ヘリ『アパッチ』を派遣して『ラシン』の位置を確認した。
 米陸軍の『アパッチ』は、そのデータを陸上の米陸軍と陸自へ電送。
 米陸軍はノルウェー製の地対艦ミサイル「NSM」を1発発射。陸自も「12式地対艦ミサイル」を4発発射した。この5発は、すべて命中した。
 ※海自が赤恥をかかされ、陸自が米陸軍の後援によって対艦能力を誇示し得た。あとはミサイル射程の延伸だけだね。
 地対艦ミサイルのランチャーと標的艦までの距離は、63海里=116.7kmであった。
 それに続いた訓練演目が、じつは謎に包まれている。
 ホノルルの『スター・アドバタイザー』紙によれば、米陸軍は5発のGMLRSを発射したとしている。しかしGMLRのレンジは43海里=79.6kmなのに対して、SINKEXの規定では標的は陸岸から57海里【sic.】〔前述数値と矛盾〕=105.6km 離隔しなければならないはずだ。
 『スター・アドバタイザー』によれば、NSMはレンジ63海里=116.7kmで発射されたという。
 ではどうやってGMLRSを標的に届かせたのだ? NSMを発射した基地 Barking Sands は狭い地積しかない。波打ち際ギリギリに近寄って発射したところで、標的までの距離を80km弱まで詰められるとは思えない。
 2017年の海軍=海兵隊の試験のように、水上艦船からHIMARSを発射したのでないことは確かである。というのは米海軍は今回のSINKEXには航空機と潜水艦と陸上アセットだけを参加させたと発表しているからだ。
 ※もし陸軍のLCU上から発射したとすれば?
 ひょっとして米陸軍は、射程90海里=166.6kmの、新開発の「尾翼制御GMLRS」=TC-GMLRSを使ったのだろうか。
 「グレイ・イーグル」がキュー出しをすれば、TC-GMLRSは動いている艦船をも直撃できる。
 ※そして166kmの射程があれば、西表島や石垣島の陸上から魚釣島近海を火制できる。米国は間違いなくこれを陸自に売り込むはずだ。
 『ラシン』に対するトドメの1撃は、米海軍のSSNから発射された1発のハープーンと、1本のマーク48魚雷だった。魚雷炸裂から1時間後に、『ラシン』は海没した。
 ※この炸裂シーンもあるのだが、不審なのは、それまでハープーン級のミサイルが何発も命中しているのに破孔がどれも小さいこと。明らかに炸薬を減らしているようである。また、炎上もしていないということは、対艦ミサイルの推薬もギリギリに減らしてあったということ? それで真の実験になるのだろうか?
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 Kyle Mizokami 記者による2018-7-20記事「Spain’s Newest Submarine is Too Big For Port」。
   スペインの新造潜水艦『イサーク・ペラル』。建造途中で浮力が足りないことが分かり、船体を大型にしたために、予定していた軍港を使えなくなってしもうた。
 スペインは古い『アゴスタ』級の潜水艦を更新すべく2003年に4隻の『S-80』型を発注していた。
 武装は、ドイツ製の533ミリ魚雷、米国製のハープーン対艦ミサイル、および、米国製のトマホーク巡航ミサイルである。
 しかるに2000年代後半にスペイン経済が悪化。
 発注から10年後の2013に、設計ミスも判明。設計が変更され、予定より75トンから100トンも重くなった。
 APがすっぱ抜いたところでは、設計チームの誰かが小数点の位置を間違えたために、潜航はできるが浮上はできない潜水艦の図面になってしまったと。その間違えは、建造開始後になって発覚した。
 造船所の「ナバンティア」社は米国のイレクトリックボート社に助けを求め、不足浮力問題の解決を頼んだ。
 EB社のアドバイス。船体を設計図の232フィートから265フィートに伸ばせ。さすれば排水量が2200トンから3100トンになる。
