全縦深迅速展開力。

 「全縦深展開力」を有しない部隊・装備では、たとえば西方を強化せんとすれば北が弱まって、ロシアに舐められるといった事態に悩まされてしまう。
 しかし 固定翼軽攻撃機=ライトアタックのように、全縦深に迅速に展開する機能を有した兵科ならば、日本のどの一角に所在していようと、そこから、全方位に睨みを利かせることができるのだ。
 たとえば帯広に有力なLA隊があったとして、それは尖閣海域警備のためにも、たちどころに移動&集中ができるのである。
 次。
 JOHN VANDIVER 記者による2019-3-8記事「Trump wants Germany, Japan and others to pay full cost plus a premium for US troops, report says」。
    ブルームバーグの特だね。
 「コスト プラス50」だとトランプ様が言い出した。
 同盟国は米軍駐留費の全額に、さらにその5割を上乗せして米国に納付しなさい、という新プラン。
 独、韓、日の場合、従来の負担額の5倍から6倍の金額となるだろう。
  ※これにくらべたらF-35のオトナ買いなど安いというわけか。
 この要求は先日妥結した韓国との交渉の途中で飛び出したらしい。
 ドイツ人は猛反発するだろう。ドイツ国内には3万2000人の米兵とその家族が所在するが、隣のポーランドはすでに敵国ではなく、ドイツは最前線ではない。
 つまり在韓米軍の場合とは意味合いか異なる。べつにドイツ国内に米軍がいてくれなくてもドイツ人は困らない。
 冷戦最盛期には、西欧に30万人もの米軍が常在した。今は在欧米兵はぜんぶで7万人くらい。
 ドイツ国内に限ると、米陸軍は1個歩兵旅団を置いているだけである。
 日本は対支の防波堤として在日米軍に期待しているところが大。しかしドイツは米軍無しでも当座困らない。
 ドイツ国内の最大の米軍拠点は、ラムスタイン空軍基地である。米軍はここを策源にしてイラクやリビアに介入した。ベルリンはそれを熱烈に支持したわけではなかった。まったく米国の対外政策のインフラとして利用されているだけである。
 米国外における米軍最大の軍病院は、ドイツのラントシュトゥール地域医療センター。アフガニスタンで負傷した米兵はみんなここに空輸されてくるのだ。しかしドイツ人はこの病院のお世話にはなっていない。
 スペインとイタリアには、米海兵隊が、危機対処部隊を置いている。これは北アフリカ諸国内の米国大使館がもしまた暴徒に襲撃されそうになったときにかけつけるために新設された部隊。欧州防衛には特に貢献はしてない。
 イタリア政府とスペイン政府はこの基地について何か金銭的に負担をするべきなのか?
 逆に、カネを払うから米軍が常駐して欲しいと正式に要望している国もある。ロシアの侵略に直面しているポーランドは、米軍基地を国内に置いてくれるのなら、開設費用の20億ドルを負担する言っている。
 一試算によると、ドイツは米軍関係の駐留コストの2割にあたる10億ドルを支出しているという。
 ただしドイツ政府はキャッシュを米政府に納めているわけではない。ほとんどが、現物やサービスの供給。
 トランプ政権は、米国の政策に協力的な国に対しては駐留費負担をディスカウントする、といった方針も検討中であると。


木更津駐屯地の皆さん、どうもありがとうございました。

 ちょうどヘリコプターと固定翼機の比較検討をしているときだったので大いに助かりました。
 「全縦深《迅速》展開力」がない兵科(たとえば機甲や自走砲特科)は、慢性人手不足であるわが陸自が、迫る《3国同時事態》――韓国が尖兵となってミサイル奇襲で対日開戦し、中共が西方での牽制役を引き受けて後から火事泥参戦を窺い、北鮮は韓国に対する補給役と「口だけ掩護射撃」に徹する――に対処することを難しくするだろう、と、わたしは考えています。
 この話は四月の単行本で詳細に論じますのでご期待ください。
 CH-47の「空中受油プローブ」のある機体とない機体では、おそらく価格は「十数億円」違ってしまうであろうこと、後付け工事をするとすれば、もっと高くなるだろう――といったお話は、チヌーク教育隊の所在するこの基地ならでは、聞き出せない《相場値》だろうと思っています。まさに「百ネットリサーチは一インタビューにしかず」。
 LR-2=連絡偵察機(ビーチクラフト双発、並列操縦席)は航続距離3000kmで、木更津から沖縄まで3時間で到達できます(同じ時間で回転翼機のEC-225は松山まで到達できるがそこでガス欠となる)。そのLR-2の導入時の単価が16億円だったんですよ。ヘリコプターへのプローブ取り付け費用と同じぐらいなわけ。考えさせられますよね。(ちなみに離島の800m滑走路を利用するとすれば燃料の重さを限りなくゼロに近づけておく必要があり、やはり平時には1000mのR/Wが必要だそうです。)
 連絡偵察飛行隊にはナンバーがありません。つまり陸自でただ1隊だけ。このパイロットは皆、回転翼機パイロットが、教育の途中から固定翼へ(本人希望により)コンバートした人たちです。コンバートには何の支障もないのだそうです。
 たとえばOH-6は2020-3末で全機引退します。他にも帳簿上だけ維持されているAHのパイロットが多いはずだ。みんなすぐに固定翼単発複座のライトアタック(LA=軽攻撃機)にコンバートできるんですよ。木更津が狭ければ、海自の小月基地かどこかにEMB-314を2~4機置くだけでね。
 LR-2もそうだが、複座機の強みは、練習機ではない機体で常続的に新人の錬成ができることでしょう。
 まあこの話も次の本でたっぷりとさせてもらうから、どうぞお楽しみに。
 非常に面白かったのが、CH-47JAは洋上で着水した状態で「航走」したり(後脚がステアリングできるのでそれを舵に使うらしい)、さらにまたそこから飛び上がることまでできるが、VIP輸送機であるEC-225にはとてもそんなマネは無理だという話。これは馬力の関係じゃなくて、ローター軸がシングルのヘリコプターは、波の上でピッチングが起きたときに、それをパイロットの腕では制御しようがない。離水前にローターが前方水面を叩いてしまう危険が大きすぎるのです。
 CH-47JAは補助椅子も使えば55人の非武装人員をお客に載せられる……というのはカタログデータ。有事には、なんと「立ち乗り」で100人の邦人を詰め込んで韓国から飛び戻ることだって不可能じゃないらしい。聞けば聞くほど、こんなに頼りにできる回転翼機はないですよ。
 整備兵の腕前も高度に維持されており、米軍からときどき「潤滑油を入れてないのではないか?」と質問されるそうです。あちらでは、各所から液漏れしているのがスタンダードな姿らしいので……。
 後日、写真のご紹介も、このブログでしようと思います。今ちょっと忙しいので、お気長にお待ちくださいますよう……。
 次。
 KIM GAMEL 記者による2019-3-7記事「US soldiers wish for masks as air pollution smothers South Korea」。
    米陸軍のドレスコードではPM2.5が酷いからといってマスクなんかかけることは許されない。しかしさすがに烏山[オサン]の米空軍は、それを条件付で許すようになった。
 ※韓国軍だけの指揮所演習を今後はさせないように米軍がとりはからいつつあり。韓国軍だけの指揮所演習とは要するに対日開戦予行なので、勝手にさせておくわけにはいかんぞという判断なのだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-7記事。
  ロシア議会が新年早々にインターネット規制法案。
 露軍の軍事作戦を動画や静止画に撮影してSNSに投稿することを禁じたい。
 2018年なかばにロシア軍は、シリアにある露軍基地(フメイミム空軍基地とタルトゥス海軍基地)に対し、2Gと3Gの携帯電話の電波を妨害すべし、と命令した。これは画像投稿を予防するため。
 2018-2には、すべての在シリアの露兵は、カメラとGPS機能の無いガラケーしか使ってはいけないと命令された。2017末からISがドローンを使ったカミカゼ攻撃をしかけてきたのを承けた措置。
 ロシア軍が占領しているウクライナのドンバス地区では、ツイッターに露軍の装備等の写真を投稿した住民は最長10年間刑務所にぶちこむと布達された。2017後半に。
 次。
Niall Firth 記者による2019-2-27記事「The race to make a lab-grown steak」。
   生きている動物の筋肉から細胞を少しスクラッチし、あとはそれを人工培養して食肉にまで育てるという研究。これてもう、動物を殺す必要がない。
 過去5年、世界中のスタートアップが、この研究競争に勝たねばと、力闘中である。
 豆の植物細胞を培養して肉に代わりの食材に仕立てるという研究も。
 和牛肉の人工培養をしようじゃないかというJVもある。
  ※この流れは止まらぬ。次は人工牛乳(したがってバターとチーズまで)だ。畜産・酪農家のみなさんは、よくよく先を考えて行かないと、……。


