ベネズエラのSPは対ドローン妨害法を知っていた。

 Josh Abbey 記者による2018-8-8記事「Sea Mines in Amphibious Operations」。
      これから流行る機雷。アクティヴ機雷。移動式機雷。スウォーミング機雷。
 機雷輸出国は現在すでに20ヵ国ある。
 ノルマンディ上陸作戦時、制海権があったにもかかわらず連合軍艦船は43隻も敵機雷によって撃沈破されている。
 朝鮮戦争当時、北鮮は、元山港の前に3週間で3000個の磁気機雷を敷設した。
 国連軍はその3000個のうち224個を除去して、上陸用の水路を啓開した。しかしその啓開のため上陸日は5日遅れた。また、4隻が機雷で沈められ、それによる死傷者は200人を超えた。
 元山沖の3000個の機雷原は、国連軍の上陸は阻止できなかったが、残った2700個が国連軍艦船の進入できる海面をその後も局限し続けたため、ビーチヘッドへの補給活動は停滞し、かつまた、艦砲射撃が届く敵陣の範囲も狭められてしまっている。
 機雷のメリットは広範にわたる。ある海面を真剣に掃海し始めたら、その次に何をしたがっているのか、敵にこちらの作戦企図がバレてしまう。
 陽攻をしかけようとすればかなりの掃海部隊を別な海面へ派遣するしかなく、そんなことはとうてい無理なので、敵はやすやすと必要な防衛正面を正確に予測して、そこの海岸の守りだけに集中することができるのだ。
 機雷が、築城や内線機動や部隊撤収のための時間を稼いでくれるのは、防者にとっての大メリットだ。
 これらの機雷は小型でボロボロの漁船によって仕掛けられた。
 巡洋艦『プリンストン』が機雷にやられたのは1991-2-18のこと。他に『トリポリ』も触雷した。
 湾岸戦争でイラクは、1600個の機雷を、アルファウ半島からサウジ国境にかけて敷設した。
 イラクが仕掛けた機雷を掃海するのには4~6日必要だった。作業を開始すれば上陸作戦の予告となるから、これは戦術的にはたいへんな余裕を敵軍に与えてしまう。もし24時間でその掃海を完了させたくば、米海軍が保有する全掃海艇の2倍数の掃海艇が必要だった。
 米海兵隊は、クウェート海岸への敵前上陸作戦を実行すれば、イラクの機雷のせいで3000人から5000人が死傷すると見積もった。
 ※これが事実なら海兵隊はほんとうに要らない。ヘリコプターで陸軍歩兵を輸送した方がよっぽどスピード決着する。
 WWII後、米艦船15隻が触雷している。うち、掃海艦は4隻のみ。
 次。
 Kathy Gilsinan 記者による2018-8-7記事「America Is Not Ready for Exploding Drones」。
   ヴェネズエラの大統領の隣に並んでいたのは、女房と高官たち。
 自爆コプター(じばこぷたあ)は、空中で炸裂したらしい。複数機。
 国家元首を狙った自爆ドローンによるテロとしては、これが世界史初である。
 ISがモスルでドローンを偵察用に飛ばしていると報告されたのが2014夏のことだった。
 2016秋には、イラク北部で、撃墜したISの爆装ドローンを点検していたクルド兵2名が、炸薬の爆発によって死亡した。
 メキシコの麻薬カルテルが、爆発しないようにした手榴弾をドローンに結び付けて地方警察署長の私邸に墜落させ、脅迫した事例もあり。
 2017夏には、ウクライナの弾薬集積所に、爆装ドローンが突入して、(カイル・ミゾカミ記者によれば)数十億ドルの損失が生じたと。
 ヴェネズエラの内務大臣いわく、このたびの2機のドローンは、2ポンドのプラスチック爆弾を抱えていた、と。
 比較すると、米軍の固定翼無人機リーパーは、500ポンド爆弾複数を抱えた状態でほぼ1日滞空できる。
 ヴェネズエラのジバコプターは殺傷力よりも群集パニック喚起力があることを、示した。
 米国カリフォルニア州では、1機の民間ドローンが電線を切ったために2017夏に停電が起き、1000人に迷惑をかけたと。
 また2017-11に、加州でひとりの男がフットボールスタジアム上にドローンで政治ビラを撒いた。もちろん群集上を飛行させることは違法であった。
 NFLの幹部いわく。民間ドローンの厄介なのは、それを操っているのが真正の極悪テロリストなのか、もしくはただの趣味人なのか、判別つけ難いことである、と。
 法令では、ドローンは登録されねばならず、ナンバープレートのようなものも義務付けられている。しかし、それを飛行中に地上から識別することなど不可能である。
 ヴェネズエラの警備当局はあきらかに、ドローンに対して電波ジャミングを試みた。
 しかし米国内法では、違法ドローンを撃墜することが合法ではない。