 しかしその結果として、カルタヘナ軍港ではこの潜水艦は運用できなくなる。水深等が足りないのだ。
 おかしいのは、造船所はカルタヘナ港の中にあり、しかも関係者は5年前から設計変更と格闘していたのだ。その間、誰もこの問題を指摘できなかったようだ。
 建造の総予算は、3割超過したそうである。
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 ストラテジーペイジの2018-7-22記事。
   米陸軍大学校は、戦史の授業を減らし、兵棋の授業を増やす。
 これが必然である理由を語る。
 インタラクティヴ・ラーニングを重視した方がいい、という判断なのだ。
 戦史を学ぶならば、過去の戦争をシミュレートしている「戦争ゲーム」の方が良い、ということが気付かれた。それによってむしろ歴史もよく理解できるから。
 特に、戦争ゲームのシステムがコンピュータ化されて以降は、これが戦史の教育教材になることが理解されてきた。
 業界では「ストラテジー・ゲーム」と総称する。じっさいの内容は、タクティカルで作戦レベルのものばかりだが。
 コンピュータ・ウォー・ゲームで促成的に戦史を覚えさせた米軍のエリート将校たちが幕僚になり高級指揮官になり、すでに20年経つが、効果は立証されている。彼らは実戦で有能だ。
 1972年後半に「鼠年」という名のゲームが発売された。これは北ベトナムと南ベトナムの戦争をシミュレートするもので、同年前半の北ベトナムの攻勢が失敗した事情を理解するのに有益な内容だった。※1968のテト攻勢のことではないらしい。
 1973年の第四次中東戦争は「サイナイ(シナイ半島)」という市販ウォー・ゲームを生んだ。
 イスラエルの国連代表メンバーの一人がこのゲームの監修者だった。だから内容はリアルだった。
 湾岸戦争のときは「ガルフ・ストライク」、さらに「アラブの悪夢」という2つのウォー・ゲームが即座に発売され、後者のゲームは、多国籍軍の圧勝を正確に予言した。
 どちらのゲーム製作にも本職の米軍人が関与しており、リアルな非公開データが注入されていた。
 米国のテレビは1990年からこの分野に注目し、たとえば「ナイトライン」などのニュースショーで、最新ウォーゲームが詳しく紹介されている。
 PCウォーゲームのソフトの核心機能は、要するにスプレッドシート=表自動計算である。
 ※いわゆるボードゲームのことは「マニュアル・ゲーム」と呼ぶことを、この記事によって知ったぜ。
 2008年から米CGSCでは、レッド・チームという参謀を育成している。実戦経験のある指揮官を18週間、レヴンワースの参謀学校でコンピュータ・シミュレーションのエキスパートに仕上げる。彼らは前線の旅団司令部に派遣され、旅団が近未来に実行するために計画している作戦案を検分し、助言を与える。これにより、致命的失敗が回避される。あまりに鮮やかなので「ジェダイ」と仇名されている、若い新エリート参謀層だ。
 レッドチームがPCシミュレーションを呈示するのは、狭い部屋の中。そこで、ごく内輪に、早い段階で司令官に間違いを気付かせてやれるから、司令官は大勢の部下の前で恥をかかずに済むのだ。
 もはや軍の学校から戦史の授業が減るのは、とうぜんなのである。
 ※クリントン政権時代、シュガシュビリ統合参謀本部議長は、もし第二次朝鮮動乱となれば米兵が5万2000人死亡し、韓国兵が49万人が死亡し、在日米軍33400人のうち8割も最初の3ヵ月で被害を受けるなどと吹かして、クリントンに対北攻撃を諦めさせた。これは古い朝鮮戦争のデータをスプレッドシートに投入しただけの脳なしシミュレーションだったのだろう。戦史の前に「民族の癖」「国民性」「ISRの限界」「ディスインフォメーションの有効性」を知り究めた方がよい。そして、人はいかにして偽宣伝に騙されてきたかの歴史素養が、司令官と政治家には絶対に必要であると思う。