『宗教問題』vol.25 発売中。

 Ryan Hilger 記者による2019-2-28記事「Red Sky in Morning: Naval Combat at the Dawn of Hypersonics」。
       イランとイラクが戦争中で、民間タンカーがやたら攻撃されていた、1987年5月17日のバーレーン沿岸。
 米軍艦『スターク』はイラク軍機からミサイルで誤射されて37人が死亡する。
 そのタイムライン。
 20時00分。米艦『クーンツ』がイラクの「F-1ミラージュ」×1機を探知。その諸元を米艦『スターク』に渡した。
 20時05分、ミラージュが200海里に近づいたところで、『スターク』艦長は、それについて知らされた。
 20時55分、艦長は尋ねた。なぜレーダースクリーンにそれが映ってないのかと。レーダーのオペレーターは、レンジ・スケールを変えた。やっとスクリーンに映った。彼我の距離は70海里だった。
 20時12分。ミラージュが『スターク』をFCレーダーで照射しロックオン。レーダー・オペレーターは、タクティカル・アクション士官(艦の自衛に責任を有する)に対し、この敵味方不明機に対して警告を発する許可を求めた。タクティカルアクション士官は「いや、待て」と返答。
 21時05分。彼我の距離32.5海里。ミラージュは針路を変え、『スターク』に向かってきた。ところが『スターク』内のコンバット・インフォメーション・センターでは、この変針を見逃した。
 21時07分。彼我の距離22.5海里。イラク人パイロットは1発目のエグゾセを発射。命中まで2分である。艦の前方見張りは、発射を視認できていた。しかしそれを、遠くの海面にミサイルが着弾したものと錯覚。
 21時08分。『スターク』からミラージュに、無線で呼びかけ開始。パイロットから返答なし。なぜなら第2発目の発射動作に入っていたから。『スターク』のシステムが、新たなるレーダーのロックオンを探知。タクティカル・アクション士官は、カウンター・ミージャーのアーミングを許可。また、ファランクスをスタンバイさせた。この時点で、命中までの残り時間は1分。
 21時09分。『スターク』がミラージュをレーダーでロックオン。しかし弾頭は不発。見張りが、こちらに向かってくるミサイルを報告。だがその報告は、タクティカル・アクション士官までは逓伝されず。数秒後、エグゾセの1発目突入。弾頭は不発。
 ダメコン担当補佐だったコンクリン中尉の回想。
 命中音を聞いたとき、艦が他船と衝突したと思った。士官居室からダメコンセンターへ走り出すやすぐ、ミサイル推進薬の燃える臭いを知覚。同時に艦内第一放送回線が「ミサイル向かってくる、左舷! 総員、ショックに備え!」と。
 21時09分30秒、2発目のエグゾセが突入し、こんどは爆発した。艦内の五分の一近い乗員が即死。1発目のエグゾセはまだロケット噴進中。
 エグゾセは2分で20海里=37kmを進んでいたが、同じ距離をロシア製のカリブルなら45秒で進む。※つまり水平線のこちらがわはマッハ3になるのか。
 ズィルコン巡航ミサイルなら終速はマッハ8だという。これは2017年から露軍に配備されている。
 ウェイン・ヒューズ大佐(退役)は、対艦ミサイルが軍艦や商船に命中した現代戦の事例を全部、調べ上げて統計をとった。
 攻撃されたときに何の防衛手段も講じられなかった軍艦は、68%の確率で命中弾を喰らっている。
 万全の防禦手段を発令していた軍艦は、被弾確率を26%まで低下させることができた。
 実戦では、まずこっちから有効に攻撃せよ。これが大鉄則のようだ。
 防禦はとても難しい。
 米軍内では有名な研究。陸軍史家のS.L.A.マーシャルは1947に統計をまとめた。最良の歩兵中隊であっても、そのメンバーのうちの25%の者しか、WWII中に、実際に敵に向けてテッポウを発射したことがなかった、と。
 この統計はわれわれの直感には反するが、ガチのデータで裏づけられている。ノルマンディや太平洋の島嶼上陸戦でも、たったの15%の歩兵しか、敵に向かって銃撃は加えていなかったのだ。
 なぜ兵士は発砲をためらったか。マーシャルによれば、まず、敵がどこにいるのかわからないので、撃たなかった。次に、そこにいるのが敵なのか味方なのかハッキリしなかったので射撃を控えた。次に、自己位置が暴露するのを恐れた。
 ※比島でオレは米兵を射たなかったとかいって自慢してた小説家がいたが、自己位置が暴露するのを恐れただけなのでは?
 『スターク』の例は、同じことが軍艦でも起こることの実証である。防空ミサイルの発射をついためらってしまって、手遅れになった。
 1982-5にエグゾセにやられて沈没した英艦『シェフィールド』も同様だった。
 小心な見張り士官は、艦長に伝えるのをためらう。規則では伝えるべきだと知っていても。迎撃ミサイルはもとより、チャフの発射すらも、ためらってしまう。
 観測し、方向付けし、決心し、行動する――。そんなノンビリした手順をミサイル時代に踏んでいては間に合わない。
 さればとて、《かまわねえから発射しちまえ》とやったならどうなるか。
 それを考えさせるサンプルが、1988-7-3に起きた、米駆逐艦『ヴィンセンス』によるイラン航空655便の誤撃墜事件である。
 ※この艦長もその女房も、イランのアサシン団から狙われるというので、死ぬまで住所を隠して暮らすしかなくなっている。本件をひきおこしたのは、一下士官なのだが。その下士官の責任も、やはり艦長が取るしかない。これが海軍。
 そのタイムライン。
 未明3時30分、米艦『エルマー・モンゴメリ』が13隻のイラン砲艇を付近に探知。砲艇は3隊に分かれ、1隊は『モンゴメリ』の左舷斜め前に占位。
