トランプ政権はMTCRを低速無人機に関して緩和した。これにより欧州メーカーは、500kgの弾頭を300km先まで運搬できる無人航空機(UAS)の技術ノウハウをウクライナへ開示できることになった。

 Benjamin Cook 記者による2025-9-3記事「Ukraine Expands Its Own Kinetic Sanctions VS Russian Oil/Gas」。
  ドゥルジバのような石油用の幹線パイプラインは、「API 5L」クラスの炭素鋼であることが普通である。

 ※APIとは「アメリカ石油協会」の略号で、そこが決めているスタンダード。「API 5L パイプ」は「ライン・パイプ」とも呼ばれ、シームレスのこともあれば熔接鋼管の場合もある。保守修理の必要から、熔接は容易でなくてはいけない。高品質であり、高圧にも、過酷な環境にも耐える。内側も外側も、耐腐蝕コーティングされている。今日では中共のメーカーが高性能品をロシア向けにいくらでも供給する。

 公表値によれば、管径は420ミリから1020ミリ。鋼管の壁厚は8ミリから32ミリである。高圧区間だと、40ミリ厚のこともある。

 この厚い鋼管が、さらに土中に埋設されていたりすると、特攻ドローンでは手が出ない。
 しかし地上に敷設されているパイプラインは、特攻ドローンで破壊できる。

 貯油タンクはどうか。
 ロシアの石油産業は「API 650」規格の大気圧貯留槽を貯蔵タンクとして使っている。その尾根プレートは厚さ5ミリなので、ねらい目だ。

 シェル・コース(shell courses)〔=円筒槽を輪切りにした時の1区画。日本では単に「シェル」とも呼ぶ。大型タンクの場合、下層のシェルほど壁厚は増さねばならない。つまり1個の巨大な円筒槽があったとしたら、それは必ずや、厚さが異なった複数層のシェル・コースを数段(往々、5段)、下から上へ積み重ねたものなのである。各層の継ぎ目はもちろん、熔接されている〕の壁厚は最薄でも8ミリから12ミリある。
 上の段ほど、貯留槽の壁は薄くなるのだが、最上縁の環の部分だけは、ぶ厚く強化されている。

 貯留槽のいちばん低い層の壁厚は、10mm未満ということはない。巨大タンクだと20~30ミリある。素材はスチールである。

 次。
 Povilas M.記者による2025-9-6記事「Ukrainian Drones Are Dropping Spike Strips on Russian Supply Roads」。
  スパイク・ストリップとは、「撒き菱」を線状に植え付けてある大道具で、米国の交通警察が車両のタイヤをパンクさせてやるときに「手投げ」にて奇襲的に展張して、ロードブロック代わりに使える重宝なものだ。

 モノクロビデオなのでおそらく夜間なのであろう。これを宇軍が6軸のマルチコプター「ババヤガ」から農道にいくつも投下して、露軍の歩兵を追い詰めている動画がSNSに出ている。

 相手が装軌車両なら穿刺針など効きはしないが、いまの露軍は、民間のワンボックスカーや自動二輪車を徴発して最前線部隊を動かし、あるいは最前線部隊に需品を推進補給しているので、線状の「マキビシ」が、高性能地雷と同じくらいの阻止期待率を発揮してくれるようだ。

 敵軍の軽車両の動きが止められたところで、こんどは「ババヤガ」から爆弾を落とすという段取りになっているのだと思われる。

 次。
 2025-9-4の「ttps://mezha.media/en/oboronka/cukorok-chuyka-dziga-tinysa-whoover-yak-obrati-detektor-droniv-304569/」記事。
  ※これは陸自の現役隊員は必読ではないかと思った。部隊で全文を精密に訳して情報を共有するとよいだろう。

 この記事は、ウクライナ兵たちがポケット携帯して、迫る危険を察知するのに役立っている電波検出警報器の製品解説である。
 面白いのは、小さなモニター画面付きのものがあり、そこには、敵のFPVドローンが今、誘導員に対して電送中の画像が傍受されて映示される。もし自分が狙われている場合は、その画面に自分の姿が映るわけである。

 対応周波数の変遷史も、概略、これで確認することができる。

 なお、光ファイバー・ケーブルで誘導される特攻機は、こうしたデバイスによっては探知ができぬ。

 次。
 西側各国軍の深刻なニトロセルロース不足を解消するため、第三世界のゴミ捨て場に山のように捨てられている古着/売れ残り衣類の「合繊」を原料素材にして、ニトロセルロースの代用物質をこしらえられるプラントを日本が開発するべきだと思う。正規のニトロセルロースより低性能でもかまわない。それはドローンの弾頭やドローン用のRATOに使うものなのだから。

 次。
 ストラテジーペイジの2025-9-6記事。
  フィンランド政府は、これまで干拓を進めて来た、ロシア国境沿いの湿原を復活させ、その面積をむしろ拡大させようことを考えている。天然の対戦車濠にするために。

 ポーランド国防省も同じことを考えており、すでに昨年から工事を始めている。

 領土の1割が湿地であるリトアニアも、その湿地と要塞を組み合わせる方法をもっか研究中。


ランセットもどきの「RAM-2X」が露軍のAFV輸送車両に命中するビデオがロシアのSNSに出た。

 Defense Express の2025-9-5記事「Ukraine’s RAM-2Х Drones Sneak into russian Rear Unnoticed and Undisturbed by EW」。
  ロシアの民間トラックのドラレコが偶然に記録した。撮影された現場は、最前線から40kmほど東であるらしい。

 露軍のEWが効いてないように見えることが注目されている。米国のSilvus社製の「StreamCaster」という、電子妨害に強い無線通信技術を、この「RAM-2X」は採用しているのだという。それはメッシュ・ネットワークを利用したものだという。あちこちに中継器が存在して、それらが相互にバックアップするというコンセプトだ。

 「RAM-2X」を突入させるときには、その上空に、固定翼無人偵察機の「Shark」が飛んでいる。そのUAVが中継器を抱えているのだという。

 露軍は、「StreamCaster」の信号を感知したら、すぐに付近の味方部隊に警報を出している。
 2024-12から存在が明かされている「RAM-2X」のレンジは非公開だが、露軍は、それが150kmくらい飛んでくるのではないかと恐れている。

 次。
 Michael S. Bernstam and Steven R. Rosefielde 記者による2025-9-4記事「How Russia’s Energy Empire Ends」。
   レーガン政権いらい、米国は西欧に対して、ロシアからは石油もガスも買うなと説得し続けてきた。だがしかし、ヨーロッパは聞く耳を持たず、それが2000年代初期にいったんは無力化したロシア軍を2014までに再び復活させるという阿呆きわまる事態を招いた。それが今日のウクライナ戦争の原因のすべてなのである。西欧の責任なのである。

 ところがプー之介が2022にみずからしくじりを犯してくれた。2022初盤の甘すぎた隣国併合作戦の大失敗に焦ったプー之介は、西欧がウクライナを後援するのをやめさせようとして、ガス供給を止めるという脅しを実行したのだ。西欧はこんどこそ目が醒めてしまい、そこから急速に《エネルギー輸入元の脱ロシア化》へ舵を切った。とうとう2025-5にはEUが、2027末を以てロシアからのガス購入を、パイプライン形態もLNG形態も、どっちもゼロにすると合意している。これでロシア政府は年に600億ドルの収益を永遠になくす。

 じつはノルドストリーム爆破は、このロシアの苦境にはあまり貢献していない。爆破の前から、稼働していなかったんで。強くなると人を脅すというロシア人の癖が、ロシア経済を縮小させつつあるのである。

 サウジアラビアの原油の平均生産コストは1バレル当たり10ドル前後。ロシア油田は、陸上のは1バレルあたり42ドル、オフショアだと44ドルだ。シベリアや北極海での採掘が安易にできるわけはなく、増産しようとすればサウジとの競争でますます出血輸出に陥るしかない。

