今月の新刊は、『読解・富国強兵 日清日露から終戦まで』(NF文庫)です。

 正確な発売日は承知していませんが、今月の下旬と思います。潮書房光人新社さんのウェブ広告を、どうかご注目ください。
 内容ですが、これは書き下ろしではありません。2008年刊の『日本の戦争Q&A』の本文に、「文庫版のあとがき」を書き足しました。

 誰にも予言できない未来を占うには、どうしたらいいのか? 《ものごとのはじまり》をおさらいしておくのが有益でしょう。
 しかし今日の出版事情では、明治27~28年の第二次伊藤内閣時代の「日清戦争」について書き下ろすなんていう企画が通るとは思えません。

 さいわい、15年前の単行本がそれをカバーしていました。

 次。
 2023-9-16記事「New company developing sustainable drones in extreme volumes for military applications」。
    1分間に20機のUAVを量産するというとんでもない計画をブチ上げているスタートアップあらわる。
 「ShadowVu」株式会社。
 固定翼機とクォッドコプターの両方をやる。
 部品の85%はサステナブル素材でつくる。
 その、部品の85%以上は自社製とする。

 単価は100ドル以下にして、使い捨てても惜しくないようにする。とうぜん、スウォームのカミカゼ作戦も可能にする。

 1機あたりの製造時間は3分にする。
 年産は1000万機となる。

 いずれも、現状でそれを達成できているメーカーは存在しない。

 次。
 Chen Chuanren 記者による2023-9-14記事「Mysterious Taiwanese Company Reveals Loitering Munition」。
    台湾の、これまでほとんど知られていなかったメーカー「フトロン」社が、「H2B ハヤブサ」という名のロイタリングミュニションを、台北航空宇宙防衛技術エキシビジョンに出展した。なんとエンジンはジェット機関である。

 主翼を畳んで格納しておく構造は「スイッチブレード600」に類似している。
 「H2B」の自重は15kg。弾頭重量は5kg。
 ジェットエンジンの型式は謎。
 もっと静かな飛行機にしたいユーザーのためには、プッシャープロペラ式に換えることもできるそうだ。

 会社のジェネラルマネジャー氏は、フランク・ファンという名。
 彼いわく。H2Bの航続距離は150kmである。滞空は1時間可能。

 衛星と交信するための、フェイズドアレイ・アンテナも備えているという。

 次は「母機」を開発し、そこから6機の「H2B」を空中で放出させる計画だという。

 この企業が謎なのは、ウェブサイトが無いのだ。
 ネット上では2021年に、無人機を開発している会社として紹介されたことがある。

 次。
 Jake Cordell 記者による2023-9-15記事「Russia Raises Interest Rates to 13% Amid Inflation Concerns」。
    ロシアの中央銀行は、金曜日をもって、公定歩合を12%から13%に引き上げた。インフレを抑止するためという。

 中央銀行はインフレ率を4%にしたい。現状では5.5%になっている。

 次。
 2023-9-17記事「To convert the promised Ukraine M1117s, will need another 18 months」。
   2022年の11月に米政府は、州兵が使っていた「M1117」という4×4のAPC(テクストロン社製)を250両、再整備してウクライナにめぐんでやると約束していたが、修理がちっとも進んでおらず、約束の実行まであと18ヵ月かかるそうだ。

 ※つまりこの戦争には間に合わないわけである。ロシアは2024年には力尽きると試算されているから。こんなところに工場労力を割いていたらダメだろう。

 M1117 は「M706」の改造品で、単価は80万ドル。
 銃塔が載っている。それはAAV-P7と類似のもので、フルオートの40ミリ擲弾発射器と、12.7ミリ重機。

 M1117は、重さ13.5トン。長さ6m。幅2.6m。
 エンジンは、カミンズの260馬力。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-9-16記事「Russian B-237 Kilo-class sub was hit about the main pressure hull」。
    9月13日に、乾ドック内で破壊された『キロ』級の潜水艦について、エアバス社が市販している民間衛星写真を見たところ、耐圧の内殻を真上から「ストームシャドウ」にブチ抜かれており、この戦争が終るまで、もうこの潜水艦は再生しないと考えられる。

 命中箇所は、セイルより前方である。

 水雷室や電信室もやられたろう。何より、内殻を修理したあと、本当に水圧に耐えるかどうかの実験を重ねた上でなければ、ふたたび作戦に送り出すことはできない。今のロシアには、無理だろう。

 ※ロシアの海軍工廠は、現状、大船を入れられる船渠が皆無と考えられている。極東にはまだあるが、そこを黒海艦隊や北海艦隊は利用できない。浮きドックの大きいやつも、何年か前に沈んでしまった。

 次。
 2023-9-17記事「Kongsberg Maritime’s Promas Propulsion System Now Available for Naval Vessels」。
   コングスベルグ・マリタイム社が、舶用の斬新な推進装置を開発している。「プロマス」と称する。2軸のスクリュープロペラのスピナーキャップ後端に、それぞれラダーがめりこんで一体化しているのだ。これによって軍艦の燃費は5%改善するという。

 通常、2軸プロペラの軍艦のラダーは、スクリュー軸からはオフセットして、ついている。その発想を転換した。「バルブ・ラダー」システムと称する。

 作戦中の軍艦にとって、航続距離が5%延びるのは、大きい。
 いまは25ノットでの抵抗を最小化することに主眼があるが、30ノットでも効果があるはずだ。

 「プロマス」にすると、従来より小さい舵面でも舵の効きが良い。また低速で大きく舵を切ったときの反応も良くなる。ということは、港で接岸するときの作業も楽になる。

 次。
 Joe Saballa 記者による2023-9-15記事「QinetiQ Unveils ‘Jackdaw’ Disposable Drone」。
    英国のメーカー「クインティQ」社が、「ジャックドー」と名づけた、安価に使い捨てできるジェットエンジン推進の無人機を完成しつつある。2020年代なかばに売り出す。

 最高時速は740km/時。
 滞空は3時間以上も可能。

 ※どうやら、高性能のターゲット・ドローンを開発していて、その副産物として、この簡略化製品が飛び出したようだ。

 ※宇軍情報部によるとカディロフ(山羊髭ブヒ男)の病気は腎臓疾患だとのこと。

 ※ドネツク州の Svitlodarsk にある露軍駐屯地に、宇軍のJDAM滑空爆弾が2発、着弾した。これは露軍のAAが薄くなっていることを示唆している。

 ※雑報によると、イルクーツクにあるDulisma石油会社の施設を、謎のPMCがヘリボーンしてきて占領したという。自動火器を乱射して従業員を追い払った。武装グループは黒ずくめのいでたちだがヘルメットを被っていない。軽油が密輸出される前に現物を押さえたいのか?


読解・富国強兵 日清日露から終戦まで (光人社NF文庫 ひ 1330)


兵頭本新刊(復刊)情報『読解・富国強兵 日清日露から終戦まで』(管理人U)

 お世話になっております。兵頭ファンサイト管理人です。

 2023年9月25日発刊の兵頭本『読解・富国強兵 日清日露から終戦まで(兵頭二十八 著/光人社NF文庫)』  

 内容は『日本の戦争Q&A(2007/12)』の復刊との事です。

 私はもちろん買いますよ。兵頭マニアだから。

 まだまだ暑いですね。皆様、ご自愛ください。


読解・富国強兵 日清日露から終戦まで (光人社NF文庫 ひ 1330)


YggDoreのチップを贈る機能は2023年9月24日に停止となるそうです。(管理人U)

 お世話になっております。兵頭ファンサイト管理人です。
 
 いままでYggDore(ユグドア)という素晴らしいサービスを通じて、兵頭二十八先生へのご喜捨をいただいておりました。
 2023年9月24日をもってチップを贈る機能が停止されるそうです。

※YggDore 注文受付終了について

 私が言うのも違うかもしれませんが、これまでありがとうございました。

 私としてはNoteのサポート機能などで兵頭二十八先生へのご喜捨を続けていただけたら嬉しいです。

(管理人U) 


露軍が捕虜にしたウクライナ兵をポケットナイフで「去勢」した事例が複数、確認されている。捕虜交換で判明した。英紙『The Sunday Times』が詳細報道。

 Ashish Dangwal 記者による2023-6-18記事「Running Away, Faking Breakdowns, German Media Says Leopard-2 Tankmen Are Reluctant To Fight Russia」。
   『シュピーゲル』誌の報ずるところによると、ザポリッジア戦区にて宇軍の「レオ2A6」のクルーが、露軍の塹壕線に近づくのを厭がり、「故障」「被弾」を詐称して逃げ回っているという。