 4時11分、『モンゴメリ』は報告。北方の商船航路の近くで5回~7回の爆発ありと。『ヴィンセンス』はアシストせよと命ぜられた。『ヴィンセンス』はその艦載ヘリ「オーシャンロード25」に、前路を先行せよと命ず。
 6時15分。「オーシヤンロード25」が砲艇よりロケットと小火器にて攻撃を受く。『ヴィンセンス』は総員戦闘配置。
 6時20分、『ヴィンセンス』が『モンゴメリ』のタクティカル・コントロールを取る。
 6時39分、『ヴィンセンス』は〔上級の?〕オペレーショナル・コマンダーを呼び、交戦許可を求め、受理される。
 6時43分、『ヴィンセンス』は5インチ砲を発砲開始。砲艇複数から小火器による反撃あり。彼我の距離8000ヤード。
 6時47分。レーダー士官が、バンダルアッバスを離陸した航空機を探知。距離47海里。航空機は本艦に向かってくる。航空機の正体はアンノウン。
 6時48分、米艦『サイズ』もその航空機を探知。「トラック4131」と仮に名付けられる。『サイズ』は前方ランチャーのミサイルで「トラック4131」をロックオンす。
 6時49分、『ヴィンセンス』はその航空機に向かい、国際救難周波数と軍用救難周波数により問いかけ続ける。
 6時50分、何者かが「トラック4131」はイラン空軍の「F-14」であると報告する。その航空機が民航機用トランスポンダーのコードを発信し続けているにもかかわらず。『ヴィンセンス』の前部5インチ砲は、兵員1名死傷〔イラン艇の火器によるらしい〕のため発砲できなくなっていた。タクティカル・アクション士官は、「トラック4131」に無線で問いかけ続けるように命令。
 6時51分、『ヴィンセンス』は〔上級司令部の?〕オペレーショナル・コマンダーに対し、20海里に近づいたF-14を撃墜するという意図を告げる。『ヴィンセンス』は『サイズ』のタクティカル・コントロールを取った。『ヴィンセンス』は後部砲塔にて前方のイラン砲艇を射撃せしめるべく、舵一杯の転舵&全速前進を開始。このため艦内いたるところの棚から、多くの備品、帳面等が落下して散乱した。
 6時52分。セベラル人の見張りが、「トラック4131」が高度を下げているという、不正確な報告を為す。
 6時53分、「トラック4131」は12海里に近づいた。ひきつづき『ヴィンセンス』に接近中。『ヴィンセンス』は交戦許可を求め、許可される。
 6時54分、『ヴィンセンス』はミサイル×2を発射。
 1分後、ミサイルは2発ともに「イラン航空655便」に命中。『サイズ』艦長は、その爆発および破片の落下を目視した。
 655便が予定時間を過ぎても到着しないと報告されてからさらにセベラル時間後、誤射が認識された。
 この海戦中、イランのP-3哨戒機が、米艦の位置探知のための飛行を続けていた。
 後日の調査でわかったこと。『ヴィンセンス』艦内のコンバット・インフォメーション・センターで、事実上の指揮をとっていたのは、タクティカル・インフォメーション・コーディネイターである、見張りの一下士官だった。この下士官は、その場の上官は軟弱であると思っており、みずからは、イランのF-14を追尾中なのだと信じていた。この下士官の上申を将校も含めて誰も拒絶できない空気だった。
 次。
 Popular Mechanics Shop Team 記者による2019-3-1記事「Play Vinyl Records Anywhere with the World’s Smallest Wireless Record Player」。
    LPレコードを再生してくれる、ポケットサイズのミニロボットが売り出された。
 レコード盤をまわすのではない。そのミニロボットが、ミニカーのバスのように、レコード盤の上をぐるぐると走り回り、溝の情報を再生してくれるのだ。
 ブルートゥースで本格スピーカーに信号を伝送もしてくれる。
 もちろんヘッドフォンにも飛ばせる。
 この機械、EPやシングル盤(45回転)にも対応している。
 定価だと99ドルだそうだ。
 ※時計の針のように盤上を1回転するうちに、レーザーで全部の溝を読んでしまい、その情報をいったんストアしてから、時間を戻してMP5化して再生・出力してくれるデバイスを発明すれば、ユーザーはその信号だけUSBに保存すればよくなるので、LPを持ち歩く必要もなくなる。こういう商品が出てくれれば、ネットでダウンロード買いができない古い楽曲を、誰でも中古レコードからデジタル化できるようになるじゃないか?
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2019-2-28記事「Rectangular, Computerized Grenade Puts a New Spin on the Flashbang」。
       テロリストを制圧するために、SWAT隊員が突入する前に屋内に投げ込む、フラッシュ手榴弾。これはしかし破片が飛び散るので人質にも少々危ないところがある。
 そこで新製品が開発された。空気燃料爆弾の原理を応用。投げられると、まずアルミ粉を放出して、それから点火する。
 やたらデカい爆音と派手な閃光を発するが、破片は飛び散らない。
 本体はひらべったい長方体なので、転がらない。
  ※もっと薄さを追求すれば、ドアの隙間から押し込めるようになるな。縁部をアールのついた楔状とすれば、無理やりに押し入れ易くなるし、敵も咄嗟に拾うことができない。
 万一不発だったときは、60秒で自己不活性化し、安全になる。
 信管は電子式なのでタイミングの選択が増える。


