12式地対艦ミサイルのコンテナ1個を、手押し式の「台車」×2台に載せることはできるか? ……できる。

 先島群島で必要としている装備は、それだ。
 手押し台車は、完全人力のみでの陣地進入を可能にするものだが、もし山を越えて何kmも移動したいときには、小型ジープやオートバイでゆっくりとロープ牽引したっていいだろう。
 ミサイル本体1発が700kgということは、旧軍の1式機動47mm対戦車砲の800kgより軽い。今日ではノーパンクタイヤもベアリングも進歩した。四一式山砲580kgを分解して臂力でオーエンスタンレー山脈やアラカン山系を越えたことを想えば何でもない。
 12式ミサイルのコンテナ1個と手押し式台車、さらに発動発電機や通信機や必要人員とをぜんぶあわせても2トン弱というところだろう。もっといろいろ欲張っても3トンで収まる。
 すなわちチヌーク×数機が1往復するだけで、コンテナ4本と管制システム一式を離島へ急速に送り込める。
 それがもし隣接した島嶼間の移転であったならば、CH-47ではなくUH-60を飛ばしても可能なわけだ。
 台車にはエレクターがつかないから、発射するためには土工によって生地に「斜堤と壕」を適宜に築城せねばならない。これは兵隊を先行させて掘開させる。もちろんバラクーダを展張したその下でだ。そこに追及してきた手押し台車が陣地進入し、放列布置する。
 この「手押し式台車」を部隊において工夫してみるのに、経費は数万円で足りるはずだ。
 砲兵精神を発揮し、すぐにやるべし!
 次。
 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2018-8-2記事「Army, NASA Want Laser Micro-Satellites For 50 Times The Bandwidth」。
  米陸軍は、地上部隊と衛星との間の通信をレーザー化することで、ロシア軍や中共軍の執拗な通信妨害を確実に回避したい。
 これを、こんどはNASAと協働で、マイクロサットを使って実現する。
 げんざい、米陸軍の旅団司令部は、実戦想定の演習において、毎秒2メガビットの衛星リンクを頼りにしている。旅団は4000人からなる。
 かたや、市販のスマホは、毎秒70メガビットをやりとりできる。
 いかに衛星通信というものが苦しいかがわかるだろう。
 そこで、レーザーですよ。
 NASAは、光学通信およびセンサーのデモンストレーション「OCSD」を実施する。LEOをペアで周回させる「AeroCube-7B」および「AeroCube-7C」(どちらもきっかり5ポンドの軽さ)。そこから発射されたレーザービームを、地表において受光する。
 比較してみよう。かつてのペンタゴン主導のTサット計画。
 たった5機の通信衛星に260億ドルかけようというイカレたものだった。2010年の中止時点で15億ドルが消えていた。
 あらためて提案されているキューブサットは、レーザービームの向きを調節する可変反射鏡を搭載しない。
 そのかわりに、衛星そのものが体位を変える。精密な天測によって、「四十分の一」度の精度で、地表の一点に一面を正対させるのである。今までの最も精密な通信・放送衛星でも、この照準角度の精度は1度であった。1度では、地上部隊の可搬式アンテナとレーザー光によって通信を維持することは不可能であった。
 姿勢制御は、旧来のロケット燃料を燃やす方式ではない。そのかわりに、少量の水をスプレーし、その反動を利用する。
 この実験、宇宙から地上に対し、レーザーでば毎秒100メガビットを送信する。
 これは、同サイズのキューブサットが電波を用いた場合の50倍のビット量。電波通信では、せいぜい2メガビット/秒なのだ。
 NASAの専門家は言う。軌道高度を調節するシステムを改善すれば、このバンドワイドスは2.5ギガビット/秒かそれ以上までも向上するであろう、と。
 ちなみにT-SAT計画では、5機でトータル28.5ギガビット/秒を狙っていた。
 もっかのところ、キューブサットは、衛星同士での通信はしない予定。これはT-SATとの大きな違い。