 また、戦車で敵の塹壕線を攻撃するときのテクニックとして、立ち木に榴弾を当てると良いという。そのシュラプネルが塹壕内にまんべんなく降り注ぐのだという。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-6-18記事「Australian Bushmaster IMV survived a ‘Russian kamikaze’ impact test」。
   豪州からウクライナ軍に寄贈された4×4装甲車の「ブッシュマスター」に露軍の自爆型UAVがヒットしたが、乗員は無傷で済み、このAPCの性能が証明された。

 証拠写真は「テレグラム」にUpされた。
 側面の低い部位に命中して爆発したようだ。

 ちなみにオーストラリア軍はこの車両をAPCとは呼ばず、IMV=歩兵移動用車両 と称している。装甲を強調しないわけである。

 「ブッシュマスター」には10人が乗れる(車長とドライバーを含めて)。
 後続距離は800km。最高時速100km/時なので高速道路も不都合なく利用できる。

 ※要人輸送用にこのAPC(輸送防護車)を選んだ防衛省内の人は、誰だか知らないが、威張って可い。そして今気付いたのだが、この14.5トンという重さは、小松の8輪の「96式装輪装甲車」と同じなのな。おそらくC-130での空輸ができるように考えて。それでエンジンを調べたら、ブッシュマスターが300馬力で、96式は360馬力ですよ。これは何を意味するか? おそらくブッシュマスターの方が96式よりも装甲重量に多くを配分できている。窓ガラスが爆圧で外れるという弱点は、今回の写真でハッキリしたけれども、弾片の貫通を防ぐという機能では、96式よりも頼りにできるのかもしれない。96式は日本の山坂での不整地走破力を重視して、エンジンは重く、アクスルも4軸とした分、装甲はペラペラになっているとも想像が可能である。その装甲をもっと強化しろと防衛省から迫られ、小松は「できるわけねえだろ」と逆ギレしたのか。小松が装甲車事業から撤収してしまった経緯は、そういうことか?

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-6-17記事「US attack sub that shipwrecked off China cannot enter for repairs」。
    南シナ海で海底の山に衝突してしまった米SSNの『コネチカット』。たった3隻しかない『シーウルフ』級の1隻だ。
 しかし、なんと修理は2026年までできないそうである。ひとつには、修理コストが8000万ドルと見積もられ、そのカネをおいそれと得られないためだが、根底には、造船所が人手不足。

 『コネチカット』を修理する予定なのは、ワシントン州の海軍工廠の修船ドック。ほんらいなら今年2月に工事がスタートするはずのところ、スケジュールが遅れている。これはすべての米海軍艦艇が今、直面させられている大問題である。「レディネス」が全般に悪化している。

 ※それで日本の民間造船所を第七艦隊がフル活用しろという話が出てきている。やればいいじゃん。

 次。
 2007-8-22記事「ScanEagle ―― Mini-UAV (Unmanned Aerial Vehicle)」。
  ※古い記事です。

 偵察用UAVの「スキャンイーグル」は、艦船上から運用することもできるし、2006年時点で早くも、C-130やオスプレイから空中発射することが研究されている。これは、エンジンがガソリンでないから、可能なのである。スキャンイーグルのピストンエンジンは「JP5」という、米海軍機用の最も火災を起こしにくい灯油系のジェット燃料を使用する。

 スキャンイーグルのエンジンは内燃機関である。出力は0.97kW。機体内には燃料は4.3kg、搭載する。
 2002年の開発当初はガソリンエンジンであった。しかし2007年には燃料が「JP5」に切り替えられた。※これはインジェクションの電子制御技術が普及してきたおかげ。

 ガソリン燃料でスキャンイーグルは連続22時間飛ぶことができる。しかし2007年にはJP5で28時間44分滞空してみせた。

 ※米海軍は、艦艇と艦艇の間でスペアパーツを輸送してくれる無人機を公募しているが、そのエンジンもとうぜんに、JP5を燃料とするものでなくてはならない。今日の米海軍は、ガソリン燃料が艦内に置かれることを拒絶する。その理由はWWII中の幾多の被弾火災を想起すれば当然なのである。したがって、わが国のメーカーが新無人兵器を開発する場合、そのエンジンがガソリン燃料であったなら、それは米軍にはさいしょから採用されるわけがないことはもちろん、米海軍の艦艇や輸送機で運んでもらうこともできないということを意味してしまうのである。

 ※4月に並木書房から刊行された『武装商船「報国丸」の生涯』(森永孝昭氏著)は、読みでのあるおそろしい労作で、改めて学べることに満ちている。戦後78年を閲し、わが国の兵器メーカーは、実戦の被弾損害を暗黙知としてもちあわせなくなった。そこは是非、戦後日本人の開発関係者としては、先の大戦の経験をデータ化することで、埋め合わせるしかないんだという自覚をもつべきなのだが、遺憾千万にも、その自覚が希薄なのである。もしその自覚があるなら、被弾すれば悲惨な結果になるのは必定の《欠陥兵器》がず~っと改修もされないで、用途廃止の日が来るまで放置されるなんてこともあり得ないのである。いったん「正式の制式」と決めてしまった「仕様」を後から修正できないという文化的な病気がわが国の風土病としてあるのならば、なおさら、「正式の制式」を決めてしまう前に、「先の大戦の経験データ」を「悪魔の論駁人」とする想像力が発揮されなくてはならない。1万439トンもあった優秀な武装商船(特設巡洋艦)の『報国丸』は、6341トンの空荷のタンカー『オンディナ』号を拿捕しようとして不用意に近づきすぎ、敵船の船尾に1門だけあった10.2センチ砲を1発喰らった。それで搭載の零式水偵のガソリンが火を発した。その水偵の搭載爆弾と中層甲板貯蔵の魚雷(味方潜水艦に補給する予定のもの)が火災の熱で相次いで誘爆。『報国丸』はインド洋で沈没した。これが、世界の水兵がガソリンを嫌う理由である。昔と違って、インジェクション方式とすればピストンエンジンを回すのにもJP5やJP8が使えるようになっているのに、今日の艦艇内に、わざわざガソリン発動機を置きたがる海軍は、どこにもない。

 ※昨日の八雲の5人死亡事故。意外だったのは、すぐ隣を高速道路が通っているのに、札幌からのバスがわざわざ下の国道を走っていたことだった。ネット情報によると、八雲ICから下の道に下りて函館までずっと国道5号線を来るらしい。これは運転士にはたいへんなストレスだ。八雲や森町で下車する利用客もいるために、そうするのだろう。だがもし私がバス運行会社の経営者なら、安全第一に運転士の心身疲労のことを考えて、むしろ長万部ICで下みちに降りるようにさせる。そこから八雲までは国道5号線をゆるゆると南下させ(広い直線道路で、景観に開放感があり、渋滞は無く、運転ストレスがとても低い)、八雲ICから再び高速へ乗せるのだ。悪いが、森町に用のある乗客は八雲で路線バスに乗り換えてもらう(八雲ICのバス停は観光施設内にあり、待っていて退屈しない)。都市間バスの運転士にとっては、長万部~八雲の地上区間が、走りながらの気分転換タイムとなるはずだ。そして都市間バスは、八雲からは高速道路終端の大沼公園ICまで、高速道路をノンストップでスイスイと走るべきである。なぜそうするのが良いか。国道5号の野田生から函館市街手前までの区間は、カーブの狭い山道や、渋滞しがちな海岸道が連続し、ひるまの乗客は面白いだろうけれども、操縦者はどうにも精神的に楽じゃないのである。おまけに札幌方面から走り続けてくれば、身体疲労もそこらへんでピークに達してしまう。今回の事故は、バス運転士の疲労とは無関係と考えられるものの、会社の経営者は、もはやそこは無視すべきではないと信ずる。もうひとつ、こんかい再確認できる大事なこと。激しい衝突事故であったにもかかわらず、燃料の火災は起きなかった。バスもトラックもディーゼルエンジンであったおかげで、さらに悲惨な事態に発展することが、抑制されているのです。



武装商船「報国丸」の生涯


雑報によると、露軍はドニプロ川南岸のタヴリスクの取水設備をみずから破壊し、これによってクリミア半島へ飲用水を送る水道本管の機能が止まった可能性がある。

 昭和17年のシンガポール攻略では「上水水源」施設の破壊/占領が、敵降伏の契機になった。その送水本管の破壊は、じつはジョホール水道の北側でもできたので、後知恵では、もっと早くこいつを挺進隊で爆破してしまえば、英軍の降伏もさらに早まったろう――と考えられたのである。将兵、軍馬、車両、航空機、艦船、すべて「真水」を必要とする。加えて狭いシンガポールには「避難住民」がおびただしく流入していたから、上水の供給が止まったなら、もはや守備軍司令官も総督も、1日で抵抗を諦めるしかなかったのだ。

