『戦略の形成』の担当者様

 ご恵送有難う存じます。通読するのに1ヶ月半かかろうかと思います。皆様良いお歳をお迎えください。
 宮下さま、お心遣い辱う存じました。本日、拝受しました。


滅私袋

 空自OBのT村H昭氏には、わたしは一面識もないのですけれども、自衛隊の三幕(なかんずく空幕と海幕)の経験者のあいだでは、もうこの御仁は山田洋行ともども、O・U・Tだと思われているのではないか。
 というのは、三幕経験者には、武器のプロ、技術のプロが揃ってますわ。それにひきかえ、山田洋行は、出自のゴルフ場についてはすべてを知っているようだが、武器に関しては何も知らない、技術系テキストの翻訳もできない、できない/やらない/わからない盡くしで仲介手数料だけは何億円もせしめてきたという、きわめつけのトンデモ商社らしいという噂が、さすがに北海道の田舎のこのわたしの耳にまで、入ってくるようになりました。
 つまり三幕の制服将校たちは、山田洋行なんていうクソ会社とは、絶縁したくてたまらなかったらしいのだが、それを無理筋で横車を押し通してきた勢力が、内局とT村氏など複数の議員だったのだ。
 いずれも裏は取れない噂の受け売りでしかありませんけども、とにかく山田洋行の良い噂は自衛隊周辺には皆無だ。輸入仲介業者らしい仕事はほとんど何もしないし、またできない会社であるらしいという話ばかりです。
 アメリカのメーカーと必要な調整をやってくれない。必要な書類をつくってくれない。パーツの一覧表も把握していない。
 それでカネをとっていたとしたら、そりゃ税金泥棒ですわね。
 とにかく会社の内部に、武器の技術の話ができる人材がいないんだっていうんだから、事実だったらもはや絶句するしかない。文字通り、ゴルフ専門の不動産屋が、最先端兵器の輸入をしていた――という、ミステリー/コメディになっちまう。
 それで悟ったわけです。ああ、日本国内の武器メーカーも、じつは山田洋行と内局には怒っていたのだなぁ……と。
 だって、こいつらのタッグのせいで、国産できたはずの武器のいくつかが、しょうもない輸入品で代置されてしまったケースが、いくつもあるんですよ。
 たとえば、ホバークラフト艇。強襲揚陸艦モドキの『おおすみ』級に格納して戦車を上陸させる、アレですよ。あれは、一時は国産(三井玉野)で決まっていたものだ。艦船マニアには周知の話ですけど。
 それが政治家と内局筋の圧力でひっくり返されて、飛行機だけでなくフネにも知識皆無の山田洋行が、なぜかLCACの輸入を仕切ることになりました。これも軍事メディアには既報のハナシ。
 しかし、運用側の海上自衛隊に言わせると、山田洋行は本当に何もしてくれなかったそうですね。ぜんぶ、ペーパーワークも技術的交渉も海幕がやったようなもんだ。それで手数料が数億円? ふざけんじゃねえ、という話になりますよ。
 それで海幕が、山田洋行の仕事ぶりではもうお話にもならないから、三井玉野に輸入代行をさせようという動きをみせたとたんに、T村議員がすっとんできて、山田洋行を変えるな、とゲンメイして行ったという。
 白昼に、国家叛逆が行なわれていたんですね。
 兵頭は、この話を最近まで知りませんでした。知ってたら、このブログでもっと早く注意を喚起したでしょう。
 わたしは貧乏人なので、いまだに『自衛隊装備年鑑』は2003-2004年版(平成15年7月刊、4200円+税、神保町の書泉グランデで購入)を見てるのですが、表紙をめくると、最初の見開き広告が、山田洋行ですよ。三菱重工より先に載っている。
 ハッキリ言わせてもらいましょう。
 業界関係者と部内の幹部は、みんな、山田がド腐れだってこと、とっくに知ってたんでしょ?
 三幕経験者の制服OBで、テレビや雑誌で評論めいたことをしゃべったり書いたりしている人たち、あの人たちも、みんな、山田洋行がこんな会社だっていう噂を、何年も前から、聞いたことがあったはずだ。
 そしてその人たちは、一人の例外もなく、今のいままで、その情報をオープンには、してこなかった。世間に警報すべきだとは思わなかった。不作為の作為で、国家叛逆を隠してきた。
 やめなよ、そういう人たちは。評論家の肩書きを名乗るのは。
 みんなも気付きなよ。MDは当たらないってことを。防衛の奥の院に詳しそうな経歴の論筆家の言うことなんて、隠し事だらけだってことが、ついにハッキリしたんですよ。彼らは、隠してはいけないことを隠してきた。要するに彼らには愛国心は無かった。皇室および国民と安危をともにしようという、武人らしい気概など全く無いのです。
 防衛省の、いや、日本政府の最大のスキャンダルは、国ぐるみでMD詐欺に乗ってることでしょう?