米韓合同演習を中止するのは、それが韓国軍に対日攻撃の予行をさせているだけだと米側が気付いたから。

 韓国の徴兵も2年なので、数年中止すれば、次に予備役動員をかけたときにはもはや烏合の衆である。
 次。
 ROSHAN MUGHAL AND AIJAZ HUSSAIN 記者による2019-3-2記事「Eight killed in India-Pakistan fighting amid high tensions」。
    1999にパキスタン軍がカシミールのインド支配区へ侵攻したとき、パキスタン海軍機がインドの戦闘機によって撃墜されて、16人墜死している。
 ※テロを起こすとインドが報復する。するとカシミールのパキ支配区では経済活動が阻害され、若者は失業する。そこではますます自爆テロリストを募りやすくなる。この連鎖がずっと続いている。パキスタンはカシミールの一部をすでに中共に正式へ割譲している。インドが領有権をクレームしている係争地を勝手に他国へ売り渡しているのだからムチャクチャだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-2記事。
  F-35用の射出座席、マーチンベイカー・マーク16は、体重の軽すぎる人だけでなく、重い人にも危ない。
 上限の体重は111.3kgである。そしてRAFにはこれを超えるパイロットが少なからず存在する。
 過去数十年、空軍パイロットがどんどん巨漢化している趨勢があって、マーチンベイカー社はその対策にとりくまなくてはならない。
 ※オランダ空軍は昔からどうしていたのだろうか? ふと気になった。


病院とホテルを融合したら商売になるのに、誰も国内規制を乗り越えようとしない。

 ホテル王のコンラッド・ヒルトンは自伝にこう書いている。
  「私はかなり乱暴な人間とも取引をすることができたが、嘘つきと取引をすることは決してできなかった」。それは「シャドー・ボクシングのようなもの」で、勝つことはできないのだ (1969、広瀬英彦氏訳 pp.52-3)。
 ヒルトンも少年期に軍事学院へ入れられた。そこで学んだことは、「紳士は真実を話す」。
 嘘をついて自分の犯行をごまかした生徒が他の生徒によって学校にチクられることはない。しかし、学期末まで、あたかもそいつは存在していないかのように、同級生からは無視される。人は言葉によって存在する。その言葉が信用できないなら、すなわち存在そのものも、信用ならないのだ。
 『韓国との戦争(仮)』は、編集がハイペースで進んでいます。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-1記事。
    2011にビンラディンの隠れ家を急襲して射殺したとき、大量の証拠文書記録媒体が押収された。
 その内容を調べた結果、パキスタン軍がアルカイダやイスラムテロを育てている実態が判明した。
 パキスタン軍は内政にテロリズムを利用する。軍に批判的な政党をイスラムテロ集団に襲撃させて、国内向けには、宗教冒涜のバチが当たったのだと間接的に宣伝させる。軍をヨイショする宗教的政党だけを大きくし、国家の利益独占システムをそのイスラム政党と軍の間で構築したい。
 イスラムテロが2011年いらいパキスタン経済に570億ドルの損害を与えている。しかしこれが逆に、パキスタン政府が軍のために巨額の予算を支出することを正当化してくれる。
 事実は逆で、パキスタン軍こそが1970年代からイスラム過激派を育成し続けているのである。
 イスラムテロリストがパキスタン政府を敵視することと、パキスタン軍がイスラムテロをこっそり後援している構造とは、昔から両立しているのだ。
 財政破綻に瀕しているパキスタンはIMFからも軍事支出を減らせと勧告されているが、それに対する反論として、軍は、子飼いのテロリストたちを使えるわけである。
 ※インドと緊張を起こせばパキスタン国民は一時的に軍を支持する。よって軍の予算は削られないで済む。めでたし。
 パキスタン軍がパキスタン経済の発展を阻害している。たとえばインドからパキスタン経由でアフガニスタンと結ぶ陸上交易ルート。これが自由化されるだけでもパキスタン経済が余慶を蒙り国民は豊かになるのである。
 しかしパキ軍は断乎反対する。パキ軍のレゾンデトルはインドが脅威であるという宣伝にかかっている。インドが友好国になり、インドのおかげで国内が豊かになってしまっては、パキ軍は困るのだ。
 パキスタン軍は2017年に静かなクーデターを成功させ、いらい、政党指導者、マスコミ、最高裁判所は軍のおもうまま頤使するところ。
 パキスタン軍は、アフガニスタンを、属領のようにコントロールしたいと念じていた。
 90年代にタリバンを育てたのもそのためだったが、現在のところ、それによってパキスタンにとっても、ひとつも良いことは起きていない。
 前回、インドとパキスタンの空戦があったのは1971年である。
 インドのミグ21は、パキスタンのF-86に対して優勢であった。
 地上部隊の衝突は、1999年にパキ側から仕掛けたものが最後だが、これもパキ側が大敗。
 けっきょくパキスタンがインドに対して優越しているのはテロリズムだけなのだと確認されている。だからそれを執拗に使う。
 2019-2-27に12機のパキスタン軍機がインド領空に向けて飛んで来た。そのなかにはF-16が含まれていた。パキ軍機の意図は誘導爆弾でインド軍のカシミールにある地上施設を破壊することにあると信じられた。
