これは襲来する敵FPVドローンに対する「ラスト5m」防空に使える。また、有害鳥獣に対する脅かしに使える。すなわちデュアルユース。火薬を使わないので火器ではない。
ネットと一緒に「煙覆粒子」を放出する工夫、もしくは、動物に対する忌避効果物質を射出する工夫が、求められるだろう。
民間のサードパーティが開発して、隊員が私費購入する。これに近い流儀でなくては現代の対UAV戦争にはとてもついて行けないことを、宇軍も露軍も証明している。ロシア側の気の利いた装備は、すべて部隊単位での直接発注品だ。
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Rebecca Patterson 記者による2025-7-15記事「If You Like 35 Percent Inflation, Go Ahead, Fire the Fed Chair」。
記者は現役の金融会社幹部にしてエコノミスト。
トランプは数ヵ月来、ジェローム・パウエルに、公定歩合を下げるか、さもなくば連銀議長を辞任しろと圧迫をしつつある。
ハンガリーやトルコの例を見るがよい。この2国は、政府予算が大赤字。インフレ圧は高い。にもかかわらず政府は経済成長を熱望した。そして中央銀行を政権の思い通りに従わせた。公定歩合のひきさげを強制したわけだ。
ハンガリーの中銀は1991に、政府から独立の機関として創設されている。だが直近の15年間、政府はこの中銀を、マネタリー政策の道具にしようと工作し続けた。2011に改憲。中銀の独立色は逐次に褪せた。その結果、ハンガリー国債の国際的評価は「ジャンク」並みに降格されてしまい、同国内で銀行から借金をした個人や法人が返さねばならぬ金利は上がっており、同国通貨のフォリントの価値も下落している。
同じことがトランプ経済の行く手にも待っている。もしトランプが連銀に公定歩合の引き下げを強要できてしまったなら、却って人々の長期借入金利は上がり、ドルは弱くなり、米国内がインフレになるだけなのである。
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ストラテジーペイジの2025-7-16記事。
中国の国立防衛技術大学が、「蚊」と同じサイズの偵察ドローンを開発したとかいう写真を公表しているが、お笑いだ。
無人機械の設計者ならば、すぐに質問する。「電池はどうしたんだ?」と。
例によって、写真の上でしか存在しない、中国製ハイテク兵器の夢のひとつなのだ。
※SNSによると、ロシア国内で「ミル8/17」型ヘリコプターが、整備直後に墜落することがある理由は、そのスペアパーツの規格の混乱にあるという。このシリーズは、タタルスタンの「カザン」工場と、ブリヤートの「ウランウデ」工場の2箇所で製造されているのだが、設計が微妙に違うのだという。昔の零戦に三菱工場製と中島工場製とがあって、部品の寸法が違っていたのと、同じことを、現代のロシアでやっているわけだ。この問題を解決するために「ミル80」という規格統一バージョンが提案されているのだが、戦時下であるため、とても実現しそうにない。
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ロシアではSNS上で破壊工作の悪だくみが語られることがある。
彼らは今、WWII中の英国による「アウトワード作戦」を注目している。
海から陸地に向けて風が吹いている季節に、沖合の貨物船等から「バルーン」を自動で放出し、そのバルーンに良導電性のワイヤーを吊下させて、高度300mを維持するようなバラスト調節メカニズムを機能させると、距離50kmにわたって風下へ浮遊し、その途中にある高圧送電線を短絡させるだろう。
逸走した阻塞気球と鋼製の係留ワイヤーの組み合わせが、遠くの町に停電を惹き起こしてしまうことは、1940年9月17日に偶然にスウェーデンでその事故が起きたことで、英国人は「これは使える」と気付いた。
この着想をドイツに対して実行したのが「Operation Outward」で、1944年9月4日まで、9万9000個ものバルーンが英本土等から放流された。バルーンの表面に塗る「生ゴム」がふんだんにあったイギリスだからこそ、そんな生産が可能だったと言える。これを模倣した日本の風船爆弾は、ゴムを使えないのでコンニャク糊+和紙の組み合わせにする必要があった。
英軍開発の放流バルーンは径2.4m。生地はテントに用いられたカンバス地。そこへ生ゴムを塗布。
長さ300mのワイヤーを垂らす。それが有害であるためには、高度300mを維持せねばならない。自動バラスト機構が考案された。
風船はまず7600mまで昇騰させ、上空の北西風に乗ってドイツ本土に達したあたりで高度300mまで下がっているように計算された。
ガスは水素だが、これを充填するときに爆燃火災の危険があったので、作業者は防火服+装面し、なおかつ、風船表面には水を噴霧し続けた。
ワイヤーは下端の100m部分だけがスチールで、その上の200mは軽量な麻紐にした。(そこにも塩水を塗っておくべきだろう。)
じっさいには吊下ワイヤーではなく簡易焼夷弾を搭載した風船が大半であったという。
風船の一部にはテレメトリー送信器具をとりつけ、それを三角測量でモニターし、その日の風の通り道や到達範囲について把握した。(同じことを露軍はシャヘドに応用している。)
ワイヤー下部は、たなびいているときも、らせん弦状を形づくることのない素材にする必要があったという。スパイラル状になれば、地物に絡まって、そこで気球の水平移動は止まってしまう。下端でワイヤーがササラになっていても、地物にひっかかるので、端部は綺麗にまとめておく必要があった。
わが国は、半没の無人艇から、全自動でこのタイプの風船を洋上放流できるシステムを、開発しておくべきだ。
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Oleksandr Yan 記者による2025-7-16記事「Russia Opens Marine Drone Production Center in St. Petersburg」。
サンクトペテルスブルグの無人爆装特攻艇の製造工場が、規模を拡大した。「Kingisepp Machine-Building Plant (KMZ)」というメーカー。
国防省から2024年に、27億ルーブリ=2700万ユーロ の開発支援金を受けていた。
一年中使える、試験用の巨大プールも、築造したという。
ボートの推進はウォータージェット。それに必要な技術は既に内製化したと会社は宣伝している。
KMZは2023-9に、サンクトペテルスブルグ工科大学が設計した「Vizir」という無人特攻艇を製造開始している。船殻はアルミ合金と複合素材だという。全長7m、自重2.4トン、速力45km/時、航続500km。全自動攻撃も可能だという。
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トランプとヘグセスは同類ではない。トランプは間抜けのフリをして世界を出し抜くことができることを「ミッドナイト・ハンマー」作戦で証明してみせた。また同じことを考えているだろう。
予想しよう。おそらく既にトランプはウクライナに、航続距離が数千kmある片道自爆型のUAVを供給した。それは「ヤマル」「ウフタ」「アレクサンドロフ・ガヤ」の三か所にあるとされる、天然ガス・パイプラインの集中結節点に対して放たれるだろう。
ロシア人のSNSがご親切に開帳してくれているのだが、ロシアには5メガワット以上の出力の大きな発電所だけでも600以上ある。そして2016年の統計によれば、そうした発電所用の燃料の72.6%が、天然ガスなのである。(シベリアでのみ、石炭が豊富ゆえ、ほぼ石炭火発。)
殊に「ヤマル」で生産された天然ガスは、同所以西のロシア国内の産業用エネルギー、都市のボイラー需要の「五分の四」を賄っている。
ガス管の内圧は54気圧もあるので、「トマホーク ブロック3」の340kgの炸薬でなくとも、大破させられる。
「ヤマル」が破壊されると、電力が途絶え、ロシア国内の軍需産業も、兵站輸送も、ことごとくストップしてしまう。モスクワでは、次の冬の暖房が難しくなる。