八丈島の虚夢

 よいこの諸君、PHP文庫の今月の新刊は買って読んでくれたかな? これがもしバカ売れすれば、『有坂銃』『イッテイ』などの文庫化も可能になるので、積極的に買いましょう。
 それから言い忘れたが、「平成19年度・防衛省オピニオン・リーダー視察」の写真付き報告が、「資料庫」の方にアップロードされています。知らなかった人は、あわてて Check!


ホトトゲス

 東京地方では明日(11月15日)発売のベッタカ(別冊宝島)をご注目ください。タイトルは『「南京大虐殺」という陰謀』。
 ふだんは雑誌記事は宣伝しないのだが、ベッタカは増刷になると稿料を追加して振り込んでくれるので、これはもう、「するな」と言われても宣伝をしたくなるのだ。見本誌も入手した。こいつはイイね。
 ついでに『別冊正論』にも目を通していただけると幸いです。(ベッタカより発売日が4日も早いのに、まだ見本誌が配達されぬ……まあ、いつものパターンなのだが)


万事ゆのみ

 「シャッター通り」化も進行する、駅前をはじめとした函館市心部の再開発がなかなか進まぬ事情を、ボンヤリ者のストレンジャーが理解するのには5年くらいもかかっちまう。
 この市の旧くからの一級の市街地が、ごく限られた家族によって所有されてきたのだという話は、引っ越した当初から不動産屋さんから聞いてはいたのだが……。
 その旧くからの一等地の最大のホールダーのひとつがどうやら相馬家と仰るところらしくて、この人たちは将来も誰にも土地を売る気はないと聞く。
 その土地管理をしているらしい「相馬株式会社」のHPに、代表取締役の福本さんという人と、取締役の成元さんという人の名前が見えるが、同姓同名が、(株)山田洋行のHPの取締役にも見える。
 ゴルフ場つながり、なんでしょうか? いや、単なる野次馬的な興味なんですけど。