 インド空軍はスホイ30とミグ21をそれぞれ複数、邀撃に向かわせた。
 これと空戦になる前にパキ軍編隊は引き返したが、1機のF-16だけがインド領空に入った。ミグ21からのミサイルにより、このF-16は撃墜された。
 パキスタンはF-16を空襲に使ったことを否定している。それもそのはず、米国からF-16を買うときに、《外国攻撃には使いません》という一札を入れているのだ。
 F-16はパキ領内に墜落した。インド側はF-16から放たれたAMRAAMの破片をインド領内で回収した。米国製である。
 インドはさらに、F-16のエンジンの部品の写真も公開した。
 ミグ21bis が発射したのはR-27だろう。スパローのロシア版である。
 ミグ21は、地上の空戦管制員から、R-27を発射できる位置までみちびいてもらう必要がある。そして敵機を目視できない距離から、1~2発を発射したのであろう。
 パキ側は当初、ミグ21×2機を落としたとアナウンスしていたが、あとから1機に修正した。
 パキ空軍の戦闘機のうちF-16Cは1割ぐらい。残りは支那製ミグ21であるF-7と、支那製F-16であるJF-17、そしてフランスから買ったミラージュである。
 JF-17はシナ軍すら採用を見送った機体で、ユーザーはパキスタン空軍だけである。
 インド空軍の戦闘機の半分は、スホイ30とミグ29である。
 しかしジャギュアも90機あるし、ミグ21も捨てていないのだ。
 ミグ21に爆装させても500kgしか懸吊できない。
 インド陸軍は砲兵によってパキスタンの5箇所の哨所を破壊したとも発表した。
 2019-2-12にパキスタン軍は、NYTの最新記事を検閲で空白にさせた。そこにはパキスタン軍が反対者(ジャーナリスト含む)に対する誘拐や殺人を繰り返していることが批判されていた。パキスタン軍は「宗教冒涜禁止法」によって検閲を正当化している。
 次。
 2019-2-27のMITジャーナルの記事「Ten recent low-tech inventions that have changed the world」。
  安い発明で世界の貧民が救われているという例を紹介。
 「Oral rehydration salts」は、赤痢の脱水症状で幼児が死亡することを家庭で防げる錠剤。塩と砂糖と亜鉛からできていて、水に溶ける。
 ソーラーパワード灌漑システム。MITで考えた。ドリップ式。
 ソーラー自家発電を自家消費するための直流屋内グリッド。
 柴木の消費が半分で済むクッキングストーブ。
 「ヒッポ・ローラー(Hippo roller)」。これは大発明だ。
 アフリカでは毎日、水汲みのためだけに、少女らがバケツを頭に載せて往復何キロもの道のりを歩いている。
 この労役を劇的に緩和するチープな樹脂製の樽ができた。
 『巨人の星』の「おもいこんだら」のグラウンド輾圧ローラー。あれを小さくしたような形態。
 押して転がして行けばよい。バケツの何倍もの量の水を、鼻歌交じりに、少女がたった1往復で運搬できてしまう。
 円筒ローラー部分が、ぜんぶ、ポリタンクになっているわけだ。
 問題は、リヤカーのようにして押し引きする金属パイプ製のハンドルの一端を、必ず樽の回転軸のセンターに嵌め込まねばならぬわけだが、そうすると、水を注ぐ口はどこに取り付けたらよいのかということ。
 ヒッポローラーの設計者は、円筒の片方の端面の、センターを外した位置に、この注ぎ口とネジ蓋とを設けた。
 大災害が発生すると、携帯電話通信網が使えなくなることも……。
 そこでチリではSiEという緊急通信システムが発明されている。
 重要なテキストデータを、コード変換して、仮に高周波の音声データとしてしまい、それをラジオ放送の電波に乗せて、放送局のでかいアンテナから大出力でブロードキャストする。
 これをスマホが受信する。スマホに入れておいたアプリが、受信した音声データをデコードし、元のテキストデータに戻して、画面に表示してくれる。
 つまり、インターネット環境が消滅してしまっても、すくなくとも人々の手にしているスマホが、テキスト放送の受信装置としては、役に立ち続けるわけだ。
 次。
 BRUCE HENDERSON 記者による2019-3-1記事「A pioneering WWII vet died alone. But she’ll get a hero’s farewell」。
    WWII中、唯一の黒人女性だけの「ブラックWAC」部隊が欧州に派遣されていた。総勢800人。
 ※WACのAはArmyですよね、防衛省さん? 自衛隊内で唯一堂々「陸軍」を名乗っている組織なのかな?
 国防省としては当初、その部隊を国外へ出すつもりはなかったが、郵便物の処理業務がパンクしていたので……。
 第6888中央仕分け大隊。はじめ英国、ついでフランスに進駐。3交代制で、無休で働いた。
 次。
 Carl Prine 記者による記事「Coast Guard’s last heavy icebreaker caught on fire during South Pole mission」。
   米コーストガード所属の古い砕氷船『ポーラースター』が2019-2-10に焼却炉室から火事となり、消火には2時間かかった。
 場所は南極のマクマード水道から650マイル。