 つまりソビエトとロシアのエネルギー帝国はとうとう終焉した。かつての構図は、もう二度と戻ってこない。

 ※ジョージ・ケナンとジョン・ミアシャイマーには類似のパターンがある。ロシアに関して壮年期にはシャープな正しい指摘を残しているのに、老人になってから、かつての自説に対する砲撃に熱中するのだ。この二人の壮年期の主張を融合させると、完璧な対露政策指針が記述される。それはこうだ。ロシアは大国の本能に常に忠実である。強くなると近隣国を支配しにかかる。だから、ロシアを常に弱くしていなくては、この世界が安全になることはない。ロシアを弱くする方法が「コンテインメント=containment」である。終始一貫ロシアとは交易をせぬことである。そうすればロシアの経常黒字は巨大化することはなく、ロシア軍も弱いままでいてくれる。弱くてしかも封じ込められたロシア人は、国内政治をじぶんたちで改革し、それは外の世界にとっても善い方向のように映るであろう。だが、世界がそこで気を緩め、対露交易を再開してしまうと、けっきょく前と同じことになるのである。だから、世界は油断をせず、自ら戒め、弱くなって平和国家化したロシアとも、決して交易など再開してはいけない。これによってのみ、世界平和は現実的に維持されて行くであろう。

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 John Stuart 記者による2025-9-3記事「The AI Rock and Hard Place」。
  オンライン経由の大学教育システムを、AIがひっかきまわしている。生身の学生が本当にそれを受講(出席)しているのか、確認しようがなくなってしまった。確認するためのAIツールもあるが、それまたAI欺騙され得るし、ぎゃくに、まじめに 出席/宿題提出 している学生たちをAI代返だと疑う事案が続発。

 ※AIは、旧来の「大学制度」「高等教育制度」そのものを終わらせてしまうと考えるのが、とうぜんのセンスであろう。


ウクライナの軍事使節団は、フィリピンにおける低廉なサイドカーの広範な利用実態から、あることを学べたはずだ

 Frances Mangosing 記者による2025-9-3記事「Ukraine eyes joint drone production deal with the Philippines」。
  ウクライナの駐比島大使である、ユリア・フェディフいわく。両国は10月までに、防衛協力に関する覚書(MoU)をとりかわすであろう。

 H I Sutton の指摘。おそらく具体的には、ウクライナが実用化した洋上無人特攻艇を、比島国内でも量産する。フィリピン軍はそれを対支用に使う。

 黒海では、事実上、海軍などもっていなかったウクライナ軍が、有力なロシア艦隊をすっかり駆逐してしまった。同じことが南シナ海でも可能である。フィリピンこそ、ウクライナ流の爆装ボート運用を、最も必要としている国だ。

 フィリピンのジルベルト・テオドロ国防長官は7月、潜水艦戦力は一夜にして構築することはできないので、当座の凌ぎとして、潜水艦の働きを代替できる、無人システムを模索しているところだと語った。

 次。
 Derek Thompson 記者による2025-9-2記事「The US Population Could Shrink in 2025, For the First Time Ever」。
  米国は国内出生だけでは人口を増やすことができなくなっているので、トランプの移民禁止政策は、まちがいなく、米国人口を減少に導く。
 予想もできなかったが、早くもこの2025年に、米国人口が縮小する可能性が出て来た。

 出生から死亡を引いた自然増加が、1~6月に100万人減少。加えて、移入移民数から移出移民数を引いた純移民数が、52万人減ったので。
 新コロでは米国人100万人が病死したが、出生と純移民によってカバーされた。

 第一次トランプ政権の行政を逆転させて、意図的に、無制限の移民を許容したのは、バイデンであった。この人口増のおかげで、確かに米国経済は成長できたが、同時に、米国の大都市では、誰が見ても移民が社会を破滅させていると信じられる状態に陥った。ゆえに、全有権者はバイデン政権に見切りをつけ、第二次トランプ政権を実現させた。

 これから、人口ボーナスが、予想より早いタイミングで、消失しようとしている。

 留学生を含む純移民がゼロに近づくと、米経済はスタグフレーションに傾く。確実に。そもそもトランプは有権者が物価高に困っていたのを自分の得票に結びつけた。しかしこれからはトランプが諸物価をもっと高くする。

 数年以内に、米国内の大都市で、労働者は足らなくなる。あらゆるサービスが、値上がりする。

 米国の農業労働者の三分の二は移民である。出稼ぎ労働者が入国できなくなると、米国内産の食品の値段は、農業分野での賃金高にプッシュされて、高騰する。

 戸建て住宅の建設労務者の半数以上は移民である。純移民がゼロになると、建設業界は、人の奪い合いになる。住宅は必然的に高騰する。
 近年の政権は、AIとロボットが全自動で安価に住宅を建てるとほざいて庶民を欺き、不平を黙らせようとする。これから数年では決してそんな夢は実現せぬ。

 今日、米国では、3人弱の現役労働者が、引退老人1人を養っている。この社会保障の構図は逐年崩れ、今世紀末には、2人弱の現役世代が1人の老人を養うようになるだろう。行政は社会保障関連により大きな支出をせねばならず、他の分野の予算はすべてカットされる。

 トランプの3ステップ。ステップ1で他者に痛みを与えると宣言。ステップ2で、その痛みを取り除いてやれるぞと申し出る。ステップ3で、その他者からの称賛を要求する。

 次。
 Kevin Draper 記者による2025-9-4記事「John Deere, a U.S. Icon, Is Undermined by Tariffs and Struggling Farmers」。
  米国最大手の農機メーカーであるジョンディア社の予想では、トランプ・タリフのせいで、今年、同社が輸入する金属資材のコストは6億ドル増えてしまうであろう。
 また同社製の、大型農業機械の売上は、2025年は、15~20%減るであろう。

 オクラホマで中古農機を売買している商店主いわく。農場経営者は従来、新品の農機具を選好するものであったが、流れが変わり、彼らは中古のトラクターを探すようになったと。これは、新品農機の値段が急激に高くなっていることが理由である。

 過去8年で、新品トラクターの価格は60%以上、上がっている。これはイリノイ州の大学による調査。
 いくつかのモデルでは、単価が2倍になった。具体的には、かつて25万ドルで買えたコンバインに、今は50万ドル払わないと新品は入手できない。

 ジョンディア社はこの夏、イリノイ州とアイオワ州で、工場従業員238人をレイオフするしかなくなった。減収傾向がハッキリしたので。

 1837年にイリノイ州で創立したジョンディア社は、今日、全米の60の工場で3万人を雇用している。商品の農機の75%は米国内でアセンブルされている。部品の25%が国外製造品である。

 農家にとってのバッドニューズは、穀物価格が上がらないこと。2022年のピークとくらべて、今はトウモロコシは半値、大豆は6割である。こうなると農家は弱気になり、新品の農機を買わなくなる。中古でなんとかしようと決心してしまうのだ。

 ことしの作柄は、トウモロコシも大豆も、記録的な豊作になると、農務省は予想している。
 2024年には米国から中共へ130億ドルも大豆を輸出していたわけだが、今年はトランプ・タリフのおかげでその需要はどこかへ行ってしまった。
 おそらく、中共相手の大豆輸出額は、昨年より34億ドル、少なくなるであろう。これも農務省の予想だ。

 ジョンディアのライバルである外国の「Kubota」や「Fendt and Mahindra」社も、トランプ・タリフで大打撃を受けるであろう。

 ※なまじいに外国からスチールを輸入して米国内で組み立てるメーカーが、トランプ・タリフによって最も苦しめられ、むしろ、完成品をまるまる輸入した製品の方が価格競争力が高くなってしまうという分野もあるようだ。

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 Defense Express の2025-9-2記事「Specifications of Ukrainian Palianytsia Rocket Drone Revealed」。
  ターボジェットエンジン付きなのに「ロケットドローン」と自称しているJARO案件なまぎらわしい「パリアニツィア」の仕様が一部、公表された。
 ポーランドで開催された「MSPO 2025」のパネルに数値が書いてある。