 次。
 2023-6-5記事「Radio Waves Air Fake Putin ‘State of Emergency’ Address」。
    月曜日、ロシア本国の複数の地域――ベルゴロド、ヴォロネジ、ロストフ――でラジオ電波がジャックされ、プーチンの偽演説がON-Airされた。
 AI合成音声が、これらの地域の住民たち全員に、ただちにロシアの奥地への退避を命じた。
 さらにフェイク音声は、クルスク、ベルゴロド、ブリヤンスクがウクライナ軍の攻撃を受けているとして、「国家非常事態」を宣言した。
 演説のしめくくりは、国家総動員の呼号であった。

 次。
 並木書房さんから、James Johnson 氏著、2021年pub.『Artificial Intelligence and The Future of Warfare』の全訳が出た。邦題『ヒトは軍用AIを使いこなせるか』(2020円+税)。
 2022-4-24以降、ロシア人は嘘しかつかないということを世界の人々は認識しつつあるが、そういう認識がまだ一般的でなかった2021時点での、学究的にまじめな整理本だ。たとえば本書が書かれた時点で、ロシアは2025年までに戦力の3割をロボット化するだろうなどとフカしていた。そしてカラシニコフ社はすごいロボット兵器をいくつも開発しつつあると宣伝していた。全部嘘であった。実戦のおかげで嘘がバレて真実が見えている。まったく同じことは近未来の中共に対してもあてはまるだろう。今、中共との実戦をしていないのに、中共発の嘘ばかり聞かされながら論ずるAIとやらに、深刻に対応しようとするとガッカリするだろう。
 ちなみに著者は脚注の中で「プロスペクト理論」にかんする2017文献を読んでいることを明かしているが、本文中ではプロスペクト理論は紹介されていない。
 有意義な指摘がいくつかあった。A.T.マハンは1912の「Armaments and Arbitration」の中で「武力は存在していても、誇示しなければ効力をもたない」と言っているそうである。これはまさにもっかの米支関係にあてはまる。年に一回か二回、実弾を使った小競り合いをするようにして、米軍の実力を平時から天下によく見せ付けておかないと、敵は自己宣伝に中毒して増長し、今次ウクライナ侵略のような愚劣な自殺戦略が発動されぬとも限らない。嘘しかつかないロシア人や儒教圏人に対しては、常にその軍事的な「面子」をリアルに潰し続けることが、世界の安定と安全につながるのである。
 AIを搭載したドローンが滑走路上の軍用機のエアインテイクに異物を撒くようになったらF-35も安心できないだろうという指摘をした者が2017年にいたことも本書の脚注で分かった。しかるに2023の今になってもその単純なAIができたという報道はない。
 余談だが、オートバイの後輪のトラクション・スリップを検知してスロットルを調節するAIは一部のバイクに実装されている。だがAIを使って「転ばぬ先に姿勢を立て直すバイク」を作った企業はどこにもない。誰もが発想するはずなのに。どうして?
 今次戦争でも、大砲の照準とじっさいの弾着点の座標誤差を、ドローンからフィードバックされた画像をデータ化してAIに取り込んでやれば、1門1門の大砲ごとに、砲身の「癖」が把握されて、磨耗した砲身や性能の一定しない弾薬を使っても、確率論的に命中精度を倍増できるだろうと思うのだが、どこの軍隊もそれを工夫している様子がない。「使いこなす」前の発想が貧弱すぎやしないか。何をやってるんだという感じだ。

 次。
 Jon Jackson 記者による2023-6-5記事「Russia’s Reliance on Trenches Leaves Troops Vulnerable」。
    衛星写真でわかるのだが、ドンバスの露軍は徹底的に塹壕線を拡張することで宇軍のこれからの反攻に耐え忍ぶように訓示されていると思しい。

 ショイグは徴兵8万7000人〔例によってこの数字は「化粧数」である〕をウクライナ国内に展開させていると発表している。

 しかし米軍専門家は、素人兵×塹壕線の組み合わせでは、とうていロシア軍は持ち堪ることはできないだろうと語っている。

 ※皮肉にも、都市を破壊してサラ地に変えてしまったおかげで、こんどは露軍が守りに入るときには、荒涼とした原野に塹壕線を掘らなくてはいけなくなったわけである。

 ※SNS情報によると、ベルゴロド方面で露領へ侵入している反モスクワ部隊――私はその正体は東欧正規軍の特殊部隊だと疑っているが――の侵入路は、前もって周到に準備された「地下トンネル」である。おそらく歩兵1名が通れるだけの狭いトンネル。その出口は、ちょうど映画の『大脱走』のような目立たなさになっている。国境の下で、ものすごい長さのトンネルを掘り進めていたのだ。

 次。
 Tyler Totten 記者による2023-6-5記事「U.S. Navy Should Pursue Commercial Containerships」。
   民間で使われているコンテナ船、ならびに、Ro-Ro船だが同時にコンテナも積載する「ConRo」船を、そのまま米海軍でも使おうという計画あり。

 海軍専用の輸送艦や補給艦に比べて格安だから、隻数をたくさん調達できる。したがって、戦時の輸送需要の爆伸に対応しやすい。

 コンテナ船はふつう、自前のクレーンを持っていない。しかし、そういうクレーンを備えた特別なコンテナ船ができてもいいだろう。

 自前で荷捌きができる「ConRo」船仕様なら、何の埠頭設備もない素の海岸に、単船で横付けしてコンテナやトラックを吐き出せる。

 米海軍が2013年に発注した2隻の『アロハ』級コンテナ輸送艦。1隻の建造費は今の価値にして2億5000万ドルほどであった。

 ※先の大戦で日本の輸送船が舐めさせられた苦汁。これを繰り返さないための新機軸を戦後日本の造船業界が打ち出せていないのは、情け無い限りだ。軍用のコンテナは、水密でなくてはならない。そいつを舷側から海中に放り込んでも、決してぶくぶくとは沈まない。ほんのわずか、水面に浮いているようにする。その状態で離島のビーチからワイヤーウインチでたぐりよせられるようにする。さらには、この半没コンテナを直列に数珠繋ぎにして、それを航洋タグで引っ張る。低速でよければ、少ない抵抗しか発生しないはずだ。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2023-6-5記事「Marines Betting Big On “Critical” Air-Launched Swarming Drones」。
    米海兵隊は、空中から放出できるロイタリングミュニションのスウォームを考えている。
 プラットフォームは、KC-130Jのみならず、MV-22Bオスプレイ、F-35B戦闘機も。

 戦場がイラクやアフガニスタンだったら、海兵隊のAH-1から、射程8kmのヘルファイア・ミサイルを発射すれば事は足りた。
 しかし戦場が南シナ海となったら、もうそんな距離感では話にならないのだ。ミサイルは最低でもLRAM=ロングレンジアタックミュニション でなくてはいけない。※具体的には例えばイスラエルのUVision社が多種提案している十字翼の「HERO」シリーズ。露軍の「ランセット」はこの技術をイスラエル人が売ったものと疑える。

 島嶼の陸上から対艦ミサイルを発射しようという米海兵隊の「NMESIS」構想もすごい。上陸用舟艇から無人のJLTVを砂浜に上陸させる。そのJLTVは2発の地対艦ミサイルを背負っている。JLTVには「運転室」が初めから無い。

 次。
 Mike Ball 記者による2023-6-6記事「New Variable-Pitch Propeller System for Multirotor Drones」。
   「T-モーター」社は、マルチローター機のための、あたらしいヴァリアブル・ピッチ・プロペラーを開発したという。

 4軸以上あるマルチコプターのローターは、基本的に、固定ピッチ・プロペラーである。
 しかし離陸重量を欲張り、ホバリング時のエネルギー節約をしたければ、マルチコプターも可変ピッチプロペラにするしかないのだ。

 ドローンが低空を飛ぶのと、空気が薄い高空を飛ぶのとでは、プロペラピッチは変えるべきである。それを固定ピッチで押し通そうとすれば、効率は犠牲になるのだ。



ヒトは軍用AIを使いこなせるか


最新の★《続・読書余論》は、Jim Fitzpatrick 著『The Bicycle in Wartime』1998初版・ほか です。

 岩畔豪雄と辻政信のマレー戦回想×2、それから戦史叢書の『マレー進攻作戦』中の自転車関連記述も併せて摘録し、それ以外に、戦前~戦中の国内の自転車生産統計等も抜粋しました。
 旧軍がもし自転車をフルに利用していたらどうなっていたかを考えるための基礎資料が、あらまし、揃ったと思います。