米国メディアによる正確な「まとめ」報道によってトランプは金縛りにあった。

 NHKとは大違い。ナショジオの三回連続特番を視て三代目も、こりゃもうダメだと観念していただろう。
 次。
 Matthew Zweig 記者による2018-2-28記事「North Korea’s Use of Slave Labor Will Limit Any Prospective Sanctions Relief」。
       国務省によると北鮮は10万人の海外出稼ぎ労働者を管掌しており、そこからのアガリは毎年5億ドル以上。8割は支那・ロシア国内で労働中。高スキルのプログラマーから、低スキルの単純労働者まで。
 ポーランドの造船所で劣悪な管理をされている詳細がたまたま裁判で判明している。
 北鮮住民の10人に1人は、児童も例外でなく、国家からタダ働きを強制される。
 元山で観光産業を盛んにせよという号令が加わり、国内で15万人が強制徴用されて元山に集結させられている。
 国連安全保障会議の決議2397号は、北鮮の労務者を受け入れている諸国は2019-12までにその全員を国外へ退去せしむべしと義務付けている。
 米国では2017-8に、北鮮からの奴隷労働商品を輸入することが禁ぜられた。じっさいに米税関当局は、北鮮からの靴、衣類、魚介類、鉱物、木材を、港で押収し続けているのだ。
 2019-1に加州の「エルフ化粧品」は100万ドルの罰金を命じられた。理由は、北鮮内の「第12号収容所」で奴隷労働によって製造された材料を使った「付けまつ毛」を輸入した咎により。
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 Mike Stone 記者による2019-2-27記事「Melting missiles: just one problem with F-35s stopping N Korea rockets」。
          米空軍は《F-35で北鮮ICBMのブースト中を撃破してしまう》という将来プランに不思議な自信をのぞかせている。
 だがミサイル防衛の専門家たちは、《それは物理法則の無視だ》と口を揃える。
 公海上もしくは韓国上空に位置するF-35から発射して、北鮮から打ち上げた直後のICBMに追いつけるほどの超スピードの空対空ミサイルをつくったとする。そのミサイルは、途中で溶けてしまうだろう。大気摩擦熱で。
 現在あるAAMで北鮮ICBMを撃墜したいなら、F-35は最初から北鮮領空上を飛び回っている必要がある。1年365日。そんなことができるかっつーの。
 構想はペンタゴン内で半年をかけてまとめられ、先月(すなわちハノイ会談に先立つように)、一端が公表された。
 それによると、米軍は、既知である北鮮のICBM発射場の近くにF-35の編隊をロイタリングさせておき、ICBMが打ち上げられるやただちに「特殊な空対空ミサイル」を発射して、そのICBMがまだ大気圏内にあるうちに撃破してしまうという。
 こんなミッションが可能な「センサー」をもっているのはF-35だけなので、発射母機はF-35の一択である。しかしこれを可能にするAAMが未だない。だから新開発が必要だとペンタゴンの将軍たちは言う。
 国防長官の下で技術開発を監督しているマイケル・グリフィンは、これは数学的にも物理学的にも可能であると請け合う。
 だがCSISのトム・カラコは、北鮮領空外から発射するのでは、遠すぎて当てられないだろうと批評。
 またMITに奉職するMD専門家セオドール・ポストルいわく。レイセオンのAMRAAMと北鮮製のICBMの相対スピードからして、現在の技術では実現不可能。たとえばAMRAAMで北鮮のICBMを大気圏内で撃墜しようとすれば、時間窓は200秒しかない。200秒以上するとICBMは大気圏の上層に達し、惰性運動中のAMRAAMの空力フィンは効かなくなる。
 ※ICBMは1分間以上も確実に加速し続ける。AMRAAMの加速は1分は続かぬ。加速し続ける物体甲を、加速しないミサイル乙で「追い撃ち」しても届かぬ。そもそも「見越し照準」のつけようがない。弾道弾のタイプはひとつではないのだから。
 ポストルいわく。F-35が、北鮮領内から発射された直後のICBMを探知し照準し、自機のAAMを発射するまでにも、最低50秒は要してしまうだろう、と。
 F-35がAAMを発射する時点でかなり標的まで接近している必要もあるだろう。
 ポストルは元ロケット技師だった。
 ポストルいわく。F-35がICBM射場の真上にいれば、撃破は可能だ。しかしそもそもそのような占位ができる確率が低い。
 MD研究家のローラ・グレゴはもっと限定する。その空対空ミサイルの飛翔速度が仮にマッハ5だとして、母機のF-35は標的ICBMまでに50マイル以内に占位している必要があろう。現実的には、もっと近くなくてはダメだろう、と。
 ※最大でも80kmということか? ちなみに120ミリ戦車砲のAPFSDS弾がマッハ5で飛ぶ。その訓練弾の金属キャップは空気摩擦で溶解することにより、弾体をバラけさせて、跳弾を予防する設計。
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 ストラテジーペイジの2019-2-28記事。
    韓国の兵隊(徴兵)38万人は、兵舎内でスマホを禁じられていたが、ママたちがうるさくさわぐのでついに軍は17時半から消灯時間の22時までは使ってよいということにする。4月から。
 週末は、19時から22時まで使用がゆるされる。
 韓国陸軍は2011年に、兵隊が軍の装備品や施設を撮影してオンライン投稿することを禁じた。
 また、兵隊たちが軍事問題をオンライン上で語ることも禁じた。
 同時に監視体制もできた。2011年半ばには1000名の兵隊がこの規則違反でとっつかまり、300人は罰せられた。


パキスタンは複数のF-16にスクランブルさせたが会敵できなかった。

 ミラージュ2000×12機が爆撃したJeMのキャンプは例のアボタバードから25マイル北にある。
 インドは、ミグ21×1機が未帰還だと認めた。
 住民が降下したパイロットを殴っていた。
 ※パキ相手には古いミグ21で十分だと高をくくってMMRCAを遅らせに遅らせたツケが回ってきた。詳しくは拙著『日本の兵器が世界を救う』を読んでみてくれ。
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 ストラテジーペイジの2019-2-27記事。
   イスラエルは1-21にビデオを公開した。イスラエル製の「スカイストライカー」というロイタリング式のミサイルが、ロシア製の「Pantsir-S1」防空戦車を直撃破壊する映像。
 ロシア製のこのAFVは、連装30ミリ機関砲+ツングスカSAM×12本、およびレーダーから成る。
 ツングスカは1本が90kgで射程12km。射高は8400mまで。
 レーダーは視程30km。
 30ミリ機関砲弾は3200mまで有効。
 AFV自重は20トン。乗員は3名。
 ほんらい低空防空用なのだが、イスラエルのUAVミサイルが簡単に撃破できた。前にも同様のビデオが公開されたことあり。今回は二度目。
 米海軍は8機の新品の「MQ-8C ファイアスカウト」を発注した。これが納品されると、海軍は総計24機の無人ヘリを持つことになる。
 今回発注したファイアスカウトの単価は1100万ドルである。
 滞空時間は、ペイロードにもよるが12時間から15時間。
 最大ペイロードは1.3トンである。
 C型の前の型であるMQ-8B。射程8000mのグリフィンミサイル(重さ16kg)や、射程6000mの70mm誘導ロケット弾(重さ12kg)を運用させることもできる。
 C型にはイタリア製の軽量AESAレーダーも搭載できる。この商品名はオスプレイといい、50kgしかない。
 フラットパネルを3角形に継ぎ合わせ、それによって全周を見張らせることができる。
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 Will Knight 記者による2019-2-27記事「This AI lets you deepfake your voice to speak like Barack Obama」。
     自分の声の周波数のみか波形の特徴を、特定の他者のものに変換してしまえるディープフェイク技術が公開された。
 すなわち、男の声を自然な女の声色に変換したり、老人の声を子供の声に変換したり、若い女の声をジジイの声にしたり、ぜんぶ自分が語っていることなのにその声音は特定の有名人の音声そのものである、というような工作が自在にできてしまうのだ。
 ただしアクセント、抑揚、イントネーションは、本人のものと変わらない。
 ※これによってモノマネ芸人の声帯模写は用済みとなるかもしれないが、演劇の訓練を受けた者ならば、「1人で多人数の芝居」が制作できてしまうことになる。もちろんラジオドラマ限定だが。またアニメーション制作がコストカットに向かう。だって声優は無名の中堅を1人雇えばいいんだから。洋画/アメドラの吹き替えも同様だよ。「弁士」の復活だとも言える。徳川夢声ひとりいれば業界ぜんぶカバー。声優にとっての大淘汰時代が始まる。
 変換は、リアルタイムになされる。
 ※つまり電話口でこの装置を使って相手を騙すことができてしまう。なりすましネカマテレフォン、きも杉内?
 もっかの試作品では変換された声に、鳥のさえずりのようなトレモロ(震え)が生じてしまい、そこに不自然さが残る。
 しかしGAN技術を使えば、やがてホンモノと区別のつかない水準にまで行くことだろう。
 多人数で参加するオンラインゲーム(たとえばコールオヴディーティ)で、自分の生ボイスは使いたくないという人がいるはずだ。そんな人にはこのソフトがオススメだ。
 ※マッチョな軍人ボイスに変換しておけば、とりあえず仲間から舐められることはない、というわけで、プロのナレーターでしかありえないような重低音ボイスが流行りそうな予感が……。まあ、発する言葉が「ファック!」だけだからすぐ「おまえガキだろ」とバレてしまう。そんな末路まで読めてしまう。
 開発企業では、悪用防止のため、電話の受け手が、それが改変されたボイスであることを確実に知ることのできるような仕掛けをビルトインしようと考えている。「ウォーターマーキング」と呼ばれる技法。