 それによると、MTOWが320kgで、そのうち弾頭が100kg。
 レンジは650kmである。巡航高度は500m以下。

 離昇には固体燃料ブースターを使う。そのあとジェットエンジンで巡航。巡航速度は、ロシアのKh-101巡航ミサイルに匹敵する900km/hだという。

 ミサイルの全長は3.5m。ウイングスパン1.7m。

 これまでに実戦で使われているのかどうか、ウクライナからの発表はない。しかし2024年9月にロシアのトロペッツ市の弾薬庫を爆破したのは、この武器ではないかという噂。

 次。
 Vladyslav Khomenko 記者による2025-9-4記事「Flamingo Missiles Manufacturer Announces Development of FP-7 and FP-9 Ballistic Missiles, Air Defense Systems」。
  フラミンゴの製造会社が発表。2種類の弾道弾、「FP-7」と「FP-9」も開発中だと。

 FP-7 はレンジが200km。CEPが14m。弾頭重量150kg。発射後、250秒で標的に届く。最高到達高度は65km。

 FP-9 はレンジが855km。弾頭重量800kg。最高到達高度は地上から70km。CEPは20m。520秒で届く。

 ※8月下旬に英国政府が「Nightfall」というレンジ600kmのミサイルの技術をウクライナに渡すと報じられた。主眼は低コストで量産できること。目標単価は50万ポンド=67万5000ドル。これはレンジ半分のATACMSが150万ドルするのにくらべて、ずっと安い。弾頭重量は300kgともいう。英国じしんがこのミサイルを月産10発以上量産する決意であると。


B-29はたった3年間で開発された。その費用はマンハッタン計画の1.5倍であった。原爆よりも高額な兵器システムだったのだ。

 Tobias Leth Klinge および Hans Corfitz Andersen 記者による2025-9-2記事(ttps://www.dr.dk/nyheder/indland/firmaet-bag-ukraines-nye-supervaaben-skal-starte-produktion-i-danmark)※原文のデンマーク語から機械翻訳し、さらに要約。
  デンマークのウェブメディア「DR」は、このたび政府省庁間の非公開メールを入手した。それによると12月1日からデンマーク国内で「フラミンゴ」用の固体燃料が生産される。
 ウクライナが使う「フラミンゴ」ミサイルは、ウクライナのファイアポイント社が製造する。同社はFPRT社を立ち上げ、デンマークのSkrydstrup空軍基地の隣接地にて、固体ロケット燃料を生産する。その基地には空軍のF-35が所在するが、そこと工場はフェンスで隔てられている。

 デンマークの国防大臣トロエルス・ルンド・ポールセンは以前から、デンマーク国内でウクライナのメーカーが兵器を生産する予定だと公表してはいたが、詳細は明かされていなかった。

 フラミンゴ・ミサイルは最近、クリミアにあるFSB基地を直撃し、幹部多数を殺傷してみせた。
 エコノミスト誌によると、同ミサイルのプロトタイプが、ピンク色に塗られていたのだという。

 デンマーク政府は、この火薬工場については住民による苦情をうけつけない、最新の法令を適用するつもりだ。新法の主旨は、市民にとって緊急重要な国家安全保障を重視する。9月中旬から施行される。

 そのかわり、関連する責任分野を持つすべての省庁がコメントを提出して事前協議する。そのメールが「DR」にリークされた。

 FPRTはすでにデンマーク国民向けのウェブサイトを立ち上げて、「Vojensに近代的な生産施設を設立する」こと、そこではロケット・エンジンの部品の設計と製造に取り組むが、テスト施設はその生産場所とは異なる場所にあることなどが公表されている。

 これと直接の関係はないが、デンマーク国防省は、イスラエルのエルビット社から、「PULS」という商品名の、トラック車載式の多連装ロケット砲を買っている。長短二種類のロケット弾を混載することで、近間の死角をなくしている。(ちなみに「脈動」の「パルス」は「pulse」と書く。)理論的にはこのロケット弾のための推進薬も、製造できるであろう。

 ※ウクライナ人が使う「ロケット・エンジン」という曖昧な用語が気に喰わない。レンジ3000kmの巡航ミサイルは、「固体燃料ロケット」では飛ばない。合理的に推定すると、これはRATO=ロケット・アシスト・テイクオフ だろう。発射時だけ燃やして捨てる小型ロケットだ。じつは今、西側先進国ほど、ロケット用の固体燃料推薬が酷い入手難に陥っている。155ミリ榴弾砲を打ち出すための発射装薬も同様である。弾頭や筒体や砲弾ばかりやたらにこしらえても、それを飛ばせないという、ケミカル工業インフラのネックが解消できないのだ。されば、わが国政府は、苫小牧あたりに推薬専用の工場を造らないとダメだ。大樹町には宇宙産業の長期的な民需もあるのだから、国策として推進するがいい。そこにロケット推薬の大工場があることにより、日本政府は、西側世界が最も困難なときに、RATOの提供者として、そのピンチを救ってやれることになるだろう。アメリカには恩を売れることになり、対米交渉カードを増やせることにもなるんだ。これから西側各国軍は、何十万機もの戦略級の片道特攻機を調達しなくてはならない。あるていど以上の重量になると、もはやそれをゴム動力や圧搾ガス式の軽易なカタパルトでは打ち出せなくなる。つまりRATO無しでは、無人機戦争でおそろしい不利に陥るはずなのだ。つるべ撃ちができないんだから。ここに着眼する者は誰もいないのか? 私が富豪の起業家だったなら、千歳空港の近くにRATO工場をぶっ建てる。

 次。
 Jen Judson 記者による2025-9-3記事「Army picks 3 startups to fast-track self-driving squad vehicle」。
  米陸軍の歩兵分隊を運ぶ車両コンボイを、自動運転させようという企画。
 これに手を挙げたスタートアップ3社に、ペンタゴンは1550万ドルを与える契約。

 選ばれた3社は、Overland AI と、Forterra と、Scout AI である。前には Kodiak Robotics の名もあった。
 試作品は2026年5月までに納品されるだろう。

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 Sumantra Maitra 記者による2025-8-29記事「Singapore’s Real Lesson for Britain and Europe」。
   シンガポールには、保守的な政治的安定がある。欧州がとっくに実現できなくなってしまったことを、アジアで実現している。
 人口の75%はシナ系。15%はマレー系。9%はインド系。それでいて、なんのグループ犯罪も暴動も無い。選挙が機能しており、その結果が社会を混乱させることがない。

 英国の政治家では、トニー・ブレアだけが、リークアンユーを認めて絶賛した。他の英国指導者は、英国が実現できなくなったことをシンガポール政界が実現できていることを認識したくないようだ。

 欧州は、次のようなステップを踏んで、自滅しようとしている。
 まず大量移住。特定宗派のゲットーの成立。統一された国家社会観の消失。マイノリティの犯罪グループは政策的に野放しにされる一方で、それを批判する自由言論は政府によって弾圧される。

 欧州に「内戦」が起きないのは、中東と違って高性能武器の取り締まりが機能しているからで、域外某国の干渉工作によってそうした武器の条件が少し変われば、欧州は三十年戦争に再び突入するだけの下地がもうできている。

 スコットランドのティーンエイジャーはなぜナイフを携帯するのか? 警察にも裁判所にも、マイノリティー犯罪を止める気がまったく無い以上、自衛するしかないのだ。

 リークアンユーは断言した。社会は、民主主義と自由と秩序を同時に持つことはできないのである。
 多人種・多民族になればなるほど、民主主義と秩序が、両立できなくなる。そこで、選択をしなくてはいけない。優先する価値を決めなければならない。リークアンユーは、おおぜいの人々を不幸にしないためには、社会を犯罪の巷にしないことが一番大事だと判断した。そのためには自由を規制した。それがまったく正しかったことを、シンガポールの多民族社会が実例として証明しているのである。

 欧州が目前に証明しつつあること。それまで多民族的ではなかった社会を多民族化すると、自由民主主義と秩序の間の調整が不可能になる。民主主義が内戦とイコールになり、「暴力の自由」が実現してしまうのだ。暴力の自由の終着点は、某国のような専制監視政体であろう。