かかる刀匠ありき

 「さかきまち」と聞いて聞き覚えがある人は、北信地方のローカル・ニュースをBGMにして育った人を除けばきっと少数でしょう。表記は「坂城町」と書きます。
 長野市育ちのわたしですが、そこが刀工の一大根拠地になっていたとは知りませんでした。
 じつはご近所の測量士の方から、「刀匠宮入行平・小左衛門行平 父子北海道展」が隣の七飯町の歴史館で3日より開催されると教えてもらいましたので、それならばと、一緒に初日に出掛けて参った次第です。
 この小左衛門さんが、坂城町のご出身。人間国宝の家業をすんなり継ぐのを潔しとせず、高校のハンドボール部の先生の伝手で、2年間、函館の大沼の牧場で働き、それから意を決してあらためて刀工の道に進まれたという。いや、人生いろいろなんですね。
 ちなみに測量士さんも、珍しくも福井県の武生というところまで行って包丁鍛治となって、ご実家のご都合で数年前にUターンするまで、6年もそれを続けていらしたというのだから驚きだ。まさか同じ町内に、『陸軍戸山流で検証する 日本刀真剣斬り』の読者がいようとは予期いたしませんでした。しかも、この催しのことは、甲野善紀氏のHPでご承知になったそうだ。
 確認のため、七飯町のHPにアクセスしても、この展示企画の情報は掲載されていません。田舎はこれですからな~。博物館というハコがあり、インターネットというシステムがあっても、オペレートする人がいなければ……。
 で、そういうことなら、もしや近郷近在の隠れた武道家の方々もやってくるのかも……とも予想しておりましたが、そのような風体の方はお見掛けはせず、そのかわりに、小左衛門さんご本人がその場でいろいろとお話をしてくださいました。
 刀匠の方からじかにお話をきいたのは、わたしは初めてであります。測量士さん、有り難う。
 素材となる古鉄(明治以前の鉄)は、いまや、解体される土蔵の鉄窓や、蝶番の金具などを、全国から集めなければならぬような状態であるようです。古釘(四角い和釘)は、古い屋敷を壊したとしても、ごく僅かの量しか、得られないそうです。そもそも、江戸時代の建築では、あまり釘を使っていないからです。
 1本の刀を打ち上げるのに、だいたい、120kgから150kgもの松炭を燃やすことになるのだそうです。松炭は、すぐ灰になるので、不純物が刀身に混入しにくいというお話でした。
 武道家からの注文で刀を打ち上げることもあるそうですが、平生「模擬刀」で練習をされている武道家は、本身のバランス(先が重い)を知らないので、模擬刀のバランス(根本が重く先が軽い)を再現するようにリクエストしてくるので、刀匠としては不本意な作品になりがちだということも、素人なりに理解しました。
 また小左衛門さんが理想視する刀身は、南北朝時代のスタイルであるそうです。
 測量士さんからは豆知識も得た。包丁の鋼(スチール)部分は、全幅の三分の一ぐらいなんだそうで、あとは鉄(アイアン)が接合されている。ですから、寿司屋が毎日々々包丁を研いで、もとの大きさの半分にまで磨り減ったとしたら、それはもう、包丁の切れ味なんかなくなっちまうわけですな。
 この七飯の歴史館は過去に二度、見学したことがあったのですが、今回、測量士さんの指摘で、ひとつ発見をしました。
 常設展示品の中に「永禄十一年」の銘のある和鞍があるのです。これは西暦にすると1568年、織田信長が上洛した年だ。ホンモノだとしたら、大した古物ですよ。
 江戸時代の武士が戦国時代風を哂って「元亀・天正」といったものですが、永禄はその元亀の一つ前の元号ですからね。
 さいごに余談。民主党の小沢氏は、若い時に法学コースを勉強したくせに、近代的自我が身に着かなかった。「ムラに預けてしまいたい自我」しか、持ってないのでしょう。その「ムラ」は、どうやら彼にとっては、「彼の心の中にある国連」らしい。そしてその根源の動機は、ユニークな強度の「米国恐怖」ではないのか。
 自分で自我をもつと、心地が悪い。小沢氏がみずからは首相をめざさなかった理由は、「ナンバー2でないと日本の政界では理想を行なえない」と、徂徠学流に信じていたからではなかったのです。
 以上は、3日に届いた『諸君!』の田久保論文を読んでいて、ふと、思い至りました。