キャンプハンフリーだけで3万6000人いる。

 Stratfor の2019-2-26記事「China Sets a Course for the U.S.’s Pacific Domain」。
       ミクロネシア、マーシャル、パラオはそれぞれの国内だけでは経済を持続的に発展させられないので、その戦略ポジションを商品として、中共と西側の両方から、投資を呼び込む。
 16世紀にはすでにスペイン人が、マニラとメキシコの間でガレオン船を往復させていた。なぜ太平洋航路を開発したかというと、インド洋がポルトガルの支配区だったからである。
 たとえばキリバスは人口たったの11万人だが、EEZ面積は世界の第12位である。ミクロネシアのEEZよりも広い。キリバス政府はこれを切り売りすることで外貨を稼げる。
 太平洋島嶼諸国の経済には概して4つの柱がある。移入民、海外出稼ぎ者からの送金、外国からの援助金、公務員機関。
 ここには中共その他の外部経済勢力がつけいる隙がありすぎる。
 合衆国は次のように太平洋領土を広げた。
 1867年、アリューシャン列島とミッドウェー島。
 1892年、ハワイ。
 1898年、ウェーク島、グァム、比島。すべてスペインから。
 1904年、サモア。
 これらは貯炭場、兼、海底ケーブルの中継点となり、チャイナ貿易のインフラになった。
 マーシャル、ミクロネシア、パラオが米国委任統治領ではなくなって独立したのは1994である。
 ただし米国との間で公式に自由連合体を形成し、米国から経済援助と軍事援助を受け続けている。
 米国はこれらの島嶼上の軍事基地を利用できるが、他の国は利用できない。
 1986から2003の間にミクロネシア連邦は合衆国から15億ドルを貰った。同じ期間に、マーシャル諸島は10億ドルを貰った。この資金なくして、両国は、公務員への給与支払いすら不可能なのである。
 国内線航空路、災害救恤、気象観測、郵便も、これらの島嶼国家はじぶんたちでは賄えない。すべて合衆国が代行してやっている。
 またこれら島嶼国家からは、合衆国との合意によって、住民が米本土に出稼ぎに行くことが許可されている。これら米国出稼ぎ組からの送金が、これら島嶼国家の経済を支えている。
 政府間協約により、米政府は、これら島嶼国家が中共等から土地を利用されそうになった場合等にそれを拒絶させることができる。
 たとえばヤップ島に中共の拠点が作られてしまったらグァム島の安全は保てないので。
 クェゼリンには米軍のミサイル試験場がある。飛来するミサイルをトラッキングするレーダーがある。それは中共の長距離ミサイル実験もモニターできる。
 2017-8に米政府は、パラオに宇宙監視レーダーを置き、北鮮のミサイル発射に備えると発表している。
 遅くとも2016には中共がミクロネシアのEEZ内漁業権を買占めるべく同国議会議員たちに工作していた。
 一部議員たちは2023の期限が来たら米国との集団的協約から離脱しようと2018に叫んだ。
 パラオは2044にならないと期限満了しないが、ミクロネシアとマーシャル諸島は2023になったら協約から離脱してもよい。だから今、中共が工作を仕掛けているのだ。
 集団的協約から正規に離脱してもなお、米国との二国間取り決めは残る。
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 ストラテジーペイジの2019-2-25記事。
    中共の海兵隊が面白い自走砲を開発。艦載用の76mm自動砲を、10×10の装甲車両にそのまま載っけた。
 すでに2016に、6×6に5~9トンの艦載砲塔(砲艇用)を載せたAFVあり。
 艦載砲は弾庫に75発から150発は弾薬を収めている。
 1発の重さは12.4kg。
 車載とする場合、弾薬の重さは1~2トンにしないと。
 艦載砲は射撃中は流水(海水)で砲身が強制冷却される。それでも25連発ぐらいすると、過熱を冷ますために数分間、射撃を休止しなければならないのである。
 艦載砲は、しっかり狙える距離は10kmぐらい。単に届かせるだけなら15km先を砲撃できるが。
 中共がこしらえた6×6車載のCJ26。発射する前には車体後端の2本のアウトリガーを油圧で設置させて車体動揺を予防する。
 しかし10×10車両は自重20トン以上あるのでアウトリガーは要らない。
 レーダーとFCSがつくとさらに数トン増しになる。
 6×6バージョンではFCレーダーは別車両だった。新製品では、それを1車両上に無理やりまとめた。
 艦載速射砲は最初にイタリアのオットーメララ社が1960年代に実現した。それは80年代にさらに連射のサイクルが向上した。
 対抗してロシアは70年代に類似品をこしらえた。それは中共に輸出され、中共はコピーして「PJ26」を作った。
 オットーメララの改善努力も止まっていない。90年代には、自艦に向かってくる対艦ミサイルを撃墜できるほどの性能となった。
 これが実現したのはAHEADという弾丸ができたから。発砲前に爆発タイミングがプログラムされ、飛来する敵ミサイルの手前でタングステンの散弾を榴霰弾のように前方へ飛ばす。もちろん、対航空機にも有効。
 AHEADは口径30ミリから76ミリまでの砲用に用意されている。
 ロシア・中共版のAHEAD弾は、毎分120発のレートで25発発射すると、敵ミサイルを撃墜できるように考えられている。
 30ミリから40ミリのAHEADを敵AFVに向けて発射すると、外部のセンサーが痛めつけられるので、戦車も機能発揮できなくなる。
 謎なのが、中共の海兵隊は重さ20トンの車両(76mm自動砲)をどこでどう使うつもりなのかということ。簡単に揚陸させられないだろう。
 大きいFCレーダーがついていることからして最前線に持ち出すAFVではない。
 ※これは尖閣などに歩兵が上陸して占領した直後にLSTから揚陸させて、守備隊のためのAAの傘を提供するものだろう。すぐに地面を掘って、上面をバラクーダで覆えば、上空からASMで精密照準することも難しくなる。この「移動砲台」を排除するためには、HIMARS/G-MLRSを露頂状態から島に向けて連射が可能な無人の「水中曳航ポッド型ランチャー」を有人潜航艇によって曳航させて行って使うしかなかろう。GPS照準で70km先から連打して、まぐれ当たりを狙うわけだ。別途UAVを飛ばして弾着を観測させればGPS座標の微調整もできる。
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 Karen Hao 記者による2019-2-28記事「Why AI is a threat to democracy?and what we can do to stop it」。
       ソーシャル・クレジットをスコアリングするという中共のAI監視システム。これを聞くとアメリカ人はおぞけをふるうが、じつは、村の中で人々が相互監視するというシステムは、中国古来の伝統なのだ。ソーシャルクレジットAI監視網は、単に、その文化的な伝統をオートマチックにしただけでござる。