 かつて民主主義は、均質な社会的精神、文化的一貫性がある環境から、自然に発生した。
 社会を多民族化した上でその成員を自由勝手にさせれば、宗派間の永久戦争が極相となる。

 リークアンユーは言う。多民族社会の中で、誰もが自分の自由を最大限に享受したくば、秩序ある社会を壊すな。個人の自由は、秩序ある社会の上でのみ保全されるのだから。もし無政府状態に陥れば、その次の段階で専制監視政体が言論の自由を殺す。だったら、無政府状態を煽動する言論を、そうなる前から取り締まって行くべきだ。

 次。
 Raf Sanchez and Alex Holmes 記者による2025-9-2記事「Russia’s latest war tactic: Hire local criminals」。
  ウクライナに物資を支援する団体に関係する倉庫に、英国やスペインの地元のチンピラが放火する事件。昨年から、相次いでいる。
 誰がそのようなチンピラ・テロをそそのかしているのか? 明らかだろう。

 ロシアはヨーロッパ全域で、破壊行為を実行してくれる地元の犯罪者を雇っている。エストニア、チェコ共和国、ポーランド……。
 ついには大型ショッピングモールまで放火の対象になってきた。
 報償は、暗号通貨によって支払われているという。
 指令は Telegram の暗号通信でなされている。

 麻薬に関わっているチンピラなどは常にカネが必要である。一本釣りしやすい。

 次。
 Mihai Andrei 記者による2025-9-1記事「Climate Change Triggered European Revolutions That Changed the Course of History」。
  1789のフランス革命は、悪い気候の変化が惹き起こした。
 まず1770年から始まった「ダルトン極小期」(太陽活動が低下)のせいで、欧州北部の冬が厳寒化した。
 1783年にアイスランドのラキ火山噴火が気候をさらに悪化させ、数年のあいだ、農業を凶作に。
 トドメは1788年冬の記録的な寒さ。

 フランスの農業生産は20%以上減少し、税負担ゼロであった貴族と教会に対する平民・農民の不平感が爆発した。


スペース・コマンドの司令部を、アラバマ州のロケット・シティへ移してしまうと決めた背景は、コロラド州の郵便投票制度に対するトランプの嫌悪があるそうだ。

 Seva Gunitsky 記者による2025-8-25記事「The Two Mearsheimers」。
  2001年にミアシャイマーは『The Tragedy of Great Power Politics』を公刊し、「オフェンシヴ・リアリズム」という概念を国際政治学に導入した。

 これは、大国はナチュラルに攻撃的になるものである、という歴史からの帰納。
 あるところに大国があり、その隣にとんでもなく弱っちい地域があったとする。善意や悪意にはほぼ関係なしに、その大国は、当該の隣接地域に対する侵略活動やそれに準ずる活動をスタートするであろう。動機は、そうすることで大国は、今以上に安全になると思うからである。

 2014のロシアの対ウクライナ侵略も、これでクリアーにすべて説明される。〔兵頭いわく、大正期~昭和前期の日支関係もね。〕ところがミアシャイマーは突如として、2014のプー之介の作戦は、アメリカが原因で、アメリカが悪いのだと叫び始めた。

 事実は、ウクライナが、大国ロシアの隣国として、あまりにも弱すぎていたので、プー之介の侵略を自動的に誘ったのである。つまりミアシャイマーの2001理論で全く説明可能なのに、なぜかミアシャイマーは2014を境にして、自説の破却に全力投球し始めた。今もそれを続けている。

 ※漠然と思うに、ミアシャイマー理論は「イスラエル帝国」の建設を後押しすることになる。それが迷惑だとご本人が思い始めたのではなかろうか。あるいはもしかすると、米国のカナダ侵攻を予感しているからか? 別報によれば、メキシコでは資金潤沢な麻薬カルテルがIEDや特攻ドローンを駆使するようになっているので、もし米墨戦争になれば、カナダより手強い相手かもしれない。

 次。
 Robin J Brooks 記者による2025-8-31記事「Lessons from 3 years of Russia sanctions」。
   記者は対露経済制裁の専門家である。
 ブルックスの小括。EU内の企業こそが、西側政府の最悪の敵になっている。

 金融制裁は、ロシアには利かない。その理由は単純。ロシアはゆるぎのない経常黒字国だから。

 2018に米国はトルコに金融制裁を科した。たちまちトルコの景気は後退させられた。トルコはもともと経常赤字国である。いつも海外の資本市場からカネを借り続けねばならぬ立場の国だから、そうなるのが当然だ。

 ※バイラクタルTB-2が異常に安いのは、トルコの通貨が極端に安いから。そうなった背景でもある。

 西側はロシアの中央銀行CBRに制裁を課したが、石油輸出代金を受け取る銀行が、CBRの支配下にないアングラ金融機関に移行することで、ロシアの経常収支にはほとんど悪影響がなかった。

 この回避をゆるさないためには、対CBR制裁ではなく、すべての銀行をターゲットにする「完全禁輸」制裁を西側が発動するしかなかった。しかしそうすると、西側の誰もロシアから石油やガスは1滴も買えなくなる。西側には、それはできなかったのである。

 そこでG7は、ロシア産の石油を買う場合の価格上限を設定しようとした。理論上、ロシアに対して確実に効き目がある正しいツールである。
 しかし、ギリシャの船会社が大反対し、EU内で拒否権を有するギリシャ政府を動かした。その結果、2022-12の設定上限額(バレルあたり60ドル)は、ロシア原油の市価をただ追認しただけの、無意味なポーズとなった。

 のみならずギリシャの船主どもは、ロシアにおんぼろの石油タンカーを大量に売ってやり、シャドウ・フリートを育てるのを幇助した。EUはそれを禁ずるべきだったのに、却ってギリシャのロビー活動に負けて追認している。

 バイデン政権も、ロシアの石油タンカーに対する制裁を、選挙に敗れるまで実施できなかった。なぜなら原油価格が上がると米国内のガソリン価格も上がり、庶民が腹を立てるので。

 後知恵だが、今、こう言える。もし2022のうちにG7が1バレルあたり20ドルの上限を策定できていたなら、ロシアは経常収支が赤字に転落しただろうから、初めて真の金融危機に直面しただろう。それが、ウクライナ戦争を早期に終息させる、最善の打撃になったはずだ。
 経常収支が黒字であるうちは、その国の経済が崩壊したとは誰も思わない。戦争でも何でも続けようという気になのである。

 EUガバナンスが危機にあるのは、イタリアとドイツの商品がキルギスで大量に消えている貿易データから立証できる。英国はそうした私企業の「対露の抜け荷」積み替えを自国領土内において有効に禁止できているのに、他のEU諸国にはそれができないのだ。つまり、EU内の少数の大企業と船主たちが、私欲のために、ロビー活動を通じて諸政府の手足を逆に縛り、EU27ヵ国の長期的な安全保障をおびやかしているのである。それを誰も止めることができないのである。これではプー之介に足元を見られてしまうのも尤もだろう。

 ※Robin Brooks 氏の2005-9-1「X」投稿。IMFデータによると中共からキルギスへの輸出は毎月25億ドル。GDPが200億ドルでしかないキルギスが最終消費者のわけがあるか? 中共こそ対露の最大の支援国である。

 ※Robin Brooks 氏の2005-9-3「X」投稿。中共は、カザフ、ベラルーシ、ウズベキスタンを経由するルートでも、莫大な対露輸出を続けている。EUは第19次制裁として、これら抜け荷の中間積み替え国への開発援助を一切、停止せよ。

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 The Maritime Executive の2025-9-1記事「Royal Navy Uses Drone Deliveries for STS Transfers for the First Time」。
  空母『プリンスオヴウェールズ』は、艦隊内の某艦と他艦とのあいだの荷物運びに、「Malloy T-150」という無人のクォッドコプターを使い始めた。
 まずは空母から、駆逐艦『ドーントレス』へ、小荷物を届けた。 ※おそらくインド洋上にて。