 ご興味ある方は 《note》 https://note.com/187326mg/  をご覧ください。

 私は、自動二輪車には、まだ未開拓の「形態」が複数あると思っています。そこへ飛躍的に進化させたいと思ったなら、げんざいすでに進化の袋小路に逢着しつつある、最新式の自動二輪車をベースに考えていては、埒はあかない。

 こういうときには、「進化の階梯」を、何段階か、後戻りさせて、その原初的な形態から、こんどは人為的な実験のくりかえしによって、ふたたび進化をやりなおさせるのが、よいのです。
 私流のその提案は、いずれ、本に書くつもりですが、ちょっとみなさんもイメージしてみてください。

 オートバイの祖先は自転車です。その自転車のはじまりは1817年です。そこまで遡っても、たかだか2世紀。その2世紀の間に、消えたアイディア、消えた形態が、無数にあります。しかしそれらは、現代の技術をあらためて適用してみるならば、思いもよらなかった大きなブレイクスルーにつながるかもしれませんよ。

 ところで、ベトナムの軍用自転車に関しては決定版文献と想像されたフィッツパトリック本、私はアマゾンを通じて海外に初版本の安い古書を発注したのですが、届くのが遅くてやきもきしました。予告の期日を過ぎても届かないので思い余ってちょっと高額なリプリント版(新刊価格)も発注してしまった。
 比較しましたところ、挿絵写真の質がコピー劣化している、残念な出来です。原書にご関心のある方には、やはり初版本の調達をお勧めします。この本の写真はとても貴重ですので……。

 なお小生の手元に、読まれずに余ったリプリント版は、日本国内ではたぶん収蔵機関がないだろうと思われますので、後日、靖國偕行文庫、もしくは他の適当な公共図書館に寄贈するつもりです。

 あと《note》の仕様が、いつのまにか、変わっているようなので驚きました。たとえば、いままで段落頭の1字下ゲは、問答無用で消えてしまっていたのに、それが反映されるようになっている。そこは歓迎できるのですが、どうもAIが内容を検閲し始めたんじゃないかという節がある。AIがネットの書き込みを検閲する時代が日本にも到来していたのか? もし、そんな方向に進むのならば、私には居心地の悪いプラットフォームになってしまうという悪い予感がします。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2023-5-18記事「Leaked U.S. Report Says Basic F-16 Training For Ukrainian Pilots Could Take Just Four Months」。
    ヤフーニュースがすっぱぬいた。米空軍の「ベースライン・パイロット評価」報告書だ。これはウクライナから派遣された2人の操縦者をこの春、ためしに教練してみた結論も含む。

 その報告書は、以下の国々の関係者にも開示された。すなわち、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、英国、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、オランダ。
 以上のうち、英国をのぞくと、皆、F-16の使用国/使用予定国である。

 ウクライナから来た2人についてもすでにいろいろ分かっている。1人はスホイ27乗りの大尉。もうひとりは、ミグ29乗りの少佐だ。

 アリゾナ州兵空軍「第162ウイング」の、3名の少佐教官(F-16で1500時間以上飛行)と、1名の中佐教官(F-16で2600時間飛行)が、評価を下した。その結論。

 シミュレーターにて、F-16のエンジンが止まってしまった状態での着陸をさせてみたが、彼らはそれができた。

 シミュレーターにて、低空飛行をさせてみたが、その技倆は平均以上であると認められた。

 この人たちは4ヵ月以内の訓練でF-16を任せられる。すなわち、8週間にて機種転換を習熟、ついで2週間にて低レベルのステップダウン訓練〔すまん、意味不明〕、さらに3週間にて空対空戦闘を覚えられる。

 空対空戦闘は、具体的には、2機1組の邀撃で、有視界内でAMRAAMとサイドワインダーを使う。そこまでできるようになる。

 唯一の不安が英語スキル。ディスプレイ表示も、器材の刻印言語も、すべて英語なので。
 ※キリル文字体系がなまじいにアルファベットであるがゆえの混乱が、咄嗟の場合に、あり得る。CなのかSなのか、どっちなんだ、とか。

 次。
 『NYT』の2023-5-19記事「U.S. Will Support F-16 Training for Ukraine」。
    F-16の乗員の訓練は、欧州にて、実施される。これをバイデン政権は決めた。

 その戦闘機をどの国が具体的に宇軍へ与えるのかは、決まっていない。

 もし欧州のNATO加盟国が、保有するF-16を宇軍へ与えるのであれば、米政府の事前許可が必要。その許可についてバイデン政権は、与えると公言した。これが今の段階。

 アエロフロートは部品を得ている。UAEおよび中共からの迂回ルートでスペアパーツを調達しているのだ。これを米国政府は許せないと思っており、制裁の網を強化するつもり。

 ロシアは、小粒のダイヤモンドの輸出国として世界最大だが、米国はこれも潰すつもり。ちなみに2021年のロシア産ダイヤモンドの輸出額は45億ドル。デカい。化石燃料の次くらいに稼いでいる。

 フォルクスワーゲン社は、ロシアのカルーガにある生産工場を売却したと、金曜日に公表。地元の自動車ディーラー企業「Avilon」が買い取ったという。ロシアメディアによると、買取金額は1億2500万ユーロほど。工場は今次侵略開始後、操業をストップしていた。

 なおメルセデスベンツ社は先月、ロシア支社と同国内の組み立て工場の売却を完了した。売り先はロシアの投資会社「Avtodom」。

 2007年にカルーガ工場を建設するときにVW社が使ったカネは7億7400万ユーロ。
 操業停止前の製造能力は 22万5000台/年 であった。

 VW社はニジニノヴゴロドにも工場を開いていた。そちらはロシアの「ガス・グループ」に売却されている。

 VW社は、カルーガ工場の従業員4000人に、去年ずっと、給与を払い続けていた。まさに大損失。
 ロシア政府統計によると、2021年に同国内では、30万人が、自動車メーカーに雇用されていた。またその裾野産業では350万人の雇用があった。
 この自動車製造業が一挙に77%、落ち込んでいる。西側資本が一斉にロシアから手を引いたので。

 次。
 Karen Freifeld 記者による2023-5-20記事「From sunglasses to milking machines, US halts more exports to Russia」。
   バイデン政権は金曜日、広範囲の民生品の対露輸出を禁じ、さらに71のロシア企業をブラックリストに載せた。

 たとえば、コンタクトレンズやサングラスも、これからは対露輸出が許されなくなる。

 ブラックリストに載った企業は、露軍を支援していると認定された。よって何人も米政府の許可なくその企業と取引をしてはならない。


兵頭二十八 note

★《続・読書余論》Jim Fitzpatrick 著『The Bicycle in Wartime』1998初版・ほか


函館市長候補は、路面電車の郊外路線の拡充を政策にかかげるとよい。

 自動車をもっていない貧乏老人が、雪の日に自転車では通勤できない場所まで通勤できることになるから、人手不足と失業のミスマッチを解消できるだろう。

 バスではだめだ。「安定感」「安心感」「信頼感」がなさすぎるから。
 路面電車を早朝から深夜まで動かしてやることが、交通弱者をとても安心させるだろう。

 バスと路面電車と、どっちが近い将来「無人運転」化しやすいか? そこも考えるべきじゃないか?

 次。
 Frank Hofmann 記者による2023-4-2『ドイチェ・ヴェレ』の記事「Ukraine counteroffensive: When will the mud season end?」。
   元米空軍の気象予報士であった David Helms 氏は、ヴァジニア州に隠居しながらにして、ツイッターにウクライナ戦線の天気予報を日々、公表し、それによって、前線の宇軍の作戦判断を扶けている。
 たとえば、バフムト限定のピンポイント週間予報を、誰でも見ることができる。

 ヘルムズによれば、ウクライナで今年の泥濘期が終るのは、5月1日以降だという。それ以前では地中の水気が抜けない。
 概して、南部ほど、早く乾く。

 南ウクライナでは4月中旬から地表がドライになる。
 それから2週間遅れで、ドネツク地区も乾く。
 もっと北の、露軍が占領中のルハンスク州になると、5月中旬まで湿っている。

 ということは、露軍の戦車が東部国境でまだ動けないでいるときに、宇軍は南方で攻勢に出てメリトポリを奪還可能だ。

 ウクライナでは、毎年、春と秋に約1ヵ月ずつ、まったく路外は泥の海となって装軌車も通行ができぬ。現地語では「ラスプティツァ」と呼ぶ。
 泥濘の原因は、降水(雨と雪)、および解氷である。