ソラ棒もいいね

 近くのお宅で屋根の修繕があり、その仕事に来ていた大工の動かしたバンがものすごい勢いで後退して拙宅の柵の丸太をヘシ折った。おかげで9個ならべて光らせていたうちの、2個のそらだまを撤去せざるを得なくなった。女房のやつはせいせいした顔で「ちょうどいいわ」とぬかしおった。わたしのそらだまがガーデニングの美観を損ねているという、かねてよりの意見なのだ。美観と防犯と一体どちらが重要なのか? ……いや、女にこういう話をしても無駄だ。男の責任で黙って実行あるのみだ。
 さいきん、わたしの熱意がメーカーに伝わったのかどうか、近くのホームセンターに、そらだまの交換用の電池が売られるようになり、また、そらだまの新規なラインナップも見かけられるようになった。そのひとつを試用するときがきたようだ。
 わたしは「ニッケル水素バッテリー」という表記にピンとくるものを感じたので、和歌山県の(株)タカショーの「ステッィックソーラーライト シャンパンゴールド2本セット」(SLL-225C)を買ってみた。\2000-もせぬ売価である。竹槍のようになっているから、どこでも地面に突き立てればよい。
 結論。この性能は、合格だ。心細いほど小面積な太陽電池なのにもかかわらず、また、日当たりが不充分な場所に挿してあるのに、深夜の3時過ぎまで、なんとか輝度を保っている。さすがに、朝まで煌々としている「商品X」には及ばぬものの、わずか1年くらいのあいだで、そらだま技術は着実に進歩を見せている。考えてみれば、(株)タカショーは、「マルチムーン」の輸入元じゃないか。
 参院選のあと「2ちゃんねる」の「ニュー速+」がめっきりつまらなくなったと感じたので、ここしばらく、「トキシックジャンクション」のようなあちら系のユーチューブばかりをみていた。それもあらかた再生してしまったから、こんどは長尺モノが豊富(ニュルンベルク裁判の広報映画まである。「軍靴の響き」の原語は「サウンド・オヴ・ブーツ」だったのねんのねんのねん…)な「WeShow」を巡回しているところだが、英国バージョンで見られるビートルズの動画には慨嘆を禁じ得ぬ。
 厨房の頃は、これっぽっちも覚れなかったことが、いまや分かる。このグループは英本国では、無学歴のノイズメーカーとして、エスタブリッシュメントから顰蹙されていた。しかし、DQNが天才をもつこともある。デビュー直後の1964年頃と、解散後の1972年頃を比較すると、ポール・マカートニーの外見に9年間で蓄積されたのは、ジャンキーの度合いだけである。スチルやジャケ写と違って動画では彼は、白痴としか見えない。しかし、そのジャンキーの頭のなかから、さらにバンドオンザランが出てきた。きっと左利きのモーツァルトも、リアルではこういうタイプだったからこそ、生前は不遇だったんだろう。4人の中で普通の口がきけるのはジョン・レノンだけである。彼がリーダーとしてチームを引率し、女王の前で熱唱しているのはあまりにも自然だ。そして彼が自作しリードヴォーカルをとっている全盛期の曲の数々は、彼が正気でアヴェレージな右利きの地頭をもっていたことを思いつつ聴けば、これまた奇跡的な天才の仕事であったと言う以外にどう評し得ようか。われわれは奇跡を聴いたのだ。


舌鼓打法

 10月8日に、維新政党・新風の「広報ビラ53号」が郵送されてきた。
 じつに良いことが書いてある。クリーンヒットだ。
 ところが、この「広報ビラ53号」を、新風の公式ウェブサイトで閲覧することができない。
 じつにマヌケだ。
 かつて日本映画には同じ役者ばかり出てきた。70年代以降の米国映画はそうではない。これは人材の厚さが桁違いだからだ。ところが米国で「親子大統領」が出た。さらに来年は「夫婦大統領」が出るという。(戦前には「叔父・甥」大統領が出たことあり。)
 政治の最良の人材は、米国ですら不足なのである。もはや役者などは誰でもできるぐらいに周辺のシステムが発達しているのだが、大統領候補は、依然として、滅多な新人にはできぬ特別なスキルであり続けている。
 それを世間に分からせた「大統領の息子の大統領」は疑いもなく、米国の可能性そのものの幅の狭さを世界に印象させてしまった。
 かほどに政治の人材は得がたい。(広報は政治の尖兵である。)
 日本の(共産党をのぞく)政党のマヌケな広報体制があらたまるには人材が改善されねばならない。しかし、それには何十年もかかるだろう。しかたのないことだ。
 以下、ビラ所載の「政党、選挙に関する 新風6つの提言」への意見。
 「3」の投票日は、平日の2日間ではなく、日曜&月曜の2日間とし、月曜午前を半ドンにしてもらうのが、庶民に最も歓迎されるだろう。
 「6」の参議院の改革は、あきらかに無理で、しかも暴論だ。「各界各層からの推薦によ」ったら、新風の既製の候補者で当選する者など、一人も居りはすまい。
 参議院など廃止するのが本筋である。しかし参議院選挙にしか参戦していない新風からは、それを言い出せない。だったら、言及しなければ良い話だ。
 ネット時代にこそ、沈黙による誠実さの担保に心掛けるべきだ。
 なお10月18日には「よねくらホテル」に泊まるので、青森の探奇マン諸君に面会することも可能だ。わたしの秘書に申し込んで欲しい。


恐怖のししがしら

 「クロスライン」に間違いがあった。
 ディズニーの絵本には、若い牡鹿同士が喧嘩をして、一方の角の一部が折れている絵が、掲載されている。しかし、アニメには角が折れるシーンはない。
 絵本の作画をした人に訊いてみたい。「あんたは『ウスリー探嶮記』を読んだのですか?」と。
 また長谷川四郎は、函館市郊外の地名の「七飯」と、民族名の「ナナイ」の一致に、どのような感想を持っていたのであろうか。