 これまでは有人のヘリがこんな雑用をしていたものだが、これからは、やらない。
 飛行距離は片道1マイルである。
 また、駆逐艦に着艦させるときのリモコン操縦は、駆逐艦側のクルーが引き継いで実施した。


サウジのヤンブ港にてイスラエルのタンカーが爆破された。船籍はリベリア。

 Thomas Newdick 記者による2025-8-30記事「This Is How Ukrainian Yak-52 Crews Hunt Russian Drones」。
  WSJの記事によると、宇軍のレシプロ複座機「ヤク52」は、主として露軍のオルランとZALAの偵察ドローンを撃墜する仕事に任じている。
 時速180マイル以上で、敵無人機に追いすがれる。

 ロシアのドローンが防空センサーで発見されると、ヤクは15分以内に離陸。
 機載レーダーはないので、Yak-52のパイロットは、地上からの無線コマンドに依存して接敵する。

 そして敵機が目視できると、300フィート以内に近寄り、後席の者が、ドイツ製の「MK55自動小銃」を使って撃墜する。

 敵UAVは自衛機動として、タイトな周回を続ける。これをやられると撃墜する側も手間を喰い、仕留めるのに40分かかるという。

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ヴェルコフロフ記者による2025-8-25「ttps://ja.topwar.ru/」記事。
  イスラエルは2023年時点で新鋭のメルカーバーを400両、運用していた。他にマーク3以前の旧型が900両ほど後備装備として倉庫保管されていた。
 しかしこの戦車と装甲車の数が2023夏のガザ紛争開始以降、おそろしく減耗しているらしいことは、イスラエル政府が次の予算で戦車と装甲車の新規調達のための莫大な金額を計上したことから窺えるのである。

 イスラエルのメディアは自軍のAFV損耗を報道しない。代わりに『パレスチナ・クロニクル』が逐一、報道する。

 ハマスは律儀にも、敵AFVの全損が確認できた場合と、撃破はしたようだがその破壊実態が不明である場合とを、用語上で区別しているので、実情を知りたい外野としては、助かる。

 近年の最も衝撃的な写真報道は、2024-4にメルカーバーの新鋭型である「バラク」の車体が真っ二つにされ、砲塔と車体も完全に泣き別れになり、しかも砲塔の右側サイドの複合装甲の内部結構が露わになっているものだ。片側の履帯の下で炸裂した強力な地雷の戦果だと推定できる。

 ハマスは潤沢に爆薬を消費している(1日に数トン)。それを使って、イスラエル軍の小部隊が侵入したビルまるごとを、あらかじめセットしておいた爆薬で崩壊させるという戦法を、25年から採用しはじめた。

 ガザをめぐる作戦でイスラエル軍のAFVが不足するなどという事態は、かつて、誰も想像もしなかった。万物は変転し続けているのである。

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 「ttps://ja.topwar.ru/」の2025-8-30記事。
  装甲車の燃料タンクが被弾しても、爆発や火災には発展させないようにする方法が、可能性としては、ひとつある。
 それがWFE=「水・燃料エマルジョン」だ。

 SAS=界面活性剤により、水と軽油を混和させ乳化させてやるのだ。

 この方式で水を5%混ぜた「水・軽油エマルジョン」を、10リッター・タンクの中に9リッター入れ、そこにRPG-9をぶちこんでも、発火しないと、実験でわかっている。

 1980年代後半、夏季用ディーゼル燃料77%、水15%、それにTEP-101添加剤を、T-80の燃料槽に9割満たして、そこをT-64のAPFSDSで射撃してみたところ、火災にはならなかったという。

 問題がふたつある。「水・軽油エマルジョン」は、低温環境下で、エンジンにトラブルを起こし得る。夏は、何の問題もないのだが。
 また、エマルジョン燃料は、長期保管しておくことができない。

 解決法として、シリンダーに燃料を噴射する直前に水と混和できないかという発想は、昔からある。しかし、まだ誰も成功させていない。※それだとタンク被弾時の安全という当初目的がどこかへいってしまう。

 次。
 「ttps://ja.topwar.ru/」の2025-8-29記事。
    エルブリッジ・コルビーは44歳にしてトランプから抜擢され、今は国防総省のナンバー2(政治軍事担当)だ。
 第一次政権では、彼は国防総省の副次官補だった。

 コルビーが中共専門家であることは、イェール大から出版された著書『拒否戦略』〔2023-12に邦訳刊あり〕で認められている。
 『ウォール・ストリート・ジャーナル』はこの1冊を2021のベストブックに選んでいる。
 米国の太平洋戦略は、げんざいもだいたい、この線に沿っている。

 次。
エフゲニー・フェドロフ記者による2025-8-31記事。
   ウクライナはドルジバ石油パイプラインをこれまで10度攻撃した。それはスロバキアへのロシア油の供給を止める。ところがじつはウクライナ軍も、スロバキアの石油精製所「スロヴナフト」から軽油を買っているのだ。

 いま、ロシア南部では農場が収穫作業のピーク。このシーズンに軽油は品不足になる。宇軍はそのタイミングを狙っている。
 軽油を値上がりさせてやろうというのだ。

 アメリカ政府は、ロスネフチとルクオイルへの制裁を準備している。

 ロシア政府は、宇軍が長距離特攻機のリモコンにLTEを利用すると疑い、頻繁にモバイル通信を遮断させているが、精油所攻撃に飛んでくるUAVはあきらかに、現地のSIMカードには依存していないようだという。

 次。
 Andrea Petersen 記者による2025-8-31記事「Fiber-Packed Foods Are Hitting Store Shelves. Be Careful, Doctors Say」。
  米国では食品にも飲料にもやたらめったらフィイバーを混ぜて売るようになった。ドーナッツやソーダの中にすらファイバーが混ぜ込まれているのである。それが売れている。

 繊維は炎症を減らすという。医師の警告。ぎゃくに炎症の原因になる人もいる、と。

 原料食物中にさいしょから含まれている天然繊維ならば問題ない。問題になるのは、後から添加されているファイバー類。

 よく使われるのが、チコリーの根から取れるイヌリンだ。
 ジョージア州立大の研究者いわく、イヌリンは動物の免疫システムを変えてしまい、肝臓癌を起こしたりする危険もあるぞと。スタンフォード大の研究者いわく、イヌリンはヒトの肝臓の酵素を変更してしまうと。

 別な研究者いわく。特定の繊維を大量に摂取すると、腸内で、その繊維を好む菌が支配的になってしまう。それはよくないと。

 サプリで繊維を取るくらいなら、1個のリンゴの方がずっとマシだよ、とスタンフォードの先生。


地上から、逆V字形に張った「介錯ロープ」によって、上昇するシングル・ローター機体の「反転トルク」を、高度数十mまで、抑制し続けることは可能だろうか?

 もしそれができるなら、次のような片道自爆型の固定翼特攻機システムが可能になるだろう。
 その特攻機は、電気モーターで1軸のプッシャー・プロペラを回す固定翼機である。
 プロペラは2~3翅である。
 そのプロペラに、巨大な鉛筆サックのように、垂直離陸専用の固定ピッチがついた「大径ローター・ブレード」をすっぽりと上からはめこんで、根もとは爆発ボルトによってスピナーに結合しておく。

 固定翼機の、機首を地面に垂直に突き刺し、尻(プッシャー・プロペラとモーターあり)は天に向けて、「離陸台」に据える。

 モーターを始動すると、「大径ローター・ブレード」のピッチは上昇専用なので、機体が、尻を天に向けたまま、垂直に上昇し始める。
 このとき機首部分からは地面に2本のロープを緊張連絡させ、それが「介錯ロープ」となって、トルクによる機体の反転を抑制する。
 この介錯ロープは、機体が上昇するにつれて、逐次に延ばしてやる。

 高度数十mに上昇したところで、電気指令により、爆発ボルトを作動させ、「鉛筆サック」とスピナーの結合を解除する。
 と同時に「介錯ロープ」も機首から外して落下させる。「介錯ロープ」の機首との結合部は、圧搾空気をバルブ解放することによって強制的に離隔させる軽量なメカにしておく。その機構は何度でも再使用ができる。