 厚さ20センチの表土部分が水気を含むと、そこは泥田に変わる。その変化は急に起こる。とつぜん、表土の支持力がなくなってしまうのである。

 次。
 James Bickerton 記者による2023-4-1記事「Ukrainian World Kickboxing Champion Killed in Battle」。
    四度、キックボクシングの世界チャンピオンになったウクライナ選手 Vitaliy Merinov は、2022-2-24の侵攻初日から宇軍に従軍。脚部に銃弾を受けて入院するも、恢復後に再び前線へ。そこでまた戦傷を負い、入院していたが、2023-3-31に遂に永眠した。

 遺族は妻と2歳の娘。

 次。
 Ashish Dangwal 記者による2023-4-2記事「Ukraine War: Why Russian ‘Precision Strikes’ On Ukrainian Military Infra Are Failing To Hit The Bulls Eye」。
    ロシアはげんざい、160機の人工衛星を回していて、そのうち100機以上が軍用だ。

 だが、複数の衛星データをミックスして、ウクライナ戦争のために活用することが、ロシアにはどうも、できないらしい。これには地上支援局の不備が関係していると見られる。

 たとえば、もし偵察衛星をしっかり運用できているなら、見逃すはずがないウクライナ軍の「高価値目標」を、露軍は、見逃している。

 背景として、2014のクリミア侵略以降の西側からの経済制裁が効いているのである。
 GLONASSがあっても、それを「電子Map」と結合することができない。だから露軍の地図は紙ばかりである。

 最前線の、同じ場所を撮像した偵察衛星データを、露軍の指揮官は、2週間に1ぺんしか、更新してもらえない。これでどうやって作戦を立てる? もはやドローンにひたすら頼るしかないのである。

 そしてまた露軍の軍用偵察衛星の写真の解像力は、いまや、欧米の民間の衛星画像サービス会社からふつうに私人が買えるデータの細密度を下回っている。

 次。
 Defense Express の2023-4-2記事「Swiss Components For Cars and Electric Bicycles Were Found in russian Orlan-10 UAVs and Missiles」。
   スイスのRSIニュースが報じた。数日前に宇軍が調べた「オルラン-10」の残骸から、スイス製のパーツが発見されていると。
 チューリッヒにある「U-blox」社製の電子部品。同社は自動車や電動自転車や医療機器用に電子部品を製造している。

 ロシアは、ダミーの「なんちゃってシナ企業」を名目的に登記して、そこがスイスからデュアルユースの部品を仕入れては、露領に持ち込んでいるようである。すなわち経済制裁回避術。

 部品の中にはたとえば、GPS受信チップがある。

 次。
 Defense Express の2023-4-2記事「The International Monetary Fund Predicted How Long the War in Ukraine Would Last」。
    IMFは、ウクライナに対して4年間で156億ドルを融資することを金曜日に承認した。
 これも含めて世界はウクライナに1150億ドルの金融支援を実行中である。

 次。
 AFPの2023-4-1記事「Kyiv orders 100 armoured vehicles from Poland」。
   ウクライナ政府は、フィンランドが設計し、ポーランド国内で製造されている「ロソマック」8×8装輪装甲車を100両、発注した。

 契約総額は非公表だが、費用は米欧のファンドで賄われる。

 次。
 Defense Express の2023-4-2記事「Specially For Drones: Ukrainian Plant Starts Making New Air Bombs」。
   ウクライナのメーカー「Maiak OJSC」社は、マルチコプターから投下する専用の爆弾として最初から設計された2種類の爆弾の品番とスペックを公表した。

 「OBP-23.1」は、全重1kgで、破片の殺傷力は11m先まで及ぶ。
 「OBP-23.05」は、全重500グラムで、破片は半径4.5mまで有効。

 外見は相似形。空力安定板は、戦前の投下訓練用爆弾のような円環状(外寸は胴体の最大部と一致)。それを6葉の放射状フィンがスポークのように支えている。筒体は涙滴形だが、前端部分が平頭になっている。前寄りの側面に、引き抜き式の安全ピンのようなものがついている。そしてこれら全体の外皮が、一体成形の樹脂製であるように見える。

 同社は2021年から、TKG-1600およびKZ-4800という、対AFV用のHEAT爆弾を製造していた。したがって経験値は十分蓄積している。

 ※対人用の金属破片はおそらく樹脂製弾殻の内側にでも装置されているのだろう。しかし、国際条約により、レントゲン撮影し難い破片素材の対人爆弾は使用すべからず、ということになっているのであるから、このメーカーは、対人威力については宣伝をしないほうが悧巧なのではないか? それとも、外観がプラスチックっぽいのは、そうみせかけている塗装のせいで、じつは弾殻は全金属製(たとえばアルミ合金)か? だがそれなら空力フィンは死重となる。ペイロードにまったく余裕のないミニドローンからの投下爆弾としては、設計が合理的でなくなる。

 ※雑報によると、宇軍は米国から「マーク14 Mod 0」という対物破壊用手榴弾(Anti-Structual Munition)を供給されている。手榴弾型で、内部に380グラムの「PBXN-109」炸薬が充填されている。破片がほとんど生じず、「オーバー・プレッシャー」を最大化するものだという。投擲すると4.3秒で爆発。ようするに、遺棄AFVの内部に投げ込んで処理するための弾薬か?

 次。
 ロイターの2023-4-3記事「Armsmaker Rheinmetall sets up maintenance hub in Romania for Ukraine weapons」。

 ラインメタル社は発表した。ルーマニアの「Satu Mare」に、同社のサービス・ハブを建設した。今月から稼動し、ウクライナ軍を支援する。

 同社製の兵器をそこで整備し、またスペアパーツ等をそこから補給する。
 ついでにチャレンジャー戦車の面倒もそこで見てやるという。

 なお、ラ社は2022-6に同様の後方支援拠点をリトアニア国内に開設している。こちらは、バルト海沿岸諸国に対して兵站サービスを担う。

 次。
 Defense Express の2023-4-2記事「Ukrainian Counterattack Near Donetsk Shows the Lack of Tanks in the russian Army」。
    東部戦線の某所において、露軍は、過去24時間に30回の攻撃前進を図った。うち10回は夜襲である。そのすべてを、宇軍は砲兵によって撃攘した。注目している事実。この30回のうち、露軍部隊が戦車を伴ってきたのは、ただの1回であった。それは2両の戦車であった。

 結論。おそらく露軍にはもう戦車がない。

 ロシア軍はまた、固定翼のCASとして非常に古い「スホイ24」を、また回転翼のCASとしては、やはり古い「ミル28/8」を、繰り出してくるようになっている。航空機も、新型機を稼動させにくくなったと見られるのだ。

 ※どなたかご存知の方がいらしたら、教えて欲しい。明治39年頃の自転車の小さい部品で「ハンガー」(hanger ?)というのは何ですか? 当時は変速機があったわけがないので、ディレイラーハンガーのことじゃない。とすると、何?


すまないがどなたか『宮田製作所七十年史』の戦前部分のコピーをくださらぬか?

 古書の値段が1万5000円もするのでは、どうにもなりません。
 調べたい部分は、まず宮田(創業者)と村田経芳の関係。東京工廠内で村田から勧められて、猟銃の村田銃を製造するようになったのかどうか。つぎに、猟銃商売に見切りをつけて製品を自転車に切り替える判断をしたときに、どの狩猟規則が影響していたか。そして、S17のマレー進攻作戦で社員を軍属として南下部隊に随行させたという話の詳細。

 次。
 Anton Starikov 記者による2023-3-30記事「’Field Wife’: Officers Make Life Hell For Women In Russia’s Military, A Female Medic Says」。
    露軍の従軍看護婦が、「戦地妻」になるように部隊将校たちから迫られている件について。

 この証言者はもともとメディックではなく通信隊の軍歴があった。2022-夏にベルゴロドの徴募事務所から勧誘され、民間の稼ぎでは食えぬときだったので、再入隊して従軍看護婦になった。

 さいしょの日にいきなり、第10機甲師団の師団長(大佐)がキミを気に入ったようだから、戦地妻になれ、と人々から言われた。メディックとは何の関係もなく、大佐の雑用係をしていればいい。

 ※師団長が大佐でいいのか。

 1ヵ月間、拒絶していると、こんどは最前線へ送られた。

 そこは野戦病院であった。宿舎があるのに彼女だけ舎営はゆるされず、道路際のテントで寝起きする。これは大佐の命令によるイヤガラセであった。懲罰勤務というわけだ。

 従軍看護婦は他に7人(23歳から38歳)いたが、全員、戦地妻になるように将校たちから迫られて困っていた。

 そこはなんでもアリだった。ある将校が、砲兵部隊所属の女性隊員を銃で撃ち、重傷を負わせる現場も目撃した。どのような痴話喧嘩が進展していたのか、伺う由は無い。
 この銃撃は、ウクライナ軍のしわざだということに表向きはされた。5回の手術がなされ、けっきょく被害者は、障害者手帳が一生必要な身体になった。