少し背伸びしないと、高いところのものは取れない。

 WALTER WELLMAN 記者による2019-2-25記事「Report: Problems plague military’s newest tactical vehicles」。
     1-31にDoDの作戦用試験評価官が年次報告書をまとめた。それによるとJLTVにはなお、不満の部分がある。
 JLTVには、重火器キャリアー型などのバージョンがある。すべての派生型に不満がある。信頼性、整備性、乗員の安全性、周辺警戒力等に於いて。
 なかんずく、近接交戦ウェポンキャリア型がいちばんよくない。有効に戦闘できない。
 これは要するにTOW発射型のこと。再装填に関しては旧HMMWVの方が早く確実にできた。
 ※TOWは枯れたシステムで大いに信頼できるのだが、これからの車載ATMはどう考えても「垂直発射式」がラクだ。むしろTOWではない新奇なATMを模索した方が、再装填問題の解決は早かろう。軍艦のVLSの車両版。対戦車ミサイルじゃないミサイルも混載できる。そんなシステム思考が欲しい。たとえばIEDブラスト対策として車両中央部に大直径の垂直縦貫「チムニー」を設け、そこにATMを全弾、垂直に詰め込んでおくというのはどうだ? 誘爆対策にもなり、一石二鳥じゃろうが?
 JLTVは周辺にブラインドスポットが多く、外周確認性がよくない。※まさに無いものねだり。そんなに視察性が恋しくばパットン将軍のように冬でも無蓋のジープに乗れ。
 JLTVのドアは開けにくく、緊急脱出しにくい。
 JLTVはHMMWVのようにユーザーが手前整備してしまえるものではなく、メーカーからの出張整備班に多く頼らねばならない。
 ユーザーがトラブルシューティングできない原因には、そのための訓練をしてないことや、マニュアルの悪さがある。
 JLTVはデカく、しかも音がうるさい。このため、戦場ではHMMWVよりも敵から早くその存在が気づかれるであろう。
 げんざいの計画では、JLTVは陸軍用に49099台、海兵隊用に9091台、空軍用に80台、出荷予定。
 ※それじゃ単価も下がるわけだ。
 なおこのリポートの「改善提案」の部分は非公開である。
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 Gregory Korte 記者による2019-2-24記事「With women in combat roles, a federal court rules male-only draft unconstitutional」。
    テキサス州の連邦地区裁判所判事が、男だけを対象にする徴兵はもはや違憲であるとした。
 これは、1981に連邦最高裁が、女は戦闘に不適任なので、男子だけの選抜徴兵法は妥当だとした判断に楯突く物。
 米国では、満18歳の誕生日に、選抜徴兵名簿に登録されそこなった男子は、連邦機関が職員採用を拒否することができるし、学生ローンが組めなかったりすることもある。他方で女子はそもそも登録ができない。
 米軍は〔ベトナム戦争後の〕1973年に完全志願制になっている。しかし〔イラン人質事件とソ連のアフガニスタン侵攻直後の〕1980年に選抜徴兵法は復活し、名簿登録事務だけはされてきた。
 ペンタゴンは2015に女子志願兵がすべての戦闘職種に就けるようにした。
 同姓婚禁止の合憲判断はすでに最高裁じしんで覆している。
 ※いまから数年経てばオリンピックは消滅しているか、一周まわってギリシャ時代に逆戻りしているかもしれない。というのはすべての競技に男女別がなくなるからだ。歴史的に、男女無差別で成り立ってきた競技は、馬術だけだった。これも不思議な話で、たとえばエアライフルの射撃や、高飛び込みを、男女別にする必要はなぜあるのか? 野球チームに女子選手が加わってはいけないという規則はないのに、なぜ男子が入れないソフトボールを別建てにして五輪種目にしてもよかったのか? いままでもじゅうぶんにおかしかったのだが、これからはもっと矛盾が顕在化する。東京五輪は「最後の性差別オリンピック」になる可能性がある。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-2-25記事。
   米海軍は、5隻の原子力空母から、ATTDS=対魚雷自衛システムをおろす。
 失敗原因は単純。
 まず、露軍やシナ軍の現用品であるホンモノの魚雷を射ってもらわないことには、システムの試験のしようもないわけだが、その再現方法が分からない。
 しかたなく、米軍の魚雷を敵魚雷ということにしてテストすると、このシステムはとても不成績。
 ATTDSをおろせという決定は2018年後半にくだされた。完全撤去は2023までかかる見込み。
 ATTDSは2015までにほぼ全部の軍艦に載せるつもりで、まず2013に空母に載せたのだが、どうにも調子が悪かったので、海軍は計画を途中撤回した。
 このシステムは敵魚雷の探知を、紐状の曳航式ソナーに依拠するのだが、誤探知が多すぎた。
 意識している主たる脅威はロシア製と中共製の「ウェーク追尾式」魚雷である。だがそれがどういう駛走音を発するものなのか、サンプルがない。古いものの音源はある。それらは輸出もされているので。しかし敵は年々、新しいタイプを開発しているわけだ。実戦に使われるものは、輸出型とはぜんぜん違う音だろう。
 システムのもうひとつの構成要素の迎撃魚雷は径165ミリで、艦尾のコンテナから射出される。
 ロシアはWWII中のドイツ製の航跡ホーミング式魚雷を改善して国産品を1960年代に得た。信管は磁気で、直撃しないで艦底を潜るときに爆発する。