 結合が解除された「鞘状」の大型ローター羽は遠心力で吹き飛ぶ。その中から、ほんらいの小径の推進用プロペラが現れる。そのピッチは、機首方向へ機体を押すピッチになっていることは言うまでもない。
 つまりモーターの回転方向は終始同一なのにもかかわらず、スクリューのピッチが、瞬時に逆転するのである。

 機体は重力落下しながら、プッシャー・プロペラによって力強く押される。地面に激突する前に、確実にスピードが乗り、主翼は十分な浮力を生ずるであろう。そこからただちに水平飛行を開始する。

 次。
 Sofiia Syngaivska 記者による2025-8-31記事「50 km Range, Night Vision: the Hara Drone Strengthens Ukrainian Forces」。
  固定翼UAVでありながら離着陸はクォッドコプター機能を使って場所を選ばず可能な、中距離&夜間用のドローンが「Hara」である。新顔。

 宇軍の「Khyzhak」旅団が調達して、現用し始めている。
 航続レンジは50km。エンジンは電動。

 「Kometa CRPA」という、露軍の墜落UAVから回収したアンテナ(GPSスプーフィングを回避できる)も、こいつに載せることがあるという。


 次。
 Dr. Thomas Withington 記者による2025-8-20記事「Time to Detect Enemy Radios」。
  ※げんざい進行中の最前線のESMを具体的数値を列挙して解説してくれる記事なんて、ないだろうと思っていたら、あるのだ。インターネット環境こそ、真の軍事革命だと痛感するよ。

 ウクライナ軍の最前線のESMは、-105dBmの弱い信号まで、検出する。そのゲインを閾値とし、それより弱い信号はカットしている。
 露軍の無線信号は、容易に探知されている。

 宇軍のESMは、方探の誤差が3度ある。探れる距離は17.5km以下である。
 露軍の砲兵指揮所から12km以内に2個のESMチームが近づくことができれば、露軍の砲兵の現座標を地図上で精密に絞り込める。三角測量法で。

 方向探知機能がない、部隊に普及している無線機が複数個所で、敵の同一周波数を同時に受信するだけでも、やりようによっては、敵の電波の発震源を座標的に絞り込める。

 ※別記事によると、露軍の「オルラン-10」がFPVドローンのリモコン用無線の中継をすることもあるようだ。

 次。
 Christopher F. Foss 記者による2025-8-26記事「Ukraine Support Causes Artillery Dilema」。
  ※おそらく、いま現在のウクライナ軍の砲兵の実勢とその苦境について最も詳しく具体的な数字を挙げてくれた記事。このエリアに関心のある人は、原文を保存し、機械翻訳させてでも熟読するべきだろう。だから、略す。なおタイトル中の「dilema」は「dilemma」が正しい。

 次。
 Nadia K 記者による2025-8-31記事「Ukrainian Ghosts Unit Destroys Russia’s RT-70 Space Comms Hub for GLONASS in Crimea」。
  宇軍が無人特攻機によって、ロシアのGLONASSの地上局のパラボラを破壊した。

 次。
 Leila Miller 記者による2025-8-30記事「Argentina, widely regarded as the global capital of polo, has welcomed cloning and other breeding innovations. But CRISPR is different ―― for now」。
  ポロ競技では馬の優劣がモロに勝負を分ける。アルゼンチンでは、かつて爆発的スピードを誇った「Polo Pureza」という名馬の遺伝子を解析し、CRISPR技術によってそれに似せるようにした「人造馬」たちが増殖過程にある。まだ試合デビューはしていない。

 筋肉の成長を制限するミオスタチン遺伝子。これを発現させないようにしたという。その結果、馬の筋繊維が爆増するのだ。

 アルゼンチンは今日、ポロ競技の世界の首都である。
 競馬界とは違って、ポロ競技世界は、クローン馬を2003から許容している。

 ※むかし、スポーツ競技に焦点を当てた本を1冊書こうとしていたとき、学び得たことがある。それは、人間のあらゆるドーピングは、それが試される前に、馬のドーピングとしてとっくに英国で「治験」が進んでいたのだ。馬で実証されているから、ヒトに適用するのに何の抵抗もなかった。人類はこれまで何千年も、家畜をムチャクチャに改造して、今のように仕上げてきた。その「産業」をいまさら否定できるのかよという話だ。


トランプはウクライナ国内にPMCを派遣する案も検討中だという。英紙が報じた。

 Leyland Cecco 記者による2025-8-29記事「Civil rights groups alarmed over Quebec’s move to ban prayer in public」。
  カナダのケベック州は、宗教的な街頭礼拝を禁止する。州政府は、秋にこれを法律化するつもり。

 教会やモスクの中でめいめいの宗教行為にふけるのは御自由だが、一般人の目に見える、公道や公園で、特定宗教の礼拝などパフォーミングすることは、許さん。

 ケベック州は2019から「法案21」という世俗主義規則を導入していて、裁判官、警察官、刑務所の警備員、教師が仕事中に宗教的シンボルを着用することを禁じている。

 次。
 スターズアンドストライプスの2025-8-29記事。
  9月の Resolute Dragon 演習にさい、米陸軍は、岩国基地に「Typhon」ミサイルを初めて持ち込む。
 この陸上機動ラーンチャーからは、SM-6とトマホークのどちらも発射できる。

 次。
 フィンランドのKNL社のHP (ttps://knl.fi/newsroom)より、要点紹介。
  この軍用通信機メーカーは、HFつまり「短波帯」を使ってデジタルのデータ・リンクを実現する技術を開発してきた。
 短波は物陰にも回り込むし電離層で反射してくれるので、この技術を使うと、衛星に頼らずに、水平距離40km以遠でも、無人機をコントロールできることになる。
 しかも超短波帯とは違って、UAV側の通信器材の必要電力量は至って抑制されるから、万事、つごうがよい。

 他社でこれができなかったのは、ある日のある地域で、遠くまで通じてくれる周波数は、同じHF帯の中でも刻々変動するので、それを自動的に変えてくれるようなシステムでなくてはいけない。しかも、軍用なので、信号が暗号化されていないといけない。
 KNL社は、これを実現したのである。

 ジャミングを受けても、0.5秒で別周波数でのリンクを確立できる。

 ※わが国が、長距離の片道特攻ドローンを運用する場合、スターリンクなどに頼っていては危ういこと限りなしなので、防衛省もメーカーも、すぐにこのKNL社にコンタクトを取るべきであろう。

 次。
 Peter S. Goodman 記者による2025-8-25記事「The Real Reason Americans Worry About Trade」。
  世界の先進諸国の中で社会保障が最低ランクなのが米国である。だから、米国で労働者が失業するということは、ただちにホームレスや死の運命に直面するということ。

 米国とスウェーデンで、それぞれ1人の失業者を取材して比較した。

 まず、オハイオ州ロードスタウンのGM工場城下町にて。
 2018のサンクスギビング直前に大規模レイオフあり。GMがメキシコに工場を移したためだ。
 メリンダ・マイナー(今は47歳)は17年間GM工場に恪勤していたが、馘になった。
 亭主もGM勤務で、合算すると時給33ドルとなり、それで、住宅ローンと3人の子どもの養育費用はまかなえていた。
 メリンダは糖尿病で透析+往診が必要なのだが、その経費も支払えた。

 GMは解雇する従業員に、米国内の他工場へ転勤するオプションを提示している。しかしいろいろな事情で遠くへ引っ越したくない者は、一時金5万ドルを貰って、離職することになった。

 他方、スウェーデンのジョセフィン・ソダーバーグ。彼女は欧州最大の電池メーカー「ノースヴォルト」社の労働者だった。この会社は倒産した。中共との競争に負けたのだ。ソダーバーグを含む4000人が失職した。
 即刻、これら失業者には手厚い社会的支援があてがわれた。