 露軍の将校が「戦地妻」を囲う風俗は、帝政時代からソ連時代までも、ず~っと一貫して続いているものだそうである。ロシアの伝統は今も不滅なのだ。

 この証言者は今、すべてのロシア女性に警告したい。露軍の中にキャリアを求めるな。ロシア軍内での女の地位は、娼婦だからである。

 またこれはチェチェン紛争時から報告されていることだが、露軍の前線指揮官は、酒に酔うと、男女の見境なく、部下を銃撃する騒ぎを起こす。このおかげで重傷を負う露兵は数え切れないのである。

 前進命令を敵前で拒否した兵隊たちは、指揮官によって、自分の墓穴を掘らされ、底へ寝かされる。上から他の兵隊が土をかぶせたところで、指揮官は地面に向け、自動小銃を乱射。ある者にはタマが当たり、ある者にはタマは当たらずに、ゾンビのように這い出てくる。これは証言者が野戦病院で治療してやった露兵から聞いた実話。

 負傷兵のうち、ロシア本土まで後送されるのは、真の重傷患者だけに限られる。それ以外は、露軍が占領中のドネツク地区内の施療所にずっと留められて、独歩できるようになったら、また前線へ復帰しなければならない。

 だから、自傷によって後送されようと図る兵隊は、命がけの決意が必要だ。手か足が1本、確実にもげたのでなければ、帰還は望めないからだ。

 そこでじっさいには、塹壕内でおのれの足を射つ。そのまま数週間放置すると、ブーツの中で足先が腐り、もはや切断手術するしかなくなる。これで本土に確実に帰還できるのだ。

 証言者いわく。最前線にはりつけられている露軍部隊は、今、小銃弾、手榴弾、移動のための車両が欠乏している。給料は何ヵ月も支払われておらず、糧食も欠配気味。寝場所は壕のなかだ。

 ドンバス戦線の兵隊たちが共通して不思議に感じていることがある。じぶんたちがウクライナの前線まで汽車で送られて来たときに、いっしょに、おびただしい数のAFVやソフトスキン車両も、無蓋貨車の上に載って来たのである。確かに、それを見ているのである。ところが、その車両兵器が、前線にはなぜか、まったくやってこない。前線には、ただ、人ばかりが送り込まれて、車両は、途中のどこかで消えてしまう。それで、みんな、噂し合っている。誰かがウクライナ人に売ってしまうのではあるまいかと。

 ※これは鋭い証言だ。露軍の太い兵站線は鉄道のみ。ひとたび鉄道線路を離れたなら、前線が広大なので、車両装備は急速に消散・損耗・自壊して行くしかないのだ。だからこそ宇軍は最初から、露軍後方の鉄道だけを執拗に砲爆撃し続けるべきであったのに、その手段(自前調達が可能な自爆UAV)の傾斜生産には努めずに、戦車をくれだとか戦闘機をくれだとか、呆れた了見違いな要求に固執し、むざむざと今の窮地を招いたのである。戦争のプロがいないのだ。米国南北戦争では、総司令官のリンカーンは国家総力戦がよくわかっていたのに、北軍のエリート高級将官たち全員その理解が浅くて、けっきょく適任のグラントを得るまでに4年も空費してしまった。果たしてウクライナ政府は、何年待てば、適宜の国防大臣を発掘できるだろうか?

 ※SNSに動画が上がっている。旧ソ連軍が1980年代に引退させたはずの、牽引式対戦車加農「T-12」が、かなりの数、どこかの倉庫から引っぱり出されて、ピカピカに塗装された上で、カバーもかけずに無蓋貨車で前線へ運ばれている。採用が1961年なので野砲ならばまだ役に立つにちがいないが、こいつは口径100㎜の滑腔砲だ。専用の対戦車砲弾しか使えない。その砲弾が倉庫に余っていて勿体無いので、それを発射させるために古い大砲を持ち出したのか。それともよほど「レオパルト2」がおそろしいのか。たぶん両方だろう。

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 Defense Express の2023-3-31記事「The Importance of Thermal Imagery Advantage in One Video」。
   宇軍の105mm野砲兵。観測に使っているのは市販のクォッドコプターだが、そのサーマル映像がすばらしい。夜間に徒歩で浸透しようとするロシア歩兵の動きが「丸見え」なのである。むしろ昼間よりもよく分かる。暗いバックグラウンドの中で皓々たる《輝点》として映るので。たった1名が藪の中に潜んでいても、難なく偵知できてしまう。

 10人弱の分隊が縦隊で移動していたら、それは105mm砲弾をすぐにお見舞いすべき価値のある目標だ。ただちにその座標へ砲弾が指向される。

 M119は、英国で設計されたL119榴弾砲を米国でライセンス製造しているもの。牽引式の105mm野砲である。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-31記事「Ukraine is throwing 300 DJI-made Mavic 3T drones at the Russians」。
    ウクライナ軍のための市販ドローン調達に、「発明開発教育科学技術省」の副大臣が活躍している。
 このたび彼らは、いちどに300機の「Mavic 3T」クォッドコプターを輸入した。DJI製だ。

 だいじな性能は、夜間用のサーマルビデオ撮影ができるズームカメラが搭載されていること。それがあれば露軍の動静を正確に探知できる。正確に探知できれば、破壊し殺傷することができる。

 そもそも正確な探知ができなければ、こっちの砲撃はぜんぶ無駄撃ちになってしまう。そんなことをやっていてはダメだ。

 そして戦場の真実。こっちが工夫すれば、向こうもすぐに同じことをやって対抗しやがる。市販ドローンは、誰かの独占物ではないのだ。敵もまた、それを活用できる。

 というわけでここ数週間のあいだに、両軍が最前線で飛ばしている偵察ドローンの密度が、凄いことになっている。この趨勢は、止まらぬだろう。

 露軍は「オルラン-10」固定翼偵察ドローンの最新バージョンを送り出している。
 さらに新顔として「モスキト」というのが加わった。

 「ランセット-3」も早くも登場した。3月中旬に製造が始まったばかりの最新型で、その弾頭は西側戦車を意識して強化されているという。※ランセットの十字翼の技術はイスラエル渡りだろう。まさか今も開発協力しているということはなかろうね?

 ルハンスクでは宇軍の重量級のヘクサコプター(6軸)が、迫撃砲弾を投下しているという。

 攻撃型ドローンの普及拡大は戦場の何を変えたか? 前線では、誰も、休むことができなくなった。いつ、頭上から小型擲弾や、自爆機が降ってくるか、分からないからである。装甲車の中でも休憩できないし、掩蓋無しの塹壕の中でも休憩できない。

 車両も人員も、トンネル・シェルターのようなものをしじゅう探すようになった。そこだけが、安全である。

 ※日本としては「ミニ・バックホー」をおびただしく援助するのが正解か。それなら民間のシェルター掘りにも使えるし、ガレキ片付けにも使えるし、戦後の復興土木事業にも使えるし、もちろん軍隊のトンネル掘りにも使えて、誰からも非難は受けない。それを運搬するには「ミニ・トレーラー」を1:1で付属させてやるとよい。さすれば、あとは受領した側で、民間乗用車や農業トラクターを使って、それを牽引して移動させられるだろう。戦後もそのトレーラー(被牽引車台)は、商業用に大重宝するはずである。《形としてずっと残る援助品》になるだろう。

 次。
 Jen Judson 記者による2023-3-21記事「Oshkosh to shutter JLTV line next year if protest fails」。
    米陸軍は、HMMWVの後継車種を、AMジェネラル社製に決めた。
 これを承けてオシュコシュ社は、JLTVの製造ラインを、2024末をもって、閉じることにする。

 海外からの注文は2023-11まで受けるという。オシュコシュは、モンテネグロ、ブラジル、スロベニア、リトアニアから既にJLTVを受注しており、また、ベルギーと北マケドニアからも発注があるかもしれない。
 それらはきっちりと納品してからラインを閉じる。

 AMジェネラル社が新JLTVの生産を開始するのは、2024-8である。

 次。
 「mil.in.ua」の2023-3-31記事「Ukraine already uses JDAM」。
    ウクライナ空軍のスポークスマン発表。われわれはすでにJDAMキットを航空爆弾に装着し、それを投弾している、と。

 ただのJDAMではなく、JDAM-ERらしい。翼を展張して、最大72kmも滑空するものだ。
 ただし、それをとりつけた爆弾の種類や、投下機の種類は、まったく伏せられている。

 次。
 「mil.in.ua」の2023-3-31記事「Pentagon: more than 11,000 soldiers of the Armed Forces of Ukraine are undergoing training in 26 countries」。
   いまこの時点で、1万1000人のウクライナ兵が、26ヵ国に分散して、軍事教練を受けている。
 また米軍だけでもすでに7000人のウクライナ兵を教練しおえている。


誰か「ドライジーネ」を無料で再現製作してくれる人はいませんかなあ。全木製で。

 Tanmay Kadam 記者による2023-3-25記事「LEAKED! Ukraine’s Counter-Offensive Strategy To Attack Russian Military Disclosed By US Media; Kyiv Furious」。
    米メディアの『ポリティコ』が、《ウクライナ軍は5月に対露の反転攻勢をかける》と3-15に報じたことについて、ゼレンスキー指導部は激怒している。これは対敵機密漏洩じゃないかと。

 ポリティコによるとソースは米政府の匿名高官だという。

 『ポリティコ』は、あり得べき攻勢の主軸についての予測までも載せている。いきなり南へ突出してヘルソン州を奪回し、そのままクリミア半島も奪回するか、もしくは、北東部から東へ突出してから南へ旋回して、ロシア本土とクリミアの陸上連絡を遮断するか。

 そのうち前者は、露軍がドニプロ河東岸に陣地帯を築城工事しているので非現実的だとポリティコは解説。宇軍には一斉に大軍を敵前渡河させる能力もないからと。

 ゼレンスキーの大統領室アドバイザーであるミハイロ・ポドリャクは、しかし、本人がイタリアの新聞『ラ・スタムパ』に3月、こんなことを語っている。われわれは急がない。2ヵ月以上をかけて部隊を再配置する。バフムトで露軍を消耗させている間に、われわれは別の場所に集中するであろう、と。

 露軍もATGMを持っている。宇軍がかるがるしく攻勢に出ればどうなるか?
 3-17に宇軍のAPC部隊がザポロシア方面でその学習をしている。オランダから供与された装軌式の「YPR-765」を6両、いちどにやられてしまった。偵察のため南部戦線に8kmまで近づいたところで。

 しかもそのうち2両は写真を見る限り無傷。宇兵たちはATGMに恐怖し、ドライバーまでが車両を放棄して徒歩でスタコラ逃げ散ったと思しい。土人の軍隊か?

 『ポリティコ』による貴重な内情報道。米軍高官は宇軍に文句をつけている。おまえらは砲弾を無駄撃ちし過ぎなんだよと。砲撃に規律がない。狙わずに発射していると。

 塹壕を掘り、ATGMで待ち構えている露軍に、こっちから渡河して攻勢をかけるためには、諸兵種を連携させた攻撃の訓練が不可欠である。NATOはドイツの演習場で宇兵600人に稽古をつけてきた。それは2月に仕上がっている。
 そこにはブラドリーとストライカーが大量に用意されているが、それらMICVはウクライナに送るためのものではない。第一期の600人が卒業したなら、すぐに次のウクライナ新兵を、同じ訓練に受け入れるのである。これを数回繰り返せば、攻勢作戦も可能になるだろう。それが5月だと推定されるのだ。

 次。
 Roman Goncharenko 記者による2023-3-25記事「Why is the US sending ‘downgraded’ weaponry to Ukraine?」。
    米国からウクライナに供与される兵器は、すべて、それが戦場に遺棄されて露軍に鹵獲された場合に困らないように、最先端のデジタル機能を除去してある。特に電子装備を解析されると、次の対露の実戦でいきなりECMを喰らってしまうから。

 たとえばM777榴弾砲には、NATO仕様ではナビゲーション端末とオンボード・コンピュータが付属しているのだが、それらは外した状態で提供するのである。

 ウクライナはそれらを補うために「GIS アルタ」という自主開発のソフトウェアを砲撃指揮に活用している。

 今日、西側軍隊では、砲撃座標等の指示はデータ通信によってなされる。かたや露軍砲兵はいまだに、ヴォイス無線でのやりとりだ。

 次。
 「mil.in.ua」の2023-3-27記事「Rymaruk: There are already more than 2,000 HMMWVs in the Armed Forces」。
    ウクライナ国防省の提携機関「カムバックアライブ基金」の代表、アンドレイ・リマルクが、宇軍に供与されているHMMWVの修理工場について、ユーチューブで語った。

 げんざい、宇軍には2000両のHMMWVがあるという。
 ちなみに、2022-2の開戦前から、宇軍は300両のHMMWVを米国から援助されていた。

 破壊された3両のHMMWVから、2両のHMMWVを再生する、といった仕事が続いている。地雷を踏んだ車体が多い。

 次。
 ストラテジーペイジの2023-3-27記事。
    今次戦争がNATO空軍に提供してくれた貴重な実例。

 開戦劈頭の狙いすました大量の対地ミサイル奇襲を、味方空軍は、事前の徹底的な機体の疎開(地方の臨時滑走路への分駐)によって、無傷でやりすごすことが可能である。

 これは、蓋をあけてみるまでは、なんとも判断ができかねる問題であった。
 ウクライナ空軍は、いくら事前に分散・疎開をこころみたとしても、やはり開戦奇襲のSSM/ASM攻撃を喰らえば、地上において全滅させられるのではないかという心配は、本番まで、払拭できなかった。

 なにしろ宇軍の航空基地には、BMDは無いも同然だった。露天駐機しているところに、いきなり高速の短距離弾道ミサイルが降って来たなら、なすすべはなかったのだ。

 スウェーデンは、2019年に「ムスコ」のひみつ地底海軍基地を、再開した。
 これはストックホルムの南にある山の下に築造されたトンネル状の軍港である。
 1950年から、19年かけて、岩盤をくりぬいた。もちろん核戦争対策だ。

 1500万トンの岩石が発破で除去された。

 スイスは第二次大戦の初期に、「メイリンゲン」に、ひみつ地下航空基地を建設している。

 滑走路の端の部分だけが露天になっているが、あとはトンネル内に延びている。
 1960年代にこの地下基地は拡充され、F-5やF-18を運用できるまでになっている。なお、着陸にはアレスター・ギアを展張する。※普天間にもある拘束装置である。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-3-27記事「40 Mirage 2000-9 fighter jets for Ukraine」。
    ウクライナは、40機以上の「ミラージュ2000-9」を受領する気になっているという。
 ソースは、仏ネットメディアの「Intelligence Online」=略して「IO」。

 新品ではない。UAE空軍で保有している機体が考えられているという。

 次。
 AFPの2023-3-25記事「U.S. Charges Russian Spy Who Tried To Infiltrate War Crime Court」。
   米司法省が1人のロシア人スパイを起訴する。これまで非公開にしていたが。
 この39歳の男の正体はGRU将校で、ブラジル人の偽名を騙り、ワシントン大学にもぐりこみ、そこから、ハーグの国際司法裁判所の職員になろうとしていた。

 次。
 The Maritime Executive の2023-3-26記事「U.S. Navy Deploys an LCS to Enforce Fishing Rules in Western Pacific」。
   米海軍は、1隻の最新型LCSにコーストガードを陪乗せしめ、それを南太平洋に送り込む。違法シナ漁船の密漁船団を粉砕するためだ。

 『インディペンデンス』級を送り出す。


1945年製の艦載高角機銃を銃塔ごとAPC上に無理やり載せた改造車を露軍が前線へ投入しつつある。

 Courtney Kube and Carol E. Lee 記者による2023-3-5記事「Two Ukrainian pilots are in the U.S. for training assessment on attack aircraft, including F-16s」。
   いま、ウクライナの空軍パイロット2名がアリゾナ州のツーソンに派遣されていて、彼らがF-16の操縦をマスターするのに何ヵ月かかるものなのかの実験台になっているという。

 この実験台の人数はこれからさらに増やされてデータを取られる。とりあえず追加で10人。

 実験は主にシミュレーターを活用し、実機は使わない。

 ※データ取りが目的なので、シミュレーターは「A-10」でも試すことであろう。その調子が意外によければ、まず「A-10」をくれてやろうという話になるかもしれない。殊に年寄りパイロットをわざわざF-16にコンバートさせても投資効率は悪く、諸資源の無駄となってしまうはずだ。A-10をあてがうのがちょうどいいかもしれない。

 通常、F-16を飛ばせるようになるまでに18ヵ月かかる。米政府に言わせると、ウクライナはあと18ヵ月も戦争したいのかよ、という話だ。

 しかし空軍の部内者の一部などがマスコミに、素質のあるパイロットなら半年とか9ヵ月でコンバート可能だと証言する。そうなると庶民ウケを狙う連邦議員どもが「早くF-16をくれてやれ」とか騒ぐから、米政府としては、とにかく実データを揃えて、科学的に政策を説明できるようにしたいわけ。