 現在彼女は、美術工芸品を製造販売するビジネスをじぶんで経営している。
 こういうことができるのは、スウェーデンでは医療費が無料だからだと、ソダーバーグは言う。

 米国には公的なヘルスケアは無いに等しい。だから米国の有権者は、企業が海外移転することを恐れる。失職すれば、ひとつの病気が人生を破滅させるに十分なのだ。ゆえに彼らは、トランプの貿易戦争を支持する。

 米国の労働者が、電気自動車だとか工場用ロボットだとか港湾荷役の自動化をすべて嫌うのも、失業=破滅 だからなのだ。

 米国では、たとえば2人を子育て中である両親が失業して6ヵ月経ったときに、元の年収の36%を役場から貰えるにすぎない。
 もしスウェーデンであったなら、この家族は、元の年収の70%を貰うことができ、しかも医療費はかからない。ほとんどのOECD諸国はこのスウェーデンの流儀に近いのだ。米国だけが異常なのである。

 GMの消えた工場は、1966にオハイオで操業開始して1600万台も製造してきた。
 2018時点で、Chevy Cruze sedan を製造していたが、ニューモデルの Chevy Blazer はもうそこでは製造しないという噂だった。
 予告なく、工場長がラインを止めさせ、マイク片手に、ゆっくりと説明をし始めた。労働者にとっては、天地がひっくりかえった日だった。

 後刻、「ブレイザー」はメキシコで製造されると知った。そこでは労働者の時給は2ドルだということだった。

 マイナー夫人は、ローズタウン市内の、電気自動車用の電池を製造する工場(GMと韓国LGの合弁)に、2年前から、再就職できている。全米自動車労組がこの会社を誘致したのだという。そして給料は良い。

 その前は、エアコン修理の資格を持っていたので、それで時給21ドルをかせいでいた。このときが最も苦しかった。
 米国にも貧困世帯のための社会保障制度はあるが、マイナー夫妻のような中間層が、その恩恵を最も受けられない。なまじ、最低限の世帯収入があると、公費扶助の対象から弾かれてしまうのだ。米国では「中流で居る」ことができないのである。


兵頭二十八note
迫撃砲を手押しで運ぶ――そのイメージをAIに喚起してもらったら……?


『マイアミ・ヘラルド』紙の報ずるところでは、ベネズエラはIRGC(イラン革命防衛隊)から各種のドローン技術を受け取り、中米一のドローン戦力を有するに至った。今、米海軍がその沖に有力部隊を近寄せているところ。

 ディフェンスエクスプレスの2025-8-29記事。
  ロシア海軍もウクライナ海軍の向こうを張って無人特攻ボートを繰り出し、漁船構造の河用砲艇「シンフェロポリ」を損傷させた。

 場所はドナウ川の河口。露軍の最寄りの支配地から200kmあるが、露軍USVはスターリンクを利用できないはずだが、公表された動画の画質から、スターリンクを使っていることが強く疑われる。

 他の可能性のひとつ。固定翼偵察無人機の「オリオン」を飛ばし、それが無線を中継したのではないかと。

 ※いよいよ中露の特攻水上艇に対する港湾防禦を考えなくてはいけなくなった。ずっと前にも書いたように、適切なサイズにこしらえた「人工軽石」を水面へ高密度に浮かべておけば、無人艇のウェータージェットがそれを吸い込み、内部のインペラーのところで詰まってしまうので、ボートの行き足は止まる。その「人工軽石」が、広い海面に漂流拡散してしまわぬよう、市販のオイルフェンス×2条を使って「軽石浮遊帯」をサンドウィッチして密度を保持させるとよいだろう。ボートはこのようなオイルフェンスなどは軽々と乗り越える。けれどもひとたび艇体が「軽石浮遊帯」の中に泛水すればウォータージェットは確実に詰まる。もし船外機タイプだったなら、漁網状の「浮き障害帯」で阻止できる。オイルフェンスに「比重が1よりも軽いロープ」(これも市販品あり)を、緩くからげておいてもいいだろう(蛇腹鉄条網のように)。軍艦が、自艦の囲りに土星の環のように速成に「軽石浮遊帯」を現出させてしまうシステムも、いまから考えておくことだ。スタートアップ企業の出番だろう。

 次。
 ディフェンスエクスプレス の2025-8-28記事。
   カリブル・ミサイル発射艇でもある「Buyan-M」級のコルベットに、28日、宇軍の名称不明のUAVが突入命中した。FPV操縦だったという。場所はアゾフ海のテムリュク湾。特攻機は350km以上飛んできた。機種はおそらく「ルバカ」もしくは「UJ-26」だろうという。撃沈には至らなかったが、対空&対水上レーダーは破壊された。。

 低速でしかもステルスでもない無人特攻機が、AA用のレーダーと火器を備えた軍艦に突入を成功させた初のケースであるらしい。

 次。
 オレクサンドル・ヤン記者による2025-8-28記事。
  CNNが、2025-1に米国アイエルソン空軍基地で起きたF-35Aの不時着全損事故の詳細を伝えた。
 まず、着陸装置が3脚とも、出せなくなった。結氷したために。
 完全に出すか、完全に引っ込めるか、さんざん試行したが、中途半端なところで固まってしまった。

 ロックマートの技師5人が、50分間にわたって無線でパイロットにアドバイスしたという。その間、機体は、基地上空を旋回し続けた。

 この技師らのアドバイスにより、タッチ&ゴーによってギアを物理的に格納させてしまう荒技を試すことになった。※坂井三郎の逆だな。
 2回、試したが、やはりダメであった。しかも2回目において、F-35のセンサーが、機体はすでに地上にいると誤認したため、F-35は制御が不能となり、ついに、パイロットはエジェクトを選択するしかなくなったという。

 事故機を調査した結果、3脚すべての支柱の油圧システム内に水が侵入していたとわかった。気温はマイナス18℃だった。

 後知恵だが、このケースでは、脚の状態には委細かまわずに無理やり胴着させてしまい、滑走に移ったところでパイロットがエジェクトするようにしていたら、機体の全損を免れた可能性が高いという。

 次。
RFE/RLの2025-8-25記事「How Ukraine Uses Net-Firing Drones To Snag Russian UAVs」。
  宇軍のマルチコプターが露軍のクォッドコプターの真上から「網」を真下へ発射して撃墜するようになった。ルハンスク戦線。
 すでにこの方法により、5週間で100機の敵ドローンを墜落させたという。

 敵ドローンは多くが「DJI-Mavic」である。昼間用の仕様だと単価1700ドル。夜間用の仕様だとその2倍。これを100機喪失した露軍が、その穴を埋めるために強いられる金銭負担は、小さくないだろう。

 次。
 Garret Rice記者による記事「A Smarter Path to Maritime Strength」。
  海軍の調達流儀を改め、交通省海運局が National Security Multi-Mission Vessel(NSMV)を調達するときに採用して成功した VCM(Vessel Construction Manager)を導入すべし。船殻細部を商船準拠とし、契約は価格をあらかじめ固定してしまう方式。コストも納期も最小化されることは実証されている。1隻について3億ドルも安く上がる。

 ※趨勢としては、建造に1年以上もかかってしまう軍艦は、近未来にはもう海軍の主戦力ではなくなっていると思うぞ。日本の海軍造船界も、早くアタマを切り替えることだ。

 ※わたしゃミリタリー分野の英文記事の短い「タイトル」の意味がなんとなく分かるようになったのが、やっと五十代以降である。それまで数十年、人力和訳&要約の勤行(ごんぎょう)を続けてきたおかげで、かろうじて今、機械翻訳や機械要約を「道具」として使えるのだ。たとえばAIはいまだに、「機雷」と「地雷」と「鉱山」を文脈から判別することに苦しんでいる…。しかしさいきんはAIが、欧文記事を直訳するだけでなく、和文で要約してくれるようにまでなってきた。全訳には失語症的なものが多かったのに、この「要約」は文句の無い出来で、感心させられるのみだ。これを駆使できるとどのくらい便利なのかというと、従来は「このタイトルには興味を感ずるが、本文を覗いて訳している時間がない」と思ってパスするようにしていた数多の記事を、とりあえず要約で瞥見しようと思えば、できるようになった。それで、まったく余計な心配なのかもしれないが、若い人はこんな環境をいきなり与えられてしまっているがために、これから数十年経っても、記事「タイトル」を見ただけで記事内容の見当がつくようには、なかなか、なれないのではあるまいか?