 将来、ウクライナ人のパイロットを特訓するとしても、それは30人くらいだろう。
 30人で戦争を終らせられるもんじゃない。

 下院軍事委員会のコリン・カールの言うところでは、ウクライナ空軍は最終的に50機から80機のF-16によって、今のスホイやミグを更新する必要があるだろう、と。

 しかしこれから新造するF-16を数十機も揃えるのには6年かかる。中古機を渡すなら2年でできる。
 そして米国が負担するその費用は110億ドルになるだろう。

 次。
 Mike Hanlon 記者による2009-3-2記事「Mortar Stowage Kit brings automation to the battlefield」。
   ※古い記事です。

 120ミリ重迫は、砲身と床板と2脚がコミで重さが300ポンドもあるけれども、これを最初から一体の形で、ミニトレーラーから地面に下ろしてくれるシステム。陣地を撤収するときにはまた、地面からトレーラーに掬い上げてくれる。操砲員は、アームを動かすボタンを押すだけ。アームは油圧と電力で動くので、人手がかからない。

 これを使うと、重迫の陣地進入や撤収が、たったの3分で済んでしまう。
 つまり、HMMWV+ミニトレーラーで、120迫撃砲が事実上、「自走砲化」するのである。班員の人数も減らせる、大発明だ。

 3分で撤収ができてしまうとなると、敵軍は、対迫レーダーを持っていたとしても、この重迫の座標に対して「撃ち返し」をすることは不可能である。

 BAEシステムズ社が、米陸軍から588個のM326を受注したのが、2007年9月のこと。総額は2050億ドルくらいではないかと見られる。本格量産は2009-6からスタートさせるという。

 ※写真を見ると、ミニトレーラーに弾薬も積まれている。だから万一、弾薬に被弾して殉爆しても、HMMWVは無事だ。

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 Defense Express の2023-3-5記事「Ukrainian Warrriors Use the American M326 MSK Super-Trailer, Which Turns the Mortar Into a Self-Propelled Mortar」。
    120ミリ迫撃砲は、欧米製の最新のものでも150kgのシステム重量。旧ソ連製だと200kgを越える。

 2007年にBEA社が最初の受注をしたとき、この自動布置キットの値段は、1式が2万3600ドルであったという。安い。

 米陸軍の空挺部隊も愛用している。

 ※州兵が装備している写真がネットでヒットするので、州兵の現用兵器をウクライナに供与してやっているのかもしれない。さてそうなると気になるのは、かつてアフガンで大活躍していた、GPS誘導の120ミリ迫撃砲弾だ。まだ相当の数量が米軍の国内外の弾薬庫にストックされているはずだ。それをいよいよ放出するのではないか?

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 2023-3-4記事「Sputnik V vaccine creator strangled to death in his Moscow apartment」。
   ロシア版の新コロワクチンである「スプートニクV」を開発したアンドレイ・ボティコフ(48)が、扼殺死体で発見された。モスクワ市内の自宅で木曜日に。

 1人の侵入者がベルトを使って殺したとの情況証拠/証言あり。
 警察は29歳の容疑者を拘束している。風俗商売に関して刑務所に10年いた前科者だという。

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 2023-3-3記事「Hurricane Airprox operator fined £3000」。
   イギリス人マーク・バギュリーは、2022-7にRAFが「ハリケーン」戦闘機の実物をデモフライトさせたイベントを撮影すべくドローンを近くに飛ばし、パイロットと観衆に重大な危険を生じさせたというので、このほど裁判所から、罰金3000ポンドを課されたうえ、禁錮6ヵ月、執行猶予1年を言い渡された。100時間の勤労奉仕も義務付けられており、来年5月までは、勝手に旅行することは許されない。

 ※こういう確信犯的な阿呆は、ウクライナ戦線で「ご奉公」させた方が宜しかろう。

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 Gary Mortimer 記者による2023-3-5記事「DJI stops selling Aeroscope」。
    DJI社がとつぜん、「Aeroscope」の販売を止めると決定した。これは、半径10km以内を飛んでいるDJI製マルチコプターの位置だけでなく、その操縦者の位置までも把握ができてしまう、有料のソフトウェアである。

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 Svetlana Shkolnikova 記者による2023-3-3記事「US to send bridge-launching vehicles for tank deployments to Ukraine in new $400M aid package」。
    米国から追加でウクライナに送られる装備の中に、「M60 AVLB」が含まれていることが分かった。

 装甲架橋車で、M60戦車のシャシの上に、尺取虫式に折りたたんだカンチレバー橋桁を背負わせたもの。油圧で展張できる。その上をいちばん重いMBTが走っても折れない。

 ※この公表はショルツ訪米の直後なので、こういう意味なのだろう。レオ2ばかりあったって、宇兵がそれを野砲的に運用するのではいつまでも戦争のラチがあかない。機甲戦力は機甲戦力としてフル活用させる。それには架橋戦車も必要なのでとりあえず米軍手持ちの古いAVLBを与える。これにより、レオ2だけでなく、重すぎて浮航ができないM2ブラドリーも、いたるところで露軍の背後へ回り込ませられるようになる。M1エイブラムズは来年の寄贈になるが、ブラドリーはすでに続々と搬入されているから、喫緊の支援車両であった。またこの車体とエンジンの整備にウクライナ兵が慣れてくれると、将来、台湾などに大量にある中古のM60戦車をウクライナへ増派できるようにもなるだろう。その穴は新造のM1を売りつけて埋めればいいのだ。なお、架橋戦車は川を越すだけが能ではない。露軍はクリミア半島の付け根に「マジノ線」もどきを工事中だが、その数線の対戦車壕を任意の数箇所で超壕させねばならぬ。まずはそれに使う気だろう。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-5記事「Civilian truck is secretly transporting UK Spartan APCs to Ukraine」。
    英国は昨年の開戦いらい、ウクライナに「FV103 スパルタン」APCを送り続けているが、その輸送方法は謎であった。このたびビデオが公表された。

 どうやって搬入しているのか?
 民間の大型トレーラーが使われている。ロシアの衛星によって探知されないように、トレーラーは、フルアルミパネル。したがって中味が何なのかは、誰にも窺い知れないわけ。完全にカバーされた荷台に、スパルタンが2両、入ってしまうのである。

 スパルタンAPCは、自重が11トン。固定武装は7.62ミリ機関銃×1だけだ。

 ※衛星やドローンから見下ろされてもいいように最初から考えることが、これからは、あらゆる兵器を設計するときに、基本的に要求される着意だ。援助用の車両兵器は、できれば「鉄道/船舶用コンテナ」(20フィートコンテナ)の中にそっくり収納できる外寸にするのが理想的である。大きくするばかりが能じゃない。無人化時代、スウォーム化時代の今日では、むしろ小さくまとめておくのがとても有利。「武器援助外交」の自由度、オプション幅が、ぜんぜん違ってくるのだ。

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 2023-3-5記事「OTO Melara Mod 56 105-mm howitzer in service with the Ukrainian Armed Forces」。
    ウクライナ軍は、スペインの演習場で、イタリア製の「オットーメララ Mod 56」105mm野砲の操法を習い覚え、げんざい、ドンバス戦線で使用中である。
 スペイン軍が2022-11に6門、寄贈した。

 この野砲の砲身は、14口径長。
 最大射程は10km。

 大砲は、かんたんに12個のパーツに分解できる。つまりこいつは「山砲」だ。
 イタリア軍は、バラした「Mod 56」を騾馬に駄載して山地機動させるつもりで設計させた。

 防楯をとりつけないことにした場合、この野砲は、そっくりM113APCの内部に収納できる。M113は浮航ができるから、砲兵は、フェリーを頼まなくとも、簡単に渡河させられてしまうわけだ。

 「Mod 56」は、世界の30ヵ国の軍隊によって、採用されている。

 ※こういうのが、尖閣諸島や先島群島の防備用に、便利このうえない装備であろう。ところで、ラバに駄載できるということは、いちばん重い砲身部分でも重量が110kgくらいになるように設計しているはずだ。これは何を意味するかというと、インドシナ戦争中にベトミンやベトコンが駆使した「輸送用自転車」によっても、楽々と搬送できるということ。なにしろ1台で200kgくらいは平気で吊るしていたのだ。さすがに2人がかりで押すのだが、それでもラバの秣の心配をしなくてもいいメリットは絶大だったろう。そこでとつぜん話が変わるのだけれども、読者の中に「自転車の改造」が趣味の人はいないか? ベトナム戦争中の輸送用自転車をリアルに再現したものでひとつ実験をやってみたいので、ご連絡ください。その写真を小生の次著の中で使い、お名前を紹介するというのが、報酬になります。