 次。
 Andrew Bogusky 記者による2025-8-28記事「Dealing with Drones: Why Words Matter」。
  この記者は、「ドローン」という呼称をありとあらゆる無人兵器につけてしまっている最近の風潮に、猛反発している。
 なぜなら、そのようなあいまいな名辞の慣用は、米軍が受けている脅威に関する正しい認識と対策も、混乱させてしまうからだ。

 リーパーのような本格的な無人航空機はUASと呼ぶべきで、ドローンと呼ぶべきではない。
 DJIのMavicのような軽微なものをドローンと呼べ。

 記者のいう「ドローン」に対しては、1発300万ドルのペトリや、1発40万ドルのサイドワインダーのような空対空ミサイルを発射してはならないのだ。それは自滅の道である。

 空対空ミサイルを発射してもよい敵の対象無人機は、大型UASに限るべし。それを米軍はハッキリと規定せよ。UAS対処は、航空部隊の仕事であると規定せよ。

 記者のいう「ドローン」に対処するのは、陸上部隊だけと決めなくてはならない。それにはSAMはふさわしくなく、もっと適切なAA火器が開発されなくてはいけない。

 次。
 Sebastian Strangio 記者による2025-8-20記事「China Slowly Making Security Inroads in Southeast Asia, Report Says」。
  中共は、東南アジア圏への影響力を米国と競っている。
 げんざい、ラオスとカンボジアは、ほぼ、中共がとりこんだ。タイとミャンマーも、まずまずとりこんでいる。

 中共の外交工作の限界は、米国は東南アジア諸国に「情報を教える技術移転」「情報を教える共同訓練」をしてくれるのに対し、中共は合同軍事演習をしても、自軍の能力を徹底的に隠そうとすること。したがって、永久に近隣国との相互運用性などは育たない。

 次。
 Armen Agas & Tom Cutler 記者による2025-8-29記事「Here’s How to Force Moscow’s Hand If Trump–Putin Talks Fail」。
  数字の現実。2022年2月にロシアは15万人の将兵を動かした。そして今日、前線に60万人の将兵を維持できている。
 かたや宇軍は、ペーパーの上では兵力100万人だが、最前線には30万人を貼り付けられるのみ。連日1300人前後が死傷しているのは隠すことができないので、多くの者が徴兵逃れや脱走を試みている。

 ロシアはもっか、毎日、400万バレル~500万バレルの原油を輸出している。年に2000億ドル以上の稼ぎである。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2025-8-29記事「Taiwan Teams Up With Kratos On Jet-Powered Kamikaze Drone」。
   ターボ・ジェット動力の標的ドローンとして「MQM-178 Firejet」があるのだが、これをベースにして台湾の中山科学研究院 (NCSIST) と、ターゲットドローンの元々のメーカーである米国の Kratos 社が共同で、「剣鋒 IV (Chien Feng IV)」を開発中だ。
 全長約3.3m、ウイングスパン2m、胴内ペイロード32kg、機外吊架ペイロード25kg。速力マッハ0.69、高度は3万5000フィートまで。

 機体外皮は炭素繊維複合材。
 来月の台北国際航空宇宙・防衛産業展で公開される予定。台湾軍が装備するだけでなく、輸出もするので。

 ※ウィキで補うと、ファイアジェットは2019デビュー。エンジンは「JetCat C81」で1基が0.36kN。それの双発だという。MTOWは145kg。RATOでカタパルトから射出する。


キーウを空爆したドローンはジェット・エンジン搭載型で、その残骸部品からチェコ製の「PBS TJ40-G2」と判明したが、製造メーカーは対露供給を否定。

 2025-8-27の書評記事。
  新刊『Tactical and Strategic Insights from the Russo-Ukrainian War』を書評する。評者は Lawrence Cline である。
 この本の著者は2名で、Thomas-Durell Young と Gryz(名前にはポーランド文字が入るので略す)である。287ページ。英エグセター大学出版部 pub.

 誰も、人海戦術が復活し、それを露軍が実行してくるとは思わなかった。誤算。公表されていた露軍の科学的軍事論文に、そんな話はまったくなかったのだ。
 ※とはいえ、野戦築城の重要性を軽視したのは、誰のせいにもできないだろ? 国境に要塞帯を建設していなかったのも、同様だ。

 ひっかかったのは、近年の露軍論文は、間接侵略とハイブリッド作戦ばかりを強調していたから。人海戦術と要塞は、その対極に位置する概念だ。
 つまり西側専門家は Valery Gerasimov の2016ドクトリンにばかり着目していた。

 外野にとって、この戦争で役に立ったありがたいツールが2つ。
 ひとつは、NASAの Fire Information for Resource Management System (FIRMS)。
 もうひとつは Oryx 。フォーブズはオリックスを絶賛している。紛争分析でいちばん信頼できると。

 この本は研究者は必買だ。たとえば開戦から半年間の戦場通信についてだけ焦点を当てた章がある。
 末端では、Harris の無線機と Motorola のトランシーバーが大活躍した。
 モトローラは、既存商品に簡易な暗号化を提供する後付けデバイスも売った。

 別な章では、砲兵の復権が宣言されている。ATGMは敵軍の前進を遅らせたが、敵部隊を粉砕した主役は、砲兵であったと。
 多数の大砲をまとめて運用するのが露軍流だった。宇軍は、1~2門の単位に分散し、頻繁に陣地変換させた。
 宇軍の野砲は過度に使われ続けたので、さすがにその三分の一以上が「自壊」状態に……。特科の修理体制が大事だと確認された。

 Google Meet の機能を使って住民が露軍部隊の現在位置を友軍砲兵に速報するシステムも、できあがった。

 本書はUAVについてはぺージを割いていない。それは他書がさんざん解説しているから、あえて重複して書く必要がないのである。
 他機関が語らない重要な問題を、本書がカバーしてくれている。

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 『エルサレム・ポスト』の2025-8-28記事「Turkey detains defense firm Assan Group executives in military espionage probe」。

 トルコの「Assan Istanbul Group」のオーナーならびに社長の2名が当局に逮捕された。嫌疑は、米国にかくまわれている反政府宗教家ギュレンの一味として反エルドアン活動や軍事スパイを働いたというもの。グループ傘下の10社が、政府の管財人の管理下に置かれた。

 会社は1989年創立。防衛、建設、物流、エネルギーの諸分野に及ぶ。近年は弾薬と無人機の部品も製造しているという。

 ※トルコの兵器メーカーはかなり有能なのだが、もし経営幹部が反エルドアンだとエルドアンから認定されてしまえば、たちまちこのように弾圧されてしまう。そして米政府は反エルドアンの政治活動家の代表格を米本土内で匿っている。つまり、エルドアン体制が続く限りは、西側企業がトルコ企業と組むことには、不可測的なリスクが伴ってしまう。

 ※NYT記事をみると、ボルトンにかけられている嫌疑は、彼の現役高官とうじ、通信保全の万全な政府高官専用の回線を使わずに、機密情報を一般回線を通じて仲間に伝えた行為らしい。それならば通信記録の証拠が残っているから、公判維持は確実である。トランプとしては、これで江戸の仇を長崎で討てるぞと胸算しているのだろう。

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 ディフェンスエクスプレスの2025-8-28記事「Unsinkable Gulfstream Motorboats Successfully Tested and Ready for Ukraine’s Defense Needs」。
  ポリエチレンでモーターボートをこしらえれば「不沈」になるではないかと考えて実行したメーカーがあり、それを宇軍が使い始めている。
 ガルフストリーム社製の「GS5200TSB」と「GS6400TSB」シリーズ。写真を見ると、船外機は「スズキ」のようだ。
 同社は民間用には「Proper Boats」ブランドで販売している。